青空に星の光を

「変わってるね」と、僕はよく人から言われる。

もちろん言われたくて言われているわけではない。しかし自分も自覚はしている。でも別に他人からそう言われるのは苦ではない。言ってしまうと、僕は今のままが一番気に入っている。

詳しく説明すると、自分で言うのも何だが僕は感情を全く表に出さない人間だ。詳しくと言ったがこれ以上は説明のしようがない。

だから人から話されてもそこまで喋らず、場合によっては無視することもある。これが人から「変わってる」と言われる理由だ。正式に自己紹介すると僕には友達がいないのだ。

ただ、一度だけ感情、抽象的なことを改善すると驚き、悲しみが危うく表に出そうになった時がある。

兄が交通事故で、僕の目の前で死んだ時だ。

あの時は流石の僕でも驚いた。驚き以外の感情は芽生えてこなかった。兄の葬式では少しだけ泣いた。しかしそこまで悲しむことができなかった。お互い中学に入ってからは、勉強などもあり関わる機会が少なくなり、高校に入った今彼のことをどう想えば良いのか正直分からなかったからだ。

紹介するのが遅くなったが、僕の家族は両親と兄一人と、それから弟である僕。兄が死んでからは僕は一人っ子となったわけだが。

両親はもちろん号泣して悲しみ、それからというもの僕を含めた家族はあまり以前みたいに互いに話す時が少なくなった。良く言えば今までの楽しく話せる空間を作ることに必死だった。それが僕の以前からあった性格をより高じさせた。

友達もできないまま、僕の日常はそれ以外何も変わらず、淡々と過ぎていった。時間が進むのが早かろうが遅かろうが、僕にはそこまで関係なかった。


---


また今日も学校が始まった。

別に嫌なわけではない。ただ、特に面白いこともない授業を七時間も受けるというのは気が重い。しかもそれが月曜日から五日間続いている。だから僕は、その考え方をやめ、今日を乗り越えれば土日の休日が待っていると考えることにした。

金曜日は七時間授業。一時間目は国語。

黒板によって削られるチョークの音が、シンと静まり返った教室で孤独に響き渡る。僕はそれを聞きながら、机に置いてある教科書をじっと眺めていた。

「じゃあ84ページ、松浦読んで」
「はい」

チョークを削った黒板の前に立つ先生に呼ばれ、僕は返事をして立ち上がる。

周りの空気は一切変わらず、教室内の全員が教科書を黙ったまま見つめている。僕は教科書に記載されている物語の一部分の音読を始めた。

先程、僕の後ろの席に座っているクラスメイトが前のページの音読をしている時に、この物語を眺めてみたところ、どうやら友情系のものだった。もちろん僕は何の興味もない。

読み終えて椅子に座り直した僕を見て、先生はまた黒板に向き直り、なにやら説明をしながらチョークで文字を書いていった。

僕の席は窓際で、暑い日差しと強めの風がなんだか心地良い。

僕は窓の外に目を向けた。夏ならではの雲一つない清々しい青い空。毎日こうして空を眺めるが一向に変化がない。

呑気なものだなと、僕は心の中で皮肉を言う。

段々と授業も退屈になってきて、僕は周りに気付かれない程度の小さいあくびをした。


チャイムが鳴って一時間目が終わり、クラスのみんなが次の授業の準備をし始めた。

僕はまだ眠い目をさりげなく擦り、大きな伸びをする。周りの人たちが立ち上がって互いになにやら話し合っている間、僕だけがたった一人で席についたまま、また窓の外をぼーっと眺めていた。もちろん僕に話しかける者は一人もいない。何度も言うが僕は全く苦痛じゃない。

僕の高校はビル一つない町の駅のすぐ近くに位置している。ところどころ住宅街や商店街があったりと、土地に関しては他と比べて割と自由な地域だ。学校の周りは電車のレールが敷かれたりしているが、そこまで騒がしいわけでもなかった。そのためある程度静かな空間で授業を受けることができる。もちろんそれは先程のように、国語の授業での文章を音読する時だけの話だ。他の授業中では、クラス内での話し声が教室中に飛び交っている。
 
ようやく一時間目が終わった。なんだか今日は時が経つのがいつもより遅い気がする。このままあと六時間も授業を受けるのいうのがとてつもなく面倒くさい。
 
僕ははぁと小さくため息をつきながら、次の授業の準備をした。


 
昼休み、僕はコンビニで買ったパンと飲み物で適当に食事を済ませ、自分の机に座ったまま静かに本を読んでいた。
 
すると、急にクラスメイトの一人である近藤さんが、僕の席に近づいて話しかけてきた。

「ねぇ、えっと、松浦君。今度の校外学習のバスの座席、一番後ろが余っちゃってさ。隣がいないかもしれないけど、松浦君座ってくれる?」
 
彼女は話しにくそうにそう言った。彼女の言う「隣がいないかも」という言葉は、隣がいない席だということを意味していた。無論彼女が僕にその席を薦める理由はただ一つ。僕がクラスで孤立していて、僕自身人と関わることを避けているからだ。それは僕のクラス全員が察していることだった。

