アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前8時46分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・パイプ・ライン大河河口付近地域・ラクロアナ王国・グラッグ州 ・ゼングリラ市及びシャン・ライア州・ロウデニィオン市・ロウデニィオ城・ロウデニィオン騎士団司令部内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





万代湾を抜け、その沖合いで、はやぶさ隊と合流し、艦隊陣形を輪形陣に整えた。





 先頭には、偵察隊の役目も兼ねた小回りの効くはやぶさ型ミサイル艇7隻が先頭を警戒しながら先行航行して行く。



はやぶさ型ミサイル艇は以下の通りと成って居る。



はやぶさ、わかたか、おおたか、くまたか、うみたか、しらたか、とんび。





 続く護衛艦あかつき・ひびき・いなづま。海洋観測艦しょうなん。



 中衛に入ると護衛艦きりしま・あしがら。



 ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが。



  輸送艦あつみ・もとぶ・みうら・おじか・さつまと続く。



後衛に入るとヘリコプター搭載護衛艦かが。



 多用途支援艦ひうち・すおう・あまくさ。



 補給艦ましゅう・おうみ。掃海母艦うらが。





 揚陸護衛艦つがる・おしま・おが・おもえ・まつまえと成る。



 最後尾を護衛艦しらつゆ・しぐれ・すすかぜを殿とした。



 左備えを護衛艦いかづち・くらま。



 右備えをとね・ちくまと成って居る。





出港から2時間が経とうとして居た頃、間も無く第1通過点であるラクロアナ王国領・グラッグ州 ・ゼングリラ市及びシャン・ライア州・ロウデニィオン市と言った州都に挟まれて居る境界線付近にも成るパイプ・ライン大河河口水域へと入る。







 コヨミ皇国の北に位置し、ラクロアナ王国側からすれば、パイプ・ライン大河の河口水域で、二つの州都は大河沿いに造られ、大河を挟んで北西方向から南に向って町と街道が延びて居る。

 

 北に在る州都がグラッグ州 ・ゼングリラ市。



 南の州都がシャン・ライア州・ロウデニィオン市に成って居る。



 互いに小高い丘に沿って城が築かれ、南方と東西貿易によって栄えて居る都市だった。



 この日の港には、コヨミ皇国側からの事前通達があり、ニホン国なる国の海軍艦隊がパイプ・ライン大河を通過して、西方のダバード・ロード王国へと向うとの連絡が入って来ていた。





 ラクロアナ王国軍としては、他国の軍隊が、ただ通過するだけを拒む理由は、特に無い。



 その目的が武力侵攻ではない限りは・・・・・・・・・・・・・・・



ラクロアナ王国軍は、ロウデニィオン市と川向こうのゼングリラ市の港や砲台設備、監視塔や砦に多くの兵士が集まって居た。





 両岸の各所に国旗と軍機、部隊旗を掲げて立って居る姿が見受けられた。





このパイプ・ライン大河は、世界最大の大陸であるユーラシナ大陸を東西南北を縦断して居る。





 この世界でも指折りの巨大な大河である。





川幅が約30キロ以上あり、水深が深い所で約15メートル以上は在る。





 名前の由来は、呼んで字のままである。





 パイプを繋いだ様に、各川同士とが繋がり合って居る所から付けれられて居た。





そして、このロウデニィオン市を防衛しているロウデニィオン騎士団。





 此処に駐屯する軍勢は、ロウデニィオ城を拠点として居り。市騎兵が1000人、歩兵が4000人、輜重隊と弓兵砲兵が合わせて2000人、全軍で7000人が守りに付いて居る。



 対岸のゼングリラ市には海軍が7000人が警備をしていて、同国の河口守りに付いて居る。





 現在、此処の責任者となっているのはアリスティア・レックスと言う。





 親しいもの達からは、アリスと呼ばれて居て、歳の頃は18歳である。



 アルガス皇国のマッケンジー家からレックス家に養子に出された過去がある。





アルガスには、騎士団長しているクリスティーナ・マケッンジー、通称クリスと呼ばれている双子のの姉がおり、髪の長さ肩まで有るが、姉が銀髪でアリスは金髪で、その見た目は良く似ていた。



