異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ

アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月24日・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代市にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


万代市に着いてから4日目。

 遂に皇都からコヨミ皇国政府の使者がやって来ていた。

 同じ頃に日本使節団と自衛隊にも、コヨミ皇国在日本国臨時大使館から無線連絡が入っていた。


 皇都からの連絡を受けた伊達愛海と日本国使節団は、次の日に皇都である星都市に向うのだった。


 再び、自衛隊の長い行列が、万代市内を経由してコヨミ半島の中央の大動脈であるコヨミ中央街道の東の街道、 コヨミ中央東街道を通って西へと向う。


 愛海と万代藩の従者達は、日本側が用意したバスに乗って移動していた。

 これはコヨミ皇国側が騎馬や徒歩で移動し、日本側は公用車と自衛隊の車両と一緒の移動では効率が悪い為である。


万代市から西へ150キロ、其処にコヨミ皇国の皇都である星都市に着いたのは、夕方頃であった。


 皇都に付くと自衛隊は、皇都郊外の日本大使館と併設されている駐屯地に入る。

 ちなみに、この地から50キロ離れた草原に自衛隊の統合航空基地も在るのだ。

 この航空基地は、コヨミ皇国の防空や日本側が必要な物資や人の乗り入れを行う者である。

 戦後は、万代市の自衛隊基地がコヨミ皇国に一部返還され、星都市と並ぶコヨミ国際空港と国連軍の空軍基地とし使われる様に成って行く事に成る。

 これから行われる予定の皇都での謁見に付いては、国皇である力仁国皇の公務と諸侯を集めた御前会議が終わり次第、宮廷から日本大使館に報せが来る予定だった。


力仁国皇が、日本の先遣艦隊が来た直後に、御前会議を召集した。

 会議は紛糾し、コヨミ皇国内では、1ヶ月以上もの間、対帝国と日本との外交を巡って主戦派と講和派が互いを牽制しあう謀略合戦をして居るのだった。


 その御前会議は、日本使節団が来てしまっても続いて居たのであった。


 そして、コヨミ皇国政府が、最終予定日としている5月25日の事である。

 皇都では、連日の会議、会議、会議で疲労困憊の中、遂に国家方針を決める重要な決断を出そうとしていた。


力仁は日本国を迎えるのに必要な万代港の港湾の設備の改修と皇都である星都市まで街道の改修を日本主導で、日本式に行う事を国皇権限で認めると関係各位に通達をしていた。

 そして、国内の講和派と主戦派、それに中立派を集め、国論を纏め様として居るのである。

 序でに不穏な言動や行動の目立つ諸侯を押さえるか拘束する積もりでも居た。

 つまり、この御前会議は、皇国に措ける不穏要素の目立つ人物を一斉掃除する絶好の機会で有るのだ。


そもそもコヨミ皇国の国内が、此処まで会議が拗れるのは、帝国との外交政策に措いてコヨミ皇国内には、二つの勢力が有って、コヨミ皇国は二つに割れていた。

 皇国の西側と最前線の北西に領地を持ち、帝国と貿易を通じて、帝国とは多少の国交の有る講和派の藩主達。

 それに対して東と南、南西と北東に領地があって、帝国に対して誇りと独立を守ろうと言う主戦派の藩主達である。

 しかし、そのどちらにも付かない各地で日和見をしている中立派の藩主も居るが、最近に成って中立派閥の藩主達の風向きが変わりつつあった。


龍雲海沖海戦が起こり、その後、南西国藩主の嶋津義隆と皇女紅葉からの報告で、その存在が明らかと成った国家、そう、異界からの転移してやって来た日本国だ。

 コヨミ皇国の船舶の船足で約5日から7日の距離にある島国は、彼らの想像を遥かに超える超大国であった。

 そして、その異界国家が複数この世界に転移して来ていると言う事実も、更なる衝撃的な事実でもあった。

 コヨミ皇国は、これらの異界国家との国交樹立と軍事同盟の成立は、コヨミ皇国だけでなく、この世界のパワーバランスの有り様を根幹から覆すものであるのは明らかである考えていた。


この事態に慌てたのは、講和派とその筆頭の相州国藩主である北条正成であった。

 彼は兼ねてより、自分の私腹と藩国の利益の為に、帝国との戦を避けるべく動いていた。

講和派の主張はこうだ。「帝国に戦で勝てないのは火を見るより明らかである。ならば、紅葉皇女殿下等、3姉妹を帝国の王子か名のある貴族と婚姻し、姻戚関係を持って穏便に済ませるのが妥当だ。」と正成らは強硬に主張している。


たが、先に供述した通りでもあるが、当の本人である紅葉がこれを大変に嫌がり、政略結婚を言い出した本人を斬り付け、いや、殴り付ける等をした。

 如何なる理由が有ろうと望まぬ結婚を嫌がるのが当たり前であるが、彼女が嫌がる理由は有った。

 それは嫌な噂が絶えない帝国とその王侯貴族らは、他国の全ての身分に関係無く、女性に対して何をして来るのかが分らないからだった。

要するに下種な輩が多いと言われていた。

 それに暦の巫女としての直系の血筋たる紅葉を差し出すのも、国としてコヨミ皇家としても有っては成らない事だし、紅葉は大事な可愛い妹達や、皇族に連なる親族の娘達を生贄の様にして、差し出す等とは言語道断であり、決して許せないと講和派を徹底的にぶちのめしていた。


