マギアンティア世界統一暦・1555年・10月21日・午後17時15分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・ローレライ大海洋海域・旧日本国(仮呼称東方日本地域)・神奈川県・楯浜市・楯浜港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ぼおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!と大きな汽笛を鳴らしながら浦賀水道を通り、東京湾へと入って来たキリヤ公国連合国統合海軍艦隊。



 キリヤ公国連合国の艦隊は、現地政府たる東方日本地域政府とキリヤ公国連合国との話し合いで、取り決められた指定港へと向かって居た。



 遥か南の地に在るキリヤ公国連合国から、首脳外交団を乗せた大艦隊の指定寄港地を東方日本地域政府は、旧日本国・神奈川県・楯浜市・楯浜港を中心とした近隣地域の港湾都市を指定する事にした。



 第一キリヤ公国海軍艦隊・特戦空母・出雲以下出雲級空母3隻・ミサイル級巡洋艦7隻・ミサイル級巡洋艦7隻・ヘリコプター搭載空母3隻から成る21隻は、その日の夕方に成って、この世界へと転移した東方日本地域へと到着する。



 第一連合自治方面軍・ナデシコ自治統合海軍・第一戦隊は、第二戦隊と交代する様にして、神奈川県の相模湾沖で待機し、戦艦撫子等の大型戦艦は縦須賀基地港へと入港する事に成った。



 また、里見艦隊は千葉県沖で警備に当たり、第二連合自治方面軍・第二統合連合艦隊・ビクトリナ独立自治共和国統合海軍・第二艦隊は駿河湾沖で待機し、半舷上陸をしながら静岡市港と清水市港、沼津港内で、警戒待機に務めて居る。



 また、先遣隊として現地入りして居たナデシコ自治統合海軍・第四戦隊は、相模湾を第一戦隊に停泊地を譲り、縦須賀基地港を出港。 



 同地域の北側からの他国の介入と侵入を防ぐ為に、新潟県沖へと移動しつつ、北側の勢力に対して、睨みを利かせていた。



 最後に毛利独立自治安芸藩王国海軍・小早川艦隊は、東京港に寄港し、乗員たちは其処から上陸する事に成って居る。



 東方日本地域国内の港を目一杯使って、厳重な包囲警備網を敷いたキリヤ公国連合国。



 勇治達は同地の統治機構である東方日本地域政府の総理大臣である中泉純一郎と楯浜港で待ち合わせていた。



 今日は歓迎会を兼ねた夕食会を東京都青坂迎賓館で、行われる事に成って居た。



 特戦空母・出雲が楯浜港に接岸すると、車両用のタラップが降ろされる。



 直ぐにキリヤ公国近衛軍・キリヤ公国近衛騎士団・近衛近習衆軍から派遣された護衛官部隊60名が、先に降りて素早く整列して見せた。



 これは何所の国でも有る程度は、有り得る儀式的なパフォーマンスの下船風景であると言えた。



 其処へタイミングを合わせて、軽快な音楽を先に上陸して居たキリヤ公国連合国軍の音楽隊が演奏を奏でていた。



 派手なパフォーマンス演奏と共に、勇治を先頭にしながら、護衛官として同行して居る上泉・伊澄第一護衛官と柳生・冬香第二護衛官の二人が刀を脇に指し、拳銃をガンフォルダーに差し込んだ和装姿で、ガッチリと固めて護衛して歩いて居た。



 その後ろには、婚約者であるセレジアとリィーゼが続き、その更に後ろには、近衛騎士団長のマリアが2名の護衛騎士と共に現れた。



 その更に後ろにはキリヤ公国の宮廷魔導師にして、文部総合技術省大臣も兼任して居る魔導師レイラが続く。



 その後はキリヤ公国連合国外務大臣である結城・梅晴の二人も護衛を伴って後に続く。



 最後に降りて現れたのが、キリヤ公国・公王執務官邸で官房長官を務めている長野・業乃。



 フェリス侯爵王家長女にして、フェリス侯爵独立自治領国宰相を務めて居るロイチェル・フェリスである



 日本国のマスコミ各社のカメラマンやレポーター、その他多数の記者達が、生中継放送を交えた取材をして居た。



「ようこそ日本国へ、私が総理大臣の中泉純一郎です。」



「キリヤ公国の公王及びキリヤ公国連合国の宗主国王でもある桐谷勇治です。」



「勇治公王陛下の御来訪を此処より歓迎申し上げる。」



「此方こそ、心よりの歓迎を感謝して居ります。」



 パシャパシャ、パシャパシャ、パシャパシャ、パシャパシャ、パシャパシャ、パシャパシャと一斉に勇治と純一郎総理の二人が、握手する姿をカメラに収めるマスコミ各社のカメラマン達。



