その日の放課後、希がどうしても伊賀さんを見てみたい! と言うので、仕方なく一緒にいつもの道を歩いていた。
昨日よく振ったせいで今もまだ川は濁って流れも早い。
空を見上げると今すぐにでも雨が降り出しそうな雰囲気があるものの、雨粒は落ちてきていなかった。
「会う時はいつもこの辺なの?」
大通りというわけでもない、民家の立ち並ぶ景色を眺めて希が聞く。
「そうだよ。だいたいブズ濡れになって歩いてる」
「それってちょっと妙ではあるけど、その伊賀さんって人は傘が嫌いなのかな?」
「そうでもないと思うよ? 相合い傘をして帰るときには、持ってくれるし」
そう言いながらなんだか付き合っているカップルみたいな言い方だったなと思って顔が熱くなった。
「へぇ、優しいんだ?」
案の定希から茶化されてしまった。
それからもふたりでトロトロと歩いていたけれど、この日は伊賀さんを見つけることはできなかった。
せっかく吹奏楽部の練習を早めに切り上げてきたのにガッカリだ。
あからさまに肩を落とした私に「そういえば面白い映画借りてたんだった! ちょっとうちに寄って行かない?」と、声をかけてきたのだった。
昨日よく振ったせいで今もまだ川は濁って流れも早い。
空を見上げると今すぐにでも雨が降り出しそうな雰囲気があるものの、雨粒は落ちてきていなかった。
「会う時はいつもこの辺なの?」
大通りというわけでもない、民家の立ち並ぶ景色を眺めて希が聞く。
「そうだよ。だいたいブズ濡れになって歩いてる」
「それってちょっと妙ではあるけど、その伊賀さんって人は傘が嫌いなのかな?」
「そうでもないと思うよ? 相合い傘をして帰るときには、持ってくれるし」
そう言いながらなんだか付き合っているカップルみたいな言い方だったなと思って顔が熱くなった。
「へぇ、優しいんだ?」
案の定希から茶化されてしまった。
それからもふたりでトロトロと歩いていたけれど、この日は伊賀さんを見つけることはできなかった。
せっかく吹奏楽部の練習を早めに切り上げてきたのにガッカリだ。
あからさまに肩を落とした私に「そういえば面白い映画借りてたんだった! ちょっとうちに寄って行かない?」と、声をかけてきたのだった。