一方で主戦派は、当初は、足柄一葉を筆頭にして、徹底抗戦だけを主張する猪集団だったが、日本が現れるとそれまで唱えていた戦争一辺倒の政策を転換する。

 そして、日本国の元で交易を通じて彼の地の優れた技術と経済力を吸収しつつ、日本式の軍隊を編制し、帝国と戦おうと言う冷静かつ、理知的な物へと変わって行った。

 それだけではなく、日本国の国防軍である自衛隊なる組織を国内に駐留させ、抑止力とするとある。

 更には、この日本国との関係をシベリナ連合だけでなく、反帝国同盟の全てに拡大としようと言う広大な計画を訴えていた。


これに講和派が真っ向から反対した。「得体の知れない国家に何が出きる。チョッとばかり国力の高そうに見える国ではあるが、軍隊の数が少なすぎるから大した事は無い。」


「全ての国家に対して、ニホンの経済支援を行い、技術を取り入れ、軍隊の庇護下に入る等と言う考えは妄言に過ぎず、貴公らは錯乱して皇国を混乱に陥れ様としている。」

更に付け加えると「我がコヨミ皇国をニホンの傀儡国家にしようと企む奸臣であるっ!恥を知れっ、この痴れ者共っ!」と言って来ていた。


 要するに彼らの持っている自国領地の既得権益や私腹を肥やす事を戦争や他国に侵されたくないのが本音なのであった。


それならば、領土安堵を早期から確約してくれる覇権国家に依存した方が良いと考えて居るのである。

 なのに、日本とか言う何処ぞの馬の骨とも知らぬ輩の国に、自分達の邪魔をされるのは我慢が成らないのであった。


 これに対して主戦派は、日本から送られた分厚い資料を片手に反論をしたのであった。

「講和派の主張している事は根拠が全くない。このニホン国の国内の資料が描かれている物の本は紛れもない事実だ。」

「写真なる絵は精巧な技術で、現実の風景を写し取るカメラなるからくりで採られた絵図は、海の向こう側にあるニホンの姿であり、真実だ。」

「更に紅葉皇女殿下がニホン国の九州島地方を自らの目で視察をされた。」

「殿下が自ら撮影された写真もあり、殿下の書状とニホン政府からの資料は真実である。」

「この事実を噓つき呼ばわりする事は、皇室への不敬であり、講和派は何某かの不都合な事実を隠しているとも見て取れる行為だ。」

「我が国は早急に、この国との国交を結ぶ事を急ぐべきだ。」

「更に皇都には、ニホン国の使節団の先遣隊が既に入国を主上さまご自身が既に、許可をされている。」


「そして、彼らが扱う乗り物や道具の多くは、我が国の兵士や市民らの目に留まり、臣民達は驚きの声を上げている。」

「それに貴様らは、帝国との癒着の噂が囁かれている。奸臣と言うのは、何方の事なのかな。」


お互いの主張を一歩も譲らず、国皇の前で開かれていた御前会議は紛糾し、最後は力仁国皇が臣下の者達の議論をさせて機会を見て自分の意見を言おうとしていた。

 力関係の勢力の弱い講和派が中立派の切り崩しをしようと言う情報が持たされると、御前会議の最終日に成って、臣下達に言ったのである。


「我が娘の忠言を全面的に受け入れる。これまで我が国は、コヨミ皇族のお告げの力に助けられて来た。」

「紅葉の見た未来と、紅葉が視察見聞して来たニホン国の内情は皇国の未来を決める重要な決断に間違いは無いだろう。」


「成らば、ニホン国との国交樹立は正しいと言える。」

「更にニホン国の国力の高さは、紅葉と南西国藩の藩士らの手によって下調べをして来た資料で明らかだ。」


「正成、お主の意見も一理有ると言いたいが、これだけの物的証拠が揃って居るのに、ニホン国が大した国でないと強引に主張を通すのは無理が過ぎるぞっ!」


 賺さず正成は反論をし様とした。


「しかしですぞ、主上さまっ!このままではコヨミ皇国は、ニホンの傀儡国家に成り下が・・・・・・」



「くどいぞっ!下がれ、正成。わたしは既に決めて居る!」

「貴様の今の発言は、帝国の講和を受け入れた時の条件下での我が国の状態を言っているのだぞっ!」

「ニホン国は、民が偽政者を選挙なる方法で決めて居る。」

「彼の国の宰相は、市民から選ばれた元老院議員の中から選出された者だ。」


「それ故に、間違いは余程の事がない限り起こらない。」

「独善的な政治も勝手が出来ない政治体制だ。帝国の体制とは根本的に違うのだぞ。」

「既にわたしは、紅葉を通じてニホン国に、国防軍たる組織である自衛隊の派遣要請を出した。」

「更にニホン国は多数の技術指導者と貿易の基本条約するとも言ってくれている。」


「だから帝国とは一戦を交える所か、帝国が降伏するまで我がコヨミ皇国は一歩も退かぬぞっ!」

「他の講和派の者達も如何なる理由があろうと反対は許さぬ。そこで貴公らに此度の件で申し渡す。」


「帝国との癒着が有るとの噂の絶える事の無い貴公達は、その罪状がハッキリとするまでの間は、皇都の邸宅で謹慎しておれ、貴公ら自領の兵達も自領地へと退かせよ。」

「貴様らの見張りの指揮は近衛隊の加藤清忠と陸軍大将軍補佐の細河夕らの兵の任せる事とする。」 


突然、現れたのは近衛師団長である加藤清忠が率いる近衛隊と細河夕が率いて陸軍大将軍の直属配下の武士や兵士達である。

 控えていた二人と直参の兵士達に囲まれた正成達講和派は、槍や刀に突きつけられた。


 正成を始めとした講和派は、真っ青な顔になり、自分達が進めて来た和平工作(降伏従属条約)の締結計画がご破算と化していた事に成ってしまう。


 それ処か、主上である力仁の怒りを買い、国政に関わる事を禁じられ、会議室から閉め出されてしまった。


力仁は会議が講和派によって荒れる事を予測して居た。

 会議その物を無理やりに中止する動きや武力蜂起によるクーデター等の万が一に備えて、近衛隊で講和派の首魁を取り押さえる算段を付けていた。


 更に日本使節団の護衛と開発支援として来ている自衛隊も、帝国と自国の反乱に対する抑止力として駐留して欲しいと要請を御前会議の最中にコヨミ皇国政府首脳陣と決めて居たのである。

 古来より安定した政権を作るのに話し合いで決まった例は少ないと言える。


 力仁は、この国の王として、覚悟を持ってこの決断を取ったのである。

 だが、皇国内での火種は、まだ鎮火はしていないのである。


 どの世界、どの国でも変革の際は、片方の派閥勢力が反発するのが世の習いだからである。

 かくして一月以上にも及んだコヨミ皇国の日本に対する外交方針は、ようやく決まったのであった。

 だが、この無理やりな鎮圧行為が、後に大きな内乱を呼ぶ事に成る。それはもう少し先の話に成るのだが・・・・・・・・・・・・・・



 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月27日・午前10時00分頃・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・皇都・星都市・星都城・謁見の間にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 5月27日 コヨミ皇国 皇都・星都市



荒れに荒れたコヨミ皇国の御前会議から二日が経過した。コヨミ皇国政府は、慌しく日本使節団との会談の準備を進めていた。


 御前会議の最中も準備は進められて居たが、会談を行うに相応しい内装準備などは、講和派の居る手前では進めらない。


 25日に終わった御前会議の直後から一気に会議場や謁見の間の内装など飾り付けや、段取りの打ち合わせを進める時間が皇国側に必要だった。

27日の午前9時頃、コヨミ皇国の近衛隊の先導の元で、日本国使節団が皇城たる星都城に入城する。

 星都市の名の由来は、星の都と言う意味である。北斗星と南宝星を神の一つとして信仰して居る意味も有るからだった。


 この国は星を神として信仰している。国旗には太陽と月が重なり合い北と南の星を飾った模様をしている。

 星都市は日本の平安京、その手本と成っている中国の古き時代の都である長安の町並みにも似ていた。


 都はコヨミ皇国の本土であるコヨミ半島中央に位置している。

 東西約10キロ、南北10キロ位の広大な平野に位置して作られていた。


 星都城は近い将来、帝国との対峙する時を想定して150年前に、この平野の南に星都山を中心に築城された城である。

 都の市民は、北大路門から入京する見慣れない鉄の車を珍しそうに眺めていた。


 日本使節団は、古の日本や中国の都も、この様な姿をしていたのかと思い珍しがりながら自国と良く似た異世界の半島国家の首都を見ていた。


日本使節団は、この日、護衛である少数の陸自隊員と供に、星都城内の謁見の館へと通された。


 城内風景はまるで日本の江戸時代以降の城か京都御所等の建築物に良く似ていた。


 様々な装飾が施されていて豪華絢爛の美しい建物である。

 謁見の間にて、使節団の一行は着座をする事を許されると、程なくして、ドーン、ドーン、ドーンと言う太鼓の叩く音が城内に響き渡る。

 日本の時代劇で描かれているワンシーン見たいで、彼の暴れまくっている将軍が出てきそうな感じだった。


「力仁国皇陛下のお~な~り。」


従者が国皇の入室を知らせると謁見の間にいる全員が一斉にお辞儀をし、礼を採っていた。



 力仁が謁見の間の一番奥に在る指定の着座位置に座ると使節団に声をかけた。


「良う来られたニホン国の使節団の方々、私がコヨミ皇国の国皇、力仁である。」


「そして、我が家のじゃじゃ馬な娘が大変に世話になった。心より御礼を申し上げる。」


諏訪部外務大臣が一歩前に進み頭を垂れて、日本使節団を代表して挨拶をした。竜史も一つ下がった位置へと後に続いた。


「ご拝謁を賜り光栄の極みです陛下、日本使節団の団長の諏訪部純二で有ります。」


「副団長の高見竜史です。」


「そして、この度のニホン国からの格別のご支援、御礼を国を代表して御礼申し上げる。」


「貴国の天皇陛下と安元宰相殿に良しなにと、お伝え下され。」


「はっ。此方こそ、末長いお付き合いお願い致します。」


 挨拶を終えると国交樹立の議題へと移る。


「それでは国交を樹立する為の提案だが、我がコヨミ皇国からは、次のように提案したいのだ。詳細な説明は宰相の四条由美から説明させよう。」


力仁が右側の位置で着座して控えていた宰相である四条由美を呼び、日本国への要求を改めて説明させる。

 事前に決めている両国の協定と要請内容は、あくまで仮の物である。此処で改めて両国が合意する事で本格的な国交方針が決まるのである。


それと此処で四条由美に付いて少しだけ語って置こう。

 四条由美、コヨミ皇国の古い貴族の出自で、真面目で沈着冷静な性格。眼鏡を掛けたクールな雰囲気のお姉さんである。

 その性格が災いして婚期を逃してい「こほん」あっ、失礼した。誰かに突っ込まれたような?