「別にどこでもいいよ」
 
相手に聞こえるかどうか自分でも分からない程の小さな声で、僕が素っ気なくそう返すと、近藤さんは困りながらも少しだけ顔をしかめて去っていった。
 
もちろん僕はそんなことは気にせず、ただ黙々と本の続きを読み進めた。
 
いつからか、僕は人と話すことを避けるようになった。それも中学に入って友達ができなくなった時からずっと。僕は人と関わらないうちに、人とコミュニケーションを取ることが面倒くさくなっていたのだ。誰に対してもそこまで喋らず、誰にも話しかけられなくなった。そんな生活が、僕には快適に感じられた。勉強をしようが本を読んでようが、誰にも邪魔されない。そもそも他人という存在が面倒くさくなっていた。それが、僕が自ら友達を作ろうとせず、僕に友達がいない理由だった。
 
日差しが強くなったため窓のカーテンは閉じられ、教室の空気はどこかどんよりしていた。
 
僕以外の席には誰も座っておらず、教室にいる人たちも少なかった。廊下からの話し声や笑い声が、窓際にいる僕の方まではっきりと聞こえてきた。
 
教室の前方にある黒板には、黒板消しで無理やり消したチョークの跡が汚く広がっていた。その端には様々な形のマグネットが位置の決まりもなく貼り付けられていた。
 
僕は本を閉じ大きく伸びをして、また窓の外を眺める。この行動を、僕は今日何回行っただろう。
 
朝から今まで、本当に何の変化もない青空。
 
誰が苦しんでようが悲しんでようが、全く変わらず、ずっと地上を見守り続けている空。本当に呑気なものだ。
 
僕は空が綺麗だと思ったことは一度もない。
 
快晴も、曇りも雨の日も、夜空の星も、僕にとってはただの‘‘空’’でしかなかった。いつからか僕は空に対して皮肉を言うようになった。
 
窓から視線を外して再び本を読もうと思った時、昼休み終了のチャイムが鳴った。
 
僕は今日で何度目かの短いため息を吐き、本を机に置き立ち上がって、次の授業が行われる音楽室へと早足で向かった。


 
帰りのホームルームが終わると、自分の荷物が入っているショルダーバッグを肩に掛け、僕は教室から廊下へと歩を進めた。
 
まだ教室にいるクラスメイト達は、放課後の部活動に行くためにラケットやシューズ、或いは楽器を持って、近くの友達同士で笑い合いながら雑談をしていた。
 
僕は部活動にはなにも所属していない。所属していると言えば帰宅部だ。
 
僕は教室から廊下への区切りとなる扉をスライドさせる敷居を跨いで、廊下に出て部活動へと向かう人たちとは逆方向に歩いた。
 
そのまま一階へと続く階段を下り、下駄箱で靴を履き替え、校舎の外に出た。
 
気温は朝や昼の時よりも随分と高かった。外に出ただけで、一瞬で汗をかいてしまう。
 
僕は校門を潜り、いつも通りの帰り道を歩いた。左側にはシンプルな住宅街、右側には線路の上を走る電車。道はコンクリートで作られており、その周りに鮮やかな葉をつけた木々が何本か植樹されている。
 
僕はゆっくりと空を見上げた。青い空を見る目に電線が映り込む。
 
風は朝とは違って一切吹いていなかった。僕は右腕で汗を拭った。歩く足は止めずに、視線を前へと戻す。
 
僕の横を、楽しそうにはしゃぐ同じ学校の人たちが通り過ぎた。僕は咄嗟に下を向いた。
 
そのまま駅に着き改札を潜り、プラットホームで次の電車が来るのを待つ。その間で僕は自販機で冷たい炭酸飲料を買った。日差しは変わらず僕の体を直撃し続けていた。
 
電車に乗り込むと、中は冷房のお陰で大げさな程涼しかった。全身に一気に鳥肌が立つと同時に、肩の力が抜ける感覚がした。
 
僕は椅子には座らず、電車の窓の外から、通り過ぎていく住宅街をぼーっと見つめた。
 
明日はやっと休日だ。この時だけは一日一日を大切に生きようと思える。とはいえ特にやる事もない僕だが、つまらない学校に行かなくて良いということだけで少しだけ気分が上がる。
 
僕は細く息を吐きながら、ドアの横の手すりに寄りかかった。いつもならこうして本を読むのだが、金曜日は何故かその気になれなかった。僕はわざとらしいあくびをしながら、家の最寄りの駅に着くまでずっと電車の外を眺めた。

