私は初恋に呪われている。
優しい、気づかいができる、顔がタイプ、そういった理由で恋愛をしたことはあっても、恋に落ちるという経験は初恋以外になかった。繋ぎ止めるように、恋愛を積み重ねていく。
少女漫画のような、初恋以上に素敵な出会いがあると信じて。
「お姉さん、そのバンド好きなの?」
バーで出会った男性と気が合って話していると、スマホカバーの裏に入れたバンドステッカーを指さされる。
「うん。これは前のライブでもらったやつ」
「良いね、俺もよく聴く。そのバンドの曲を弾いたりもするし」
「え、バンドとかしてるの?」
「そうそう、ギターボーカル。このバンドなんだけど」
「へえ、すごいですね」
彼のスマホにバンド名が映し出される。曲もかなり出していて、インディーズの中では人気のよう。今までこういうクリエイティブな男性に出会ったことがないから新鮮だった。外見や雰囲気はとても好みだったけど、彼から音が紡がれていると思うと、より特別に思えてくる。
煙草に火を点け、煙を吐き出す。ロックグラスに入ったウィスキーを一口含み、彼は小首を傾げた。
「聴きに来る?」
そう言って、返答待たずに正面を向いては煙草を吸う。その自然な動作に、気づけば私は頷いていて、彼はちらっと横目に見た。
ふわりと目を細め、煙に溶けるような笑み。
彼は煙草の火を消し、残ったウィスキーを一気に飲み干す。それから私の分も会計を済ませ、手を取られ家までエスコートされた。
誘うからには素人目にもわかるほどギターはうまく、その姿に見惚れてしまう。それから引き方を教えてもらって、ほんのちょっとだけ引けるようになり、そのまま背後から口づけをされた。痺れるように、アルコールと煙草の香り。気づけば、彼と夜を過ごしていた。
目を覚ますと、彼は窓辺で煙草を吸っていた。私は床に落ちていた一回り大きいTシャツだけ勝手に着て、彼の下に寄る。彼は抱き寄せるとまた煙を吐き出し、私はその横顔を見つめていた。それがバレると、吸っていた煙草を咥えさせてくる。吸ってみるけど、盛大に咽てしまう。その様子を見て彼は微笑み、私の頭を撫でながら口づけをした。
強引だけど、心地よく、心臓がうるさい。目の前にいるのに、彼をもっと感じたい。
恋焦がれる。
初恋以上の恋になり、これで解放されるのだろうかと。
優しい、気づかいができる、顔がタイプ、そういった理由で恋愛をしたことはあっても、恋に落ちるという経験は初恋以外になかった。繋ぎ止めるように、恋愛を積み重ねていく。
少女漫画のような、初恋以上に素敵な出会いがあると信じて。
「お姉さん、そのバンド好きなの?」
バーで出会った男性と気が合って話していると、スマホカバーの裏に入れたバンドステッカーを指さされる。
「うん。これは前のライブでもらったやつ」
「良いね、俺もよく聴く。そのバンドの曲を弾いたりもするし」
「え、バンドとかしてるの?」
「そうそう、ギターボーカル。このバンドなんだけど」
「へえ、すごいですね」
彼のスマホにバンド名が映し出される。曲もかなり出していて、インディーズの中では人気のよう。今までこういうクリエイティブな男性に出会ったことがないから新鮮だった。外見や雰囲気はとても好みだったけど、彼から音が紡がれていると思うと、より特別に思えてくる。
煙草に火を点け、煙を吐き出す。ロックグラスに入ったウィスキーを一口含み、彼は小首を傾げた。
「聴きに来る?」
そう言って、返答待たずに正面を向いては煙草を吸う。その自然な動作に、気づけば私は頷いていて、彼はちらっと横目に見た。
ふわりと目を細め、煙に溶けるような笑み。
彼は煙草の火を消し、残ったウィスキーを一気に飲み干す。それから私の分も会計を済ませ、手を取られ家までエスコートされた。
誘うからには素人目にもわかるほどギターはうまく、その姿に見惚れてしまう。それから引き方を教えてもらって、ほんのちょっとだけ引けるようになり、そのまま背後から口づけをされた。痺れるように、アルコールと煙草の香り。気づけば、彼と夜を過ごしていた。
目を覚ますと、彼は窓辺で煙草を吸っていた。私は床に落ちていた一回り大きいTシャツだけ勝手に着て、彼の下に寄る。彼は抱き寄せるとまた煙を吐き出し、私はその横顔を見つめていた。それがバレると、吸っていた煙草を咥えさせてくる。吸ってみるけど、盛大に咽てしまう。その様子を見て彼は微笑み、私の頭を撫でながら口づけをした。
強引だけど、心地よく、心臓がうるさい。目の前にいるのに、彼をもっと感じたい。
恋焦がれる。
初恋以上の恋になり、これで解放されるのだろうかと。