 それはさて置き。その真っ直ぐな性格から鉄の宰相と言われていて、脅しを掛けた位では、簡単には屈さない人物である。力仁から絶大な信頼を寄せられていた。


「では、ニホンの皆様へ提案させて説明さて頂きます。最初に互いの国家の承認、不可侵条約の締結。」


「但し、日本国からの導入された新技術と乗り物などを含めた物を運用する為の制度と法律の整備に関して、ニホン国からの法律と制度の原案の提案と各種技術指導者の指導と活動は、我が国の主権を侵すには当たらないと解釈します。」


「次に貿易における関税に付いてですが、当面の間、特に我が国が日本の最低水準に達するまで関税等を掛けずに置き、関税が必要と提案された場合は互いの実情に合わせた関税を設けます。」

「これは帝国との戦争で、兵器生産を始めとする各種産業品の生産が過剰になり、日本での生産が間に合わない場合が想定されます。」

「そうなると日本からの良質な輸入品を仕入れている各国と日本が互いに関税を掛けていると生産コストが関税によって過剰に掛ってしまいます。」

「これ等をスムーズとするには、関税を当面の間は撤廃し、互いの国の雇用を促進し、雇用した人達の所得から長期的な所得税を元に、それまで国庫で掛けた資金の元を取ろうと言う提案です。」

「我がコヨミ皇国は、これらの事業を国を挙げて推奨したいと考えて居ます。」


「次に諸外国と仲介に付いても、問題なく進めて行きたい考えて居ます。」

「そして、最後ですが、我がコヨミ皇国及び反帝国勢力に対する軍事協定の取り決めです。」

「本来は軍事同盟と表記したい所ですが、ニホン国の憲法とこの世界に転移して来ている異界国家各国との間には、我々の世界独自の国交と国際協定に批准していない貴国と異界国家群には無理が有ります。」

「其処で二ホン国を中心とした異界国家の国々と反帝国同盟各国との間に、個別軍事協定を結び、当座を凌ぎたいと思います。」


「そして、その間に何らかの形で大きな国際会議の席を設け、其処で本格的な取り決めを決める協議を行いたいと提案致します。」

「ですが、流石にその席を設ける為には、色々と外交上の根回しが必要と成りますので、当面は無理と我が国は見て居ります。」

「この事に関しては、新たな動きが有り次第、改めてご連絡させて頂きます。」


「次に我が皇国からの貴国に要請する軍事協定は、貴国の防衛軍である自衛隊の派遣と駐留、陸・海・空軍基地の提供、戦時における共同戦線、我が国の軍事改革と人材育成、武器と兵器の輸入です。」

「なお武器と兵器に付いてですが旧式な物で構いません。」

「両国の都合が付きやすく、初めてである我が国の将兵でも扱いやすい品物を中心に仕入れて行きます。」

「現行使用している武器や兵器の改良版でも、何でも結構ですので、御一考下さいますようお願い致します。私共からは以上と成ります。」


コヨミ皇国からの提案は終わった。お次は日本の番である。


 コヨミ皇国からの提案は概ね予想通りと思った日本側。提案の説明は諏訪部外務大臣が行う。


「日本国側からの提案は、外務大臣である私から説明させて頂きたいと思います。」

「先ず、国家承認と不可侵条約に付いてですが、問題ないと考えています。」

「次に貿易に付いてですが、政府との協議とお互いの省庁での協議で進めて行きたいと思います。」


「関税に付いても前向きに検討を致したいと思います。」


「それと食料と原材料の輸出に付いても出きる範囲でお願いします。各国との外交における仲介も改めてお願い致したいと思います。」


「最後に安全保障の協定に付いてですが、ご要望通りに自衛隊を派遣致したいと思います。但し、当面の間だけ一定数の部隊を派遣をする予定でおります。」


「特に帝国が周辺地域に、戦争をこれ以上仕掛けて来るまでの間のみとし、それ以外では派遣人数を限定的とします。」

「駐留予定の自衛隊は、日本国外苑地域での専守防衛と事前驚異の除去防衛、大使館と在留民間人の護衛する事を目的とする事を法的な根拠とします。」

「これは今現在日本と帝国が互いに本格的な宣戦布告をしていない事に基づきます。」


「先のあさくら号襲撃事件は、偶発的な国境警備の争い的な延長と言うのが我が国の見解です。」

「まだ、あの時までは、我が国は帝国なる存在を知らなかったと言う事に成って居ます。その認識を貴国にも分かって頂きたいのです。」


「承知致しました諏訪部大臣。貴国は、先の帝国が行った民間船襲撃事件に付いての見解はあくまで戦争に当たらない。」

「あくまで民間船の保護のにおいて発生した偶発的な戦闘と言う事で周辺国に発表する様にと各所と世界各国に伝達します。」


「有難う御座います。四条宰相。」


「議題は以上と成ります主上陛下。」


由美宰相が、力仁国皇に両国の提案の提示が終わったと告げた。


「うむ、後は互いの官僚同士が話し合い細部を詰めて纏めるが良い。」

「最終判断はこの場に居る国家代表同士が確認すればよいが、諏訪部大臣と高見大臣の両名は必要とあらば帰国しても構わない。」

「早急に纏めたいと思うが、両名の判断では勝手に出きないと判断した場合は安元宰相に、案件を諮って貰っても良いぞ。」


「それと頼みたい事が、もう一つ有るのだが・・・・・・・」


「何でしょうか?」


 諏訪部が聞き返す。


「実は国内の諸侯に、貴国の国力と軍事力を疑う者が多い。」

「其処で貴国の実力を我が国の諸侯や臣民、各国の大使らに見せて欲しい。」


「本当の貴国の力を見れば、ニホン国を侮る者らも黙らせる事も容易であろう。」


 竜史が言った。


「実力・・・軍事力ですよね。」


「そうだ。この世界は強い軍隊が無いと舐められるのも仕方の無い事だ。」

「特に見た事も聞いた事も無い異世界の国は、我々に取って謎が多く、知らない事だらけである。」

「無知で有る事は、お互いに不幸な事でもある。」

「其処でだ、貴国の力を我が国の演習場で見せて欲しい。」


「力を示せか・・・諏訪部さん。」


「分かりました。安元総理に連絡を取り、検討したいと思います。」


「あの~諏訪部さん。」


「何だい竜史くん?」


「演習が全て終わったら日本の物産展でもやりましょうか?」


「竜史くん。それはどうしてだい?」


「我が国をより一層、売り込むチャンスかと・・・・・・・・」


「ああ、そうか。我が国の実力が、軍事力だげてなく、優れた品物を作り出すだけの技術力を持って居るとコヨミ皇国の市民と諸外国の大使に知れ渡れば、それはこの異世界での世界市場に対して、一層の売り込みのチャンスと言う訳か。」

