異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ

アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月30日・午後15時20分・のことです。



 コヨミ皇国・万代藩・万代市に在るユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部・万代支部・第一会議室。

遅め昼食が終わり、日本側が使った会議室とは別の第三会議室に集まった一同。





 翌日に出発する西方への輸送艦を多数使った西方国家元首脳陣・極秘輸送艦隊極秘輸送大作戦が行われる。







それはダバード・ロード王国からの打診で、魔動機兵と言う人型兵器の受領、そして東京サミット開催(仮)の為に魔動機兵と言う人型兵器の受け取ると言う形で、西方国家元首脳陣を日本へと迎え連れて来ると言う一大極秘輸送作戦。





 更にダバード・ロード王国のもう一つの目的たる自国生産の魔動機兵を改良開発を目的に、軍事機密の塊を日本に譲渡し、新型機の開発を協同でやろうと言うものでした。   



 そんな様々な事情が絡む一大プロジェクトに向けて、ダバード・ロード王国は、廃棄寸前の機体と古い型の機体を凡そ30機以上を用意して待って居ると言って来て居ました。



 日本も何れは、この行為に対して何らかの譲歩をしなければ、成らないだろうが、今は国交の締結を優先する考えでした。



 魔動機兵の譲渡と改良研究は、あくまでも西方国家元首脳陣を日本へと迎え連れて来ると言う一大極秘輸送作戦の一環の序でであり、これに関しての見返りはダバード・ロード王国側から求められて居ませんでした。



 ダバード・ロード王国側からすれば、魔動機兵の譲渡は、自分達を日本まで護送輸送をして貰う旅費の一つと決めているからでした。





 だが、そのハイリスクリターンから来る自国への利益は、彼の国に取って莫大な物と成るのは確実と言える国益が絡む事で、自国の首脳幹部を黙らせる事で成立して居ると思われます。





 会議室では、右側に日本関係者、左側にコヨミ皇国関係者が座り、その間に交援省大臣である竜史が、この会議の進行役として座って居ました。



竜史の側から見て左のコヨミ皇国側の席に居るのは、日本との仲介人役を引き受けている紅葉が座って居ました。



 そして、た西方国家元首脳陣・極秘輸送艦隊極秘輸送大作戦の最後の打ち合わせが始まります。







 竜史は、書類を持ちながら会議の進行を始めます。





「それでは最終確認を兼ねた会議を始めます。自衛隊の用意した陸海の両部隊の編制は書類の通りです。」







「準備期間が短いのに随分と早く揃えたものね、これなら大事な部下達を派遣出来るわ。」







 部隊編制の内容を見て感想を述べているのは、コヨミ皇国屈指の偏屈で変わり者と表される伊達愛海でした。





「写真付の書類と言うのがまた、良いわね。これなら素人でも、パッと見る事で大体の事が分かるもの。」





「良い仕事してるわ」と言い仕事をした自衛官や他の省庁の官僚等を誉めて居ました。





 後方の席に控えて居る日本側の各省庁の者達は、彼女の噂をまことしやかに聞いていた為に、汗をダラダラと垂らして居ます。



 付け加えて言うのなら、これを纏めた官僚と自衛官等は、正に死に物狂いで仕事を行ったと、担当をして居た関係者からの回顧録に残って居ます。





 そんな中で、これを纏めた官僚と自衛官等は、意気消沈の所を愛海の毒舌を喰らい止めを刺されて居たのでした。







「それじゃ、二人とも留守の方は、このわたしに任せて、日本の人達の道案内を宜しくね。」





「はい。」





「はい。」





 愛海の横には高雄瑞樹と愛宕千棘の二人が座って居ました。





「いや、違ったわね。留守はわたしと自衛隊が守るから安心してねが妥当だと思うわ。」





今度は実際に防衛を担う自衛官の人達が汗ばんでしまいました。



「愛海様、今回は観戦武官の任も同然と考えています。」





「ふふっ、そうね。乗った事もない船に乗るのも大事な経験よね。」





「そうよね、どうせならしっかりとやり方を盗んで来なさい。」





(いや、この場で堂々と我が自衛隊のやり方を盗めって。)





(普通、言うか。張本人たる我々が居るこの場で・・・・・・)





 ニヤニヤとして居る目で、下っ端の自衛官の様子を見て、揶揄いがいが有ると思って居る愛海。





 今回、コヨミ皇国側の好意で、瑞樹と千棘の両名は自衛隊の道案内として、本作戦に参加する事と成って居ました。





「羽佐間提督も、もしもの場合は例の約束をお願いするわ。」





「分っておりますとも。万が一の場合の件は高見大臣との協議をしておりますし、日本政府の許可も取って有ります。」





羽佐間海上幕僚長も冷静な顔立ちで彼女に相対して居り、幹部自衛官達らかは、流石は年の功であると・・・称賛されたと言います。





その会議を見ている紅葉は心の内で「はぁ~」と溜息を吐いて居たようです。





 友の吐く毒を受け流せる人は、そうは居ないと呆れて居たようです。



例の件と聞いて、ふと気に成った置鮎一佐が疑問に思い質問をしました。





「ああ、今はまだ話せん。何事もなければ、それで良い。」





「はぁ?」





 これ以上聞いても無駄と悟った彼は、大人しく引き下がったようです。





 最終確認を終えた双方は、翌日の午前6時集合、7時出港とし、会議はその場で解散と成りました。





 その翌日たるアースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前6時00分の事です。



 起床ラッパが、万代港に建てられた自衛隊基地の各地で鳴り響き、職業病とも言われる規律正しい彼らが行動を始めます。



 西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊・略称名・ダバ派遣艦隊は、出港準備を整え、はやぶさ隊を先行出港させ、万代湾沖で合流。



万代湾を抜け、その沖合いで、はやぶさ隊と合流し、艦隊陣形を輪形陣に整え、その針路をパイプ・ライン大河の河口へと向かうのでした。



先頭には、偵察隊の役目も兼ねた小回りの効くはやぶさ型ミサイル艇7隻が先頭を警戒しながら先行航行して行く。



はやぶさ型ミサイル艇は以下の通りと成って居る。



はやぶさ、わかたか、おおたか、くまたか、うみたか、しらたか、とんび。





 続く護衛艦あかつき・ひびき・いなづま。海洋観測艦しょうなん。



 中衛に入ると護衛艦きりしま・あしがら。



 ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが。



  輸送艦あつみ・もとぶ・みうら・おじか・さつまと続く。



後衛に入るとヘリコプター搭載護衛艦かが。



 多用途支援艦ひうち・すおう・あまくさ。



 補給艦ましゅう・おうみ。掃海母艦うらが。





 揚陸護衛艦つがる・おしま・おが・おもえ・まつまえと成る。



 最後尾を護衛艦しらつゆ・しぐれ・すすかぜを殿とした。



 左備えを護衛艦いかづち・くらま。



 右備えをとね・ちくまと成って居る。





出港から2時間が経とうとして居た頃、間も無く第1通過点であるラクロアナ王国領・グラッグ州 ・ゼングリラ市及びシャン・ライア州・ロウデニィオン市と言った州都に挟まれて居る境界線付近にも成るパイプ・ライン大河河口水域へと入ります。





コヨミ皇国の北に位置し、ラクロアナ王国側からすれば、パイプ・ライン大河の河口水域で、二つの州都は大河沿いに造られ、大河を挟んで北西方向から南に向って町と街道が延びて居ます。





 北に在る州都がグラッグ州 ・ゼングリラ市で、南の州都がシャン・ライア州・ロウデニィオン市と成って居ます。





 此処は互いに小高い丘に沿って城が築かれ、南方と東西貿易によって栄えて居る都市として知られて居る所でした。





この日の港には、コヨミ皇国側からの事前通達があり、ニホン国なる国の海軍艦隊がパイプ・ライン大河を通過して、西方のダバード・ロード王国へと向うとの連絡が入って居ました。





 ラクロアナ王国軍としては、他国の軍隊が、ただ通過するだけを拒む理由は、特にありません。



 その目的が武力侵攻ではない限りなのは当然のこと。





ラクロアナ王国軍は、ロウデニィオン市と川向こうのゼングリラ市の港や砲台設備、監視塔や砦に多くの兵士が集まって居たようです。



 両岸の各所に国旗と軍機、部隊旗を掲げて立って居る姿が見受けられて居たと市政歴史書の記録には残って居ます。





 パイプ・ライン大河は、世界最大の大陸であるユーラシナ大陸を東西南北を縦断して居り、この世界でも指折りの巨大な大河なのは言うまでありません。







 川幅が約30キロ以上あり、水深が深い所で約15メートル以上は在り、その名前の由来は、呼んで字のままでパイプを繋いだ様に、各川同士とが繋がり合って居る所から付けれられからでした。





 そして、このロウデニィオン市を防衛しているロウデニィオン騎士団。



 此処に駐屯する軍勢は、ロウデニィオ城を拠点として居り。市騎兵が1000人、歩兵が4000人、輜重隊と弓兵砲兵が合わせて2000人、全軍で7000人が守りに付いて居ます。



 対岸のゼングリラ市には海軍が7000人が警備をしていて、同国の河口守りに付いて居ます。





 当時、同地の責任者と成って居たのは、暦紅葉を中心とした紅花園の誓い (こうかえんのちかい)の英雄の一人にして、双子姉妹英雄としても知られるアリスティア・レックスでした。



 アルガス皇国のマッケンジー家からレックス家に養子に出された事も有って、アレックス家の騎士として、ラクロアナ王国軍に入隊して居た関係で、騎士士官学校の成績も良い事から、若くしてロウデニィオン騎士団に配属され、騎士団長と成って居ました。





 アリスがダバ派遣艦隊の通過を監視して居た事は、公式な記録として、ラクロアナ王国・グラッグ州方面軍の記録に残って居り、アリスが公式に名前が残って居る初めての確認された記録にも成って居ます。





 アリスと日本国の関係が繋がるロウデニィオン市とゼングリラ市。



 今もロウデニィオン騎士団は、同地の行き交う貿易船と軍船を見守り、同地の治安を守って居ます。





アリスティア・レックスとロウデニィオン騎士団記念館



 旧ロウデニィオン騎士団女子寮を記念館した建物で、アースティア大戦とラクロアナ王国の英雄たるアリスティア・レックスに関する資料を展示して居る記念館で、同時にロウデニィオン騎士団の歴史に付いても展示して居る。





ロウデニィオン港から15分。



  ユーラシナ大陸間横断シベリナ鉄道・アルビオン王国 首都・聖騎士王都ロンデニュウム市方面行き・ロウデニィオン市駅舎から10分。





ロウデニィオン騎士団



 ロウデニィオン市内に在る騎士団庁舎を拠点とする地方騎士団の事で敷地内は、関係者以外立ち入り禁止だが、外観からの見学は可能で、指定日予約制の一部庁舎内に限って一般公開をして居る。



 応募方法は専用ウェブサイトとロウデニィオン市とゼングリラ市の市役所広報課とホームページからアクセス。



アースティア暦1000年・4月25日当時は、ダバード・ロード王国の宰相であるアイサ・ノートは日本国との交渉準備に追われて居ました。



 特にしなければ成らないのは、日本との交通路網と長距離連絡設備の整備でした。



定期的な交易や互いの首脳または大臣や官僚との交流を活発にして行くのには、やはり交通の便や通信設備の充実が良くなければ成らない事は、地球世界でもアースティア世界でも変わらない事は当然のことでしょう。



 その点、ダバード・ロード王国と日本との交通路を考えると陸上の街道では、日本国の自動車なる乗り物では、数日掛かってしまいます。



 次に鉄道と言う乗り物を整備すると成ると、莫大な費用と時間が掛かるのは明らかでした。



 地球世界とは違って、空き地と国有地が圧倒的に多いアースティア世界に措いて、土地の買収費用は然程掛からないですが、大陸間横断鉄道の建設と成ると、本来ならば一世紀以上は掛かる国家事業プロジェクトです。



 しかし、この航路は、一番便利で早いが、常にローラーナ帝国の嫌がらせ行為の有る危険地帯を通る事に成ります。



 そして、ローラーナ帝国との国境沿いを流れるパイプ・ライン大河を使うのが、今考えられる現実的に最も日数が少ない方法でも有るのでした。



 それでも大河沿いには、数多くの港が在り、各地へと続く川が流れているパイプ・ライン大河と繋がって居る所が多く、とても使い易い大河なのは、今日の太平の世に措いても、それは変わりありません。



 ダバード・ロード王国でも、アルインランド州の州都・ベルクラネル市の近くのアイリッシュ湖もその一つでした。



アイサは、それとは別に有るもう一つ地点に目を付けました。





 ダバード・ロード王国の国土交通管理省が管理して居る地図では、ガイダル諸島と書いて在るだけでしたが、



 此処には400年前まで使われていた飛行場施設である旧ロード・コスモ資本連合国ガイダル諸島空港が遺跡と成って残って居ました。



 何でもその場所には、空挺魔導戦艦専用の飛行場が在ったと記録には残って居ましたが、州都・ベルクラネル市の北へ50キロの地点へと飛行場が移転した事により、航路の変更が行われて、その当時では。全く使われずに放置されていたそうです。