電車が家の最寄り駅の、一つ前の駅で止まった。

その駅の周辺には高い建物が少しだけ立ち並んでおり、僕は思わず電車内からそこへ足を踏み入れたくなった。扉が閉まり、電車が動き出した瞬間、すぐにトンネルの暗闇へと入っていった。電車が走る音が、大きくトンネル内で響いていた。しばらくしてトンネルを抜けると、先程までの高い建物は一切なくなり、風景は普通の町並みとなった。

電車が小さい上り坂を走り、ほんの少し斜めに傾斜する。町の建物はそれと同時に背が低くなり、そのまま前から後ろへと流れてゆく。快晴だったためか、青空だけが全く動いていないように見えた。なんだか不思議な感じがする。
 
電車を降りると、一気に人が少なくなった。それは当たり前だが、ホームで電車を待つ人たちが少なかったのだ。
 
少し解放されたような気持ちになりながら、僕は駅の出口へとゆっくり歩いた。
 
明日は一体何をして過ごそう。ここで話すのもあれだが、僕は休日に一回は一人でカフェへと足を運ぶ。僕が唯一落ち着ける場所だった。テスト前はたまにそこで勉強もする。そして何よりカフェで流れる音楽も、五日間学校へ通って疲れている僕に安らぎを与えてくれる。ただ、土曜日か日曜日のどちらに行くべきかが悩みどころだった。そこで僕は電車の中で日曜日に行こうと決め、今こうして、余った土曜日は何をしようか考えている。

 
学校と同じように駅からとても近いので、考えている間に家に着いてしまった。
 
僕の家は一軒家で、少しだけ田舎の要素も踏まえた静かな住宅街に建てられている。ここら辺はコンビニや小さな公園以外何もない。
 
僕は家の入り口の扉を開けて、玄関へと足を踏み入れた。
 
小さな声で「ただいま」と言うと、奥の方から「おかえり」と言う母親の声がした。家の中は冷房が効いているらしく、涼しい空気が玄関まで行き届いていた。
 
玄関とリビングの間にある扉を開けて靴下でリビングに入ると、台所で夕食の準備をしている母が見えた。母は僕をチラッとだけ見て、

「荷物を自分の部屋に置いていきなさい」
 
と言った。僕は母に言われた通りに、バッグを抱えたまま二階へと上がった。
 
上がってすぐには洗面所があり、僕はそこで靴下を脱いだ。
 
そのまま、二階の奥にある自室へと靴下から解放された足を動かした。二階の通路は狭く、ところどころ埃がついていたりと衛生的に問題がある。別に気にする程でもないけれど。
 
僕は右手で自室の扉の取っ手を掴み、そのまま前へと押してその扉を開いた。
 
窓が西側と北側の二箇所。その他はベッドと本棚、それから学習机。散らかっているかと聞かれればそこまで散らかってはいない。そんな見慣れたはずの自室も、今この瞬間だけは全く目に映ってこなかった。

 
僕は扉を開いた取っ手を掴む手を離さないまま、前だけを見てその場で静止していた。
 
今自分が置かれている状況を理解しようと、頭を必死に回転させていた。
 
体が全く動かない。まるで自分で自分自身を金縛りに遭わせているような感覚だ。
 
僕の自室に、人がいた。
 
見慣れた顔の一人の人が、僕の学習机の前に置かれている椅子に座っている。その人はこちらを向いたまま、ただじっと僕を見つめていた。
 
どうして僕の部屋に人がいるんだ。というか一体何が起きているんだ。

そんな疑問もすぐに消えて無くなり、僕の頭の中は真っ白になった。僕とその人は互いに見つめ合いながら、しばらく沈黙が続いた。
 
ついに僕は動かない体の代わりに口を動かし、掠れた声でその人に問いかけた。

「何でお前はここにいるんだ?」
 
自分でも驚くぐらいの震えた声だった。
 
見慣れた濃い緑のジャンパーを着たその人は、椅子に座って僕の目をじっと見つめたまま、口だけをゆっくりと動かした。

「お前に用があるからだ」
 
この質問は少し早かったかもしれない。

僕は今度はしっかりと目の前の人物の全体を見てみた。毛量の多い寝癖のようなボサボサな髪、見飽きた顔、何の模様もないだらしない部屋着……。

そうだ。この人物は、どう見たって--……

「えっと……兄さん……だよね?」
「そうだ」

恐る恐る尋ねた僕の質問に、目の前の彼は平然とした口調で答えた。僕は冷静に目の前の人物を特定できる自分をある意味尊敬した。

そう。今僕の目の前にいる人物は、死んだはずの僕の兄--涼希だった。

次の瞬間、頭の中に様々な考えや疑問が一気に押し寄せ、僕の頭は今にも破裂しそうになった。こんな状況をどう信じれば良いのか、全く分からなかった。

もしかして兄は生きていたのか? 何で生きているんだ?