「よしっ、政府と経産省に掛け合ってみよう。」


「中々面白そうな事を思い付くではないか。その企画、決まったら知らせて欲しい。」


「それでは、この度の日本国との会談は一先ず終了する。皆の物、大義であった。」



 力仁国皇が退出して行く。

 周りの人達は一斉に礼をして行った。

 事が終わると、由美が諏訪部に近付いて来た。


「諏訪部さん、これからの会議の間、宜しくお願いしますね。」


「はい、此方こそ。」


 諏訪部と由美が握手を交わしていた。諏訪部は彼女の印象を好意的に思っていた。


 四条由美、皇国宰相にして、とても美しいと評判のお肌の曲がり角のにじゅう「死にたいんですか貴方?」えっ!?はい、スミマセンです・・・・・・

 けれど文章の間に突っ込まないでください、はい。


 ととっ、取り敢えずっ!両国の第一回会談は終了した。日本の異世界での波乱の日々は、まだまだ始まったばかりである。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月25日。



 この日、コヨミ皇国の皇都である星都市、星都城ではコヨミ皇国の国家の行く末を決める最後の御前会議が開かれて居ました。



 力仁国皇を前にした主戦派と講和派と言った二大派閥は、激論を交わすこと、一月余り事です。



 遂に最後の結論を出す決定的な出来事は日本国使節団の到着であったと言います。



 この頃のコヨミ皇国は、日本国と地球系転移国家諸国の出現により国内情勢と国論が真っ二つに割れていました。





 主戦派と呼ばれる者達は、ローラーナ帝国の属国か、又は支配下に置かれるの為らば最後の一兵に成るまで戦うと言う物でした。



 コヨミ皇国と皇室に忠義的な派閥で構成される中で、その筆頭人物として名高った足柄一葉を筆頭にして、徹底抗戦だけを主張する猪集団だったが、日本と転移国家諸国が現れると、それまで唱えていた戦争一辺倒の政策を転換する事と成ります。





 この時の力仁国皇は、日本国を迎えるのに必要な万代港の港湾の設備の改修と皇都である星都市まで街道の改修を日本主導で、日本式に行う事を国皇権限で認めると関係各位に通達をして居ました。







 そして、国内の講和派と主戦派、それに中立派を集め、最終的な国論を纏め様とする判断材料とする積りで居たのです。



 それら現実論的に事実を反戦派閥たる講和派に見せ付ける事で、ぐうの音も出させずに、不穏な言動や行動の目立つ諸侯の動きを押さえるか、拘束する積もりでも居たのです。







 つまり、この御前会議は、皇国に措ける不穏要素の目立つ人物を一斉掃除する絶好の機会で有るのだ。











 そもそもコヨミ皇国の国内が、此処まで御前会議が拗れるのは、帝国との外交政策に措いてコヨミ皇国内には、二つの勢力が有って、コヨミ皇国は二つに割れて居るのが原因と言うの先に説明した通りです。







 講和派と言うのは、コヨミ皇国の西側と最前線の北西に領地を持ち、帝国と貿易を通じて、帝国とは多少の国交の有る講和派の藩主達。





 それに対して主戦派と言うのは、東と南、南西と北東に領地があって、帝国に対して誇りと独立を守ろうと言う主張する藩主達の事である。







 しかし、そのどちらにも付かない各地で日和見をしている中立派の藩主も居るが、最近に成って中立派閥の藩主達の風向きが変わりつつ在りました。





 その切っ掛けと成った龍雲海沖海戦が起こり、その後、日本国へと渡った南西国藩主の嶋津義隆と皇女紅葉からの報告で、その実情が明らかに成って行く事により、中立派閥は次第に主戦派と強調体制を取る様に成って行くのです。



 力仁国皇とコヨミ皇国政府は、これらの異界国家との国交樹立と軍事同盟の成立は、コヨミ皇国だけでなく、この世界のパワーバランスの有り様を根幹から覆す事を決めて居ました。





 この事態に慌てたのは、講和派とその筆頭の相州国藩主である北条正成であったと言います。



 彼は兼ねてより、自分の私腹と藩国の利益の為に、帝国との戦を避けるべく動いていた。



 

 講和派の主張は以下の通りでした。



 「帝国に戦で勝てないのは火を見るより明らかである。ならば、紅葉皇女殿下等、3姉妹を帝国の王子か名のある貴族と婚姻し、姻戚関係を持って穏便に済ませるのが妥当だ。」と正成らは強硬に主張して居ました。





 ですが当の本人である紅葉がこれを大変に嫌がり、政略結婚を言い出した本人を斬り付け、いや、殴り付ける等をしたのです。







 如何なる理由が有ろうと望まぬ結婚を嫌がるのが当たり前であるが、彼女が嫌がる理由は有った。







 それは嫌な噂が絶えない帝国とその王侯貴族らは、他国の全ての身分に関係無く、女性に対して何をして来るのかが分らないからだった。



 要するに下種な輩が多いと言われて居たのです。



 それに暦の巫女としての直系の血筋たる紅葉を差し出すのも、国としてコヨミ皇家としても有っては成らない事。



紅 葉は大事な可愛い妹達や、皇族に連なる親族の娘達を生贄の様にして、差し出す等とは言語道断であり、決して許せないと講和派を徹底的にぶちのめしたのでした。





 一方で主戦派は、当初は、足柄一葉を筆頭にして、徹底抗戦だけを主張する猪集団でしたが、日本国が現れると、それまで唱えていた戦争一辺倒の政策を転換する事にしました。







 そして、日本国の元で交易を通じて彼の地の優れた技術と経済力を吸収しつつ、日本式の軍隊を編制し、帝国と戦おうと言う冷静かつ、理知的な物へと変わって行ったと言います。





 それだけではなく、日本国の国防軍である自衛隊なる組織を国内に駐留させ、抑止力とするとまで決めて居ました。



 これに講和派が真っ向から反対しました。



「得体の知れない国家に何が出きる。チョッとばかり国力の高そうに見える国ではあるが、軍隊の数が少なすぎるから大した事は無い。」





「全ての国家に対して、ニホンの経済支援を行い、技術を取り入れ、軍隊の庇護下に入る等と言う考えは妄言に過ぎず、貴公らは錯乱して皇国を混乱に陥れ様としている。」





 更に付け加えると「我がコヨミ皇国をニホンの傀儡国家にしようと企む奸臣であるっ!恥を知れっ、この痴れ者共っ!」と言って居ます。





 要するに彼らの持っている自国領地の既得権益や私腹を肥やす事を戦争や他国に侵されたくないのが本音なのでしょう。



 それならば、領土安堵を早期から確約してくれる覇権国家に依存した方が良いと考えて居るのです。



 そんな理由から日本とか言う何処ぞの馬の骨とも知らぬ輩の国に、自分達の邪魔をされるのは我慢が成らないのであった。





 これに対して主戦派は、日本から送られた分厚い資料を片手に反論をしたのでした。







「講和派の主張している事は根拠が全くない。このニホン国の国内の資料が描かれている物の本は紛れもない事実だ。」







「写真なる絵は精巧な技術で、現実の風景を写し取るカメラなるからくりで採られた絵図は、海の向こう側にあるニホンの姿であり、真実だ。」







「更に紅葉皇女殿下がニホン国の九州島地方を自らの目で視察をされた。殿下が自ら撮影された写真もあり、殿下の書状とニホン政府からの資料は真実である。」







「この事実を噓つき呼ばわりする事は、皇室への不敬であり、講和派は何某かの不都合な事実を隠しているとも見て取れる行為だ。我が国は早急に、この国との国交を結ぶ事を急ぐべきだ。」







「更に皇都には、ニホン国の使節団の先遣隊が既に入国を主上さまご自身が既に、許可をされている。」











「そして、彼らが扱う乗り物や道具の多くは、我が国の兵士や市民らの目に留まり、臣民達は驚きの声を上げている。それに貴様らは、帝国との癒着の噂が囁かれている。奸臣と言うのは、何方の事なのかな。」





