マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・那古野城・織田・和紗・信長・本丸館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 マギアンティア世界・中央世界第一文明圏の東の果てたるアマテラス列島地方・アマテラス神皇国にも 冬の季節の変わり目に当たる18月を迎えて居た。



 木下・陽菜による台所奉行の取り締まり騒動がはや一月が過ぎ去り、陽菜は和紗の馬廻りの一人成り、御側使えのお役を命じられる事に成る。





 しかしながら、試用期間の間だけの筈であった草履取りの仕事は、和紗の話相手をさせる為の方便の為に、そのお役を解かれる事は無かった。





 そんな陽菜と和紗とが出会った最初の年の初めて冬の初冬の事である。



 和紗の元へと凶報が入る。



「そうか、親父殿は死んだか・・・・・・」





 この年の冬の始めに、守護大名王家であった斯波義統の家老一家たる織田当主であったで織田信秀が破傷風による感染症が原因で亡くなった報せを和紗の御側衆の一人である丹羽・米実・永秀が知らせて来て居た。



「はい。先ほど清州城の大殿様の御側衆の方やご重臣方々からの報せが入り、今後に付いての話し合いがしたいとの事です。」



「相分かった。米実は御側衆母衣衆らを召集して置け、俺も支度を整えてから、通夜に向かう。」と言うと、本丸館に在る奥の間へと引っ込んでしまう和紗。





 それから暫くして、それなりの身支度を整えた和紗は、庭先に現れると陽菜を呼び付けた。





「サルっ!!サルっ!!サルは控えて居るなっ!?」



「はっ!はいっ!!」



「お前に一仕事を命じる。」



「はっ!」



「耳を貸せっ!」と和紗は陽菜の耳元へと近付く。



「親父殿が死んだっ!」



「えっ?!」



「其処でだ。親父殿が死んだ事で、必ずや織田家内に諍い跡目争いに成るだろう。」



「特に俺の母上は、俺に対しての風当たりが強い。」



「絶対に織田家の後継者として、弟の信勝を擁立する様に家臣達に呼び掛けるだろう。」



「・・・・信長様は、其処まで先を読んで居られるのですか?」



「当たり前だ馬鹿者め。これの俺を誰だとおも持って居る?」



「お前は、頃代や恵那と言った直近の者達を使って、兵を搔き集めろっ!」



「兵募の必要資金は、幾らでも出してやるから、少なくとも4千人を搔き集め来い。」



「分かりました。ですが・・・・・・」



「何だサル、相変わらず歯切れの悪い奴だ。」



「申し訳ございません。その・・・・・今川家へと偵察活動をして居る幼馴染みからの報告なんですが、どうも東尾張の国人衆と西三河国人衆達が、何やら謀を巡らして居るらしく。」



「どうもそれらの者達にを裏で操って居るのが今川義本の軍師、太原雪斎だって聞きます。」





「ほう、良くもまぁ、そんな噂話を聞き付けきたもんだなぁ~」



「確かな情報筋です。何せ、探りに入った居る娘達は、駿府の運送問屋に潜り込み、荷運びに化けて今川の駿府館へと入り込んだ際に、庭先で聞きつけた確かな話です。」



「くくくくくっ!!それは何んとも間抜けな奴らだ。」



「其れに由りますれば、東尾張地方の一城を任されて居た山口家の当主である山口教嗣に謀反の気配在り。」



「他にも、山口教嗣の弟である教友。」



「今川家へと寝返ろうとして居る坂井家の坂井大善らを始めとする東尾張地方の国人衆達と共に、織田・勘十郎・信勝を当主に押し上げて、傀儡政権を目論んで居るらしいのです。」



「そうか、前から胡散臭いと奴らだとは思って居たが、遂にその尻尾を出しおったか?」



「如何致しますか?」



「そっちの件は、帰蝶に行って、稲葉山の義父殿に援兵を頼んで置く。」



「だからお前は、兵を搔き集めて置け、手間を取らせたな。これは経費、それと子旅の働きをした者達への報酬だ。」と和紗は言うと、銭や金銀を陽菜に与える。





「はい。有り難う御座いまする。」





「それでな。何か在れば報せろっ!俺はこれから親父殿の死に顔でも見て来る。」と言って、その場から立ち去ろうとした和紗。



「信長様。これを・・・・・」と言って草履を差し出す陽菜。



「ふっ!何時も小賢しい奴だな。しかし、気が利く・・・・・」と言った草履に足を通した時である。



「んんっ!?サルっ!!貴様っ!!俺の草履を尻に敷いて居たのかっ!?」と睨む和紗。



「いいえっ!!!とんでもないっ!!!この寒空中で冷えた草履を履くのは寒いかとも思いましたので、私の懐にて、温めて置きました。」と言う陽菜は、上着の着物を開くと、腹に草履のしまい込んで居た後が残って居たのを和紗に見せ付けた。