 それ以来、その飛行場は長い年月の間、忘れ去れて、誰にも気に留められず、荒れ果てるのに任せて居ました。



 アイサは国土交通管理省から上がって来たガイダル諸島の旧飛行場の資料に目を通します。



 国土交通管理省とは、ダバード・ロード王国に措ける日本国で言えば、国土交通省のことで、王都インディクスの官庁街に在る省庁の一つです。



 彼女は、此処なら古い建物を取り壊すだけで済むかもと考え、新たな飛行場として日本政府に誘致をして見ないかと、アーヤ・シュチュ―ド女王に上申するのでした。



 ダバード・ロード王国の宰相であるアイサ・ノートとアーヤ・シュチュ―ド女王の二人は、国王執務室で、日本国へと飛行場として貸し出し提供する予定のガイダル諸島に付いて話し合います。



「それで、600年も前の飛行場・・・・・本当に利用価値が有るのかしら?」





「はい、新しい所を探すにしても、多額の買収に費用が掛かりますし、候補地の選定も手間となるでしょう。」







「これから更に対帝国戦が激化する中で、食料生産に必要に田畑や木材の生産に必要な野山を下手に削る訳にも行きません。」















「その点、遺跡同然の旧ロード・コスモ資本連合国時代に作られた旧時代の飛行場を改修または建て直す方が良いか・・・あの遺跡は、確か巨人戦争が終わって暫くは使って居たわね?」















「はい、旧ロード・コスモ資本連合国は、第2次転移国家の一つで、宇宙なる所へ飛び出すほどの超文明を持って居たと聞き及びます。」







「しかし、転移して暫く経ってから巨人戦争が起きてしまっ為に、彼の国を始め、多くの超技術を使った兵器や飛行船が転移国家に由って、この世界に齎されたとと言われて居ります。」







「今やその技術の一旦は見られる事も在りますが、今現在に措いての現状では、その殆んどが失われ、我々の様な政府関係者や知識人以外では、昔話や御伽噺とされて居ますね。」







「それに我が国や隣国のオローシャ帝国は、巨人戦争後に第2次転移国家との戦後復興を早める為に、隣国の大国の国家との合併をする事と成りました。」





この世界は、第1次転移国家群と第2次転移国家群が在ります。



 第1次転移国家群は王制国家と近代または現代的な民主国家で、前者が剣と魔法が主体の国家と後者が機械工業の発達していた民主国家でした。





 第2次転移国家群は巨大なロボットと宇宙戦艦、そして巨人タイプの宇宙人がこの世界に転移して来て居たそうですが、今では遠い昔の話なので、第2次転移国家群は巨大なロボットと宇宙戦艦と言ったロストテクノロジーを再現する事は困難だと言われて居ます。





 第1次転移国家時代の戦争を創世戦争、第2次転移国家時代を巨人戦争と呼んで居ました。





 その後に邪神戦争という異界からの化物と対峙した戦争があり、邪神戦争の終結した後にローラーナ帝国は、当時国王であったギルバート・メリッシュ・ローラーナは、皇帝を名乗って世界統一を宣言、周辺国に戦争を仕掛けたそうですが、真意の所は分かりません。



 その直接的な原因と成った理由は、今もって不明であるとされて居るからです。



この度重なる戦争のせいで、超技術を持った国家は合併したり、国力が傾いたりして徐々に消えて行きます。



 それでも商業国家や都市国家連合には、代表選挙制度のみが制度として生き残る形と残って居ます。



 そして、邪神戦争以前の歴史は徐々にお伽話と成って、人々の記憶の片隅へと追いやれて行くのでした。





「日本には、別件で飛行場の調査と発掘をして貰いつつ、改修か建て直しを頼みましょう。」







「日本の技師や学者関係者達と作業機材の運搬と迎えには、オローシャ帝国に居るリナの親友が、武装運送商会をして居る筈だから、その子に頼みましょう。」











「ああ、先頃、日本行きに付いてのオローシャ帝国からの返答の手紙を届けに来られたと言う方ですか。」











 アイサは数日前にオローシャ帝国から使いとして訪れたシェスカーナ・フローレイティアと言う女性を思い出して居た。











「そうよ、シェスカの所有する私設艦隊ならば、この依頼を十分に引き受けられるわよ。」







「直ぐに魔水晶を要して頂戴、ミランダと直接話すわ。」











「分かりました。」





 こうしてアーヤ女王は、オローシャ帝国の妹とも言える存在たるミランダ女皇帝を通じて、フローレイティア侯爵家現当主にして、フローレイティア輸送商船商会を経営して居るシェスカーナ・フローレイティアこと、シェスカに連絡を取り、シェスカの輸送艦隊を日本に派遣し、日本からガイダル諸島の旧飛行場遺跡施設を改築工事をする為に、日本国政府に対して、人員と資材と機材を運び込む手配を頼む事にしました。



 シェスカは紅花園の誓い (こうかえんのちかい)の一人で、紅葉の親友の一人でも有った為の人選でした。



 シェスカは武装輸送商会を経営する傍らで、オローシャ帝国の海軍にも所属して居る為に、、アーヤも勝手な事が出きないので、隣国であるオローシャ帝国の女帝、ミランダ・ランティーとの間で、フローレイティア武装輸送商会艦隊を使わせて欲しいと嘆願するしかありませんでした。





 こうして、ダバード・ロード王国の安全保障問題政策の一つと成った、ガイダル諸島・タバ日統合隊基地の建設計画は、この様にして立案計画が為され、実行する事に成ったのですが、この計画に由って、アースティア世界内でも、まだ世界的に無名だったシェスカも表舞台へと出て来る事に成り、後に高見竜史と出会い、惹かれ合い、結婚する事に成る切っ掛けにも成ったのです。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月30日・午後14時10分・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港・防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部・万代支部・第一会議室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 一行は海自区画を抜けると中央にある防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部、万代支部と書かれた建物の前で車を降りた。



 ちなみに派遣隊本部は、大使と外交官を含めた人達り護衛と総合的な情報が手に入り易い皇都・星都市と成って居る。





 此処でコヨミ皇国側の人達とは、一旦、別れる。





 コヨミ皇国の人達が自衛隊基地に来たのは、ある事に付いての会議の為であった。



 日本側がコヨミ皇国の者等と一旦、別れたのは、単に自衛隊だけで行う事務的な会議と打ち合わせの為のである。



 ついでに会議室で昼食も摂るので、コヨミ皇国側との直接会議の日程は、午後3時過ぎからと言う話に成っている。



 それまでコヨミ皇国のメンバーは、食堂で昼食を取る予定に成って居る。





竜史達と自衛官等の一行は、集合予定の有る第一会議室の中に入ると30代半ば位の無精髭を生やした男がブラックコーヒーを飲みながら待っていた。





「よう、久し振りだな三石。」





「置鮎一佐、お久し振りですね。」





この二人は、何度か一緒の護衛艦での勤務と地方隊の編制で、同じ地方隊や護衛艦群で、供に艦長の経験があった。



 置鮎の方が出世が早い事もあり、暫くの間、お互いに顔を会わせて居なかったのであった。





 置鮎竜次郎一佐は、現在はヘリコプター搭載型護衛艦かがの艦長をして居る。





 海自では艦長に成れるのは、2佐以上と旧海軍時代からの慣例であり、世界の海軍の慣例でもある。



 但し、水雷艇の指揮官は艇長と言い、これは3佐以上で成れるのだ。





 日本ではミサイル艇はやぶさが、これに当たる船だ。



 これも世界的な慣例的決まりで有るのだった。





「三石2佐、立ち話と旧交を温めるのは、それ位にして、席に着きたまえ。」





「はい。」





羽佐間に、そう言われると彼女は置鮎の隣の席に着いた。羽佐間の右手に竜史が座った。







「遅れて済みません羽佐間さん、陸自の打ち合わせが少々長引きまして。」







「構わんよ。そちらの打ち合わせが決まらんと家の方も動けんからな。」





 数分の遅れで入って来た家中陸将が陸自の幹部らと一緒に会議室に入る。





「椎名ひかる三佐です。」





「黒田宗近一尉だ。」





「ダバ派遣・陸自派遣隊の指揮官を務める井上一彦一佐です。」





 この三人は、これから話し合われるダバード・ロード王国への派遣部隊主要なメンバーであった。



 ダバード・ロード王国からの提案で、準備が進められて居る国際会議の開催地と成る東京へと向かう事と成った西方の国家元首や政府職員の向かえに行く為に、結成された西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊。



 略称名はダバ派遣艦隊と名付けられた派遣艦隊。



 その陸自のダバ派遣部隊の一翼として部隊指揮を任されて居る人達である。



 椎名三佐は女性で、キャリアウーマン風な顔立ちのクールな女性に見えるが豪快な性格で、10式戦車隊の車長兼中隊長していて、彼女の部隊は、演習での命中率と撃破率は120%なんて噂が有る。



 黒田一尉はAH-64D戦闘ヘリコプター (アパッチ・ロングボウ) 隊の中隊長をしている。



 井上一佐は普通科の大隊長をしていて、レンジャー持ちでもある人物だった。



 そして、水陸旅団や空挺隊員の多くの経験も積んで来た事のあるベテランでもあるのだ。



 さて、このメンバーを集めたのは、日本政府と防衛省、外務省、交援省であり、此処に居る自衛隊にメンバーらすら、その真の目的の内容を知らされて居ない極秘作戦。



 東京サミット開催(仮)の為に護衛艦隊と陸自派遣隊の2部隊で構成された西方国家元首脳陣・極秘輸送艦隊極秘輸送大作戦を行う為の招集である。





「さて、皆さん、お忙しい中をお集まり頂いて有難う御座います。ある事情が有りまして、日本政府は防衛省、外務省と共に、僕の所管する交援省にある事を要請して来ました。」





「それは、ダバード・ロード王国から自衛隊の西方への派遣要請です。」



「実は西方の雄である国家の一つで、ダバード・ロード王国が先頃、コヨミ皇国駐在大使を通じて、我が国の外務大臣である諏訪部さんと交援大臣である僕に会談の申し込みが有り、同大使からある以来の話が有りました。」





「それはこの世界の主力兵器として運用されている魔動機兵・ナイト・マギアの譲渡です。皆さんには、この機体の受領と輸送艦隊の護衛をお願いしたいと思って居ます。





「輸送の護衛だ?そんな事くらい向こうの輸送艦隊と戦闘艦隊で、何とかならないのか?」



「それが出きれば苦労無いとの事です。大艦隊を派遣すれば、帝国との大戦に成り兼ねないとの理由から、現地軍が日本国へと向かう事は困難を極め、現地へのルートは帝国の国境線であり、最前線とも言えるパイプ。ライン大河。」





「並みの軍では走破は難しいと、日本政府、防衛省、外務省、交援省が総力を挙げて調査した結果で出て居ます。」









「そんな理由から、僕は国外にして、未知の異地である西方地域への輸送艦隊の護衛及び、西方地域の直接調査と情報収集の為に、最高司令官代理及び交援省大臣として権限を行使し、自衛隊に西方へ遠征派遣出動を命じます。」





「遠征?これまた久しく余り使われていない言葉だな。ソマリア以外で軍事的に近い行動を極力避けて来た我が海上自衛隊としてはだがね。」





置鮎が皮肉を言いつつ、竜史の物言いを心の内でその面白い言い方を笑っていた。



 昨今では、遠征なんて言葉は日本では聞かなくなって居る。





 災害派遣、人道支援、海上警護、海上警備、調査派遣等と言われて居るし、唯一言ってる軍事的に近い用語と言えば、練習艦を伴なっての遠洋航海くらいだろう。





 軍事的な用語を政治の場や公共の場で言う事は、我が国では避けられて来た事であった。



 竜史は素人的な失言を言っているとも言えるが、もう、国連も中国も南北朝鮮も居ないのだ。





 遠慮と配慮は要らないだろうと言う考えから、この事をワザと言っていた。





国会も戦争行為自体を反対する勢力が居る物の、与党と中立政党は、侵略行為に当たる行為が無ければ、自衛隊の運用に問題が無いとの考えからであって容認する動きが強い。



 現政府も余程の無茶な行動をしなければ、与党議員と中立政党議員もそして、国民も五月蝿く言わないと予想して見ていた。



 まあ、国内各地でアレな人達が今もプラカード片手に日本各地で、戦争反対っ!戦争反対っ!と声高に叫び声を上げて居るが、そんな現実逃避と活動費を食い物にして居る連中の言う事を聞く必要も言ってる事を真に受ける気も、今の日本政府には更々無いのだ。 