 両者はお互いの主張を一歩も譲らず、国皇の前で開かれていた御前会議は紛糾し、最後は力仁国皇が臣下の者達の議論をさせて機会を見て自分の意見を述べました。





 力仁国皇は諜報部の事前の情報から得た話に措いて、力関係の勢力の弱い講和派が中立派の切り崩しをしようと言う情報が持たされる聞き付けると、御前会議の最終日に成って、臣下達に言ったのである。











「我が娘の忠言を全面的に受け入れる。これまで我が国は、コヨミ皇族のお告げの力に助けられて来た。紅葉の見た未来と、紅葉が視察見聞して来たニホン国の内情は皇国の未来を決める重要な決断に間違いは無いだろう。」











「成らば、ニホン国との国交樹立は正しいと言える。更にニホン国の国力の高さは、紅葉と南西国藩の藩士らの手によって下調べをして来た資料で明らかだ。」











「正成、お主の意見も一理有ると言いたいが、これだけの物的証拠が揃っているのにニホン国が大した国でないと強引に主張を通すのは無理が過ぎるぞっ!」











 透かさず正成は、反論をしました。











「しかしですぞ、主上さまっ!このままではコヨミ皇国は、ニホンの傀儡国家に成り下が・・・・・・」





「くどいぞっ!下がれ、正成。わたしは既に決めている!貴様の今の発言は、帝国の講和を受け入れた時の条件下での我が国の状態を言っているのだぞっ!」







「ニホン国は、民が偽政者を選挙なる方法で決めている。彼の国の宰相は、市民から選ばれた元老院議員の中から選出された者だ。」







「それ故に、間違いは余程の事がない限り起こらない。独善的な政治も勝手が出来ない政治体制だ。帝国の体制とは根本的に違うのだぞ。」





「既にわたしは、紅葉を通じてニホン国に、国防軍たる組織である自衛隊の派遣要請を出した。更にニホン国は多数の技術指導者と貿易の基本条約するとも言ってくれている。」











「だから帝国とは一戦を交える所か、帝国が降伏するまで我がコヨミ皇国は一歩も退かぬぞっ!他の講和派の者達も如何なる理由があろうと反対は許さぬ。そこで貴公らに此度の件で申し渡す。」











「帝国との癒着が有るとの噂の絶える事の無い貴公達は、その罪状がハッキリとするまでの間は、皇都の邸宅で謹慎しておれ、貴公ら自領の兵達も自領地へと退かせよ。」







「貴様らの見張りの指揮は近衛隊の加藤清忠と陸軍大将軍補佐の細河夕らの兵の任せる事とする。」 



 この日を境にコヨミ皇国の国論は一つに成り、主戦派は拘束され皇都・星都市内に幽閉される事と成ったのです。



 ですが、これが後にコヨミ皇国の内乱を招く切っ掛けと成った出来事でも在りました。

アースティア暦・1000年・西暦2030年・5月27日



 荒れに荒れたコヨミ皇国の御前会議から二日が経過したコヨミ皇国政府は、慌しく日本使節団との外交会談、後に日暦国交開設外交会談と呼ばれる会談が、コヨミ皇国の皇都・星都市に在る星都城内にて執り行われました。





 実は御前会議の最中内も外交会談の準備は進められて居ましたが、会談を行うに相応しい内装準備などは、講和派の居る手前では進めらません。





 其処で25日の御前会議が終った直後に講和派の取り締まりを一気に終わらせ、それが終わった直後から一気に会議場や謁見の間の内装など飾り付けや、段取りの打ち合わせを進める時間が皇国側に必要でした。



 そして、27日の午前9時頃、コヨミ皇国の近衛隊の先導の元で、日本国使節団が皇城たる星都城に入城を果たしたのです。





 コヨミ皇国の皇都である星都市の名の由来は、星の都と言う意味が有ります。



 その名の意味の由来と成って居るのは、北斗星と南宝星を神の一つとして信仰して居る意味も在るからです。







 この国は星を神として信仰して居り、国旗には太陽と月が重なり合い北と南の星を飾った模様をして居ます。







 そんな星都市は、日本の平安京や平城京と言った街並みと酷似して居り、その手本と成っている中国の古き時代の都である長安の町並みにも似て居ます。



 日本国内の日本史・歴史考古学達は、その星都市モデルとした日本の平安京や平城京と言った街並みの再現CG映像を製作して、当時の面影をこうだったのでは無いかと、参考資料として広く関連研究者たちに向けて開示して居ます。



 また、星都市は今現在でも日本の平安京や平城京と言った街並みが色濃く残ると、日本国内から沢山の観光客で賑わう大都市であり、多数の文化財が残る文化都市として賑わって居ます。







 星都城内では、力仁国皇と日本国使節団一行が対面し、対ローラーナ帝国へとの対応で協力体制を確認し、今後の在り方に付いての話し合いをするとの事で両国の外交交渉がスタートしました。



ですが、力仁国皇が・・・「実は国内の諸侯に、貴国の国力と軍事力を疑う者が多い、其処で貴国の実力を我が国の諸侯や臣民、各国の大使らに見せて欲しい。本当の貴国の力を見れば、ニホン国を侮る者らも黙らせる事も容易であろう。」との話が出て来る事に成ります。



そして力仁国皇の言葉は続きました。



「そうだ。この世界は強い軍隊が無いと舐められるのも仕方の無いことだ。特に見た事も聞いた事も無い異世界の国は、我々に取って謎が多く、知らない事だらけである。無知で有る事は、お互いに不幸でもある。」







「其処でだ、貴国の力を我が国の演習場で見せて欲しい。」











「力を示せか・・・諏訪部さん。」











「分かりました。安元総理に連絡を取り、検討したいと思います。」と諏訪部外務大臣は、日本国政府に持ち帰るとして、その場での返答は差し控える事に成ります。



そんな中で交援省大臣である高見竜史が、咄嗟のアイデアを言い出します。





「あの~諏訪部さん。」











「何だい竜史くん?」











「演習が全て終わったら日本の物産展でもやりましょうか?」











「竜史くん。それはどうしてだい?」











「我が国をより一層、売り込むチャンスかと・・・・・・・・」











「ああ、そうか。我が国の実力が、軍事力だげてなく、優れた品物を作り出すだけの技術力を持って居るとコヨミ皇国の市民と諸外国の大使に知れ渡れば、それはこの異世界での世界市場に対して、一層の売り込みのチャンスと言う訳か。」





「よしっ、政府と経産省に掛け合ってみよう。」











「中々面白そうな事を思い付くではないか。その企画、決まったら知らせて欲しい。」との事に成り、それが何故かアースティア世界の反帝国同盟諸国中立地域諸国にまで広がると、ローラーナ帝国が盟主と成って居る西方バルバッサ帝国同盟と対立又は中立地域の国々が集まる東京サミットへの開催へと繋がり、 やがてはアースティア国際平和維持連合への設置へと繋がって行くのです。
これは紅葉の初めての親友と成ろう者の苦難と成長を描いた回顧録である。



