マギアンティア世界統一暦・1555年・6月22日・午後4時30分頃のこと。
織田家の四国地方平定戦の終盤戦の最後の戦いである三間表の戦い、その前哨戦たる大森城奇襲戦が始まろうとして居ました。
松永・真澄・久秀が率いる7500人の軍勢は、大森城の東を大きく迂回をして明け方を待って居ました。
三瀧盆地南部入口に置かれた本陣は、煌々と篝火の明かりが灯り、蔦家紋の旗印がはためいて居たのが、三瀧山に在る三瀧城からもハッキリ見えて居た。
「相手は、あの松永・真澄・久秀だっ!!」
「どのような卑怯な手口で来るかは分からんっ!」
「ゆめゆめ油断をするで無いぞっ!」
「ははっ!!」
三瀧城を任された宇都宮家の城主は、名うての某将たる松永・真澄を警戒し、家臣達に周囲の見張りを徹底的にするように念を入れた警戒監視を命じました。
明け方、三瀧城の守備兵達は、夜遠しの見張りのせいで、コックリ、コックリと寝落ちを仕掛けて居た。
「・・・・・来ないな。」
「はっ!確かに松永軍は目の前です。」
「これまでの松永の動きの戦績を記した経歴書から見れば、何某かの手を打って来ても良い筈ですが・・・・・・・・・・・・」と家老の一人は言いましたが・・・・・・・・・
「申し上げますっ!!!三間表で、お館さまと西園寺様らが三好・長宗我部・松永らの連合軍が攻め寄せて、大乱戦と成って居る模様っ!!」
「しまったっ!やられたっ!」
「殿っ!あそこに居る松永は?」
「決まって居るっ!蛻の空だっ!!!我らはまんまと松永に図られたのだっ!!」
「急ぎっ!お館さまの援軍に向かわねばっ!」と焦り、大瀧城主は3000人の軍勢と共に城外へと出ようとしましたが・・・・・・・・・・・・・・
「今ですっ!掛かりなさいっ!!!」
「「「「「おおうっ!!」」」」」と言う雄叫び声がすると、3千人の軍勢がドッと現れ、大瀧城軍に奇襲を仕掛けた。
「しまったっ!!罠だっ!!」
「退けっ!!退けいっ!!」と命じるが、その背後にも松永軍が現れ、大乱戦と成ってしまいました。
この戦いで、使える家々を事在る毎に渡り歩く節操の無い灰色女狐又は男喰らいの女郎蜘蛛と言われる人物こと、謀将松永・真澄・久秀は、大瀧城をたった一時間で奪取してみせたと言います。
大森城の奪取に成功した、松永・真澄は、更なる狡猾な策を実行するべく、動いて行くのでした。
マギアンティア世界統一暦・1555年・6月22日・午前7時00分頃・伊予国・三間表地方の事です。
謀将松永・真澄・久秀が、大瀧城をたった一時間で奪取して2時間半しか経って居ない、伊予国・三間表地方では、織田軍と伊予国連合軍が対峙して居ました。
伊予国は、西園寺家・宇都宮家・河野家の三家が、第4次内戦たる第4次アマテラス戦国時代に措いて鎬を削って伊予国の覇権を争って居ました。
しかしながら、数年前から織田家が四国地方へと介入、皇都・平庵京へとの上洛戦の時に、細川元晴との決戦に向かって居た、三好・慶香・長慶は、松永・真澄に嵌められる形で織田・和紗と山崎の戦いで激突し、敗戦を帰してしまいまって居ました。
三好・慶香は、これ以上の無駄な戦は、自分とアマテラスの為には為らないと、早々に降伏。
丹波国・山城国・播磨国を本拠地に置く細川元晴を討伐する気が有るなら、自分は如何なっても構わないと言い切り、それ以来は阿波国・讃岐国を治めつつ、降伏時に差し渡した和泉国も暫定統治と言う形で継続して治めて居たのでした。
そんな事情から三好・慶香は、織田家の四国地方の抑えとして睨みを利かせつつも、攻略平定準備進める事と成る。
土佐の長宗我部・智華・元親との同盟も明智・十華・光秀と共に進め、野心が特に無かった長宗我部・智華も、アマテラス神皇国足柄幕府将軍王朝一三代目将軍王である足柄・一輝・宗輝の仲介も有って、四国平定軍に加入する同盟大名王家と成ったのです。
将軍王の足柄・一輝と名家である三好・慶香からの期待が在ると言われた長宗我部・智華は、伊予国へと侵攻を開始します。