 だが、姉妹揃って少しだけ困った所が有るのだが、其れに付いては間も無く分かる事と成る。







「アリス隊長っ!!アリス隊長っ!!」



「相変わらずお姿が見え・・・・・と言うか気配が感じられ辛いな?」



「おい、アリス隊長は何処に居られるのだ?」





同じ歳でロウデニィオン騎士団の副隊長を務めるアムリア・レイと言う女騎士は、アリスを探して居た。





「はぁ?また何ですか?」



「隊長は、影が薄いせいで、例えその辺を歩いて居ても、誰にも気付かれないか、只の冒険者扱いされて、身分が有る騎士様には見えねぇ~し~な。」





そう、彼女は幼い時から影が薄く、何をやっても普通の平凡以下の人であると見られてしまう。



 その余りの影の薄さに彼女を知っている人達からステルス・アリスとまで言われて居た。





 また、姉のクリスは、逆にどんな状況でも目立ってしまう体質を持って居た。



 アリスの体質は、戦地でも敵に無視される程の薄さで、集団で戦っても敵の大将や警護の者達にも無視されてしまう程だった。



 この有り得ない能力のせいで、常日頃から苦労して居るとても残念な女騎士なのであった。







「あ~な~た~た~ちっ!!私は此処に居るんだけれどもっ!?」



「アリス隊長?」







「何処?、何処ですか?」





「たい~ちょ~う。」



「声はすれども、お姿が見えず・・・・・・・」





「気配すら分からない。」



「毎度っ!毎度っ!何て面倒な・・・・・・・・・・・・・・・・」



キョロキョロと部下達が港にある騎士団の詰め所内を見回すが、全く見当たらない。



 アリスと言う女の子は、とある三国戦記美少女ゲームに出てくる地方領主以上か、とある北のファミレス漫画に出てくる引き篭りな上に不登校をしているJK以上に影が薄かった。



 正にゴースト、気配が薄い、存在が無い、帝国にすら彼女の名前が各国の要人名簿にすら載って居ない所か、密偵にすらその存在を知られて居らず、隊長を務めているのが副隊長アムリアと言う事にすら成ってしまって居たりするのだった。





「えーっと、あっ?!」





目がこの詰め所の隊長席に目をやると、すぅーっと、その姿が幽霊が現れた様にして、その姿が周りの人にも認識が出来たのであった。





「あっ!?居たっ!?隊長っ!何時からそこにっ?」





「ずっとずっと、ずーっとっ!此処に居たんだよっ!」



「もう、みんなもいい加減に慣れてよっ!」



「わたしは泣ちゃうよっ!ううっ、お姉ちゃんっ!みんなーっっ!」



「此処じゃっ!わたしを気にしてくれる子が、一人も居ないよおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」



 そのみんなとは誰かと言うと、幼馴染であった紅葉とその友人達の事である。





 アリスは、その親友以外に、存在を気に掛ける者達が、とても少なかったのであった。





 更に数年間の間、会っていない親友の中にも変化があり、かつて自分よりもとても地味な女の子だったリナが、今はスタイル抜群の爆乳女の姿に成って居る等とは、夢にも思って居ないのだった。



 更に双子の姉の方が、逆にも物凄く目立つと言う正反対の能力見たいな物を持って居るので、姉のクリスは、何時も周囲から貴女の妹は、今何処にいるの?とか、毎回言われて居たのである。





 二人揃って初めて普通に過ごせると言う凸凹な双子で、両家の親族達は、二手に分かれさせたのは、失敗だったかもと言い合う始末。





「あの~隊長、そろそろニホン海軍が通過するとの時間に成ります。」





「ああ、そう言えば紅ちゃんから色々と便宜を図って念を押されのよね。」





「くれちゃん?」





 副隊長のアムリアは聞き慣れない人物の名に首を傾げた。





「紅ちゃんって言うのわね。コヨミ皇国の紅葉皇女殿下の事だよ。わたし十年来の親友で幼馴染なんだぁ~・・・・・・・」





「その様な高貴なお方とご友人とは、後で馴れ初めを聞いて見たいですね。ですが今は・・・・・・・・」







「もうっ!分かってるよぉ~っ!」





「今はお仕事、お仕事だよね。」





「ニホン海軍の通過を見届けるよ。国旗、軍旗、騎士隊旗など掲げ、盛大に出迎えて見送るよぉ~。後は礼砲の準備を怠るないでねっ!」





「はっ、了解ですっ!」





アムリアや他の部下が敬礼の後、部屋を出て行くのを見送ると、一通の手紙とこの国に無い精巧な絵が描かれている紙があった。



 それは写真である。





 写っていたのは、この手紙の送り主である紅葉であった。





 アリスは写真を持ち、遠くて近い地に居る友を思うのだった。







「お互いに落ち着いたら、また会いたいね。紅ちゃん。昔のように・・・・・・・・・・・・」





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前9時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・パイプ・ライン大河河口付近地域・ラクロアナ王国・グラッグ州 ・ゼングリラ市及びシャン・ライア州・ロウデニィオン市・パイプ・ライン大河・河口湾付近水域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 ダバ派遣艦隊の先陣を行く、はやぶさ型ミサイル艇7艇が、三角系の型の陣形を組んで進んでいた。



