もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない

「────~っ!!」

ブルっ!と体が震えてしまい、それを目ざとく翔に気づかれてしまう。

「どうしたの?寒い?」

翔は頓珍漢な質問をしながら、俺の体を抱き寄せた。
その行動にも、サァァァ~……と血の気が引き、思わず体を離そうとしたが、さっき起こった事を思い出し動きを止める。

とりあえず家に着いたら、なんでこんな事をするのか冷静に話し合おう。
そう誓って動かずにいると、翔は満足そうに微笑み、そのままエレベーターの後ろに俺の体をつけた。
そして体を密着させて鼻がつくくらいの距離まで顔を近づける。

「……なっ、なっ、なっ、……っ……!!?」

「────あぁ~……可愛い。今までなんで気づかなかったんだろう?」

近すぎてピントがボヤけてもパーフェクトな美しさは現在だが、言ってる事はパーフェクトから程遠い。

「はっ……?か、かわ────??」

「もう可愛い、可愛い。世界一可愛いよ、源はさ。」

熱に浮かされる様にブツブツ言う翔が気味悪いを通り越して心配になったが、ハッ!と思い出すのはここがエレベーターの中だって事。

流石にこんなの見られたら、恥ずかしくて死ぬ!

「────っ分かった!分かったから、離れろっ!!」

翔の口元を覆い、なんとか顔を離すと、翔はプゥ……と小さく頬を膨らませる。

「…………。」

「……エレベーターの中だぞ?俺はこんな所で嫌だから!」

素直に答えると、翔はパッ!と嬉しそうな顔へと一瞬で変わった。

「うん。分かった!」

……いや、本当に分かってる??

翔は心配になるくらいいい返事をすると、チンっ!とエレベーターが最上階へ着いた瞬間、俺を抱き抱える様に部屋の中へ連れてく。

────バンッ!
そして勢いよく扉を閉めると、そのまま後頭部を鷲掴みにされキスされた。

「────っ!!??────っ!!?」


パニックを起こす俺を置き去りに、そりゃ~もう!
ベロベロ、チュチュチュッ、グッチャグッチャと、キスと言うには随分と攻撃的な行為をされる。
ちなみにコレが俺の人生初めてのキス。
ことごとく翔に邪魔されてきたせいで。

「~~っ!!────っ!!」

「────ハァ……ハァ……。は……ははっ……すっごい興奮する。」

翔はいつもの様に余裕がある様子ではなくて、見たこともないくらい必死な様子だ。

「か、かぇ────……。」

散々絡め取られた舌が痺れて呂律が湧いて回らず……それでも何とか名を呼ぼうとしたが、そこで恐ろしい事実を知って言葉を飲み込んだ。

────え……?た、勃って……??

言い訳しようがない翔のソレ(ルビ)に驚き呆然としていると、今度は可愛らしいフレンチキスをされ、正面からギューっと抱きしめられる。

「これから沢山愛し合おうね!──あぁ、早く源の中に入りたいな……。そしたら、もう全部俺のモノだ。」

「あ、愛し────……??」

クラクラしながら呟くと、翔は俺の胸ぐらを掴み、そのまま一気にシャツを破り裂いた。

「────うわっ!!」 

「これはもういらないから捨てようね。ダサいし。これからは俺の買った物だけしかダメ。」

失礼な言葉に、ムカっ!として抗議しようとしたが、またキスされて口の中を舐め回され、言葉はとられてしまう。

「──…………うぅ~……。」

そっちに意識が全て持ってかれている間に、翔はズボンをやはり乱暴に脱がしてくるので、慌てて落下を抑えていると────その手は後ろに回されパンツの中へ。 

「────っ……────っ!!?」

中の尻の肉をグッ!と掴まれ、一気に体温が下がったが……逆に翔の体温は上がった気がする。

「源……源……源……。」

うわ言の様に呟きながら、モニモニとお尻を揉んでくる翔に────とうとう俺は限界を迎えた。

「わぁぁぁぁぁぁぉぁ────!!!!あ────!!!あ────!!!ぁぁぁぁぁ────!!」

「!!?」

ワーワー!と大声で叫ぶ俺に、流石に翔も動きを止めるしかなかった様だ。

「えぇ~……。あのさ……もうちょっとだけ色気だしてくれない?萎えるでしょ。────まぁ、源らしくていっか。」

萎えるとか言っているが、一向にガッチガチな下半身のまま、また俺の体を弄り始めた翔の顔を鷲掴み、更に続けてワーワー!と叫んだ。

「嫌だ!嫌だ!絶対嫌だ!!俺は根本 源!」

「……いや、知ってるよ。何で自己紹介なんてしてるの??」

呆れ顔の翔は、自分の顔を鷲掴む俺の手を優しく外し、チュッとキスしてくる。
それにもゾワッ!としたが、それ以上に────俺が源だと知っているのに、おっ始めようとしている事に絶望した。

最悪何か勘違いしていると思っていたのに……!

「……か、翔は、お、お────……俺の事好き……なのか?」

唖然としながらそう尋ねると、翔はあっさり頷く。

「うん。好きー。だからセックスしよう。」

まるで近所のスーパーへちょっと買い物に~レベルで言われて、ゴクリっと喉がなる。

翔は俺が好き。恋愛的に。

その事実を理解すると、凄まじい衝撃に頭を殴りつけられた様な痛みに襲われた。

い、今までそんな素振りなんて────?……と思ったが、チリッ……と引っかかる記憶が頭の中を過っていく。

『お前姉さん女房でもいるのか?いつもお弁当豪勢だし、洗濯物だっていつもピシッ!としていて完璧だよな~。』

『あ、俺も気になってました~。羨ましいっす~!』

『いくら惚れててもそこまで彼氏のためにできないわ~。根元君愛されてるわね。』

会社の同僚や上司、後輩までもが口々に俺の事を見てそう言ってくる。
職場ではすっかり、彼氏にベタ惚れしている姉さん女房的な彼女持ち……みたいに思われているのだが、それをやってくれているのは同じ男の幼馴染だ。
そのため気にしていなかったが……もしかして翔は随分前から俺の事を……?

「……ご、ごめん。」

翔がクニクニと俺の無い胸の乳首をこねくり出したのを止めずに、俺は慌てて謝る。

これじゃあ俺は、相手の恋心を利用するクズヒモ男と同じじゃないか!