私は彼が失踪したあと、もう一度、あの日の録音を再生した。彼を捜すための手がかりが何か見つかるかもしれないと思ったからだ。 「……そうか。『こわいよ、ふみたか』だったのか」 斎藤文孝(さいとうふみたか)は、一体、誰の夢をみていたのだろう。