「まあまあ、置鮎さん、今の発言はジョークとして流して下さいよ。」





 若者が年上から弄られるのは、ご愛嬌である。からかわれて居るのを承知で竜史は話を続けた。





「さて、この度の皆さんへの出動命令は、先月末にコヨミ皇国の万代市の外務省連絡事務所に、ダバード・ロード王国からの打診を受けての事です。」





「現在日本政府は、コヨミ皇国と国交樹立に向けて先月から外務省が中心と成ってコヨミ皇国に入り万代市と加古島市に事務所を構えました。」





「そして、今月の中旬から皇都・星都市にも大使館を構えて居ます。」



「交援省も外務省のサポートや情報収集をしながら、様々な方や各国の省庁組織と接触し、日本国と地球系国家とのサポートと橋渡し役を担う仕事して居ます。」



「そして、先月から各国の在コヨミ大使館の大使と面談や各国本国から、国交に付いての日程の問い合わせを受けて居ました。」



「勿論、此方も何カ国かに国交樹立申し出をコヨミ皇国に仲介して貰って居ますが、ある国が逸早く動きが有りました。」





日本がコヨミ皇国入りして1月が経って居る。



 皇都・星都市と万代市それと加古島市にある外務省連絡事務所は、コヨミ皇国から仮では有るが、大使館と領事館にの扱いに格上げされて居る。



 日本からの大使の派遣に付いても人選が、検討中なので就任次期は、もう少し掛かる様である。



 異世界各国も強かで、日本の存在を知り始めた各国の大使が本国との連絡のやり取りが活発に成って居た。





 そんな中で先手を取った国が在った。



 それがダバード・ロード王国である







「早いな。情報の早い獲得と素早い外交能力・・・・優秀なトップが居るようだな。」





置鮎一佐は、素早い動きをした国家を誉めた。





 三石は出発前からニュースや海自基地の上官等から今だ人数不足と警備上の問題から皇国以外の国家に、外交団の派遣が出きないもどかしい状況と厳しい状況にある日本の情勢である事を聞いていた。





「それが先に申しましたダバード・ロード王国です。」





竜史の話に自衛隊幹部らの注目が集まる。





「そのダバード・ロード王国からの申し出は二つ有ります。」





「その内の一つは、ダバード・ロード王国内のアルインランド州の州都の近くには、パイプ・ライン大河が通過する湖であるアイリッシュ湖が在ります。」



「そのアイリッシュ湖の中央には、ガイダル諸島と言う島が有るそうです。」

「そのガイダル諸島には、複数の古代の遺跡が、そのまま残って居るらしく。此処を日本に調査して欲しいとの事です。」





「はぁ?遺跡だぁ?高見君そんな事は、文科省を通じて考古学者か各大学の関連の博士にでも頼めば良いんじゃないのか?」





置鮎一佐は、当然の事を言うのである。





 確かに遺跡なら文科省が国内の専門大学から学者でも派遣すれば済む話だ。





 何で自衛隊がわざわざ出向いて行く先では無いと思うのは誰でも当然の考えと言えた。



 

 その事に付いて竜史は、話しを続けながら置鮎に納得の行く説明をして行く事で誤解を解こうとした。





「実はその遺跡でですね。その昔、空挺魔導戦艦の飛行場に使われた施設の遺跡らしいんですよ。」



「ダバード・ロード王国からは、その飛行場遺跡を調査した上で、現代式の飛行場に作り変えて、使える様に欲しいと言われたんですよ。」



「其処で交援省は、日本政府に対して、必要な資材と機材、遺跡調査に必要な学者と建築技師、護衛の普通科部隊と施設改築建設の為に施設科等の自衛官達を付けて現地に行って貰ったのですが、其処でとても面白い物を発見したんですよ。」





「面白い物?」





 井上一佐が聞き返してきた。





「ええ、魔法の中には、物や建物を保存する固定化魔法と言う魔法が有りまして、その魔法が掛けれた遺跡はですね、保存状態がかなり良い形で残り続けると言うんです。」





「そして、調査した飛行場の地下室のその中には、見た事も無い戦闘機が30機と弾薬が多数発見されました。」





「それも700年前の遺跡でですよ。」





「正に異世界、SF映画みたいな出来事だな。」





「事に由っては、世紀の発見と言う感じにも成りますね。」





丸で映画やアニメのような竜史の話に黒田一尉と椎名三佐も興味を惹かれたらしい。







「現地に派遣された文科省の職員と学者さん達に建築や電工技師の人達も驚いて居ましたよ。保存状態がとても良いので、発見した機体は、補修と電子機器を入れ替えれば、まだまだ使えそうだとの事でした。」







「その飛行場と発見した飛行機は、自衛隊と日本政府が管理する事と成った。」









「羽左間さん、我々はその飛行場への追加物資の輸送と魔導機兵の受領とも発見された飛行機の受け取りと輸送護衛が今回の我々の任務なのですか?」





 三石二佐が作戦の意図を聞いてきた。





「その通りだ。高見君。」





「はい。ダバード・ロード王国は30機以上の機体を日本に無償提供したいとダバード・ロード王国の在コヨミ皇国大使を通じて我が国に言って来て居ます。」





「先に述べた飛行機も、日本の筑波大学と三葉重工、カワカミ重工、モトダ技研工業、常陸那珂製作所、スバル星重工株式会社の五社で解析して行く予定と成って居ます。」



「おおっ?!我が国でも名立たる企業が集まっての技術解析か?」



「物凄い計画だな。」



 

 自衛官幹部達は、自分達に馴染みある日本有数の技術と技術者を有する大企業の名を聞いて感心していた。





 何しろ、防衛省と自衛隊が日ごろからお世話にも成っている会社が入って居るのだから、関心する所も有るのだろう。



アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月30日・午後14時20分・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港・防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部・万代支部・第一会議室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



更にダバ派遣隊付いての会議での話は続いて居た



「それでこの陣容なのか?だがな、このメンツと装備は過剰過ぎやしないか?」



「俺の所のアパッチとコブラ、それに椎名三佐の部隊の10式戦車隊や他の戦闘車両まで出す必要が有るのか?輸送するだけなら、海自や普通科の連中だけでも十分だろう?」





「ええ、黒田一尉の言いたい事は分ります。運搬だけなら海自の護衛艦と輸送艦の派遣、井上一佐や他のレンジャー持ちの自衛官の方々を含めた警備に必要な方法は他にも幾らでも有ると思います。」



「戦車や戦闘ヘリ、多数の陸自装備を持って行っての護衛は、流石に大袈裟では無いのですか?」





黒田一尉と椎名三佐も派遣する戦力が過剰すぎるのでないか、輸送をするだけなら、海自戦力と護衛戦力り陸自普通科部隊を少数で十分だと、素人でも同じ考えの反応をすろだろう。





他の陸自のメンバーもまた至極同然の疑問を竜史に投げ掛けた。



 それもその筈、今回の陸自の派遣部隊が合計で2000人。





 10戦車12両・16式機動戦闘車4両・AAV7水陸両用車10両。





 87式自走機関砲8両・96式装輪装甲車5両・87式偵察警戒車8両・89式装甲戦闘車5両。



11式装軌車回収車2両・31/2tトラック11台・軽装甲機動車12両。





 高機動車10両・120mm迫撃砲10門・1/2トラック2両・82式通信車1両。





 偵察用オートバイ8台・AH-64D戦闘ヘリコプター (アパッチ・ロングボウ)7機。



 AH-1S戦闘ヘリコプター(コブラ)7機・CH-47JA 輸送ヘリコプター4機。



 UH-1H多用途ヘリコプター4機・OH-1観測ヘリコプター2機と言った具合に、チョッとした上陸戦が出来そうな編制だったからである。





海自の編制もいずも型ヘリコプター搭載護衛艦かが、ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが。



 護衛艦きりしま・あしがら・いかづち・いなづま・くらま・とね・ちくま。



 あかつき型護衛艦あかつき・ひびき・しらつゆ・しぐれ・すずかぜ。



 つがる型揚陸護衛艦つがる・おしか・おが・おもえ・まつまえ。



 あつみ型輸送艦あつみ・もとぶ・ねむろ。



 みうら型輸送艦みうら・おじか・さつま。 





補給艦ましゅう・おうみ。はやぶさ型ミサイル艇7隻。



 海洋観測艦しょうなん・にちなん。





 掃海母艦うらが・多用途支援艦ひうち・すおう・あまくさ等が編制されて、派遣される事と成った。



 残った護衛艦で万代港の守りを固め、舞鶴や呉に佐世保の残存艦隊は、旧日本海と九州から東シナ海、更に皇国西側の龍雲海にかけての警戒を続けられて居た。





「俺もその辺の所を是非、聞きたいね高見君。」







井上一佐も大規模な編制の艦隊を大げさだなと見ていた。





 任務とは言え、一佐から三佐の階級クラスまでの指揮官として駆り出すには、特別な理由が要る筈と見ていた。





 確かに、ただの物資の受け取りと輸送だけなら、最低限の運用で動かせる海自幹部を上官とする艦隊や一射等の陸自衛幹部を指揮官にして、小中規模の部隊の編制で済むだろう。





 何か別の思惑か西に何か起きているかと思って居た。





 何れにしても彼の口ら語られるだろうと思い、余計なツッコミは言わないで置く井上一佐だった





「はい、若輩ながら国務の大臣職を預かっている身なので、この処置を取るのは、皆さんの無事の帰還の為の処置です。と言うのは建前ですね。地図を見て貰うと分り易い思います。」





 竜史は地図を指揮棒で指しつつ説明を続ける。





「此処より内陸の一部はコヨミ皇国領です。」



「西に龍雲海、その海の3方向には、南にドラグナー皇国、北はコヨミ皇国領で西に帝國占領統治領であるシャッポロ領です。」



「この海は丸で円を刳り貫くかのように形になっており、シャッポロ湾と言う地名の湾と成って居る所です。」





「この地方の海は、龍雲海を大きく3つの地域に分けて居ます。」





 地図の北に指揮棒が指される。





「北に目をやるとパイプ・ライン川と言う大河が流れています。この大河は、大陸のあちこちに延びて流れています。」



「何でも昔の戦争の名残と言う話が有ると聞き及んで居ます。」





「さて、その大河は支流も併せて、護衛艦クラスの船舶が、余裕で通過できるほど幅と水深が有ると先行偵察により調査済みです。」





「北には、ラクロアナ王国と言う国があり、コヨミ皇国との国境近くに大河を挟んで飛び地の領地、シャン・ライア州領が在ります。」



「此処は南北と西側方面の貿易港で、同国に取って重要な拠点と成ります。」



「問題なのは、此処から西に向って大河を遡上し、数箇所の湖を抜けて、3カ国の国境を越えて目的地であるダバード・ロード王国に辿り着くまでには凡そ7日以上ほど掛かると見ています。」



「行き来するのに、往復で凡そ14日を予定しています。」



「勿論、何か有れば予定の変更も構いません。日数も早期に帰還した場合での日数計算です。」



「自衛隊の皆さんには、安全第一で無事に戻って貰いたいと思っています。それと、厄介な出来事は有った時は、僕にご連絡を下さい。





「安元総理を始め、日本政府のお歴々と共に対処しますので・・・・・・・・」





「成るほどねぇ、これだけの距離を往復すると成ると、ある程度の規模の艦隊や陸自装備は要る様だな。」





「陸上戦力に揚力部隊と各種ヘリに戦車、装甲車と色々と物入りな訳だな。」





 置鮎一佐と井上一佐の両名は、凡その状況を呑み込めている様だった。





「と言う訳だ。スマンが陸と海、両自衛隊の指揮官二人は、緊密に協力し合って無事に帰って来て欲しい。」





「陸自の編制に対空誘導弾を持たせないのは護衛艦がある為だ。オマケとして87式自走機関砲を付ける決定は、わし等大陸派遣隊・統合作戦部からの厚意だ。」



「最も輸送艦の数が元々足りない事も関係しているがな。」





羽佐間が補足の説明をしつつ理解を求めた。日本は現在の所、旧式輸送艦を含めて17隻も保有している。



 一時期に比べて大幅な増強を行っているが、万代港への往復に従事している関係でこれ以上は、余程の事態が起こらない限り艦船を割けないのである。





「この輸送任務は、大河の反対に位置する南部の帝國領の近くをどうしても通過する事に有ります。」



「軍や民間の船が、ただ通過するだけならこの世界の慣例的な国際法に違反しないのですが・・・・・・・・・。」





「わたし達か、北部の友好国の軍隊が、帝國の何れかの地方軍団や地方部隊と独自にぶつかる可能性が有りと言うのですね。」





三石がこれから先の展開を予想し、頭の痛い事実に溜息が出そうに成った。





「それと西方でも帝国軍の動きが活発に成って居るらしいとの情報も入っています。」



「日本の管理下に成っている国際宇宙ステーションと第1次アマテラス計画の人工衛星の打ち上げに伴い、定期的な地上の監視を行って居ます。」



「やはり、地上では空挺魔導艦と陸上魔導艦らしき艦影の動きが活発に動いていますね。西方の大河の方でも帆船型戦艦も同じくとの情報が入っています。」





「軍事衝突が、何時、何所で起きるか分からない中を君達を派遣するのは危険なのは承知なのだが・・・・先方からの軍事兵器の無償提供だ。」





「この世界では大量輸送の手段が魔導船と言う我々からすれば、特殊船舶な事も有って、それらから身を守る完璧に近い防衛手段を持ち、輸送手段を持っている我が国が、直接現地に向わなければ成らないのだ。」



