夕空の下、君に会えたから。

駅前にあるカフェは、放課後ということもあり、学生で賑わっていた。



「いらっしゃいませ〜」



大学生くらいの店員さんが案内してくれた席は、窓際の明るい席。



「私はこのパンケーキでお願いします」



「じゃあ私はパフェで!」



「唯は?どうする?」



「私は…このケーキで」



注文し終わり、おしゃべりタイムに入った紗月と菜々海。



「明日の小テスト、めんどくない?」



「それなー、歴史とか覚えられない」



「唯もそう思うよねー?」



「…え、あ、うん、そうだね」



「もー、またぼーっとしてたでしょ?」



「えぇ…してないよ」



嘘じゃない。
ぼーっとしてたのではなく、時計を見つめていたんだから。




お店のスイーツは、すごく美味しかった。



「ね、このままカラオケ行こうよ!」



いいね、行こう!
そう言おうと思ったとき、時計が目に入った。



「…ごめん、私もう帰らなきゃ」



「えー、いいじゃん行こうよ」


「唯も一緒の方が楽しいよ、ね?」



本当にそう思ってくれているのだろう。
楽しそうな顔で見つめる二人に申し訳なく思いながらも、断る言葉を口にした。