西園寺家・宇都宮家・河野家の三家、危機的な状況に陥ると、敵は織田だと切り替えると、同じく織田家と敵対する事に成った毛利家の支援を受けて、先鋒軍である長宗我部軍と一進一退の攻防戦を繰り広げて居ました。
其処へ島津家が、ゲルニアン帝国から仕入れた大陸式の武具や食料品を仕入れる様に成ると、益々戦線は膠着状態と成ってしまいます。
それを打破する為に、織田・和紗・信長は、方面軍である羽柴・陽菜。機内地方を中心に領土を治めていた、三好・慶香や松永・真澄の三名が、四国島地方戦線に投入される事と成ったのです。
羽柴・陽菜は、10万人の軍勢を摂津・淡路・讃岐から伊予を北回りに向かわせ、織田家への臣従を申し出た河野通直の本拠地である湯築城へと進軍を開始。
三好・慶香と松永・真澄ら合わせて4万3千は、堺町を出発し、和泉・阿波・土佐を回って、中村城で別れ、三好軍は長宗我部・智華が居る前線の居城である宇和島城へと向かい。
別働隊として別れて行動をして居た松永軍は、三瀧城が在る三瀧盆地地方と向かう。
三好・慶香が企てた作戦への同調要請を受けた松永・真澄は、指揮下の軍勢を深夜の内に移動させ、三好軍が伊予国連合軍の本隊の目の前に現れ慌てふためく事を利用して、三瀧城の軍勢を援軍に向かわせます。
それを透かさず攻め掛かり、あっと言う間に城を落城させてしまった。
後は、あの渡り歩く節操の無い灰色女狐の事である。
碌な手口を使って来るとは思えないと皮肉めいた褒め言葉を叩かれる事にも成りました。
一方の3万5千人の主力軍を率いた三好・慶香は、伊予国連合軍の盟主である西園寺公広と、その同盟者である宇都宮豊綱と正面から対峙して居た。
伊予国連合軍の総軍勢は、凡そ3万人。
伊予国連合軍が、西伊予に配備された全軍に近い数を同地方に揃え居ました。
「・・・・・時間だ。」
「殿っ!!あの松永は・・・・・・・」
「その辺は大丈夫よ。和紗殿がしっかりして居る限りは、大人しくして居るわ。」
「わたしも、あの元晴も不甲斐ないと見られて居たから謀殺を仕掛けられたのよ。」
「だから少しは、あの松永に嫌がらせ染みた策で扱き使ってやらないとね。」と不敵に笑う慶香。
「申し上げます。」
「松永さま。奇襲に成功っ!!」
「ほーらね。」
「あはは・・・・・・」
「騙し討ちさせるなら、松永ほどの手練れは居ないわ。」
「手口は好きに為さいと言ってあるしね。」
「それでは敵将が可哀そうですな。」と哀れむ家老。
「先陣の一存に出陣命令をっ!!」
「ははっ!!」
ブオオオオオオオォォォォォォ――――――――――ッ!!と法螺貝が鳴り響く。
「鉄砲隊っ!!構えっ!!放てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
「よっしゃーっ!行くぞっ!!者共っ!!掛かれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
「槍隊っ!!構ええええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
「前へえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」
先鋒隊の十河一存は、直営軍の十河軍と主家の三好軍と共に鉄砲隊で牽制し、後に槍隊で攻め掛かります。
「怯むなっ!!前へっ!!前へっ!!前へええええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」
「侵略者を押し返せっ!!」
「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」
伊予国連合軍の盟主である西園寺公広と、その同盟者である宇都宮豊綱らは、領土を取られまいと必死に抵抗をし、敵に抗います。
両軍は三間表盆地で激突し、槍がかち合い、剣先の金属音が激しく鳴り響く。
キンキンっ!!カンカンっ!! キンキンっ!!カンカンっ!! キンキンっ!!カンカンっ!!