「それに軍事機密に相当する兵器を大量に運搬する危険性と無償提供を受け取りを断るのも外交上の慣例として失礼な事だ。」



「派遣される諸君なら無事に任務を遂行出きると期待している。」





羽佐間が最高司令官として話を纏める。





 確かに軍事機密に相当する魔導機兵と発見された戦闘機を大量に遠方へと輸送するのは、この世界では危険を伴う。



 何時、何所で襲撃されるか分からないからだ。





 護衛を付けたいが、それぞれ国に所属している官民が保有する魔導戦艦等の戦闘艦は、揃って帝国に対抗して居るし、どの艦もスケジュールも埋まって居て、急な対応に困って居るらしいのである。





 それに自由に動かせる船はと言うと、更に限られて来る。





 其処で彼の国は、日本に受け取りに来てい欲しいと頼み込んで居るのたが、本当は別の目的も絡んで居るので、実にこの様な回りくどいやり方に成って居たのであった。





「ともかく・・・・・西へ、先方からご招待です。」





「外交官は今回の訪問は、外交交渉ではない為に、行けませんが、無事に物資を受け取りご帰還を、それとこの封筒二つ、渡しておきます。置鮎一佐、貴方に預けます。」





 何か竜史が何処かの有名な軍師みたいな事をしていた。





「これは何だ?」





「秘密の封書です。今の日本のご時勢では、古いと言われるかも知れません。」





「秘密の指令書が入ってます。一つは、困った事態になったら封を開けてください。二つ目は目的地に着いたら開ける様にして下さい。それまでは金庫にしまって下さい。」





「了解した。」





「両指揮官は、それぞれの部隊指揮系統は、そのままにして、全体の統合指揮系統は先任の置鮎一佐を司令官とし、副司令官を井上一佐とします。」



「副官もそれぞれの指揮者をそのままとします。」





「それと、万が一の場合に備えて、追加の支援艦隊の編成と派遣の用意が有ります。ですので皆さんは安心して前に進んで下さい。」







「それでは皆さん、航海の無事とご武運を。」





竜史の締めの一言を言い終えると、その場に居る自衛官が一斉に立ち上がり敬礼をした。





 会議が終わると連絡を受けた給仕担当の自衛官達が遅めの昼食を持って現れた。





 そのまま会議室に居たメンバーはその場で昼食と成って行く。



 色々多忙なスケジュールで有ったが故に、お昼も遅くなってしまったらしい。



 かくして日本が異世界で初めて行う遠征任務の会議は、この様にして終わったのである。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月30日・午後15時20分・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港・防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部・万代支部・第三会議室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





遅め昼食が終わり、日本側が使った会議室とは別の第三会議室に集まった一同。





 翌日に出発する西方への輸送艦を多数使った西方国家元首脳陣・極秘輸送艦隊極秘輸送大作戦が行われる。







それはダバード・ロード王国からの打診で、魔動機兵と言う人型兵器の受領、そして東京サミット開催(仮)の為に魔動機兵と言う人型兵器の受け取ると言う形で、西方国家元首脳陣を日本へと迎え連れて来ると言う一大極秘輸送作戦。





 更にダバード・ロード王国のもう一つの目的たる自国生産の魔動機兵を改良開発を目的に、軍事機密の塊を日本に譲渡し、新型機の開発を協同でやろうと言うものであった。   



 そんな様々な事情が絡む一大プロジェクトに向けて、ダバード・ロード王国は、廃棄寸前の機体と古い型の機体を凡そ30機以上を用意して待って居ると言って来て居る。



 日本も何れは、この行為に対して何らかの譲歩をしなければ、成らないだろうが、今は国交の締結を優先する考えだ。



 魔動機兵の譲渡と改良研究は、あくまでも西方国家元首脳陣を日本へと迎え連れて来ると言う一大極秘輸送作戦の一環の序でであり、これに関しての見返りはダバード・ロード王国側から求められて居ない。



 ダバード・ロード王国側からすれば、魔動機兵の譲渡は、自分達を日本まで護送輸送をして貰う旅費の一つと決めているからであった。



 だが、そのハイリスクリターンから来る自国への利益は、彼の国に取って莫大な物と成るのは確実と言える国益が絡む事で、自国の首脳幹部を黙らせる事で成立している事を付け加えて置く。

 



会議室では、右側に日本関係者、左側にコヨミ皇国関係者が座り、その間に交援省大臣である竜史が、この会議の進行役として座っている。



竜史の側から見て左のコヨミ皇国側の席に居るのは、日本との仲介人役を引き受けている紅葉が座って居た。





 そして、た西方国家元首脳陣・極秘輸送艦隊極秘輸送大作戦の最後の打ち合わせが始まろうとしていた。







 竜史は、書類を持ちながら会議の進行を始める。







「それでは最終確認を兼ねた会議を始めます。自衛隊の用意した陸海の両部隊の編制は書類の通りです。」







「準備期間が短いのに随分と早く揃えたものね、これなら大事な部下達を派遣出来るわ。」







 部隊編制の内容を見て感想を述べているのは、コヨミ皇国屈指の偏屈で変わり者と表される伊達愛海である。





「写真付の書類と言うのがまた、良いわね。これなら素人でも、パッと見る事で大体の事が分かるもの。」





「良い仕事してるわ」と言い仕事をした自衛官や他の省庁の官僚等を誉めていた。





 後方の席に控えて居る日本側の各省庁の者達は、彼女の噂をまことしやかに聞いていた為に、汗をダラダラと垂らしている。



 付け加えて言うのなら、これを纏めた官僚と自衛官等は、正に死に物狂いで仕事を行ったであろう。





 意気消沈の所を愛海の毒舌を喰らい止めを刺されて居たのであった。





「それじゃ、二人とも留守の方は、このわたしに任せて、日本の人達の道案内を宜しくね。」





「はい。」





「はい。」





 愛海の横には高雄瑞樹と愛宕千棘の二人が座っている。





「いや、違ったわね。留守はわたしと自衛隊が守るから安心してねが妥当だと思うわ。」





今度は実際に防衛を担う自衛官の人達が汗ばんで来ていた。





「愛海様、今回は観戦武官の任も同然と考えています。」





「ふふっ、そうね。乗った事もない船に乗るのも大事な経験よね。」





「そうよね、どうせならしっかりとやり方を盗んで来なさい。」





(いや、この場で堂々と我が自衛隊のやり方を盗めって。)





(普通、言うか。張本人たる我々が居るこの場で・・・・・・)





 ニヤニヤとして居る目で、下っ端の自衛官の様子を見て、揶揄いがいが有ると思って居る愛海。



 今回、コヨミ皇国側の好意で、瑞樹と千棘の両名は自衛隊の道案内として、本作戦に参加する事と成って居るのだ。





「羽佐間提督も、もしもの場合は例の約束をお願いするわ。」





「分っておりますとも。万が一の場合の件は高見大臣との協議をしておりますし、日本政府の許可も取って有ります。」





羽佐間海上幕僚長も冷静な顔立ちで彼女に相対して居る。





 流石は年の功である。





 その会議を見ている紅葉は心の内で「はぁ~」と溜息を吐いて居た。





 友の吐く毒を受け流せる人は、そうは居ないとね。





「羽佐間幕僚長、例の件とは何ですか?」





 例の件と聞いて、ふと気に成った置鮎一佐が疑問に思い質問をして来た。





「ああ、今はまだ話せん。何事もなければ、それで良い。」





「はぁ?」





 これ以上聞いても無駄と悟った彼は、大人しく引き下がった。





 最終確認を終えた双方は、翌日の午前6時集合、7時出港とし、会議はその場で解散と成った。





 同行者二人は荷物を纏め次第、自衛隊の宿舎に泊まる事になった。





 自衛隊の行動は時間厳守が基本でからである。



 その習慣に慣れていない二人を気遣い、自衛隊側は、翌日に備えて宿舎を用意したのであった。







 一方、外では自衛隊員達が、港での陸揚げと積荷の入れ替えに連日に渡って作業に追われていた。







「オーライ、オーライ、止まーれ。良し、10(ヒトマル)は、これで最後だ。」







「さつまに各種砲弾と弾薬、誘導弾積み込み終わったぞ。」







「おお、ご苦労様。」







「そういえば、新型補給艦が来るって聞いたけど。」







「耳が早いな。ああ、まみや型が急遽、来るって話だぞ。」









「西方に派遣される補給艦が有るだろう、それに付いて行かれると、万代港で護送艦の補給に支障を来す事も有るからな。その代わりだってさ。」







 まみや型とは、先頃、就役した新鋭補給艦のまみや・いらこ・あかしの事である。





 西方への護衛艦隊を中心とした輸送艦による西方国家元首脳陣・極秘輸送艦隊極秘輸送大作戦に、補給艦ましゅう・おうみを派遣する事に成ったので、その代わりの補給艦を万代港に派遣する事と成ったのである。





 別の違う所では、陸揚げされた車両が、皇都へと随時向う所であった。







 陸揚げされて居るのは戦車部隊で、主に北部方面隊と東部方面隊から派遣された主力の戦車隊である。





74式戦車は、今だ国内に100両以上は稼動状態にして有る戦車で、近年、退役させ、部品様にストックして有った50両が、各地の倉庫で眠って補完されて居る分を全て合わせると150両は残って居た。



 その74戦車を大陸派遣隊に組み込んで居るのは、失っても惜しくない装備としている為である。





 日本の自衛隊の戦車隊は、未だに全部で500両前後を保有して居る。





日本の戦車は、将来的には機動戦闘車と併せて300両前後と減らされる事に成るらしい。



 この異世界に転移した日本は、諸事情で代替と再編作業が遅れていて、機動戦闘車が中部と近畿を中心に120両が配備され始めていた。





そして、大陸派遣隊には、先に述べた74式戦車以外に、10式戦車と90式戦車を合わせて200両が派遣されている。



 国内に残るのは凡そ200両前後の10式戦車が残る事になる。



 政府は派遣に至って機甲装備の出し惜しみは良くないと考えて居る傾向に有る様だった。



 だが、全戦力を出すのは、流石に不味いので、使い古しの74式戦車を多めに出す事で、帳尻合わせをして居るのだった。



 74式戦車達に取っては、もう、これが最後の活躍だろうと防衛省も考えている。





 一部の隊員達の間では、最後の奉公が出きると泣いて喜んで居るとか。



 この新世界にて、主力となる兵器である事には間違いなかった。



 この後、以外にもこのアースティア大戦に措いて、74式戦車は、この世界の主力陸戦兵器と成る。



 配備させる流れてとして、先ずは異世界各国に61式戦車を先行配備させ、練習機兼第一戦車大隊として戦車隊を創設。



 次に操縦と砲撃に慣れて来た所で、代替えを始めて行く。





 まぁ、軍事関連に詳しい者からすれば、旧式の61式戦車から何故、配備するかと言うとだ。



 コストパフォーマンス的な理由と、順番を追って配備して行くと言うありふれた理由から来る物だ。



 流石に90式や10式を売り出す訳にも行かないし、地球系の国々にも配る必要と理由も有る事から、74式戦車を地球系国家に優先配備をし、遅れて戦車運用に成れた異世界国家群に、砲塔を100ミリにした車両を売って行くと言う流れが生まれた訳だ。



 勿論、戦車生産の為に、日本国が苦労して作り上げた現用の74式戦車に掛かる費用を新規生産の戦車にも同様のコストを掛けるのは、不味いので、それに掛かる費用対効果を算出し一台当たりの調達価格を1億円を切る様にとの無茶な通達が来て居た。



 そして、三葉重工業株式会社が全ての設計から生産体制の音頭を取る形で、地球世界でも取って居た生産体制方式をフル活用して、これに応えたのであった。





 後に、この世界近代化兵器の大半を生産して行く事に成る日本国、陸上装備は三葉重工業株式会社が中心と成って、豊川自動車工業株式会社と追浜自動車産業株式会社の二大自動車工業が大量生産工場を手配して行く。