「くくくくくっ!!アハハハハハハっ!そうかっ!そうかっ!面白い奴だっ!!」と言って、陽菜からの予想外の気遣いに関して、面白い事をすると可愛い奴だと感じた和紗は、上機嫌でその場から立ち去って行く。













マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・尾張国・萬松寺にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



アマテラス神皇国地方に冬の訪れを告げる18月。



 この年の冬の始めに、守護大名王家であった斯波義統の家老一家たる織田当主であったで織田信秀が破傷風による感染症が原因で亡くなった。



 享年45歳の若さであった。



 尾張国を一代で支配した尾張国の虎と言われた豪傑にして、織田・和紗・信長の実父。



 津島市の膨大な税収入を使って大垣城を攻め取り、美濃国西側にまで版図を広げ、守護大名王家であった斯波義統の家老一家・織田家として最大の異業成し遂げた中興の祖と成った人物が、たった一度の敗戦。



 稲葉山城の戦いで負った手傷が原因と成って患った破傷風が下で、ポックリとこの世から去ってしまったのであった。



 後に信秀の功績として上げられて居るのが、10年後に建国された新政権国。



 アマテラス織田自治神皇国を立ち上げて行く事に成った和紗の基盤を固めたとされて居る。





 その葬儀が尾張国ブッタ教・ブッタ教寺院の一つで、織田家菩提寺と定められて居る萬松寺にて、信秀の葬儀が執り行われて居た。





「ナンマイダアっ!!ナンマイダアっ!!ナンマイダアっ!!ナンマイダアっ!!」とお経を唱える13名ものブッタ教僧侶が、お堂の中で織田信秀の冥福を祈って誠心誠意をお経を唱えて居た。





 そんな中で平手政秀は、萬松寺の門前でウロウロと落ち着かない様子で焦って居た。



「平手殿。」



「おおっ!!帰蝶様。」と頭を下げる平手。



「和紗お姉様の行方は、まだ分からないのですか?」



「方々に人をやって探させては居るのですが、その・・・・・一向に行方が・・・・・」



「はぁ~、お姉様とは出会って間も無く、そして付き合いも浅いですが、きっとお義父上様の死に顔を見たくはないのでしょうね。」



「やはり、そう思われますか?」



「ええ、和紗お姉様は、何だかんだで、お義父上様の事が大好きなお方ですかね。」と締め括る帰蝶。



「ですが、それでもお葬式にお出に成らない。特に次期当主と成られるお方が、お父上の葬儀を取り仕切る喪主を務めないと言うのは、外聞が宜しくありません。」



「でずが、今のままでは、如何したら・・・・・・・・・」と言い掛けた時である。





 和紗は道三との会談で着ていた時の服装・・・・・古惚けた薄着の着物を右側に袖を通し、反対側の袖には腕を通さず、叩けさせた状態で着て居る。



 しかも・・・・そのせいで当時Dカップだったおっぱいが、半分食み出てすら居た。



 突如として現れた和紗は帰蝶や平手が呼び掛ける間も無く、境内とへ入って行く。



「信長様っ!!」



「お姉様っ!!」と呼び掛けるも聞こえて居ない様子。



(くそっ!!糞親父めっ!!勝手に早死にをし居ってっ!!」と怒り心頭で萬松寺へと入って行く。





 その萬松寺内では、和紗の母親であり、信秀の二人目継室として嫁いだ織田伊奈が、織田家親族・家臣達らを和紗に代わって取り仕切って纏めて居た。



「永秀っ!!犬千代っ!!」



「「ははっ!!」」



「もうっ!あの虚け娘など待てませんっ!!信勝を喪主として焼香を始めますっ!!」



「旦那様が遺言で何んと言おうと、もうっ!あの虚けさ加減は愛想が尽き果てる所か、我慢が為りませんっ!!」



「しかし・・・・」と和紗に近習として仕える丹羽・米実が言い掛け時である。



「ああっ!!和紗さま?!」と犬千代が言うと、葬儀に参列した一同が、一斉に和紗に目をやる。





(この糞親父いいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーっ!!)と怒りと悲しみの声を張り上げそうな言葉を飲み込み、棺桶と位牌が置かれた台座に近づくと焼香を投げ付けた。