「……何で兄さんがここにいるの」
「だからさっきも言っただろ。お前に用があるからだ」
「いや、そういう意味じゃなくて。どうして死んだ兄さんが、今僕の部屋にいるのかって聞いてるんだよ」

目の前の彼は学習椅子の背面にもたれかかり、やっと僕から視線を外した。初めて彼が動いた瞬間だった。何ならずっと動かないと思っていた。

彼は少し迷っているような素振りを見せて、聞き慣れた声で言った。

「幽霊になった」
「は?」
「幽霊になったんだよ。あの事故で死んだ時からずっと、俺は幽霊になっていたんだ」

やり過ぎな程の急展開に、僕は全くついていけない。口を開けたまま、声も出せず放心状態になっていた。

椅子に座ってこちらを見向きもしない彼は、退屈そうに窓の外を見つめていた。

今、僕の目の前にいる人物は、交通事故で死んだ兄の、幽霊。

まるで呪文のように自分自身に言い聞かせるように、僕は何度も心の中でそう呟いた。

目の前にいる兄の幽霊がこれ以上なにも喋らないので、僕はやっと右手を扉の取っ手から離し、これ以上ない程の小さな声を、震える口から細く出した。

「……幽霊って、もっと透けてるイメージなんだけど」
「何だよ、透けてなかったらダメなのか? 悪かったな」
「そういうわけじゃないけど。幽霊って、普通椅子に座れるもんなの?」
「おいおい、椅子にも座れなかったら、俺はこのまま床を通り抜けて日本の裏側のアルゼンチンまで行っちゃうだろ」

この発言そのものが兄らしい。やっぱり目の前にいる人物は、本物の兄の幽霊なのだろうか。

「いやだから、そうならないために足とか透けながら、宙に浮いてるイメージなんだけど」
「偏見だな。俺は今お前が見ているように、椅子にも座れるし地上を歩くことだってできる」

兄はそう言って、椅子から立ち上がり僕の自室の床を数歩歩いてみせた。

確かに歩けている。しかも、さっきは兄の体重に反応して椅子の背面が動いていた。しかしこれでは、今この場にいる兄は死ぬ前の体と全く同じ様ではないか。と思い兄の足元を見ると、そこには影が無かった。

僕は乱れて落ち着かない呼吸を必死に抑えながら、何が起こって何を信じれば良いのかまだ分からないままでいた。もしかしたらこれは夢なんじゃないか、とまで思えてきた。

「父さんと母さんは……」
「ああ、俺のことは知らないし、見えてもいないよ。その間は声も聞こえない。言っておくが、俺のことは誰にも言うんじゃないぞ」
「え、何で?」
「兄弟同士の約束。今はお前にだけ見えるようになってる」

僕の質問に答えないのも、兄らしい。

兄は一呼吸空けて、僕に向き直った。約一年ぶりに見た、兄の顔。僕はそこから目が離せなくなった。両親が知ったら、どう思うだろう。

「ていうか今まで何してたの。どうして今僕は兄さんが見えるの」
「質問が多いな。今までは誰にも見えないまま、ずっと外とかこの家の中を彷徨ってた。俺がお前に見えてほしいと思ったから、今お前は俺が見えている。そういう仕組みなんだよ、幽霊ってのは」

全く意味が分からない。

「え、じゃあやっぱり僕以外の人は兄さんが見えてないの?」
「ま、そうだな。てかさっきも言っただろ」

兄は色々な説明を終えて満足したのか、小馬鹿にするように薄ら笑いを浮かべ、また窓の外を見つめ直した。しかし僕の疑問はまだ数え切れない程沢山残っている。ただ口に出すのを控えているだけだ。

目の前にいる幽霊の兄は、不意に思い出したように口を開いた。

「さっき、お前に用があるって言ったじゃん? アレ、用っていうか、ただ弟と話したかっただけだから。そこんとこよろしく」

「よろしく」と言われたって、ただ僕と話したかっただけでいちいち姿を見せるものなのか。

僕と兄は互いに中学、高校に入った頃からあまり喋らなくなった。それぞれがそれぞれの勉強ややりたい事に集中し、兄弟として関わりを持たなくなる時期となったのだ。それを初めて知った時、僕は兄にそこまで関心を持たなくなった。関心というか、興味がなくなった。言い方が酷いがこれは事実だ。葬式では小さい頃の兄との思い出で泣いていた。

「兄さん」
「何だ?」
「これ、夢だよね」
「あ? 現実だよ。せっかく兄貴が弟のために来てやったってのに、あんまり嬉しそうじゃないな」
「だって、ただ弟と会って話したかっただけって、兄さん僕と話したいことも何もないでしょ」

