「あ、さっきの先輩集会中に倒れた人だよ」
希も目ざとく見つけていたようでそう言ってきた。
「あぁ、そうなんだ」

どこかで見たことがあると思ったら、昨日の朝の集会で倒れた、あの小柄な先輩だったみたいだ。
「昨日倒れたことでちょっと有名になっちゃったよね」
「え、そうなの?」

キョトンとして聞き返すと希が驚いた表情をこちらへ向けた。
「先輩が倒れた理由、聞いてないの?」
「知らない」

「あの時突然雨が降ってきたでしょう? それが原因だったみたいだよ」
「雨が降ってきて倒れたの?」
余計にわからなくて首をかしげる。

確かに昨日は急に雨が降り始めたけれど、今の時期雨なんて珍しくない。
けれど希は「うん」と頷いた。