「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」
キンキンっ!!カンカンっ!! キンキンっ!!カンカンっ!! キンキンっ!!カンカンっ!!
「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」
古の日本国の戦国時代も、この様な光景が広がって居たであろう事は間違いない。
長槍同士が激しくかち合い、一進一退の攻防が繰り広げられる。
そんな時であった。
伊予国連合軍の第二位の軍事力を誇る宇都宮豊綱は、東側から三瀧城軍が現れると、この戦の援軍に来たのだと思い、自軍と味方軍勢らを本陣から大声で鼓舞する。
「おおっ!!三瀧城の者達か?我らの加勢に来てくれたのかっ!?」
「者共っ!!!援軍だっ!!三瀧城から援軍が来てくれたぞおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」
「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」
「殿っ!!三瀧城は、松永軍と対峙して居るとの報告が、数日前に入って居た筈・・・・・・・」
「確かに・・・・んん?!見てみろっ!」
「・・・・おおっ!あんな所に松永軍の旗印?」
「それに長宗我部の小娘めの旗印も在る。」
「如何やら我らは諮られて居た様だ。」
「流石は足柄室町幕府将軍王朝・四国地方守護代の三好・慶香・長慶。」
「威光は消え去っても、且つては天下を取れる才人と謳われた才人としての才覚は未だに健在と言う事なのでしょうな。」
「たが長慶の思惑も外れる事がある様だ。」と言うセリフで締めくくると、自軍の伝令官が現れた。
「申し上げます。」
「如何した?」
「はっ!三瀧城から援軍に馳せ参じた姫武将殿が、急ぎ報せたい事があるとの事で御座いまする。」
「通せっ!」と言うと宇都宮豊綱は、三瀧城から援軍を率いて馳せ参じて来たと言う姫武将と会う。
「その方が援軍の総大将か?」
「はい。」と答える姫武将。
その佇まいには、妙に艶のある色っぽいさの中に気品が満ちている様にも見受けられる人物であった。
「急ぎ報せたいとの事だが、如何なる事なのか?」
「はい。豊綱様、他の者には聞かれると不味い事なのでお耳をご拝借下さりませ。」
「良かろう。」と豊綱は、床几から立ち上がり、姫武将へと近付く・・・瞬間の事でした。
すると・・・・・・その姫武将は、透かさず豊綱を捕えると、籠手に仕込んで居た針を豊綱の首筋に突き立てる。
「殿っ!」
「おおっ!おのれっ!何者だっ!」と近習達は、姫武将を取り囲む。
だがしかし、その周りには姫武将が引き連れて居た護衛達が武器を取り出して取り囲む。
「・・・・・貴様・・・松永か?」
「はい。正解です。」
「と言う事は・・・・・・」
「うふふ、三瀧城は貰い受けましたわ。」
「おおっおのれええっ!!卑怯なっ!」
「うふふ、心地良い誉め言葉ですわっ!!」
「これが灰色女狐たる所以・・・・・・」と近習の一人が、松永・真澄の通り名を呟きます。
「さて、豊綱様。貴方様が取れる選択肢は二つ、此処で死すか、西園寺公広様を討ち取られるかですわ。」
「さぁ、如何なさりますか?」と妖しく微笑む真澄は、女悪魔の如く妖艶おっとりな笑みを浮かべつつも、相手を威圧するのは、まさしく悪女の極み、はたまた女狐と言うべき化身である言えるでしょう。
「くううううぅぅぅぅぅ・・・・・・・」と悔し気な表情をする豊綱は、生死を掛けた選択肢に迷います。
そんな宇都宮豊綱が取った選択肢とは?