兄は椅子に座り直し、眉に皺を寄せてまじまじと僕を見つめた。
そして、先程までとは違う少しくぐもった声で言う。

「お前あれだろ。友達がいないくせに、せっかく自分と仲良くしたがってる奴が来ても無視するタイプだろ」
「まあ、そうだな」
「それで、そいつに嫌われても何とも思わないんだ」
「友達がいないから当然だな」

それを聞いた兄は、椅子の背もたれに寄りかかり、「可愛くねぇ弟」とため息混じりに笑った。


僕はとりあえずやっと動き出した体で荷物を本棚の横に置いた。そのまま母に声をかけられないよう部屋を出ようとすると、後ろで椅子に座っていたはずの兄がついてきた。憑いてきたと言った方が良いのかもしれない。

僕は黙ったまま階段を下りリビングへと顔を出す。そこには夕食の支度がひと段落した母がいた。片手に財布などが入った小さなカバンを持っている。

母はいつもと変わらぬ口調で言った。

「ああ、俊、お母さん今から買い物行ってくるから」
「え、今から?」
「うん。夕飯の材料を切らしちゃってて。暑くて汗かいてるならもうシャワー浴びてきていいよ」
「……分かった」

そして母は玄関から外へと家を出ていった。どうやら母には本当に兄が見えていないらしい。

後ろを向くと、幽霊の兄はリビングの端にあるソファに座ってくつろいでいた。

なんだか今日だけで随分とくたびれた気がする。実を言うとまだ全然頭の整理ができていなかった。そもそも幽霊なんてものが存在している時点でおかしいと判断するべきだったのかもしれない。どうして兄は幽霊として存在しているのだろう。人に姿を見せるという幽霊ならではの能力は何なんだ。この状況をどう対処すれば良い?

僕は風呂に入っている時に今の状況を整理しようと考え、また階段を上ろうとすると、

「風呂入んの?」

兄が僕に向かって聞いた。

僕は「うん」とだけ返事をして、兄に背を向け洗面所に行こうとした。

「ああ、俺お前がまだ姿見えてない時に、お前の風呂入ってるとこ覗き見してたわ。ごめん」

背後から兄が僕に向かって言った。僕は反射的に振り返った。

「何でそれを今更謝るの。ていうか何で覗いてたの」
「質問は一台詞一つまで。いいじゃん、小っちゃい頃はお互い一緒に入ってただろ」

兄は僕の質問には一つも答えずに言った。

「とにかく、もう覗くのはやめてくれ」
「何だよ、反抗期か?」
「反抗期が直っても、僕は今後一切兄さんと風呂には入らないつもりだよ」
「お前言葉の返しが下手だな。だから未だに友達できてないんだよ」
「友達がいないから言葉の返しが下手なんだよ」

兄は今度はソファにもたれながら、「やっぱり下手だな」と笑った。僕は兄の言葉を無視して、洗面所に行くために階段を上った。兄の興味本位でする行動はあまり理解できない。


階段の横の壁にある窓の外には、青空と何本かの電線しか見えなかった。日の光が、方角が西でもないこっちまで行き届いていることが分かる。

僕は足を止めて、階段を何段か下りてリビングをこっそりと覗いた。幽霊の兄はソファに座りながらテレビを眺めていた。幽霊でもリモコンは触れるらしい。なんて呑気な奴なんだ…。僕はほんの少しだけほっとした気持ちになりながら、また階段を上って今度はちゃんと洗面所へと足を運んだ。

洗面所には古い洗濯機があり、その上には身体を拭くためのタオルが重ねて置かれている。洗濯機の横にある水道の蛇口は、少しだけ黒ずみ汚れていた。僕はその蛇口のハンドルを右手で回し、左手で温度を確かめながら両手を石鹸と共に洗った。体の汗がまだ残っていたので、冷たい水の温度が手に心地良かった。

そのまま服を脱ぎ洗濯機の中に放り込み、浴室ドアと風呂の蓋を開けて湯船に浸かった。温かい湯に、全身の疲れが一気に無くなった気がした。僕は深く息を吐き、肩の力をゆっくりと抜きながら天井を見上げた。天井は端と換気扇がこれまた黒ずんでいる。横の壁にはミラーガラスの窓があり、日の光が風呂の湯の上で揺れている。それで僕は完全に汗だくになっていた。

しばらく湯に浸かった後、僕は風呂から出てシャワーを浴びながら髪を洗い、浴室を出た。濡れた身体をタオルで拭きパジャマに着替え、僕は水道の上に取り付けられた鏡を見た。鏡に髪が濡れたままの自分の顔が映る。いつもと変わらぬ自分の顔だが、今だけは何故か見ることができなかった。僕は鏡から目を逸らし、タオルを肩に掛けて階段を下りた。自分は特別な状況に置かれている気がしてならなかった。実際そうなのだ。それに今はリビングへと向かうのが最優先だった。