「ご覧ください。何とキリヤ公国連合国の公王は、日本人の様です。一体、これはどう言う事なのでしょうか?」



「詳しい経緯は、政府の発表を待たれる事に成りますが、我々は歴史の生き証人と成ったのかも知れません。」



「生中継を一旦スタジオへとお返しします。」と締め括った国営テレビの女性レポーター。



 中継が一旦区切られた所で、二人の首脳は、それぞれ2名づつの護衛官とSP警察官を伴って、黒塗りのリムジンへと乗り込む。



 その周囲は警視庁の白バイ隊員達とキリヤ公国連合国・近衛軍側が用意したオートバイに跨った護衛官部隊を伴って今宵の歓迎会の会場である東京都青坂迎賓館へと向かった。



「いやー、これだよこれ、やっぱり違う世界でも、故郷は良いなぁ・・・・・・」



「そうですか、そうですか。やっぱり知って居る場所と言うのは、落ち着くもんでしょうね。」



「ええ、ちょっとだけ故郷とは違うと言う所が、在るだけですが、やっぱり落ち着きますよ。」



「いやはや、我々も安心して居ますよ。異界地の国王が、まさか日本人だった事にね。」



「詳しい交渉は明日以降にしたいと考えて居ますが、僕自身は現状の転移した東方日本地域に関して、悪い様にはしません。同郷の誼としてですが。」



「貴国のナデシコ海軍の第二戦隊の黒島亀代司令官を通じて、我々が置かれて居る大体の状況は、理解してを居ります。」



「この世界にも、列強国がたくさん在って、我々の様な存在が住まう土地や技術、人材を狙って居るとのお話も。」



「ええ、ですから僕達が逸早く乗り込めて良かったです。」



「これで堂々と自分達だけで面倒を見られますからね。」



「キリヤ公国連合国の建国以来の経緯に付いてのお話は聞いて居ります。」



「何でも転移地域を巡って二度も戦争へと突入したんですね。」



「今回は、そうならない様にしたいとの決意で来ましたし、前回までの反省から専用法律の立法成立すらしましたからね。」



「出来れば、あんな騒動に成るのは、もう懲り懲りですよ。」



「我が国でも国会と国内共に、これから如何するかので激論を繰り返して居ますが、勇治君とキリヤ公国連合国首脳会談の如何の結果次第で、最終的な方針決定を決める事に成って居ります。」



「ですので、我が方も貴国に対して悪い様に成らない返事が、出来る様に努めて行きたいと考えて居りますので、今しばらくは、お待ちください。」



「でしたら、会談の合間に日本観光をしたいです。」



「婚約者や大臣を務めて居る友人達も来て居りますので、彼女達は、僕から故郷である日本の話を聞いて以来、僕の故郷である日本に興味が有ったらしく、この際是非、見て回りたいと言って居ますので・・・・・・・」



「ああ、なるほど。それくらいなら構いませんよ。首脳会談と政府内協議の合間にでも、観光なさるくらいなら別に構いません。お暇を持て余してしまうかも知れれませんしね。」



「早速、手配をして置きますから、其方で行き先を決めて置いて下さい。都内でしたら警備と手配も簡単ですから直ぐにでも可能ですよ。」



「分かりました。有難う御座います、中泉さん。」



 そんな雑談をして居る内に、勇治達を乗せた車は目的地である東京都青坂迎賓館へと到着した。





マギアンティア世界統一暦・1555年・10月21日・午後17時18分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・ローレライ大海洋海域・旧日本国(仮呼称東方日本地域)・神奈川県・縦須賀市・日本国国防軍・縦須賀基地にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 縦須賀市・日本国国防軍・縦須賀基地港へと接岸した第一連合自治方面軍・ナデシコ自治統合海軍・第一戦隊旗艦の戦艦撫子。