 其処に更にカワカミ重工・大日本製鋼所・スバル星自動車工業株式会社・松葉東洋自動車工業、ダイマツ自動車工業が各種フレームや装甲版の生産を請け負い。



 足回り部品の類を大松製作所・常陸那珂製作所・三葉扶桑が請け負う体制が整えてられて行くのであった。





 その甲斐も有ってか、61戦車と74式戦車の平均コストは大量生産の採算が取れる見込みも有って最大で7千万円までコストカットに成功する事に成ったと言う。











さて、話を戻すが、港で陸揚げされた90式戦車隊、最高尾に10式戦車が出発しようとして居た。





 その後ろに78式戦車回収車、90式戦車回収車、11式戦車回収車が続いて居る。





この機甲装備は、対帝国に対しての中核の防衛戦力である。





 日本とコヨミ皇国は、コヨミ皇国の内陸部の万州地方での迎撃プランを想定していた。





 それが何時に成るのかは、まだ分からない。





沖合いにはヘリコプター搭載護衛艦かがとひゅうがでは、陸自のヘリコプター部隊が続々と着陸して来ていた。





 今回の遠征は急遽、決まった話でも有ったからだ。





先月の13日に有った日本とコヨミ皇国との動きをアーヤ女王は魔法水晶での魔通信を使ったコヨミ皇国の駐在大使とのやり取りで皇国の動きを察知し、4月中には凡その方針を決めて居たのだ。





そして、日本から送られたカタログ冊子に目を通した。





異世界共通暦、アースティア暦1000年 4月20日に行われた御前会議で日本との国交を結ぶべく行動起す事に決めたのである。





 その一環として、アイリッシュ湖のガイダル諸島に在る飛行場の遺跡を日本に調査と改修と改築の許可をさせ、主力兵器である魔動機兵・ナイト・マギア30機を無償提供を決めた。





魔通信でコヨミ皇国の駐在大使に全権を与え、5月の半ばに機兵の譲渡と運搬に関する取り決めを終えていた。





 一方の日本とこ皇国では、ダバード・ロード王国への派遣に向けての協議をし、コヨミ皇国は、道案内の武官を派遣する事を決定。



 出発の為、自衛隊は数日を掛けて夜通しで積荷の整理を行う羽目と成ったと言う訳だ。



 そのせいで車両もヘリも護衛艦も休み無く動き回っていた。





 楽をしていたのは航空護衛艦の乗員と空自の人達である。





 その楽で気楽な自衛官らを作業に励む自衛官らは恨めしい目で見て居たと言う。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月30日・午後23時12分・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港・防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部・万代支部・日本国及び自衛隊専用区画港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





大陸派遣隊として派遣配備されていた2機種の戦闘ヘリ部隊が、かがに着陸を始めていた。



 その指揮を執っているのは東地秀矢一尉、戦闘ヘリ部隊の総指揮を任されている黒田一尉とは同期の入隊だが、任官の順番の関係で、AH-1S戦闘ヘリコプター(コブラ)隊を扱っている第二部隊の隊長をと成って居る。







かがの艦橋には、普段はひゅうが艦長している成田剣侍一佐が、積み込み入れ替え作業の総指揮を出発前の事務作業中で忙しい置鮎一佐に代わって指揮を執っていた。



 各部隊の幹部達は、今は会議で居ない上司に代わって無茶なスケジュール調整の辻褄を合わせる為に、懸命な作業を行っていた。





 他の所も同様である。





「よし、着艦完了だ。やってくれ。」







「了解。」







東地一尉は、自分の隊を先にかがに詰め込んだあと、黒田一尉の部隊を順番に甲板のエレベーターで内部へと誘導する作業を海自隊員と共に行っていた。





ひゅうがの甲板では井上一佐の部下達が作業をしていた。







「ふうーっ。」







「どうした?疲れたなら交代しろ。」







「いいえ、ハードですがまだやれます。」







「そうか、だが無理はするな。事故に成るからな。」







「はい。」







艦橋の艦長席では成田一佐が、かがの隊員と共に工程表を見ながらの作業管理に追われていた。





「あと30分したら、今の連中を休憩させろ。」







「はい、分りました。」







「スケジュールに遅れは無いか?」







「はい、何とか午前三時には終わりそうです。」







「翌日に艦を動かすまでに交代させられそうだな。」







「はい、それは問題無く。」







「まったく、無茶な事を言って来るもんだよ、雑用大臣様は・・・・・・・・・」







その雑用大臣に対しての皮肉と悪態を言いつつ、成田は作業を進める。











 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前6時00分・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港・防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部・万代支部・自衛隊宿舎にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 そして、明けて翌朝のこと。





それは突然に始まり、彼らに取って当たり前の日常の風景の一つである。





 起床ラッパが、万代港に建てられた自衛隊基地の各地で鳴り響き、職業病とも言われる規律正しい彼らが行動を始める。







「総員起こ~し。」







「起床、起床、急げーっ。」







ベッドのシーツ、毛布、布団、制服、ロッカーの中身に至るまでキチンとして居ないと、怒られるだけでは済まない。





 一発で全てを終わらせ集合場所に来ないと後が怖い。





 何故ならば、怖ーい上官達に、怒鳴られるからだ。





「ふあぁぁーっ、なぁ~に?」







「あら、瑞樹、起きちゃった?」





眠そうに目をこする瑞樹。



 普段、彼女らはこんなに早く起きたり、騒がしく起床したりしないのであった。



 まだ、この世界の軍隊は近代的な考えを持って居ないからである。





 作戦や軍事行動をして居る場合を除いてたが・・・・・・・・・・・・・・・・







「何なの?」





「どうも、これが自衛隊のやり方らしいのよ。さっき女性の士官が来て、起しちゃいましたかって言われたのよ。」





既に着替え終えている同僚が目の前にいて慌てた。





「もう、出発?」





「違うわ。あたしは何時もの時間に起きただけよ。瑞樹はいつも夜が遅いでしょう?」





「それでも凄いわね。毎日、それも非番以外では、これを何時もやって居るのですもの。」







「出港50分前。」







港から出港時間に付いての放送が、館内と館外に向けて放送が流れて来る。







「もう少ししたら、お迎えが来るって言われてるわよ。」





日本側は自衛隊の規則を知らない彼女達に気を使って起こしに来ると事前に説明していた。





 するとドアをノックする音が聞えた。





「おはよう御座います閣下。」





 やって来たのは三石2佐だった。





 女性が使っている部屋なので、男性には任せられない事であるからだ。



女性自衛官が増えたとは言え、全体から見ればまだまだ少ない事には変わりない。





 それに女性の部屋を無闇に覗くと、少年ラブコメ漫画の様なラッキースケベなーんて、イベントのフラグをリアルに立てると色々大問題でもある。





「あら、琴実さん。お迎えご苦労様です。ちょっと待ってて下さいね。」





「はい。」





手荷物は事前に纏めてある為に、瑞樹の方は、後は着替えるだけだった。





 着替えが終わると洗面所で顔を洗い身だしなみを整えて、二人揃って部屋を出た。





「お待たせしました。」





「では行きましょうか。お二人は、かがに乗船して頂きます。部屋はあちらの女性自衛官と相部屋になります。」





「ベッド等が狭いですので、ご注意を。」





「あらあら、あたしの胸が閊えなければ良いのだけれど・・・・」





三石は千棘の胸に目をやると、アニメ漫画の様に言う擬音が聞こえそうなくらいにボインと主張する大きなバストが聳え立つ、それを見て確かにと思った。





3人は、かがの停泊地で別れると瑞樹と千棘の二人は、そのまま三石は自分の艦であるきりしまに向かって行く姿を見送りながら、かがの艦内へと入る。



 かがの艦橋で置鮎一佐に到着の挨拶をすると彼は、内線電話で食堂の状況を聞くと出港後の方が空いていると言い。





 どうせなら出発前までの時間を使って一緒に朝食と言う話に成った。







 3人の食事が済む頃合いには、いよいよダバ派遣艦隊の出港時間と成って居た。





「汽笛・警報機試し方開始。」





汽笛及び警報機の点検の為に警笛等を鳴らす。ブオオォォォぉーッと言う音が各艦から鳴り響く。





 湾内から響く大きな音に万代市民はビックリするが、何だ出港かと二度寝に入る者が居る中で、作業準備は続けられた。





「機関試運転よーい。警戒配置に就けーーっ!」





 慌しく進む出港準備、置鮎はある指示を出した。





「湾内の沖合い停泊する各艦に通達、航行予定の進路上の漁船、商戦、民間船の位置の報告、誘導を求むと伝えろ。」





「はい。」





「はやぶさ隊は10分早く先行し、進路を確保!」





「了解。」





「機関試運転終わり、結果良好。」





「舵・通信異常なし!」





「周辺に接近するものなーし。」





「いせから入電、進路上の船舶の誘導を完了。現在の所、船舶は確認されずとの事です。」







「出港30分前。」







「司令、出港30前になりました。各艦出港準備作業に入ります。」







今かがの指揮を執って居るのは、笹沼彰二佐である。





 これは置鮎が全体指揮を執って居る為、副艦長の職に在る彼が、かがの仕事をしていた。





 護衛艦それぞれの航海科の海士長が全艦放送のマイクで放送を流す。





「出港準備!」





警戒閉鎖は『警戒閉鎖』を行う。



 艦内閉鎖は『警戒閉鎖』と『非常閉鎖』があり、『警戒閉鎖』は通常航海時に事故が起きた場合に備える閉鎖で、まだNBC攻撃や通常型ミサイル等での攻撃による被弾や火災、浸水には備えていない状態である。





よって通風口やウィングのハッチは閉じない。





 非常閉鎖は合戦準備がかかると実施しなければいけない。





「艦内警戒閉鎖。前部員錨鎖つかめかた。」





投錨し、海底に埋まっていたメインアンカーの巻き上げ作業が開始される。





 ガタガタと音を立てながら重い鉄鎖をウインチが巻き上げて行った。





 艦内では、暫くしてから報告が上がって来る。





「艦内閉鎖のチェック終わり、不良箇所なし。」





 笹沼と各艦の艦長らが一斉に指示を飛ばす。





「航海当直番配置につけ。」





「出港10分前、はやぶさ隊、先行出港するとの通信あり。」





指示を出している艦長らは腕時計を見つつ出港時間を待つ。





 錨の巻上げが終われば出港となる為、時間になるまでは途中で錨を止められるのだ。







各艦の艦長の声がスピカーを通して響き渡る。







「出港3分前、ラッパ用意。」





 ラッパは若い航海科の海士が担当するる出港準備を終え、出港へと直結する出港用意と同時にラッパを吹奏するのは、旧海軍からの伝統である。





「出港一分前・・・・・・・」





「ラッパ用意よし。」





ラッパ手がラッパを手に用意する。







 港には外交団の要人、竜史や自衛隊幹部、万代藩のコヨミ皇国関係者が見送りに来ていた。





「出港用意。」





艦長の一言の声に、各艦のラッパ手が一斉に勢い良く、それでいて軽快に出港ラッパを吹奏した。





 そして、一斉に当直の各艦の海曹が全艦放送で叫んだ。





「出港よおおおぉぉぉぉーいっ!」





 数秒の短いラッパ号令だが港と艦内の自衛官、皇国軍人らの気を引き締めた。





 各艦の艦長が命じる。





「錨を上げーっ!」





甲板で錨の巻上げが再開し巨大なメインアンカーが船首に収まる。







「甲板片付け。」





「錨甲板よろしい。各艦共に分かれて通常航行を開始します、司令。」





しばらくして作業が終わり、手の空いている者達と艦の操舵に関わりの少ない者達は港に向って敬礼と帽子を振って見送りの感謝と航海の無事を誓って出港して行った。







程なくして艦隊は、万代湾を抜けて海上にて合流、艦隊陣形を取り一路をパイプ・ライン大河の入り口へと向うのである。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前8時46分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・パイプ・ライン大河河口付近地域・ラクロアナ王国・グラッグ州 ・ゼングリラ市及びシャン・ライア州・ロウデニィオン市・ロウデニィオ城・ロウデニィオン騎士団司令部内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





万代湾を抜け、その沖合いで、はやぶさ隊と合流し、艦隊陣形を輪形陣に整えた。





 先頭には、偵察隊の役目も兼ねた小回りの効くはやぶさ型ミサイル艇7隻が先頭を警戒しながら先行航行して行く。



はやぶさ型ミサイル艇は以下の通りと成って居る。



はやぶさ、わかたか、おおたか、くまたか、うみたか、しらたか、とんび。





 続く護衛艦あかつき・ひびき・いなづま。海洋観測艦しょうなん。



 中衛に入ると護衛艦きりしま・あしがら。



 ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが。



  輸送艦あつみ・もとぶ・みうら・おじか・さつまと続く。



後衛に入るとヘリコプター搭載護衛艦かが。



 多用途支援艦ひうち・すおう・あまくさ。



 補給艦ましゅう・おうみ。掃海母艦うらが。





 揚陸護衛艦つがる・おしま・おが・おもえ・まつまえと成る。



 最後尾を護衛艦しらつゆ・しぐれ・すすかぜを殿とした。



 左備えを護衛艦いかづち・くらま。



 右備えをとね・ちくまと成って居る。





出港から2時間が経とうとして居た頃、間も無く第1通過点であるラクロアナ王国領・グラッグ州 ・ゼングリラ市及びシャン・ライア州・ロウデニィオン市と言った州都に挟まれて居る境界線付近にも成るパイプ・ライン大河河口水域へと入る。