そのリビングへパジャマ姿で顔を出すと、視界にはまだテレビを眺めているままの兄の幽霊がいた。幻覚じゃなかったのだ。

声を掛けようとすると、それよりも先に兄が僕に向かって話しかけた。

「なあ、見ろよ。野球やってる」

それを聞いてテレビを見ると、確かに高校の野球の試合が映っていた。僕は別に面白くもないので、そこから視線を外した。

「兄さん野球好きなんだっけ」
「ああ」
「軽音楽部なのに意外だね」
「スポーツの好みは人それぞれだろ」

兄はそう言って、あくびをしながら片手でリモコンのボタンを押しテレビの電源を切った。見ている間に眠くなったらしく、しきりに目を擦っていた。あまり野球が好きには見えなかった。

僕は風呂に入りやっとすっきりした頭で、兄に聞きたいことを即座に考えそれを口に出した。

「兄さん。僕が兄さんに聞きたいことは、まずは何で兄さんが幽霊になっているのかっていう事。それから……」

僕が言い終わらないうちに、兄は僕の顔をじっと見つめながら、真剣な態度で口を挟んだ。

「お前、何でそんなに感情を表に出さないんだよ」
「は?」

兄はソファの後ろに立つ僕に体を向け、身振り手振りで話を続けた。

「いや、そのさ、事故って死んだ兄貴が幽霊になって現れたんだぞ? もっと……喜んだりとかしないのか?」
「驚きのせいで嬉しさなんてこれっぽっちも出てこないよ」
「驚いてる様には見えないがな」

僕は話を逸らされたことに対しため息を吐きながら、兄に強い口調で言った。

「ていうかちゃんとこっちの質問に答えてよ」
「ああ、何で俺が幽霊になってるのかって話だろ。そんなのこっちが聞きたいわ」
「えぇ……」

困惑した声を出す僕を見て、兄は面白そうに小さく鼻で笑った。何処に笑える要素があったのかは分からないが、その笑いには久々に人と話せたことへの嬉しさが微かに含まれている気がした。僕は困惑した声のまま喋る。

「なんか……心当たりとかないの? 未練が残ってるとかさ……」
「未練なんてねぇよ」
「え、本当に? 一つも?」
「ねぇよ」

兄はまたつまらなそうにあくびをしながら、軽い口調で答えた。幽霊になってもつまらなそうに振る舞う兄は、本当にこの世界に未練というものは無いように感じられた。

僕が次に繋げる言葉を必死で考えている時に、ずっと何処かを見つめていた兄は不意に「やっぱりあるかも」と呟いた。

僕は兄の顔をしっかりと見つめ直した。

「……それは何」
「何って、何が?」
「未練だよ。あるんでしょ?」
「あるかもって言っただけだ。まだ人生の半分も生きてないんだから、何かしらあると思ったんだよ」
「適当だなぁ……」

僕は今日の間で一番深いため息を吐いた。兄はもちろんそんなことは気にせずにソファに寝転んでいる。

あまりこれ以上兄に質問する気にはなれなかった。質問しても僕の頭が混乱するだけだ。幽霊が目の前にいる今の時点でも頭の整理ができていないのに、これ以上追求するわけにもいかなかった。

その時、母が帰ってきた。玄関の扉が開く音がする。僕は兄に向き直り、少し小声で言った。

「兄さんはいい加減ソファで寝るのはやめて、二階で隠れててよ」
「何でだよ。見えてないんだから別に大丈夫だろ」
「見えてないけど、ソファとか床が兄さんの体重に反応するんだよ」

兄はそれを聞いて渋々、ソファからゆっくりと降りた。

「幽霊なのに体重があるとか意味分かんねぇな」
「それ絶対にこっちの台詞だよ」

リビングの扉が開き、「ただいま」という言葉と共に母が顔を出す。

僕は少し汗を垂らしながら、母に向かって口を開いた。

「おかえり。えっと、今シャワー浴びたところだよ」
「そう。じゃあもう夕飯作っちゃうから、それまで好きにしてていいよ」

母はいつも通りの口調で僕にそう言い、台所へと鞄を持ったまま歩いていった。

僕はリビングの窓を見た。もう夕日が見える時間帯になっていた。この時間は赤と白と水色のグラデーションがよく目立つ。その空の下には住宅街や小さな山々が逆光に照らされていた。

僕はそっと先程まで兄が座っていたソファに腰掛け、テレビをつけた。高校野球の試合がまだ映っている。目の前に立っていた幽霊の兄が僕の隣に座ってきたので、僕はリモコンでテレビの音量を上げた。

