Blind Spot


泣き疲れた翌日の顔はひどいもので、とても学校に行けるようなものじゃなかった。
母親に学校へ休む連絡をしてもらう。

……気まずいけど、昨日迎えに来てもらった手前、何も言わないのも変だ。
し慣れないメールアプリを開き、見慣れた名前をタップする。
それだけで胸の奥がざわついて、手のひらがじっとりと汗ばむ。

落ち着け、要件だけ....

深呼吸して、短く「今日休む。」とだけ打ち込み、送信。
すぐに既読がつき、数秒後に「了解。」とだけ返ってきた。

.......それだけ。
心配してほしいわけじゃない。
でも、返事がきただけで「まだ嫌われてないのかも」なんて、
都合のいい勘違いをしてしまう自分が嫌だ。

気持ちはバレた。
それでもまだ、友達として隣にいられるなら──
そう思ってしまう。

バサッと布団を被る。
まぶたが重く、視界が暗くなる。



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次に目を開けたとき、時計は午後二時を指していた。
メール画面を確認すると、変わらず「了解」のまま。
ため息をつこうとした瞬間──

ガチャ、と扉が開く音。

...え?

驚きと戸惑いで体が固まる。
聞き馴染みのある低めの声が、部屋の空気を震わせた。

「いつもすみません、少しだけお邪魔します。」

パタン、と静かに閉まる音がやけに響く。
胸の奥が、熱いのか苦しいのか分からない感覚で締めつけられる。

まだ授業中だろ....なんで...

「ゆーう」

大好きな、優しい声。
頭まで布団に潜っても、耳に残って離れない。

「大丈夫?体調どんな感じ?」

昨日の今日で、こんなふうに気遣われるなんて──
嬉しさが一気に血の気を引っ張り上げる。
でも、顔は絶対に出せない。

「.....大丈夫。うつすといけないから、もう帰った方がいい。」

そう言った瞬間、少し間が空く。
その間が怖くて、布団の中で指先をぎゅっと握りしめた。

「.....そっか。」

低く短い声。
その足音がゆっくりと近づいてくる。
布団の中で、呼吸が速くなる。

やばい、来る

バサッ。

一瞬で視界が明るくなる。
逃げ場がなくなった感覚に、心臓が喉までせり上がる。

「...思ったより元気そうじゃん。」

すぐ目の前で、聖臣が片眉を上げて見下ろしていた。
からかうみたいな口調なのに、表情は笑っていない。
その真剣な目に射抜かれて、息が詰まる。

「顔、ちゃんと見ないと安心できないでしょ?」

触れられてもいないのに、全身が熱くなった。