ユーラシナ大陸の北部、東の海岸国ラクロアナ王国が在り、パイプ・ライン大河と言う大河が、この世界の太平洋へと注いで居る。



 其処から西へとパイプ・ライン大河沿いに進んで行くとアルガス公国、アセリナ王国と続いて行く。



 その北側には、険しい山脈であるドラグリア山脈が在り、多くの野生の竜種が生息して居る。





 それらの中で最も進化した種族を龍人族と言い。龍人は幾つかの色別の部族に分かれている。



 その中の白龍人部族が起した国をドラグリア白龍大帝国と言う亜人族の大国が在る。



 代々大帝と言う地位をこの地方の部族たる白龍人族の長が、皇帝の地位に就いている国である。



 冬は極寒地であり、人間とそれに近い亜人種達が暮らす土地としては適さないと言われて居る。



 越冬の時期に成ると、海と山から一斉に龍人族以外の種族が、退去する姿が見られるのだ。



 アセリナ王国から更に西へと行くとダバード・ロード王国が在る。



 ダバード・ロード王国は、この世界でも屈指の魔導技術を持った大国の王国であり、魔法と魔動力の研究機関が多数存在する。



 この国では初等科の学校から簡単な魔法を学べるこの世界でも数少ない国家だった。







 今回語るのは、ダバード・ロード王国の出身で、紅葉と深い関係を持って居るとある魔導師の幼少期と、少し前の出来事の話である。





ダバード・ロード王国は、魔法関連に関わらずとも、学問を盛んに推奨し、周辺国よりも発達した技術と国力を有していた。



 首都はインディクス、現国王はアーヤ・シュチュード女王、26歳。一つ下に弟ユウミール・シュチュードが居る。



 その他複数の王族が居るが、長い戦争のせいも有って、その多くが女性で占められて居た。





 そして、王都から南東に100kmの場所に、この国の二番目に大きい都市、トキアード市が在る。



 ダバード・ロード王国から総合学園研究都市に指定され、魔法と原理の研究と人材の育成が行われている学園研究都市だった。





この世界には科学という学問概念は、600年前以来、徐々に失われつつある為、科学と言う言葉の代わりに原理と呼んでいた。





後に日本の原理探求の概念の言語である科学と言う言葉が、再びこの世界の原理の言葉の成り代わる事と成るのは、もう少し先の話。





・・・・・・と言っても現時点でのこの世界の科学技術は、簡単な物でしかない。





 例えば投石器で、物を遠くに飛ばす。



 風を使って帆を受けて船を動かす。



 火薬で爆発し物を破壊する。



 歯車を組み合わせて、物を動かす等の基本概念は有るが、機械を動かす動力が魔力、荷車の動力として使われているのは家畜と言った物が主流を占めている状態なのでは、再び機械文明の発達はし辛い事だろう。





況してや、旧時代の如く、再び優れた技術文明立国の復刻を成し遂げ、日本の様に高度な機械化文明を持つに至る事も無かったのも、長い戦争のせいであり、その文明水準レベルが、地球で言う中世ヨーロッパ程度にまで後退して止まってしまって居る国家が大半を占めていたからだった。





 トキアード市立総合学園。この学園は中等部から大学まで試験さえ受かれば、誰でも通える国営の公立学校である。



 ちなみにダバード・ロード王国は、小学校のみが義務教育とされて居る。





 他の国では学校に通える事すら珍しいとされていて、学校と言う施設すら少ないからであった。



 かつてこの学校に通っていたリナ・ミーサガ・リンバースは、成績もそこそこも容姿もパッとしない平凡で、前髪を垂らしていた恥かしがりやの女の子だった。幼い頃からミドルネームが変だとからかわれていた。





彼女のミドルネームは、今ではどう言う読み方だったのかは分からないが、コヨミ皇国系の名前だったと言う話を聞くだけで、詳しくは分からない。





リンバースの家は中流貴族の家系であり、昔から一族は領地を持っておらず、発明や研究、技術官僚を職業として居た代々研究者の家系貴族である。



家はそこそこ裕福で、両親の他に姉1人と王都から勉学の為にやって来ていた従姉妹が二人いた。



 彼女の幼い頃は、両親と姉達と一緒にシベリナ地方の各国を歩いて回った思い出が有った。





 5歳の時に、リナとその両親は諸国会議の出席する為に、コヨミ皇国を訪れていたリナの両親は、魔法関連の技術者であり、同時に古代文明や転移文明の遺跡の研究者で、戦争に必要な技術関連の会議に出る為であった。



 その会議の合間は、貴族の子供等に取っては、とても退屈な時間だった。





 彼女に限らず会議に政府関係者の子供等が連れて来れるのは見合いか、知り合いを増やすのが目的だった。





幼い時から互いを見知って置けば、何かと便利と考えての事である。





 リナと紅葉の出会いは、リナの両親がコヨミ皇国での会議に、出席する為に訪れた時の事だった。





 リナは東洋の果てに在るコヨミ皇国のとても珍しい古い町並みに目を奪われ、大使館の近所を探検していた。





 リナの将来の姿は、抜群の容姿とスタイルに加え、天才的な魔導師と謳われている。



更には、敵対するものを全て滅すると言われた彼女も子供の頃は、もっと地味で恥かしがりやで、平凡な女の子だったが、時より見せる一面に、負けず嫌いな部分を持ち合わせた所があり、人一倍気の強い所が有った。



両親と供に連れられて来た姉、レナは別の所にいる親友達の所に遊びに行っていた。





 その親友らは、何時も彼女の事をシゴキまくって、いや、虐めて、でもないか。



 兎に角、出来の悪い親友の妹を実の妹同然に可愛がり、鍛えてくれて居た。



 リナは、小さな時から姉の事が憧れであり、恐怖の対象でもあった。無論、その親友達も・・・・・・・・・



そして、今はその姉達が居ない。





 モタモタしていると自由時間を姉達の暇つぶし、いや、強制特訓と証する姉達のお遊びが始まりかねないと大使館を抜け出していた。 



 そんな時だった。街中の広場で、町の子供達に混じって相撲を取っていた紅葉と出合ったのは。



少しだけ高いそうな着物を着て、20人ばかりの男の子と女の子の子供達の人だかりの中で、取っ組み合う姿があった。着物は既に薄汚れた状態で取っ組み合っていた。



 やや女子率が高い場では有ったが、彼女は楽しそうに暴れまわっていた。





 今の彼女の姿とこの場のやり取りの風景を竜史が見たらこう言うだろう。





 女版の織田信長だと・・・・・・・・・・・・・・・・



19歳の現在では、かなり落ち着いた雰囲気の女性と成っているが、幼少期はとんでもないお転婆でじゃじゃ馬な性格だった。



 彼女の一番の不満は、謙る貴族諸侯の子供らを紅葉の遊び相手に宛がわれて居る事である。





 その事に彼女は物凄く頭に来ていた。



 コヨミの皇家は、身分が煩い家ではないが、皇女と言う身分のせいでマトモな友達が居ないのが、周囲を困らせて遊ぶ原因だった。





 其処で大人達は、少しでも紅葉を落ち着かせ様と年の近い近衛隊の関係の子女を付けると、今度は皇城から町へと抜け出し、町人らの子供と遊び始めた。





その後どうなったかは想像できるだろう。



 彼の織田信長と同じ様に、皇都の市中であれこれと問題と騒動を起こし捲った。



 町の人々は、ある程度は見逃して居たが、ほんとに困る事をした時だけ容赦なく叱った。



 紅葉は身分の上下の関係の無く、損得の無い対等な付き合いが出きる友を欲していたのである。



 なまじ生まれながら持っている予知・読心能力のせいで、嫌なものを聞いたり見たりして来たのも原因でも有るのだが・・・・・・・・・・



これには流石の父の力仁も困り果てて居た。



 一方の母の葛葉は「放っておいても大丈夫。その内、心から気の許せる相手と出会いますから」と言い。



 気にも留めていなかったりするのだった。





リナは、金持ちな感じのする子が、こんな所で取っ組み合いしているのが珍しかった。





 紅葉が1人の女の子を投げ飛ばすと、何かを感じ採ったのか振り向いてリナの元へと駆け寄って来た。





「随分と大変な目に遭って居るのね。」





「えっ?!」





「貴女、西から来た子でしょ?」



「でも其処に何時までも立って居ると、怖ーい人達に掴まるわ。私と一緒に遊びましょう。」





 このコヨミ皇国で、西の子とは自国以外の西側全ての友好国の子供達の事を指して言っている。



 偶にやって来ては、見ず知らずの地元の子供と適当な付き合いをし、遊んで帰って行くからである。



 兎に角、これがリナと紅葉の最初の出会いである。





「ちちょ、ちょっとっ!!そんなに引っ張らないでよっ!!!」





「あそこで、皆に囲まれて居れば平気よ。」





 リナは訳が分からずに、強引に地元の子供らの居る輪の中に入れられた。





 そして、相撲とか言うコヨミ皇国の伝統的な格闘技をやらされていた。



 リナは相撲をやってみると何をやっても紅葉に先を読まれ手が出せずに居たのである。





(この子、どんな攻撃を仕掛けても、何をやっても通じない。)





 一方、相手の紅葉はと言うと。





(何よ、この子。本当に相撲が初めてなの?)