それは直ぐに分かる事に成ります。
織田家の四国地方平定戦の終盤戦の最後の戦いである三間表の戦い、その前哨戦たる大森城奇襲戦が始まろうとして居ました。
松永・真澄・久秀が率いる7500人の軍勢は、大森城の東を大きく迂回をして明け方を待って居ました。
三瀧盆地南部入口に置かれた本陣は、煌々と篝火の明かりが灯り、蔦家紋の旗印がはためいて居たのが、三瀧山に在る三瀧城からもハッキリ見えて居た。
「相手は、あの松永・真澄・久秀だっ!!」
「どのような卑怯な手口で来るかは分からんっ!」
「ゆめゆめ油断をするで無いぞっ!」
「ははっ!!」
三瀧城を任された宇都宮家の城主は、名うての某将たる松永・真澄を警戒し、家臣達に周囲の見張りを徹底的にするように念を入れた警戒監視を命じました。
明け方、三瀧城の守備兵達は、夜遠しの見張りのせいで、コックリ、コックリと寝落ちを仕掛けて居た。
「・・・・・来ないな。」
「はっ!確かに松永軍は目の前です。」
「これまでの松永の動きの戦績を記した経歴書から見れば、何某かの手を打って来ても良い筈ですが・・・・・・・・・・・・」と家老の一人は言いましたが・・・・・・・・・
「申し上げますっ!!!三間表で、お館さまと西園寺様らが三好・長宗我部・松永らの連合軍が攻め寄せて、大乱戦と成って居る模様っ!!」
「しまったっ!やられたっ!」
「殿っ!あそこに居る松永は?」
「決まって居るっ!蛻の空だっ!!!我らはまんまと松永に図られたのだっ!!」
「急ぎっ!お館さまの援軍に向かわねばっ!」と焦り、大瀧城主は3000人の軍勢と共に城外へと出ようとしましたが・・・・・・・・・・・・・・
「今ですっ!掛かりなさいっ!!!」
「「「「「おおうっ!!」」」」」と言う雄叫び声がすると、3千人の軍勢がドッと現れ、大瀧城軍に奇襲を仕掛けた。
「しまったっ!!罠だっ!!」
「退けっ!!退けいっ!!」と命じるが、その背後にも松永軍が現れ、大乱戦と成ってしまいました。
この戦いで、使える家々を事在る毎に渡り歩く節操の無い灰色女狐又は男喰らいの女郎蜘蛛と言われる人物こと、謀将松永・真澄・久秀は、大瀧城をたった一時間で奪取してみせたと言います。
大森城の奪取に成功した、松永・真澄は、更なる狡猾な策を実行するべく、動いて行くのでした。
マギアンティア世界統一暦・1555年・6月22日・午前7時00分頃・伊予国・三間表地方の事です。
謀将松永・真澄・久秀が、大瀧城をたった一時間で奪取して2時間半しか経って居ない、伊予国・三間表地方では、織田軍と伊予国連合軍が対峙して居ました。
伊予国は、西園寺家・宇都宮家・河野家の三家が、第4次内戦たる第4次アマテラス戦国時代に措いて鎬を削って伊予国の覇権を争って居ました。
しかしながら、数年前から織田家が四国地方へと介入、皇都・平庵京へとの上洛戦の時に、細川元晴との決戦に向かって居た、三好・慶香・長慶は、松永・真澄に嵌められる形で織田・和紗と山崎の戦いで激突し、敗戦を帰してしまいまって居ました。
三好・慶香は、これ以上の無駄な戦は、自分とアマテラスの為には為らないと、早々に降伏。
丹波国・山城国・播磨国を本拠地に置く細川元晴を討伐する気が有るなら、自分は如何なっても構わないと言い切り、それ以来は阿波国・讃岐国を治めつつ、降伏時に差し渡した和泉国も暫定統治と言う形で継続して治めて居たのでした。
そんな事情から三好・慶香は、織田家の四国地方の抑えとして睨みを利かせつつも、攻略平定準備進める事と成る。
土佐の長宗我部・智華・元親との同盟も明智・十華・光秀と共に進め、野心が特に無かった長宗我部・智華も、アマテラス神皇国足柄幕府将軍王朝一三代目将軍王である足柄・一輝・宗輝の仲介も有って、四国平定軍に加入する同盟大名王家と成ったのです。
将軍王の足柄・一輝と名家である三好・慶香からの期待が在ると言われた長宗我部・智華は、伊予国へと侵攻を開始します。