 コヨミ皇国の北に位置し、ラクロアナ王国側からすれば、パイプ・ライン大河の河口水域で、二つの州都は大河沿いに造られ、大河を挟んで北西方向から南に向って町と街道が延びて居る。

 

 北に在る州都がグラッグ州 ・ゼングリラ市。



 南の州都がシャン・ライア州・ロウデニィオン市に成って居る。



 互いに小高い丘に沿って城が築かれ、南方と東西貿易によって栄えて居る都市だった。



 この日の港には、コヨミ皇国側からの事前通達があり、ニホン国なる国の海軍艦隊がパイプ・ライン大河を通過して、西方のダバード・ロード王国へと向うとの連絡が入って来ていた。





 ラクロアナ王国軍としては、他国の軍隊が、ただ通過するだけを拒む理由は、特に無い。



 その目的が武力侵攻ではない限りは・・・・・・・・・・・・・・・



ラクロアナ王国軍は、ロウデニィオン市と川向こうのゼングリラ市の港や砲台設備、監視塔や砦に多くの兵士が集まって居た。





 両岸の各所に国旗と軍機、部隊旗を掲げて立って居る姿が見受けられた。





このパイプ・ライン大河は、世界最大の大陸であるユーラシナ大陸を東西南北を縦断して居る。





 この世界でも指折りの巨大な大河である。





川幅が約30キロ以上あり、水深が深い所で約15メートル以上は在る。





 名前の由来は、呼んで字のままである。





 パイプを繋いだ様に、各川同士とが繋がり合って居る所から付けれられて居た。





そして、このロウデニィオン市を防衛しているロウデニィオン騎士団。





 此処に駐屯する軍勢は、ロウデニィオ城を拠点として居り。市騎兵が1000人、歩兵が4000人、輜重隊と弓兵砲兵が合わせて2000人、全軍で7000人が守りに付いて居る。



 対岸のゼングリラ市には海軍が7000人が警備をしていて、同国の河口守りに付いて居る。





 現在、此処の責任者となっているのはアリスティア・レックスと言う。





 親しいもの達からは、アリスと呼ばれて居て、歳の頃は18歳である。



 アルガス皇国のマッケンジー家からレックス家に養子に出された過去がある。





アルガスには、騎士団長しているクリスティーナ・マケッンジー、通称クリスと呼ばれている双子のの姉がおり、髪の長さ肩まで有るが、姉が銀髪でアリスは金髪で、その見た目は良く似ていた。



 だが、姉妹揃って少しだけ困った所が有るのだが、其れに付いては間も無く分かる事と成る。







「アリス隊長っ!!アリス隊長っ!!」



「相変わらずお姿が見え・・・・・と言うか気配が感じられ辛いな?」



「おい、アリス隊長は何処に居られるのだ?」





同じ歳でロウデニィオン騎士団の副隊長を務めるアムリア・レイと言う女騎士は、アリスを探して居た。





「はぁ?また何ですか?」



「隊長は、影が薄いせいで、例えその辺を歩いて居ても、誰にも気付かれないか、只の冒険者扱いされて、身分が有る騎士様には見えねぇ~し~な。」





そう、彼女は幼い時から影が薄く、何をやっても普通の平凡以下の人であると見られてしまう。



 その余りの影の薄さに彼女を知っている人達からステルス・アリスとまで言われて居た。





 また、姉のクリスは、逆にどんな状況でも目立ってしまう体質を持って居た。



 アリスの体質は、戦地でも敵に無視される程の薄さで、集団で戦っても敵の大将や警護の者達にも無視されてしまう程だった。



 この有り得ない能力のせいで、常日頃から苦労して居るとても残念な女騎士なのであった。







「あ~な~た~た~ちっ!!私は此処に居るんだけれどもっ!?」



「アリス隊長?」







「何処?、何処ですか?」





「たい~ちょ~う。」



「声はすれども、お姿が見えず・・・・・・・」





「気配すら分からない。」



「毎度っ!毎度っ!何て面倒な・・・・・・・・・・・・・・・・」



キョロキョロと部下達が港にある騎士団の詰め所内を見回すが、全く見当たらない。



 アリスと言う女の子は、とある三国戦記美少女ゲームに出てくる地方領主以上か、とある北のファミレス漫画に出てくる引き篭りな上に不登校をしているJK以上に影が薄かった。



 正にゴースト、気配が薄い、存在が無い、帝国にすら彼女の名前が各国の要人名簿にすら載って居ない所か、密偵にすらその存在を知られて居らず、隊長を務めているのが副隊長アムリアと言う事にすら成ってしまって居たりするのだった。





「えーっと、あっ?!」





目がこの詰め所の隊長席に目をやると、すぅーっと、その姿が幽霊が現れた様にして、その姿が周りの人にも認識が出来たのであった。





「あっ!?居たっ!?隊長っ!何時からそこにっ?」





「ずっとずっと、ずーっとっ!此処に居たんだよっ!」



「もう、みんなもいい加減に慣れてよっ!」



「わたしは泣ちゃうよっ!ううっ、お姉ちゃんっ!みんなーっっ!」



「此処じゃっ!わたしを気にしてくれる子が、一人も居ないよおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」



 そのみんなとは誰かと言うと、幼馴染であった紅葉とその友人達の事である。





 アリスは、その親友以外に、存在を気に掛ける者達が、とても少なかったのであった。





 更に数年間の間、会っていない親友の中にも変化があり、かつて自分よりもとても地味な女の子だったリナが、今はスタイル抜群の爆乳女の姿に成って居る等とは、夢にも思って居ないのだった。



 更に双子の姉の方が、逆にも物凄く目立つと言う正反対の能力見たいな物を持って居るので、姉のクリスは、何時も周囲から貴女の妹は、今何処にいるの?とか、毎回言われて居たのである。





 二人揃って初めて普通に過ごせると言う凸凹な双子で、両家の親族達は、二手に分かれさせたのは、失敗だったかもと言い合う始末。





「あの~隊長、そろそろニホン海軍が通過するとの時間に成ります。」





「ああ、そう言えば紅ちゃんから色々と便宜を図って念を押されのよね。」





「くれちゃん?」





 副隊長のアムリアは聞き慣れない人物の名に首を傾げた。





「紅ちゃんって言うのわね。コヨミ皇国の紅葉皇女殿下の事だよ。わたし十年来の親友で幼馴染なんだぁ~・・・・・・・」





「その様な高貴なお方とご友人とは、後で馴れ初めを聞いて見たいですね。ですが今は・・・・・・・・」







「もうっ!分かってるよぉ~っ!」





「今はお仕事、お仕事だよね。」





「ニホン海軍の通過を見届けるよ。国旗、軍旗、騎士隊旗など掲げ、盛大に出迎えて見送るよぉ~。後は礼砲の準備を怠るないでねっ!」





「はっ、了解ですっ!」





アムリアや他の部下が敬礼の後、部屋を出て行くのを見送ると、一通の手紙とこの国に無い精巧な絵が描かれている紙があった。



 それは写真である。





 写っていたのは、この手紙の送り主である紅葉であった。





 アリスは写真を持ち、遠くて近い地に居る友を思うのだった。







「お互いに落ち着いたら、また会いたいね。紅ちゃん。昔のように・・・・・・・・・・・・」





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前9時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・パイプ・ライン大河河口付近地域・ラクロアナ王国・グラッグ州 ・ゼングリラ市及びシャン・ライア州・ロウデニィオン市・パイプ・ライン大河・河口湾付近水域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 ダバ派遣艦隊の先陣を行く、はやぶさ型ミサイル艇7艇が、三角系の型の陣形を組んで進んでいた。



 はやぶさ隊の旗艦であるはやぶさの艇長である石井竜三3佐が、河口付近の港の状況を艦隊旗艦であるかがに伝えられる。







「此方は石井っ!河口及び進路上に船舶無しっ!なお、両対岸に現地軍の儀礼隊の見送り有り、以上。」







「了解っ!引き続き先行しつつ、情報を伝えられたし・・・・・・・」







「置鮎一佐っ!間も無くパイプ・ライン大河内に全艦隊入ります。」



「観測班隊の海洋観測艦しょうなんから入電です。水深の深さに問題無し、全艦前進に支障無しとの事です。」







置鮎一佐は、ダバ派遣艦隊の全艦隊に命じる。





「全艦前進せよっ!なお、手の空いて居る者は、両岸のラクロアナ王国軍に対し敬礼。指定、礼砲の変わりに汽笛にて返礼。」







「はっ!各艦に通達っ!ラクロアナ王国軍の礼砲に対し、汽笛にて返礼っ!」







通信士がダバ派遣艦隊の各艦に命令を伝えると、同時に付近から大砲による礼砲が聞えて来る。



 両岸には国旗を始め、王国関係の旗が並んでいた。





 アリスは、ロウデニィオン市に駐屯する各隊の代表を集めて精一杯の出迎えをしてくれて居た。





「おおっ!?アレがニホン海軍・・・・・・・・・・」





アムリアはニホン海軍・・・海上自衛隊の護衛艦隊のその堅牢な勇壮、鋼鉄の要塞艦隊の姿を見て言葉を失っていた。



 各艦には自衛隊旗である朝日旗と日の丸国旗が掲げられて居る。





「確かにスゴイなぁ~っ!紅ちゃんが言うだけの事あるねっ!」







「はい。」







「だが、見惚れて居る暇は無いよっ!各隊、礼砲撃ち方始めーーーーっ!!」







「はっ、礼砲っ撃ち方始めっ!!」







ズドーンと言う大砲の轟音が川の両岸から聞えて来た。





 対するダバ派遣艦隊の各艦から汽笛が音が聞えて来た。





 今回の航海には、礼砲に使う空砲用の弾頭を持って来て居ない。





 輸送する船がギリギリであり、戦闘が起こる可能性も想定しての事である。





 更に礼砲を撃ち返えす事ができない事を紅葉が手紙で手を回していた。





 コヨミ皇国皇女の肩書きは伊達では無いし、ロウデニィオン市の防衛をして居るのは、紅葉とは10数年来の彼女の親友である。





「総員っ!ラクロアナ王国軍、ゼングリラ市、ロウデニィオン市に駐屯する全ての軍に対して敬礼っ!」





護衛艦隊の各艦長を含め、手の空いて居る隊員達は、対岸の王国軍に対して一斉に敬礼をした。





 ラクロアナ王国軍の人達は、ニホン海軍の規律の良さに舌を巻いたと言う。







この日、両岸の港の通行規制と物々しい警備が行われ、儀杖隊と礼砲用の大砲がズラリと並んでいた。





 この光景を物見高い市民の人々は、ニホンと言う聞いた事も無い謎の国家の海軍を見て、どんな国だろうと思いを馳せていた。







「うああああぁぁぁぁぁーっっ!すげーっ!!すげーっ!!すげーよっ!!!あれって、如何やって浮かせて居るんだよっ!あの船はっ!!」







とある若者は海自艦隊を見て衝撃を受けていた。







「本当だな。この世界で空挺や魔動陸船含めて巨大な船を動かす物が、それら以外にも存在するなんてなっ!!!」







その横で学者らしき男が海自艦隊の護衛艦を見て、どうなっているのかを考察している様だった。







もう、この世界では、かつての超文明の史実を知って居るのは、政府関係者、系列の子孫、知識人に技術者関係等くらいだろう。



 この様に一般人の殆んどが超文明の史実を知らず、教育を受ける機会が得られない故に、この様な発言がどうしても目立ってしまう。



 やはり、彼等の様な者達全て対して、教育を受けさせるには、莫大な予算が掛かるのは目に見えている。



 昔は誰しも受けられた時代や国が在ったが、文明の衰退した状態では無理もない話しだろう。





「アレは何処の国の船だ?」







「確か王国軍とシャン・ライア州知事とグラッグ州知事の発表じゃ、ニホンと言う国らしい。」







「何処の国かは知らないが、スゴイな日本。ひょっとしたら、帝国よりも優れて居るかも知れないな。」







此処に居る多くの市民や下っ端の兵士らは、目を丸くしてダバ派遣艦隊を見ていた。



 巨大なヘリ空母、見たことも無い一門ないし二門の単砲塔を持った戦艦。砲台を持った小型艇、巨大な輸送艦が何隻も次々と通過する姿は、スゴイ、スゴイと口々に言って居るのだった。



アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前9時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・パイプ・ライン大河河口付近地域・ラクロアナ王国・シャン・ライア州・ロウデニィオン市内・宿屋ローライナにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







ラクロアナ王国で、日本を知って居るのは、ラクロアナ王政府と王都のアデニューム市とアデニューム州内に、ドナルク川の河口のあるニュウヤーク市の在るニュウヤーク州の州政府と国民達等が知って居た。