 戦艦撫子の艦長にして、キリヤ公国連合国軍と第一連合自治方面軍・ナデシコ自治統合海軍の総司令官である山本五十鈴は、艦橋から見えた巨大ロボットを見て驚愕した。



「うわあぁぁ・・・話には聞いて居たけど、本物を見ると迫力が違うわね。」



「五十鈴さん。下手をすれば、私達はアレと戦う事に・・・・・・・・・」



「ビクトリナ独立自治共和国のモビル・アイゼンとは違った設計思想の人型機体の様ね。」



「勇治くんが言って居ましたが、漢字表記なら特機。カタカナ形式やアルファベット表記ならスーパーロボットと言うそうですね。」



「モビル・アイゼンは量産型の軍隊使用目的で、スーパーロボットは特殊戦使用目的と言った所かしら?」



「我がキリヤ公国連合国は全体的に近代化・・・・・未来科学化兵装への改装を始めたばかりです。」



「数こそ勝って居ますが、それは我がナデシコ軍やビクトリナ軍と勇治陛下のあの力で作り上げたキリヤ公国本土軍が、在ってこそのキリヤ公国連合国なのです。」



「万が一、此処と戦争に成れば、大勢の犠牲者を出した挙句の講和。又は制圧戦に成るわね。」



「はい・・・・・・」



「だけど大丈夫よ。あの勇くんが、そう簡単に戦争する様なヘマをすると思う?」



「そうでしたね。」



「そうならない為にも、私達でフォローに回れる事をたくさんしましょう。」



「分かって居ます。あのお方の周りには、頼りれるお姉さん達が、いっぱい居ますからね。」



 第一戦隊の二人は、待たせてある東方日本地域政府側の出迎えの下へと急いだ。





 全長が60メートル、体重が600トン。超AIを搭載したスーパーロボットであるマイカ・カイザーは、縦須賀基地港に接岸して居る撫子級戦艦1番艦撫子の近くで待機させられて居た。



 舞華が直接指揮下に在る日本国国防軍・国防軍都市特務防衛隊・ブレイブ・ガード・フォース隊・第一部隊・マイカ・カイザーズ隊とマイカ・カイザーは周辺地域を警備するべく、部隊展開を終えて居た。





「アレがナデシコ海軍って言う、キリヤ公国連合国の主力地方自治州区海軍の総旗艦のようだね、カイザー。」



「ああ、一見して見ると、只の旧式艦艇に見えるが、従来通りの重装甲に加えて、近代化改装を終えて居るカ所が、多く見られて居る。」



「確かにね。外から見るとミサイル発射管と機関砲の類は、僕達らからすれば、1世代半くらい前の代物だよね。」



「それに入港直後から船体分析をして居るが、魔改造し捲って居る様な改修ヶ所が多い。」



「ひょっとしたら、トンデモない国かもしれないな。キリヤ公国連合国と言うのは・・・・・・・・・・・」



「カイザー、そろそろ誰か降りて来たみたいだよ。」



「ああ、キリヤ公国連合国軍の総責任者と言って居たが、どの様な人物なのだろうか?」



 カイザーと舞華の二人が雑談して居ると、大和型戦艦に酷似している戦艦から1人の幹部将校と佐官級幹部の軍人達と護衛の仕官達が、ぞろぞろと降りて来た。



 その中で先頭を歩くのは、黒髪のロングヘアーが美しく際立って居り、誰もが憧れる様なスタイル抜群のプロポーションに加え、おっとりした優しい感じの大和撫子風のお姉さんが現れていた。