西園寺家・宇都宮家・河野家の三家、危機的な状況に陥ると、敵は織田だと切り替えると、同じく織田家と敵対する事に成った毛利家の支援を受けて、先鋒軍である長宗我部軍と一進一退の攻防戦を繰り広げて居ました。
其処へ島津家が、ゲルニアン帝国から仕入れた大陸式の武具や食料品を仕入れる様に成ると、益々戦線は膠着状態と成ってしまいます。
それを打破する為に、織田・和紗・信長は、方面軍である羽柴・陽菜。機内地方を中心に領土を治めていた、三好・慶香や松永・真澄の三名が、四国島地方戦線に投入される事と成ったのです。
羽柴・陽菜は、10万人の軍勢を摂津・淡路・讃岐から伊予を北回りに向かわせ、織田家への臣従を申し出た河野通直の本拠地である湯築城へと進軍を開始。
三好・慶香と松永・真澄ら合わせて4万3千は、堺町を出発し、和泉・阿波・土佐を回って、中村城で別れ、三好軍は長宗我部・智華が居る前線の居城である宇和島城へと向かい。
別働隊として別れて行動をして居た松永軍は、三瀧城が在る三瀧盆地地方と向かう。
三好・慶香が企てた作戦への同調要請を受けた松永・真澄は、指揮下の軍勢を深夜の内に移動させ、三好軍が伊予国連合軍の本隊の目の前に現れ慌てふためく事を利用して、三瀧城の軍勢を援軍に向かわせます。
それを透かさず攻め掛かり、あっと言う間に城を落城させてしまった。
後は、あの渡り歩く節操の無い灰色女狐の事である。
碌な手口を使って来るとは思えないと皮肉めいた褒め言葉を叩かれる事にも成りました。
一方の3万5千人の主力軍を率いた三好・慶香は、伊予国連合軍の盟主である西園寺公広と、その同盟者である宇都宮豊綱と正面から対峙して居た。
伊予国連合軍の総軍勢は、凡そ3万人。
伊予国連合軍が、西伊予に配備された全軍に近い数を同地方に揃え居ました。
「・・・・・時間だ。」
「殿っ!!あの松永は・・・・・・・」
「その辺は大丈夫よ。和紗殿がしっかりして居る限りは、大人しくして居るわ。」
「わたしも、あの元晴も不甲斐ないと見られて居たから謀殺を仕掛けられたのよ。」
「だから少しは、あの松永に嫌がらせ染みた策で扱き使ってやらないとね。」と不敵に笑う慶香。
「申し上げます。」
「松永さま。奇襲に成功っ!!」
「ほーらね。」
「あはは・・・・・・」
「騙し討ちさせるなら、松永ほどの手練れは居ないわ。」
「手口は好きに為さいと言ってあるしね。」
「それでは敵将が可哀そうですな。」と哀れむ家老。
「先陣の一存に出陣命令をっ!!」
「ははっ!!」
ブオオオオオオオォォォォォォ――――――――――ッ!!と法螺貝が鳴り響く。
「鉄砲隊っ!!構えっ!!放てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
ズダダダダダダダーーーーーーンッ!!
「よっしゃーっ!行くぞっ!!者共っ!!掛かれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
「槍隊っ!!構ええええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
「前へえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」
先鋒隊の十河一存は、直営軍の十河軍と主家の三好軍と共に鉄砲隊で牽制し、後に槍隊で攻め掛かります。
「怯むなっ!!前へっ!!前へっ!!前へええええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」
「侵略者を押し返せっ!!」
「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」
伊予国連合軍の盟主である西園寺公広と、その同盟者である宇都宮豊綱らは、領土を取られまいと必死に抵抗をし、敵に抗います。
両軍は三間表盆地で激突し、槍がかち合い、剣先の金属音が激しく鳴り響く。
キンキンっ!!カンカンっ!! キンキンっ!!カンカンっ!! キンキンっ!!カンカンっ!!