 はやぶさ隊の旗艦であるはやぶさの艇長である石井竜三3佐が、河口付近の港の状況を艦隊旗艦であるかがに伝えられる。







「此方は石井っ!河口及び進路上に船舶無しっ!なお、両対岸に現地軍の儀礼隊の見送り有り、以上。」







「了解っ!引き続き先行しつつ、情報を伝えられたし・・・・・・・」







「置鮎一佐っ!間も無くパイプ・ライン大河内に全艦隊入ります。」



「観測班隊の海洋観測艦しょうなんから入電です。水深の深さに問題無し、全艦前進に支障無しとの事です。」







置鮎一佐は、ダバ派遣艦隊の全艦隊に命じる。





「全艦前進せよっ!なお、手の空いて居る者は、両岸のラクロアナ王国軍に対し敬礼。指定、礼砲の変わりに汽笛にて返礼。」







「はっ!各艦に通達っ!ラクロアナ王国軍の礼砲に対し、汽笛にて返礼っ!」







通信士がダバ派遣艦隊の各艦に命令を伝えると、同時に付近から大砲による礼砲が聞えて来る。



 両岸には国旗を始め、王国関係の旗が並んでいた。





 アリスは、ロウデニィオン市に駐屯する各隊の代表を集めて精一杯の出迎えをしてくれて居た。





「おおっ!?アレがニホン海軍・・・・・・・・・・」





アムリアはニホン海軍・・・海上自衛隊の護衛艦隊のその堅牢な勇壮、鋼鉄の要塞艦隊の姿を見て言葉を失っていた。



 各艦には自衛隊旗である朝日旗と日の丸国旗が掲げられて居る。





「確かにスゴイなぁ~っ!紅ちゃんが言うだけの事あるねっ!」







「はい。」







「だが、見惚れて居る暇は無いよっ!各隊、礼砲撃ち方始めーーーーっ!!」







「はっ、礼砲っ撃ち方始めっ!!」







ズドーンと言う大砲の轟音が川の両岸から聞えて来た。





 対するダバ派遣艦隊の各艦から汽笛が音が聞えて来た。





 今回の航海には、礼砲に使う空砲用の弾頭を持って来て居ない。





 輸送する船がギリギリであり、戦闘が起こる可能性も想定しての事である。





 更に礼砲を撃ち返えす事ができない事を紅葉が手紙で手を回していた。





 コヨミ皇国皇女の肩書きは伊達では無いし、ロウデニィオン市の防衛をして居るのは、紅葉とは10数年来の彼女の親友である。





「総員っ!ラクロアナ王国軍、ゼングリラ市、ロウデニィオン市に駐屯する全ての軍に対して敬礼っ!」





護衛艦隊の各艦長を含め、手の空いて居る隊員達は、対岸の王国軍に対して一斉に敬礼をした。





 ラクロアナ王国軍の人達は、ニホン海軍の規律の良さに舌を巻いたと言う。







この日、両岸の港の通行規制と物々しい警備が行われ、儀杖隊と礼砲用の大砲がズラリと並んでいた。





 この光景を物見高い市民の人々は、ニホンと言う聞いた事も無い謎の国家の海軍を見て、どんな国だろうと思いを馳せていた。







「うああああぁぁぁぁぁーっっ!すげーっ!!すげーっ!!すげーよっ!!!あれって、如何やって浮かせて居るんだよっ!あの船はっ!!」







とある若者は海自艦隊を見て衝撃を受けていた。







「本当だな。この世界で空挺や魔動陸船含めて巨大な船を動かす物が、それら以外にも存在するなんてなっ!!!」







その横で学者らしき男が海自艦隊の護衛艦を見て、どうなっているのかを考察している様だった。







もう、この世界では、かつての超文明の史実を知って居るのは、政府関係者、系列の子孫、知識人に技術者関係等くらいだろう。



 この様に一般人の殆んどが超文明の史実を知らず、教育を受ける機会が得られない故に、この様な発言がどうしても目立ってしまう。



 やはり、彼等の様な者達全て対して、教育を受けさせるには、莫大な予算が掛かるのは目に見えている。



 昔は誰しも受けられた時代や国が在ったが、文明の衰退した状態では無理もない話しだろう。





「アレは何処の国の船だ?」







「確か王国軍とシャン・ライア州知事とグラッグ州知事の発表じゃ、ニホンと言う国らしい。」







「何処の国かは知らないが、スゴイな日本。ひょっとしたら、帝国よりも優れて居るかも知れないな。」







此処に居る多くの市民や下っ端の兵士らは、目を丸くしてダバ派遣艦隊を見ていた。



 巨大なヘリ空母、見たことも無い一門ないし二門の単砲塔を持った戦艦。砲台を持った小型艇、巨大な輸送艦が何隻も次々と通過する姿は、スゴイ、スゴイと口々に言って居るのだった。