 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・和紗の足跡を綴った数多く在る後の歴史書にも、大きく取り上げられるワンシーンが見られた。



「かああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーつっ!!」と叫んだ。



 余りにも突飛な行動に、参列者達は呆気に取られてしまい、思わずシーンと静まり返る。



 只それだけを終えた和紗は、慌ただしく・・・・その場を去って行く。





「ああっ!!何んと言う子なのっ!!父親の葬式すら、まともに出来ないとは・・・・・」と母は嘆き悲しむが、天才児たる娘の心境など、凡人の母親には理解し難いとしか言いようがない、すれ違いと確執を更に大きくさせてしまう。



(和紗。其処までお悲しみに・・・・・・・)



(あの方を理解してくれる様な人物は、この世に居ないのかも知れない。)



 米実と犬千代は二人は、和紗と近しい間からで在るが故に、この突拍子なる奇行なる行動の真の意味を理解して居た。



 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・この事が織田家の内紛に繋がる事に成ろうとは、死した信秀も予想すらして居なかった事だろう。



「もうこうなったら、この信勝を織田家の次期当主としますっ!!」



「反論は許しませんっ!!」と言い切る織田伊奈は、葬儀が終わり次第、和紗を廃嫡する事に賛同を求めるとの宣言を出したのであった。





 それに乗じて、那古野城へと兵を進める織田信勝方軍は、2500名もの軍勢を揃えて兵を進めた。





 これが世に言う稲生の戦いの始まりであった。



 だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その数日前のことである。





 マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・美濃国・稲葉山城・斉藤道三・本丸館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 織田信秀が亡くなったとの報せが隣国であり、同盟国でも在る美濃国の斎藤家へと齎されたのは、亡くなった日から二日後の事である。



 その報せを報告したの者とは、織田・斉藤両家との同盟の為に、織田家へと養女に出された織田帰蝶であった。



 だが、その帰蝶の手紙には、和紗から同盟上の養父と成った斉藤道三への密書も送られて来ていた。



「・・・・・・寂しく成るのう。」



「とうとう亡くなりしたか、信秀。」と堀田道空も、長きに渡り刃を交えた相手が世を去った事に、何だか寂しい想いをしてしまうのであった。



「ふむ。じゃがのう。同時に厄介な問題も起きて居るようじゃ。」と道三は、帰蝶や和紗らの手紙を腹心たる道空に手渡した。



「・・・・・確かに、これでは流石の虚け姫との評判の和紗様も、お骨が折れる事と言えまするな。」



「じゃがな。同時に嬉しい事でもあるのじゃ。」



「あの虚け姫殿が、このわしに甘え来て居る。」



「実に可愛げのある姫殿じゃ。」



「それはそれは、物珍しき可愛さの在る一面を垣間見れる出来事ですなぁ~」



 和紗と帰蝶の二人からは、父親である道三に対して、今川軍と尾張の内乱軍に対する援軍を求めて居る文面が書かれて居たのである。



「それで援軍の一件は、如何致しまするのでしょうか?」



「折角娘達二人が、この父に甘え来て居るのだから、それに応えるのが父親の領分と言うもの。」



「それに今川義本と太原雪斎めらの悪巧みに、娘達が危険に晒されるのも面白うない。」



「況してや、それに便乗して火事場泥棒をする不逞な輩共を成敗してやるのじゃっ!!!」



「道空よ、明智家や美濃三人衆らに対して、出陣命令を下す。」



「尾張の娘達を助けよとな。」





「ははっ!!早速、そのご命令を書状にてお下知を致しまするっ!!」と道空は、直ぐに明智家と美濃三人衆と呼ばれる西美濃に領地を持つ稲葉一徹・氏家卜全・安藤守就らに出陣を命じる命令書を送る。



 明智家と美濃三人衆らは、道三とは良好な関係を持った間柄で在る為、織田家への援軍を快く引き受けてくれるとの考えからであった。