 その後ろに続くのは、ショートヘアーが特徴的なやや大柄な体格をして居る生真面目そうな女性が後に続いて居た。



「うわあぁぁ・・・・・物凄い大和撫子美人さんだよ。」



「確かにな。」



「僕、憧れちゃうなぁ・・・・・・」



 舞華は、一目で整った顔立ちとボデイスタイルを持って居る五十鈴の事を見惚れてしまう。



「出迎えの方ですか?」



「はっ、はいっ!!」と緊張していた舞華は、つい変な声で返事をしてしまった事を恥ずかしがってしまって居た。



「私はキリヤ公国連合国自治統合軍総司令官兼第一連合自治方面軍・ナデシコ自治統合軍の総司令官も、兼任して居る山本五十鈴海軍提督です。」



「日本国国防軍・国防軍都市特務防衛隊・ブレイブ・ガード・フォース隊及び第一部隊・マイカ・カイザーズ隊の隊長を務めて居ます。神宮寺舞華です。」



「国防軍には特務隊長扱いとして席を置いて居るだけなので、僕自身には階級は特に在りません。」



「今日は日本政府の依頼で、皆さんのエスコートも兼ねて出迎えに来ました。」



「エスコート?」



「これでも神宮寺重工業を経営している社長でも在るので、警備も兼ねてお出迎えをして欲しいと、中泉総理に頼まれたんです。」



「そうなね。では晩餐会の会場まで宜しくね。」と思いつつ、スーパーロボットの喧伝をする事で、キリヤ公国連合国を牽制して来たと五十鈴は、中泉総理の思惑を見抜いた。



「はいっ!!」



「ではな舞華、湾港の警備は任せて置いてくれっ!!」



「うん、カイザーっ!!しっかりとお勤めして来るよ。」



「「喋った!?」」と驚く五十鈴と肇を含めたナデシコ海軍の面々。



「あれ?カイザーが喋れるって、事前に聞いて無かったのですか?」



「はい。大きなロボットが国防軍には、在るとは聞いて居ましたが、喋るとまでは聞いては居ませんでした。」



「あっ、そうなんだ。」



「山本五十鈴総司令、烏柿肇大佐。私はカイザーと言います。以後お見知りおきを。」



「ええ、宜しくカイザー。」



「ああ。宜しくな。」 





 トンデモない物が在ると知った五十鈴と肇の二人は、考えて戦うと言う機械が有る事に驚きつつ、今まで通り戦術プランが、根本的に覆されると言う事実に、更なる脅威を感じた瞬間だった。







 マギアンティア世界統一暦・1555年・10月21日・午後18時05分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・ローレライ大海洋海域・旧日本国(仮呼称東方日本地域)・東京都青坂迎賓館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 東京都青坂迎賓館へと到着すると、先に着いて居たのか、山本五十鈴と小早川・隆美の二人が、縦須賀市と銚子市から到着して居た。



「五十姉ぇ、隆美さん。お待たせ。」



「ちょっと前に着いたばかりよ。」



「はい。私は五十鈴姉さまの少し後に着きましたから。」



 今や五十鈴は、みんなのお姉さんに成りつつあるので、ナデシコ系以外のメンバーで、年が少し離れて居るキリヤ公国連合国内の政府首脳メンバーでは、五十鈴の事を姉と呼ぶように成って来て居た。



 晩餐会へと招待されて居るみんなは、それぞれ礼装に着替えて居り、ナデシコ地方自治州区政府のメンバーは、洋装や軍服の礼装で整えられ、アマテラス神皇国メンバーは逆に和装で着飾って居た。



 似たような文明社会を持って居る二地域だが、文化時代が違う為に、この様な面白い服装が並ぶ姿が見られて居た。



 その他のキリヤ公国連合国メンバーは洋装である。



 因みに政府首脳に席を置いて居る結城・梅晴を始めとするアマテラス系人も和装式の礼装で決めて居た。



「中泉さん。揃ったみたいですね。」



「おおっ、お出迎えありがとうございます。瑞樹さま。」



「止して下さいよ、中泉さん。もう皇族は我が娘一人なのですよ。」



「夫の居ない私は、この子が居なければ、とても皇族とは呼ばれない立場なのですから。」



「中泉さん、この方は?」と勇治は、迎賓館から現れた人物で、彼から見たら二回り年上女性の素性を聞いて見た。



「ご紹介致します。我が国の日本大皇家の今上大皇の弟君にして、亡き朝陽宮幹仁さまの正妃で在らせられる朝陽宮瑞樹様です。」



「初めまして、私は朝陽宮瑞樹です。桐谷勇治公王陛下。」



「さぁ、翠。皆さんに、ご挨拶なさい。」



「こっ、こんばんわ・・・・・・・」と言って、翠と呼ばれた幼い女の子は瑞希の後ろに隠れ、恥ずかしがって脅えていた。



「娘の翠です。」



「「「「「可愛いっ!!」」」」」と声を揃えて言うキリヤ公国連合国首脳の女性人達。



「瑞希さん、この子・・・・・」



「ごめんなさい。突然、大皇族一家全員が、転移災害のせいで、私達二人の前から消えてしまったので、少々ナーバスに成って居るんです。」



「ああ、なるほど。それは堪えますね。」



「勇治陛下、このお方は我が国最後のと言うか、この世界での最後の日本大皇族なのです。」



「ええっ?」



「今思えばあの時、他の日本大皇族の方々が、転移地域圏外と公務の為に国内外に出て居り、転移災害地位に居なかった事は、良かったかも知れませんが、代わりに翠さまお一人に成られてしまった。」