(それに何て持久力なのよ。こんなにも細身の身体の何所に、そんな力が有るの。)





 周りの子供らも二人の組み合いに目が離せずにいた。





 リナは姉達との特訓のせいで、有る程度の筋力と持久力が付けられて居た。



 細いヒョロヒョロな感じで、少々恥かしがりやな所が有るが、紅葉とガッチリと組み合って、一歩も退かなかった。





「お嬢さま、相撲が初めての子相手に、何やってるのよっ!」





「西の子も頑張れーっ!」





15分もの間、両者共に一歩も引かずに居たが、決着はあっさりな物だった。





(もう、何やっても無駄なら適当で良いや。)





 リナは何も考える事を止めて捨て身になった。





「へっ!?」





どうにも決着が付かないと踏んだリナは、心の中を無心と成って適当な戦いを始め様としていた。



 そして、リナが無心に成ってしまい、リナの心の内が読めなく成った紅葉。思わず紅葉口から間抜な声が出てしまう。



 リナは、紅葉と組み合った体勢を止めて、適当に突き放し、自らの感に従って彼女の後ろに素早く回って輪の外へと叩き出した。





「ふんぎゃっ!!」





 盛大に転びつつ、可愛くも間抜けな悲鳴を上げた紅葉。町の子らの目には、負け知らずだった彼女が、初めて負けたの瞬間である。



 それもチートな能力を使った勝負である。





 正にずる賢い方法で勝ち続けた事に武神から天罰が下った瞬間だったとも言えた。





 彼女は後に、こう語って居る。





 あれ程、間抜けな声で、突き飛ばされながら、転ばされたのは、あの時だけだったと言って居た。



 これまで卑怯な手口を散々に使って勝って来た紅葉に、天上に居わす、天の神々は、彼女に罰を与えた様な出来事だったとも言って居た。





「だ、大丈夫?」





 リナは涙目の紅葉に、手を貸しながら彼女を気に掛けた。





「くずっ、別に平気よ。痛くなんかないしっ!」





 (なっ、何か可愛い。)





 其処へ遠くから二人を呼ぶ声がした。





「ひ~め~さ~ま~っ」





「紅葉さまっ!何処ですかーーっ?」





 キョロキョロと辺りを見回して探す二人の従姉妹同士の従者達、身形はとても裕福そうである。





「リナ~何所にいるの~?」 







 今度はリナの姉であるレナ声だった





 二人は互いに何かを鋭く感じ取ったか、揃ってバッと、駆け出しその場を去った。





「お嬢、もう帰えるの?」





「ゴメン、また今度ねーーーっ!」





子供らは紅葉の突然の行動には、慣れている様子で、直に迎えの者が現れるのも知って居たのである。





「姫様は?」





「もう居ないみたい。絵美里お姉ちゃん、紅葉さまは、とても感がお宜しいから。」





 声の主は絵美里と香織であった。





「お嬢ならもう居ないよ。」





 一人の男の子が答える。





「そんな~っ!」





「はあ~・・・・・・」





子供らは皇女の事を告げ口をする事をしないのが暗黙の了解だった。





 へなへなと座り込み落胆する絵美里であった。







 遅れてリナの姉であるレナが、二人の友人と共にその場に現れた。





「可笑しいわね。この辺りをうろついて居ると思ったのだけれど、他を行ってみましょ。」





紅葉は自らの能力で、リナは日頃からの経験から来る感で、難を逃れたのである。二人は、とある甘味処に入る。





「雅美、居る?」





紅葉は人気の少ない店内で店の主の名前を呼んだ。





出て来たのは二十代半ばの女性だった。





「これは姫様、いっらっしゃい。また、城を抜け出して来たんですか?」





「うん、そんな所。それよりこれ。」





 紅葉が差し出したのは小銭だった。





「何時もので良いんですね。」





「構わない。そりよりも何時もの奥座敷を借りるわよ。」





「はいはい、どうぞ。そちらのお嬢さんも、一緒にお入りなさい。」





リナは訳が分からず、取り敢えず今思って居る疑問を雅美に聞いて見た。





「あの~先ほどから姫様って言いましたよね。ひょっとして、この子は、何処かの貴族の娘か何かですか?」





「ああ、貴女はコヨミ皇国に来たのは、初めてなのね?」





「あ、はい。」





「そう、皇都に良く来る異国の人や皇都の市民は、姫様のお転婆ぶりを良く見て、見慣れて居るから、不思議には思わないでしょうげど、初めての人が事情を良く知らないのも無理ないわね。」



