私はうつむき、無言で歩き続ける。
せっかく自己紹介して名前を知ることができたのに、前進できた気分にはなれない。
むしろ伊賀さんとの距離がすごく離れてしまったように感じられて胸が痛くなる。

しばらく歩いていると川へ向いてしゃがみこんでいる女の子の姿を見つけた。
その子は薄ピンク色の大きな傘を差してジッと動かない。
一体なにをしてるんだろう?

気になりながらも傘を避けるようにして歩く。
今は他の人を気にかける気分でもない。
私と伊賀さんは終始無言で歩き続けたのだった。