「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」
キンキンっ!!カンカンっ!! キンキンっ!!カンカンっ!! キンキンっ!!カンカンっ!!
「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」
古の日本国の戦国時代も、この様な光景が広がって居たであろう事は間違いない。
長槍同士が激しくかち合い、一進一退の攻防が繰り広げられる。
そんな時であった。
伊予国連合軍の第二位の軍事力を誇る宇都宮豊綱は、東側から三瀧城軍が現れると、この戦の援軍に来たのだと思い、自軍と味方軍勢らを本陣から大声で鼓舞する。
「おおっ!!三瀧城の者達か?我らの加勢に来てくれたのかっ!?」
「者共っ!!!援軍だっ!!三瀧城から援軍が来てくれたぞおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」
「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」
「殿っ!!三瀧城は、松永軍と対峙して居るとの報告が、数日前に入って居た筈・・・・・・・」
「確かに・・・・んん?!見てみろっ!」
「・・・・おおっ!あんな所に松永軍の旗印?」
「それに長宗我部の小娘めの旗印も在る。」
「如何やら我らは諮られて居た様だ。」
「流石は足柄室町幕府将軍王朝・四国地方守護代の三好・慶香・長慶。」
「威光は消え去っても、且つては天下を取れる才人と謳われた才人としての才覚は未だに健在と言う事なのでしょうな。」
「たが長慶の思惑も外れる事がある様だ。」と言うセリフで締めくくると、自軍の伝令官が現れた。
「申し上げます。」
「如何した?」
「はっ!三瀧城から援軍に馳せ参じた姫武将殿が、急ぎ報せたい事があるとの事で御座いまする。」
「通せっ!」と言うと宇都宮豊綱は、三瀧城から援軍を率いて馳せ参じて来たと言う姫武将と会う。
「その方が援軍の総大将か?」
「はい。」と答える姫武将。
その佇まいには、妙に艶のある色っぽいさの中に気品が満ちている様にも見受けられる人物であった。
「急ぎ報せたいとの事だが、如何なる事なのか?」
「はい。豊綱様、他の者には聞かれると不味い事なのでお耳をご拝借下さりませ。」
「良かろう。」と豊綱は、床几から立ち上がり、姫武将へと近付く・・・瞬間の事でした。
すると・・・・・・その姫武将は、透かさず豊綱を捕えると、籠手に仕込んで居た針を豊綱の首筋に突き立てる。
「殿っ!」
「おおっ!おのれっ!何者だっ!」と近習達は、姫武将を取り囲む。
だがしかし、その周りには姫武将が引き連れて居た護衛達が武器を取り出して取り囲む。
「・・・・・貴様・・・松永か?」
「はい。正解です。」
「と言う事は・・・・・・」
「うふふ、三瀧城は貰い受けましたわ。」
「おおっおのれええっ!!卑怯なっ!」
「うふふ、心地良い誉め言葉ですわっ!!」
「これが灰色女狐たる所以・・・・・・」と近習の一人が、松永・真澄の通り名を呟きます。
「さて、豊綱様。貴方様が取れる選択肢は二つ、此処で死すか、西園寺公広様を討ち取られるかですわ。」
「さぁ、如何なさりますか?」と妖しく微笑む真澄は、女悪魔の如く妖艶おっとりな笑みを浮かべつつも、相手を威圧するのは、まさしく悪女の極み、はたまた女狐と言うべき化身である言えるでしょう。
「くううううぅぅぅぅぅ・・・・・・・」と悔し気な表情をする豊綱は、生死を掛けた選択肢に迷います。
そんな宇都宮豊綱が取った選択肢とは?
それは直ぐに分かる事に成ります。