「夏って、何でこうも空の色が鮮やかなんだろうな」

不意に隣にいる兄が窓の外を見つめながら口を開いた。僕は兄の顔をチラッと見る。表情はいつもと変わっていなかった。

「こんなに夕日が綺麗な季節って無いだろ」
「綺麗かな。ただのグラデーションだろ。いつもと何も変わらないよ」

今度は兄がチラッと僕の方を見た。ひねくれた言い方に聞こえたのだろうか。しばらく沈黙が続いたが、兄はそのまま「もっとロマンを感じながら生きろよ」と小馬鹿にするように小さく笑って言った。僕はそれを聞き流し、テレビに集中するフリをして気を紛らわした。

「もっとロマンを感じながら生きろよ」

兄が今度は僕の耳元で、大声でもう一度そう言った。

「ちょっ、聞こえてるって。いちいち二回言うなよ」

僕が反射的にそう強く言い返すと、台所にいる母が「何か言った?」と聞いてきたので、すぐさま「何でもない」と返した。隣の兄を睨むと、また小さく鼻で笑われた。絶対にわざとだ。

母に気づかれないためでもあり、夕食ができ母に呼ばれるまでは、兄と僕はお互いに喋らないでしばらくテレビの画面をじっと見つめていた。テレビの画面には先程と同じ高校野球の試合が映っている。隣にいる兄の「お前野球興味あったんだ」という言葉に対しては無視をした。実際、野球のルールもそこまで知らないまま見ている。もっと正確に言えば、見ているふりをしている。

母から呼ばれ、僕はソファから立ち、リビングに設置されている平たく幅の広い机の、一番端にある椅子に座った。何故だか幽霊の兄も僕の隣の椅子に座った。椅子は全部で四席だ。父親はまだ仕事から帰っていない。

夕食はもう机の上に置かれていた。僕と母は小さく「いただきます」と言い、僕は無言で夕食を口へ運んだ。隣の椅子に座っている兄が、目の前に置かれている唐揚げを手でつまみ食いしようとしていたので、僕は慌ててそれを止めようと、兄の腕を叩いてやった。その度に、目の前の椅子に座っている母は怪訝な顔をした。それに対しては「さっきから虫が、この唐揚げをつまみ食いしようとしてるんだよ」と言って誤魔化した。今度は隣の兄が怪訝そうな顔をした。

夕食を食べている途中で、母は何度か僕に今日の学校についての質問をした。それらの質問には、大体「別に」とか「いつも通りだよ」と返した。兄はそんな会話を、数が減っていく唐揚げを見つめながらただ黙って聞いていた。

夕食が食べ終わり、僕は台所で食器を洗って、二階の自室へと戻った。もちろん幽霊の兄はそんな僕をずっと追いかけている。

僕は兄と一緒に自室へと入り、明日の教科の予習や課題のプリントを終わらせるため、黙って学習机の前に座った。その時、兄が北側の窓の下に設置されているベッドに座りながら、僕に向かって口を開いた。

「お前勉強以外にする事ねぇの?」

僕はすぐに兄を睨んだ。

「あのさ、今から自分の勉強するから、少し黙っててくれる」
「だからそれがつまんねぇって言ってんだよ」
「知らないよ。つまらないってなんだよ」

僕は自分の鞄から少し乱暴に筆箱を取り出し、机に向かってただひたすら課題のプリントに取り組んだ。もちろん、諦めの悪い兄はそんな僕に向かって何度も話しかけてくる。

「なあ、今何やってんの。何の宿題? 国語? 分かんなかったら俺が教えてやるよ」

僕はひたすら無視をし続けたが、ついには我慢できなくなって、課題の途中で書く手を止めて、休憩というつもりでベッドに向かって兄の真横に寝転んだ。口から大きなため息が漏れる。兄がそんな僕の顔を覗いて笑った。

「ほら、疲れてんじゃん」
「半分はお前のせいだよ」

半分というかほぼ全部だ。兄が幽霊として僕の前に現れた時から、僕の頭は随分とくたびれた。その割には全く疑問が解決しないままだ。兄に聞きたい事だって、まだ山ほど残っている。

「何なんだよ……」

僕はまた大きなため息と共に、両手で顔を覆いながらそう呟いた。兄はそれを聞いて「どうしたどうした」と笑っている。

僕はとりあえずベッドから起き上がり、今日中に終わらせるべき課題のプリントを終わらせた。それ以外の事は取り組む気になれなかった。課題が終わった頃には、窓から見る空はもう暗くなっていた。うっすらといくつか星が見える。

僕はプリントを忘れないように鞄にしまい、洗面所で静かに歯を磨いた。風呂にはもう入ったから後は寝るだけだ。

そのまま母にもう寝ることを伝え、自室へと戻りベッドへと潜り込んだ。僕がさっきまで座っていた学習椅子には、幽霊の兄が座っていた。本当にこいつは幽霊なのか……? ふと浮かんできた疑問も、眠気が押し寄せてきた頃にはとっくに消えていた。眠る直前に、椅子に座っている兄が「良い夢を」と言ったが、眠気のせいで僕は返事できず、そのまま眠りについた。実際、今晩夢は見なかった。