 それは今月中に行われたラクロアナ王国・ロシア共和国・日本国から成る三カ国の暫定協定の締結会議が、王都のアデニューム市で行われた。



 これはラクロアナ王国の軍や国民が、ロシアとの様々なトラブルを避ける為に開かれた会議であった。





 日本の外務省と交援省が仲介の音頭を取って、滞りなく締結されて居る。



 この時に外交団を乗せて来た護衛艦と巡視船、ロシア側は駆逐艦と警備船で現れたので、王都から河口付近に至る地域では、ちょっとした大騒ぎと成った。 





この時フラン王女は、出きうる限りの御持て成して出迎え、歓迎するなど、政務の成れない彼女の精一杯の事を父に成り代わって行った。



 日本とロシア側は、初めて訪れた国なので、レビル国王に挨拶をと、二か国の使節団の面々は、国王の謁見を申し込んだが断られてしまう。



 これはコヨミ皇国側でも知らなかった事だが、どうも最近のレビル国王は、長年の無理が祟って具合が宜しくないと言うのだ。



 其処でその話を聞き付けた日ロ使節団は、日露双方の医官が派遣され、病状を診察した所、過労な上に肺炎になり掛けて居たとの診断が成された。



 急いで治療の為の応急処置を取り、病状が落ち着いたら札幌の病院に移さないかと提案した。





 他にも腰の具合も良くないとも聞くと、尚更に札幌の設備の整った病院に入院を勧める。





フラン王女は入院費用は、必ず工面するので何とか助けて欲しいと頼むと、外務省と交援省の両職員は、何て父親思いの健気な王女だろうと感じ入り、その場に一緒に居たロシアの外交団の一団と共に感動したと言うのだった。



 何時の世でも医療費は掛かる。この世界でも変わりはないのだ。



 特に医者には気軽に掛かれる制度や保険もこの世界には存在して居ない。





 其処で日本が、国王の医療費を3割ほど補助すると言う形を提案した。





本当ならラクロアナ王国と王室に目一杯に貸しと恩を売れば良いのだろうが、フラン王女は妙な所で義理堅かったする。



 ロシア側は、港町に日本と共同で医療支援の医院を建てると事と定期的な医師の派遣を決めていた。



 まぁ、彼の国も恩を売りたいのは分かる気がする。今後の為にもと言う考えだろう。



 こうして、寸での所でレビル国王は命が助かったりする。





 皆さん、肺炎や喉の炎症などの病気の初期症状は舐めてはイケナイ。





 予防を含めた早めの診察と治療をお勧めする。





 仕事の都合でその様な病状を見逃したりして亡くなる方も結構な確率で居るからだ。







「アレは一体、何処へ行くんだろう。」







「さあ、州や軍、それに王国政府から何も知らされて無いわね。」





ラクロアナ王国の人々は、ニホンとか言う未知の国家の国力と技術に驚嘆をして居る中で、密かに動く帝国の密偵らの動きがあった。







「こんにちは、今日は良い天気ですね。女将、部屋は空いていますか。」





「ええ、空いていますよ。部屋へは、あの者がご案内を致しますわ。」





一見して、何の変哲のもないありふれたやり取りの会話に聞える。



 旅の行商人と町宿女主人の応対にしか見えないが、二人の雰囲気は、何処か普通には見えないものが有った。





「そう言えば、港や町ではお祭り騒ぎ見たいですね。何かご存知無いですか?」





「ああ、何でも何所か他国の海軍の艦隊が、このラクロアナ王国領内を流れているパイプ・ライン大河を通過するらしいのよ。」





「ほう、それにしては、ドえらい騒ぎですな。」





「信じがたい話なんですけど、何でも魔法を使わない巨大な鉄船が通過するらしいわね。」





「何処の国だか知っていますかな。」





「ニホンとか言うらしいわ。」





「そうですか、いやいや珍しい事もありますな。どうもありがとう。」







「いいえ、ごゆっくりどうぞお客様。そこの貴女、お客様をお部屋にご案内して差し上げて。」





「畏まりました。」







行商の男は、回りに見ない様に預ける荷物の中に、それなりのお金をそっと入れて渡した。



 そう、この二人は帝国の密偵である。





 帝国の密偵は、あらゆる手段や方法によって各国の中に溶け込みながら潜んで居るのだ。



 ある人は行商人。

 

 ある人は娼婦。



 ある人は教師。



 はたまたある人は学生・…等と言った具合に、何処にでも潜んで居る普通の人に成り済まして、普段はひっそりと隠れ暮らして居るのだった。





 行商人に化けて居る密偵の男は、同じく密偵で、この宿で使用人に化けて暮らし居る女に、案内された部屋に一緒に入り込む。



 部屋に入った女は、使用人の態度から密偵の女の顔付きと口調に変わる。







「で、港の様子は、どうだったの?」





「スゴイ騒ぎだ。」





「そう、貴方が見たのが近頃噂が絶えないニホン軍ね。」





男は既に港を見てきたらしい。



 さっきのやり取りは、演技の一環だった様だ。





 この二人は怪しまれない様に、動いて居るので、隙を伺いながらあらゆる情報を集めていた。



 今回は行商人の男が港近くを素通りするフリをして、ダバ派遣艦隊の動きや港の様子を見て来たらしい。





 反対に宿屋の女使用人は、直接見聞きする事を避けて、そんな騒ぎに興味を示さない働き者の一般人を装いながら、別ルートへの情報を受け渡す繋ぎ役に徹して居るらしい。







「それで、ニホンは何しに西へ行くのか分かる?ゾイザル殿下やローラーナ帝国東方制圧派遣軍・上層部は、それが知りたいと思う筈よ。」







「それは分らない。どんな国でも情報は何所かで筒抜けになる筈だ。それなのにニホンは、どうやったか知らないが、ニホンの情報だけが噂以上のモノが手に入らない。」







「そうね、わたし達、女の密偵網でも同じよ。潜入して居る先の住人の振りをしてあらゆる方面で、情報を掻き集めているけど、全然って訳よ。一体、どうやって情報の流失をやって居るのかしらね。」







これは日本が通信器を含めた現代的な方法と手段で連絡を取り合ってる為だった。



 伝馬や伝令と言った手段が、主流であるこの世界では、日本の情報を素っ破抜く事は、殆んど不可能な話だった。



 通信機器の一つに、魔動水晶と言う物を使っての通信が有るのだが、距離が限られる上に、高価で生産数が限られ、国によっても保有数も限られて来る代物。



 帝国を含め、主な国では、密偵機関は下方組織に当たるので、滅多な事では使わせては貰えないだろう。







「まあ、良いわ。其れよりも、この時期にニホン軍が、パイプ・ライン大河を遡上する理由が全く分らないわ。」





「もしかして、こちらの情報が漏れたのかしら?」





そう、ローラーナ帝国東方制圧派遣軍・上層部の一部の作戦参謀者達は、ラクロアナ王国に取って重要な対帝国との防衛拠点にして、経済的に需要な都市であるゼングリラ市とロウデニィオン市を攻め込む為の準備やパイプ・ライン大河周辺での侵攻作戦も画策していた。









それが何所かで漏れたのだろうかと、男の脳裏にそう浮かんだ。







「まさか、有り得ない。」



「それならグリクス地方軍団のガミトフ・バイマン中将閣下が計画しているアルガス公国・ブラキュリオス湖のレジェンダリア諸島を攻め落し、北部侵攻計画が漏れた方を怪しむべきでは?」



 彼は有り得ないとその事を否定した。







「それもそうね。ガミトフ中将閣下がそんな間抜けでは無いと思うけど、この手の話はある日突然に素っ破抜かられる事も有るわ。」





「どちらにしても、良く調べてから、事の詳細をローラーナ帝国東方制圧派遣軍・上層部、それとゾイザル殿下やヤーズ侯爵様に報告しなくてはね。」







 女も彼も帝国が絶対の覇者であり、それを上回る存在なんて有り得ない。





 大なり小なり差は有れども、国家組織は帝国以外変わりないと思っていた。それにゾイザル等は、日本に関する情報を未だ正確に掴めずに居たのであった。







 密偵女は男との話を切り上げて、接客の応対に優れた使用人の態度に戻り、去り際の挨拶をして部屋を去って行ったのだった。



 こんな光景は、この世界に広がる闇の一端に過ぎない。







一方、パイプ・ライン大河を通中のダバ派遣艦隊の旗艦かがでは、周囲に気を配りながら順調に、二つの都市に挟まれた大河中央付近水域を通過して行く。







「置鮎一佐。これからもこう言った挨拶は、港事に大きな港付近を通る度にやり続けるのですか?」副艦長の笹沼が、ふと思った疑問を聞いて来た。







「いや、ロウデニィオン市や対岸のゼングリラ市に対してだけだ。河口を我々海自が通過したと言う断りを入れたと言う建前の為だ。」







「建前ですか?」





「そうだ、此処から先の国には、このラクロアナ王国のロウデニィオン市の軍の責任者から日本がこれから艦隊を通ると言う通知がされて居る筈だ。」





「実は紅葉皇女殿下は、近隣の王侯貴族の子息や子女に知人や友人が多いらしい。」



「この王国にも友人に手紙を出されていると事だ。コヨミ皇国からも手を回されている。だから問題無いんだよ。」





「そうでしたか。しかし、今回は大変な任務だと思って居ます。」



「何せ海自の初、日本に取っても初の異世界の海と川を進んで行く大航海に成る筈です。」





「船で始めて行く土地や海に大河と言う物は、船乗りには、堪らないものが有りますね。」







そう、旧海軍や海上自衛隊も含めて、遠洋航海や練習航海で遠出するのは珍しくない。



 それは何所の国の海軍でもだ。



 ただ違うのは、全く異なる世界で、地球系列国家内の中で、初の異世界遠征航海と言う事だった。





「ああ、そうだな。穏やかな大河の水面を眺めて居る心が表れる様だか、この世界は、創世記時代から含めると何度も大戦が起きて居るらしいな。」





「今行っている帝国と反帝国連合との戦争だけでも600年だ。一見して平和な町を見て居ると、とてもそうは見えないがな。」





「ええ、高見君や羽佐間幕僚長の予見が取り越し苦労になれば良いのですが・・・・・」





「そうだな、そうならない事を祈りたい物だよ・・・・・・・」





穏やかな異世界の町並みと自然の風景を目にしてつつ、平和でないと言う事実は、自衛官等に取っては信じられないと言った感じだった。





 南スーダンやソマリヤ、内戦後のカンボジア、アフガンとイラク以上に過酷な状況の世界や地域に挑む彼らは、気を締めて掛かる派遣艦隊の隊員達。





 その彼らが自衛隊にひいては日本国に取って、この世界で初めて本格的な戦争に参加する事に成る。





偶発的なと言う言い訳を付け加えてなのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前14時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・アルガス公国・アーダマ州・アルガス公国首都・公都・リガ・ミリィー・ディーナ市・ラーデイァシュ城・公王執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 この日、ブレックス・ファーミラ公王は、東の動きに付いてを執務室で女性閣僚であるベルナ・トーチカ外務大臣から報告を受けていた。



 在コヨミ皇国アルガス公国大使から東で起きた一連の騒動や新たに外交を求めて来た日本国なる異界転移国家に関する報告書と意見書、それに日本国から親書も外務省経由でベルナ外務大臣の下へ届けられて居た。



 ベルナの下に来た自分への報告書は読み終わり、ブレックス公王の下に訪れそのまま会議と言う流れと成った。





 それと、ブレックス公王宛てに手渡す予定の報告書の内容も凡そ同じ物だろうとベルナは予想して居た。 





「陛下、最近 ダバード・ロード王国 のアーヤ女王陛下が、何某かを企んで居る様子有ると、我が国のダバード・ロード王国駐在大使から報告がありました。」



「それと関連して居るらしいとの報告が、コヨミ皇国の我が国の駐在大使から報告書が届けられております。」



「それら加え、二ホン国から国交を結びたいとの親書が来ております。」





 ブレックスが報告書や各種書状や外務省関連の書類に目を通す。







「どうやらアーヤ殿は、ニホン国との国交の準備を本格化させつつ在る様だ。」



「ダバード・ロード王国内のアイリッシュ湖に浮かぶガイダル諸島の飛行場跡地の施設を改修作業や魔導機兵の無償提供等をして居るらしい。」





「わたしも報告書を読みましたが、思い切った事を為さいますね。」





「それが彼女の魅力でもある。豪胆で慎重、誰もがとても真似できない事だ。国王としもな。」



「所でそのアーヤ殿とコヨミ皇国のクレハ皇女の双方から日本国の艦隊がダバード・ロード王国へ向う為に領内を通過すると言って来て居る。」





「万国共通の慣例上、他国の軍船が例え帝国軍籍で有っても通過するだけなら問題は有りません。」



「それで陛下は例のお話・・・お受けするのですか?」





「ふうむ・・・・・・この地を訪れる彼らをこの目で見てからにしようと思う。」





「それは・・・・・・」





若い女外相は、公王の考えに少々驚き、言葉を詰まらせた。





「それは一体どうしてなのでしょうか?」と言いたかったがその前に公王が先に話を進めた為に言い損ねてしまったベルナ。





「やはり、直に見て見ないと何とも言えない。報告を聞いたり、資料を見るだけでは、我が国の未来を託すに足りえるのか、手を組む友人に足りえるのかとね。」





「それに南部方面のキナ臭い噂も絶えない。」





「やはり、そのキナ臭い相手とは、我が国とその周辺国と対峙している帝国のグリクス地方軍団の事ですか?」





「ああ、そうなのだ。それが気掛かりで、とても心配な事なのだ。そして、それを放置した儘で、ニホン国へと隠密裏に訪問などは、とてもな・・・考えられない・・・・・」





「それでは、こうしては如何でしょうか?」





「ルオ・ウオーミング宰相殿に、日本艦隊の寄港予定地であるグラダマ市で歓迎の晩餐会を開いて貰います。」



「その晩餐会にニホン軍の将校らを招待。断れない様に手を打つべく、宰相、市長と軍部の将校ら主催のアルガス公国の初来訪記念の晩餐会と称して、招待する形でパーティー会場まで来て貰うのです。」