「これはこれで、とても酷なの事と言えますでしょうな・・・・・・・・」



 転移した東方日本地域は、偶然にも運が良いのか悪いのかは分からないが、大皇族一家の方々は、皇居内居たのは朝陽宮家の二人だけだった。



 その他の皇族は外国訪問や国内の地方訪問に出掛けており、偶々居なかった為に難を逃れていた。



 そのせいで若干10歳の幼い子供である朝陽宮翠だけが、この世界に転移した東方日本地域に措ける最後の大皇室一族の血を引く人物と成ってしまった。



 母である朝陽宮瑞樹も、皇室の一員と法律上では定られて居る通りなのだが、血筋的に見れば、他家の人間である事には代わりが無い。



 夫であった朝陽宮幹仁は、5年前に病気で他界して居る為に、宮内庁の計らいで翠が成人するまでの間は、二人を公務から遠ざけられる配慮をして居た。



 そんな事情から、この度の災難に直接の被害を受けてしまった二人は、今現在の国会内で、これから如何するかの議題の対象と成ってしまった。



「お恥ずかしい話ですが、異世界へ転移してまった我が国の現状中では、お二人の処遇を巡って、如何するかをの意見が、真っ二つに割れて居りましてな。」



「伝統的な皇室を続けるべしとの声があり、300年振りの女帝誕生に期待を持つ声が高まる一方で、今の状態では皇位継承を続けて行くのは困難であり、逸早く皇室を閉じて、お二人は一民間人に降下して差し上げる。」



「そして、早く肩の荷を下ろさせ、早々に楽にさせて上げた方が良いのでは?とする声も在ります。」



「ああ、一族が極端に減ってしまった為に、扱いがより難しく成ったと言うんですね。」



「はい。特に亡く成られた朝陽宮幹仁さまの細君で在らせられる瑞樹さまは、幹仁さまが居なければ、只の他家のお方。」



「それが返って冷たい視線の衆目を集める原因と、成って居る様ですな。」



「私としても伝統的な大皇室は続けたい。ですが幼い翠さまには、その任に堪えられるご年齢では無い。」



「そして、瑞樹さまは他家のご出身で、ご実家は浅生商事株式会社を経営して居らっしゃる浅生家の元ご令嬢です。」



「家柄的には問題ないのですが、法的には純粋な皇室のお方では無いので、国家元首の権利を渡す訳にも行かず、実に困った事態と成ってしまって居るのですよ。」



「それは本当に困った事ですね。それにあの子が可哀想・・・・・・・・」



 そのような事情を聞いてしまった、キリヤ公国連合国の面々。



 その暗い雰囲気の中で、一人先に翠の前に進み出たのは、セレジアだった。



「ねえ、翠ちゃん。今日から暫くの間は、いっぱい、たくさんのお姉さん達が居るから寂しくないわよ。」



「・・・・・・・・???」



「ねっ、何だったら、これから私達が家族に成って上げるから・・・・・・」



「・・・・・うん。ありがと・・・・・」と、はにかみの笑顔を見せた翠。



「ううっ、可愛いっ!!兎に角可愛いっ!!私一人っ子だったから、こんな妹が欲しかったのっ!!」とセレジアは幼い顔立ちと容姿を持った翠の可愛いさが爆破し、彼女の心には、どストライクだったらしい。



「ねぇ、勇治っ!!私、この子を妹にしたいっ!!お持ち帰りしたいいいっっ!!」



「おいおい、冗談でもそんな事を言わないでよ。マスコミの人達だって居るんだから。」



だが、これは予想外の高感度を産む事に成った。



「哀れな境遇で在らせれる翠様に抱き付くセレジア・キリヤ公国次期第一正妃さまっ!!是非とも自分の妹にしたいとのお言葉っ!!」と新聞やテレビニュースで大々的に報道されてしまった。



 勿論、これは冗談を言われて居るとして報道されて居たが、流石の世間一般の方々もそれは理解して居る。



 だが、異世界の異国の次期正妃が、朝陽宮翠皇女の事を哀れんでくれた事が、逆に良い印象を東方日本地域全体に与える影響が、広まる事と成ったのだった。



 まさかこれが、後に本当の事に成るなんて勇治もセレジアも、キリヤ公国連合国外交団の面々も思っても見なかったのである。



 だが、セレジアの一言にピンと来た者達が二人居た。



(そうよっ!!これよっ!!これだわっ!!)と瑞樹は娘の為に、何が出来るのかを閃いてしまった。



(うーむ。ひょっとしたら、この手は行けるかも知れないぞ・・・・・・)と中泉総理も何かを閃いて居た様だった。