---


朝起きて一番最初に見たものは、兄の顔だった。昨日のことは夢じゃなかったのだ。

窓から差し込む日の光が眩しい。僕は耳元で鳴る目覚まし時計の音を止め、まだ眠い目をしきりに擦った。

「おはよう、弟よ」

僕の顔を上から覗きながら、兄は僕に向かって言った。

「夜中から今まで暇だったからずっとお前の寝顔見てた」
「暇だったからって何処に弟の寝顔をずっと眺めてる兄がいるんだよ。ていうか幽霊になっても寝る事ぐらいはできるんじゃないの?」
「できない。というか無理だな。どう頑張っても無理だった」
「まあそりゃそうだよな。死んでるってことはずっと寝てるってことだもんな」

その発言のどこがそんなに面白かったのか、兄はそれを聞いて陽気に笑い出した。


上半身を起こし、ベッドから降り、洗面所に行き、僕は顔を洗った。まだタオルで拭いていないびしょ濡れの顔を上げると、目の前の鏡に寝癖が酷い自分の頭部が映った。

顔をタオル掛けに掛けてあるタオルで拭き、僕は止まらないあくびを堪えながら、歯磨きをした。今日は待ちに待った休日なので、少しのんびり支度ができる。とは言えやる事は全く何も決めていない。どうしたものかと考えながら、僕は口を濯いで髪を整え、一階のリビングへと下りた。リビングでは、母が掃除機をかけながら僕に「おはよう」と言った。僕もまだ眠気が残る声で小さく「おはよう」と返した。掃除機の音で聞こえたか聞こえていないかは不明だ。

休日用の私服に着替えながらソファを見ると、いつの間にいたのか幽霊の兄が座っていた。ソファの前を掃除している母は全く気にしていない。昨日と同様、母には兄の姿は見えていない様だった。

僕はホッと息を吐き、机に置かれている朝食を黙って食べた。兄は鼻歌を歌いながらソファに寝転んでいる。幽霊は腹も空かないらしい。そのまま僕は朝食の食器を洗い、兄と同様ソファに座った。

「今日はやる事無いんだよね」

掃除機でかき消される程度の声量で僕がそう言うと、隣で寝ていた兄は体を起こして口を開いた。

「え、やる事ねぇの? せっかくの休日なのに?」

どうでも良さそうな口調ではなく、少し動揺した口調だったので、僕の心に僅かに嬉しさが滲み出た。

「うん。課題のプリントは夜にやるし、カフェに行くのは明日だし……」
「カフェ! いいじゃん、行こうぜ」

兄はパッと顔を輝かして、大声でそう言った。僕は慌てて、まだ掃除機でリビングを掃除している母を見たが、そこで兄の声は母には聞こえないということに気が付いた。再び兄に顔を戻す。

「兄さん、話聞いてた? カフェに行くのは明日だって……」
「そんなの誰が決めた? 別に明日の予定を今日にずらしてもいいだろ」
「僕のする事は僕の勝手でしょ」
「やる事まだ決まっていないなら尚更だ。明日のする事は今日決めればいい」

珍しく頭の回転が速い兄に感心しながらも、僕は頭を掻いた。

「今週の土曜日はカフェ行く気分じゃないんだってば」
「そんな自分勝手な考えは友達無くすぞ」
「そもそも友達いないんだって。ていうか、何で兄さんがついてくるの」
「だってやる事ねぇもん」
「……」

口が疲れたのと同時に反論する気が失せ、僕は小さくため息をついた。自分勝手なのはどっちだ。

カフェに行く予定は、明日ではなくて今日になった。しかも幽霊と一緒だ。どうやら兄は、この家に住み憑き外へ出ることができない訳でもないようだ。僕はせっかく整えた髪を掻きむしり、深いため息をついた。

「分かったよ。だけど、僕一人で行かせてもらうよ。カフェで一人で本を読むのが好きなんだ……兄さん?」

全然分かっていないような結論を出した僕は、いつの間にかソファにいたはずの兄がいなくなっていることに気が付いた。周りを見渡してもその姿はない。玄関から扉の開く音がする。

「兄さん!」

僕は慌てて玄関を覗いた。兄が玄関の扉の外で、ニヤニヤ笑いながらこちらに向かって手招きをしている。

僕は頭を抱えた末、またもやため息を吐くと共に諦めた。説得したって無駄だ。こちらの話を聞かないのが、僕の兄だ。死ぬ前から全く変わっていない。

僕はまだリビングのキッチンで掃除機をかけている母に、少し外に出かけてくることを伝え、兄の後を追い家の外へ出た。

昨日と変わらない暑すぎる程の気温が、僕の体にのしかかる。ギラギラと眩しい太陽、何処までも続く雲一つない青空。

幽霊の兄も快晴の空も、いつまで経っても何一つ変化していなかった。