「其処へ陛下が極秘のゲストとしてやって来たと言えば、彼らと言えども会うのを断れ無いでしょう。」





「少しだけ、印象を悪くするかも知れんが、彼らの都合と我らの都合も考えれば仕方の無い事だろう。」





「万が一グリクス地方軍団が、我が国の何れかの地域へと侵攻すれば、二ホン軍の協力を得られるかも知れません。」





「だが、それを選ぶのは彼らだろう。彼の艦隊の目的はあくまでダバード・ロード王国へ向う事だ。それに私は彼らと会って決めたい。」







「共に歩んで行ける隣人に足り得るのかを・・・・・・・・・・」







「承知しました。ではルオ様と軍の主だった者達と図って、陛下とニホン軍との接触を極秘裏に図りたいと思います。」





「任せる。」





ブレックス公王は、日本との国交開設をするべく、アーヤ女王からの誘いである日本行きを未だに迷っている様だった。





 その理由として、アルガス公国の南部地方のパイプ・ライン大河の向こう側の帝国軍の動きである。





 同地方はキナ臭い雰囲気が漂っている為、自国を留守にする事を躊躇って居たのである。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月2日・午前8時00分頃の事です。





 ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・賀谷野藩・賀谷野市・賀谷野港に、日本国の海上自衛隊の護衛艦隊と民間建築企業の作業従業員や事務社員と機材や車両が満載された輸送艦隊がやって来ました。



 この艦隊は、ダバード・ロード王国・ガイダル諸島の再開発計画が持ち上がり、その再開発と対ローラーナ帝国との安全保障問題対策計画を日本国の自衛隊と民間建築企業によるガイダル諸島のガイダル諸島空港遺跡の再開発と改修工事の委託が為される事に成り、それらを担う委託業者と自衛隊員らが、作業予定地として指定されたガイダル諸島へと向かう事に成ったのです。



 コヨミ皇国・賀谷野藩・賀谷野市は、北部宣政と言う人物が治めて居る州国自治藩主政府の一つです。





 賀谷野藩は、コヨミ皇国の北東部に在る賀谷野藩は、コヨミ皇国とラクロアナ王国の飛び地でシャン・ライア州の南端に接する国境の地方藩で、コヨミ皇国内での地位は、対ローラーナ帝国に措ける政策では、徹底抗戦派閥と講和・宥和政策派閥と言った者達からは距離を置いて居る中立派閥の藩主が治めて居る藩政府でした。





 その賀谷野国藩の主都である賀谷野市と賀谷野港は、ユーラシナ大陸西側諸国との貿易路との中継寄港地としても栄えて居る都市の一つとして知られており、アースティア世界大戦後も、その地位は変わらず、パイプ・ライン大河を通じての東西線貿易の中継地点であり、巨大な倉庫とコンテナプール場が整備され、巨大なクレーンが幾つも有るハブ港都市と成って居ます。



 此処から万代市やミンフィル王国東南諸国同盟、それに加えてアセニア亜人連合同盟へと貿易商船が行きかい、今も賑わって居るのです。







 アースティア大戦末期頃からは、地球世界から転移諸国の一つである日本国とも直接貿易を行う事で、特需景気に沸いて居り、アメリカ合衆国・ロシア共和国・台湾共和国・東南アジア諸国と言った地球系転移諸国との貿易で巨万の富を得る事にも成功を収めて居ました。





 西はリユッセル北欧同盟の各国からだが、一番の出発地点として上げるのなら、アルビオン王国の王都、聖騎士王都ロンデニュウム市から東へと向かうルートでしょう。







 其処から主要な地域を回りながら東へと進むと、オローシャ帝国の 帝都・パリーニャへと至ります。







 其処から更に東へ、パイプ・ライン大河を通って只管に東を目指し、ダバード・ロード王国のアルインランド州の州都・ベルクラネル市の近くのアイリッシュ湖を通ってパイプ・ライン大河をもっともっと東へと進んで行きます。





 するとその行き先には、アセリナ王国の南部に在るテムリオン州の州都・ザーキオス市。



 アルガス公国のレジェンダリア州の州都・セイジョン・ローグリア市。



 ラクロアナ王国のシャン・ライア州・ロウデニィオン市を経由して賀谷野藩・賀谷野市に至ります。 





 そんな歴史があり、未来にも経済・軍事に措いて必要不可欠な湾港都市である賀谷野市と賀谷野港にオローシャ帝国の東方の州で、フローレイティア州を管理して居るフローレイティア家のフローレイティア輸送商船商会の商戦艦隊に所属する五隻の空挺輸送艦と6隻の空挺魔導巡洋艦。







 更には一隻の空挺魔導戦艦が、海岸沿いに建てられている空挺魔導艦専用の飛行場に入港して居ました。





 そして、旗艦である空挺魔導戦艦の艦長であるシェスカーナ・フローレイティアは、海軍中佐にして、フローレイティア州を治めて居る若き20歳の当主であったシェスカが、日本国からやって来る海上自衛隊の護衛艦隊と合流するべく待ち合わせて居たのでした。



フローレイティア家は、旧アース世界連合国の有力輸送船商会を経営していたチャイルド家の分家の子孫で、爵位は伯爵位と、そこそこ高い地位にある家柄でした。



 オローシャ帝国では、中央政府が貴族称号持つ貴族領州と地方自治を認められている有力家に貴族称号与え、自治統治が認められて居る自治州が在る国で、それ以外の土地は国の直轄地として認めて居ました。



 そんなフローレイティア家は、有力者貴族家の一つであり、フローレイティア家のフローレイティア輸送商船商会は、アースティア大戦末期に活躍する私設艦隊として勇名を馳せ、やがてはシェスカが立ち上げ、竜史が会長に収まる事に成った高見総合商事株式会社の母体にも成って居ます。





 しかしながら、この時のシェスカは、故郷たるオローシャ帝国政府とコヨミ皇国の皇女からの手紙に苛立ちを露にして居ました。







 そのシェスカの手には、魔力水晶通信による自国の大使館の大使から発行された代筆によるミランダ・ランティー女帝から勅令状と、コヨミ皇国に居るオローシャ帝国大使から手渡す様にと、頼まれたと思われる紅葉からの手紙が届けられて居たそうです。



 彼女は本国での軍の定期任務の前に、自分の家の輸送商船商会の仕事でオローシャ帝国からコヨミ皇国まで荷を運んで来て、これからコヨミ皇国で、南方からの交易品を積み込んで帰国しようとして居た所でした。



しかし、コヨミ皇国のオローシャ帝国大使館から待ったが掛けられたのです。



 依頼元には、便宜を図って上で、輸送艦も別に用意するので、此方の頼みを聞いて欲しいと言って来たのでした。





 シェスカは本国と親友から同時に自身のスケジュールを邪魔された事に怒って居たようです。





そんな彼女の前に現れたのは海上自衛隊の護衛艦隊と第一輸送艦隊でした。



 シェスカは、先祖代々聞かされて来た科学技術力と言う物が伝わって居り、ロストテクノロジーと化して居ました。



シェスカは、日本国海上自衛隊、護衛艦あたごの艦長の栗田武男一佐と引き受ける依頼内容の確認をやり取りする中で、談笑もして居た時の事でした。



 その話中では、栗田一佐が映画・アニメと言った単語は理解が出来なませんでしたが、宇宙戦艦や宇宙と言う言葉は、伝承として実家に代々聞いて居たので理解が出来たそうです。





「はい。先祖の記録では天よりもはるか上に、星の海の空が有ると言う言い伝えが伝わって居ます。」







「祖先は其処で、商船の仕事をして居たとの記録が残ってました。あの船も先祖が残した遺産だとか。」







「もう他国では、お伽話として語られて居ますが、私達は普通に科学と言う記録にしか残っていない学問や技術が、実在はて居るの事を知っ居ます。」





「今やロスト・テクノロジーですが・・・・・・・・・」







「科学と言う概念が、この世界にも在るのですかっ!?」







「これは凄いっ!後で政府に報告しなければ為らないな。あの~貴国に付いて書かれた資料を後で頂きたいのですが。宜しいでしょうか?」





「はぁ?それは、どうしてでしょう?」



 シェスカは、栗田一佐が何を言って居る事が、分からなかったそうです。





(科学なんて過去の遺物よ。今さら何処にも残って居る筈が・・・・・って・・・・まま、まっまさかアレってもしかしてっ!?)





 彼女は栗田一佐が乗って来た乗り物や直近くまで来ていた護衛艦を見回します。



すると、魔力で動いて居るようには、見えない代物である異に気が付きます。





「栗田さん、ひょっとして・・・あの船は・・・」











シェスカは、恐る恐る聞いて見る。







 栗田一佐は何かを察したのか、シェスカの言いたい事の答えを答えて上げた。







「はい、動力はガスタービンエンジンで動いて居ります。」







「自然界にある物理的な法則を元にして居ますので、あの船は科学力で動いて居ますよ。」





「ああ、ああのぉっ!!通信機に電装品やその他の部品って発注できますか?」







「それとも点検や修理は?この船もう、後何年使えるのか、内装部品を魔力式に切り替えて500年。」







「そりゃもうっ!騙し騙し使ってきたんですが、私を含めて国中の艦はあと百年前後が限度と言われてまして・・・・・・・・」









「ちょ、ちょっと落ち着いて下さいっ!」









シェスカが混乱し、気が逸るのも無理もありませんでした。





 彼女を含めて、官民訪わずにオローシャ帝国が所有して居る古くて、鋼鉄で出きていた空挺魔導戦艦の殆どが700年も前に在った科学文明国家である旧アース世界連合国が、保有していた宇宙船を改修して、延命処置を施して使い続けて使用して居た代物でした。



 まぁ、中には戦争で沈んだり、艦の対応年数の延命に限界が来てしまうですが、各国家と民間組織は、何とか使い続けようと努力して居ました。





 彼女の祖先や700年前の技術者達は、出来る限りの生産設備。資料データを本や電子データに残して居ました。







その子孫達は、それで何とか使い繋いで居たのです。



 且つて在ったと言う核融合炉心や縮退炉とか重力子とか、他にも色々と使っていたエンジンは、早々に廃炉成って居ました。



 それはSF物の創作作品集に在る様な壊れた挙句に、お決まりの動力炉の大暴走をしたら、本当に危ないからでした。





 その代わりに、この世界でも有力なエネルギーの代替として魔鉱石をドロドロに溶かして結晶化した物であるマナクリスタル作り出して居ました。



 更に船の心臓たる魔力式動力炉を開発して、全ての船に搭載して現在に至って居るのでした。



 オローシャ帝国の先人達は、とっくの昔に船の完璧な補修と整備に関して匙を投げて居ました。



 その昔、1000年前には新品で、巨人戦争で活躍し、700年前にしっかりと整備と修理をし、必要な部品と部品の生産設備と関連物資の生産設備が停止してから300年。







 代替品を使用しながらやって来たオローシャ帝国とフローレイティア家とって、技術的にロスト・テクノロジーと化して来た元宇宙船たる空挺魔導戦艦は、地球系転移諸国の出現によって生き延びる事が出来たのでした。



 こうして、フローレイティア家のフローレイティア輸送商船商会は、アースティア大戦末期に、日本の造船ドック企業の手に由って、大規模に修繕改修が為され、アースティア大戦を駆け抜けて行く事に成るのです。





 この賀谷野市・賀谷野港での依頼を受ける事によって、シェスカは、第一線で活躍る私設艦隊司令官兼商船商会長としても知られ、日本国の太いパイプを手に入れる事に成るのでした。





賀谷野市・賀谷野港



コヨミ皇国・万代市から鉄道で2時間から1時間。



皇都・星都市から3時間から2時間。



万代港からは1時間半。



日本国・新潟港からは3時間



ロシア共和国・首都ウラジオストク港からは2時間



ラクロアナ王国のロウデニィオン港とゼングリラ港からは1時間。



ゼングリラ市とロウデニィオン市各鉄道路線から45分。