「このお方はわね、コヨミ皇国・第一皇女、紅葉皇女殿下ですよ。」





「へっ、えっ、えっ、ええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっ!!??」





 リナの驚き様は凄い物で、叫び声が店の前の通りに聞えるほどだったりする。





「私は先に行ってるわ。雅美、説明は手短にね。」





履いていた草履を手に取り、勝手知ったる場所である為、何の躊躇もせずに彼女は店の奥へと消えて行った。





「貴女、お名前は?」





「リナです。リナ・ミーサガ・リンバース。」





「変わった名前が入ってるわね。こっちの方の名前みたいだけど、発音が訛りのせいか、元が何なのか分からないわね。」





「良く言われます。それよりコヨミ皇国の皇女様が、何で市内の中を護衛も就けずに徘徊して良いんですか?」





「う~ん、それは姫様にしか分からない事だから、わたしが知っている事は、単に普通の遊び相手が欲しいだけなのかも知れないわね。」



「現に此処に連れて来られる子供達は今の所、御付きの絵美里お嬢様達ぐらいですもの。貴女は、余程姫様に気に入られたみたいね。」





「えっ、そうなんですか? 良く分からないのですけど。」





「姫様は滅多に、他人には、お心を開かないお方だから、かつてわたしは、お城で侍女をしていて、養育とお世話係をしていたわ。」



「今は結婚を切っ掛けに引退して、此処で甘味処しているの。良く姫様が隠れ家代わりにいらっしゃるけどね。さてと、そろそろ行かないよと姫様が待ちくたびれているわよ。」





リナは雅美に言われた部屋へと行くと放蕩姫様は、縁側で待っていた。二人は雅美が持ってきた白玉のぜんざいを黙って頬張っていた。





 ちなみにこの時代のコヨミ皇国には、甘味処の定番の餡蜜がまだ無い。





 砂糖やフルーツをふんだんに使用したお菓子が出回るのは、日本転移後の生産体制が整い材料の価格が下がってからである。



 コヨミでは砂糖の変わりに甘葛煎あまづらせんを使用している。





 甘葛あまづらとは、ツル状の植物の事である。



 この植物から蜜の様な液体を抽出させて御菓子の混ぜて食すのが、昔の人々の間では一般的だった。





 よく分からないと言う人は日本版のシロップだと思えば良い。



 今でも奈良県などの一部で個人の手で作られて居るらしいが、入手と生産量も少ない為に、今では殆んど知られていない。古くは縄文時代辺りから食べれていると言われている。



 安土桃山時代に砂糖が輸入され始めて、江戸時代には国内生産が始まるとイミテーション的な味の甘葛煎は、次第に全国から消え始めたのである。



 二人はこの日を境に友達となり、この数日の間に出会った者らと親友と成るのである。それは後に、鉄より固い絆と言われる事になる。







時代は変わってリナが15歳の時、トキアード市立総合学園の高等科への進学を控えた春の頃だった。





 中等科の学生寮から高等科の寮に移る間、市内の実家に一時帰省した日の事である。



 実家の屋敷が、何者かに襲撃されていたのだ。両親は怪我をしていたものの、命に関わるほど事は無かった。



 だが、南方のとある古代遺跡に出向いて調査研究に関わっていた姉が攫われてしまうと言う知らせをダバード・ロード王国政府と軍から受けたリンバース一家。



 その研究とは新型の魔導機兵である。魔導機兵とは、正式名はナイト・マギアと言い。







 魔動力炉で動くロボットの事であるが、一般的には魔導機兵また、機兵と略されて呼ばれている。



 元々機兵は古代遺跡で発見された機体の技術元に、コピーされた人型兵器である。





 ・・・・・と言っても劣化コピーであるが故に、元型とは随分とかけ離れた姿をしている機体であった。



 仮にロボットアニメオタクかロボットプラモマニアが、これ等を見たとしたら「ファンタジーロボットキターーーッ(゜∀゜)!!」と叫んで興奮するに違いない。



 その古代遺跡も異世界からの転移物だと言われていた。



 機兵は、この世界の学者や技術者には理解できない構造で作られていた。





 ここ数年で帝国も別の国と共同で魔導機兵を量産を始めて居ると言う。





 ここ最近では、ダバード・ロード王国との戦闘にも、投入され始めていた。その為、新型の開発が急がれていた。





 その開発とは魔鉱石と言う鉱石を利用した専用の魔導力銃の開発と機体の反応速度やオリハルコン製の巨大な剣の試作が進めらていた。





 リナの両親は、この計画に少しだけ関わりが有った。





 姉のレナは新たに南方で発見されたと言う遺跡の調査に関わって居たのである。





リナはダバード・ロード王政府、地元のトキアード市の警備隊や王国軍に噛み付くように姉の捜索を嘆願したが、その調査・追跡の結果は不明だった。





 政府や軍も殆んど手を尽くし探したが見つからなかったと言うのだった。





 だが、帝国は、この事件が起きるタイミングを合わせたかの様に、例の遺跡のある王国領を目指して帝国軍が攻め込んで来たのである。



 その事でダバード・ロード王政府は、リナを呼び出したのである。





 本来なら両親が行くのが筋だが、今現在は病院に入院している為に行けずに居た。





 そして、怪我をした両親に代わって訴えを起していたのは、リナだったからである。











ダバード・ロード王国 インディクス城にて・・・・・・・・









リナは旅装束のまま戴冠したばかりのアーヤ・シュチュ―ド女王に謁見を許された。





 桃色の装束を着た女王が、少ない軍関係者と近衛の護衛だけが居る変わった陣容でリナを出迎えていた。





「さて、妾が貴女を此処に呼び出したのは理由は言うまでもない。」





「其方の姉であり、我が国でも有数の魔導師にして、優秀な魔法学者でもあるレナ・ミーサガ・リンバースに付いてである。」



「結果を言えば残念では有るが、完全に我が国の国外へと連れ去れたと見るべきでしょうね。」





「そんなっ!!」





リナが大きな声で叫び声で女王に前に飛び出す勢いで何か言おうとすると、周りの者らがリナを取り押さえ様とするが、女王であるアーヤが周りを嗜める。





「良い、これは我が国に取っても危機的な事である。重要な人物と情報と戦略的な拠点、更に領土が奪われたのです。」





「これは・・・近い将来我が国は、帝国との決戦の次期が早まったと見るべきでしょうね。」





 周り者達は重苦しい顔していたがアーヤは構わず話を続けた。





「皆の気持ちも分かります。」





「ですが、我が王国と帝国との最後の戦は避けられません。」



「我が祖先はこの東の地に逃げ延びる事に拠って、彼の国との正面決戦を避けて先送りしたが、此度は逃げる事は叶わずだ。」



「隣国に逃げ込んだ所で数年を経たずにその国を追われるか共に滅ぶしかないのです。」



「話が逸れたがリナよ、此度は妾と政府や軍は、貴女の力に慣れそうにないわ。」



「妾は国を守るので精一杯なのです。本当にすまないと思って居ます。」





「陛下・・・・ですが・・・あたしは一体どうしたら・・・・・・・」





 アーヤは一つの提案を出した。





「リナ、貴女は暫くの間、ドラグリア白龍大帝国に行きなさい。」





「えっ、あの龍人族の国ですか? ですが、あそこは人が暮らすには決して良い場所では有りませんが・・・・・・」





「まあ、お聞きなさい。あなたのご両親は、妾と王政府が匿まいましょう。従姉妹や親族にも護衛を就けます。」



「他の親族らは狙われる心配は先ず無いと考えて良いでしょう。」





「それでも念の為ではありますが。狙われたのは政府のある計画メンバーだったと噂を流しておきます。」





「貴女は将来の目標は国家魔導技師と聞いて居ます。リナ、貴女は今回の一件で魔導技師への道へは進めなくなりました。」





リナはアーヤの話を黙って聞くだけであった。いま、彼女の将来の目標のであり、就職先のである国家採用試験を受けて入る国家魔導技師官僚と言う道が絶たれたのである。





「政府のと妾の都合で、貴女の将来を潰すのは酷だけど、代々の魔導技師と学者の家系のリンバース家の一族であるリナは、別の意味で狙われる可能性があるわ。」



「貴女がもし、最低の学力でも大学を受験し卒業したら、帝国から狙われる可能性があるわ。」



「帝国はリンバース家が持っているこれまでの研究成果を狙っている。今回は貴女のご両親はあまり政府の深い所には関係無く。」



「貴女の自宅からは、何も持ち去って居なかったので、難を逃れたと妾達は見ているの。」





「でもレナは違う。レナは遺跡の場所と軍の研究を一部を知って居たのよ。」



「殺されはしないでしょうけど重要な情報を持っていないと成ると、今度は魔導機兵に関する情報を欲しがるでしょう。」



「レナは設計技師でも有るわ。其処で妾は貴女を技師への道を強制的に諦めさせ、戦闘魔法に特化した魔導師に成ってもらうわ。」



「因みに拒否権は無いわよ。どうしても嫌なら僻地で幽閉処分になるわ。」





自国の女王から魔導師に成る為に、強制修行しろ言われたリナ。此処で彼女の言う事を拒否したら極寒の地へと強制幽閉と言う処分まで言うのだ。





 何故、王政府は、此処までの事をするのかがリナには疑問だった。







「陛下、何故ですか、あっ、あたしに国から此処までの仕打ちする理由が、何所に有るのですかっ?」





アーヤは冷たい目線でリナに言う。





「これは酷ですが、貴女を守る為です。リナ、貴女が学業を励めば近い将来、帝国は貴女を攫うか殺しに来るでしょう。」



「レナで得られなかった成果を手にするまでは、彼の国は他国の技術や知識、血筋を欲してる節が有ります。」





「そして、今回の一件は、我が政府の機密をリンバース家が隠していると勘違いして居る事です。」



「帝国は、任務の成功の有無を対象となる先を文字通り狩り尽くすまで調べます。つまり、狩り尽くされれば、レナの命が危なくなる可能性が有るのです。」





「姉さんの命が・・・・・・・」





「リナ、強く成りなさい。誰にも狙われる事も無く、誰にも屈しない強者になり、この国が滅んでも1人でも生きられる様に・・・・・」



「但し、高等科の卒業だけは許します。ドラグリア白龍大帝国の隠遁先での試験による卒業と成りますが・・・・・・」





「はい。」





「直に荷を纏めて国を発ちなさい。生家に有るもので私物は後で届けさせるわ。」





こうしてリナは、祖国を追われる事になった。表向きは国の重要機密の漏洩による連座とされた。



 つまり、姉のレナが誘拐によって漏洩されるであろう国家機密を知る一家を事実上の離散処置を王政府が取った事に成る。





 リンバース家は罪に問われる事は無いが、リナは厳しい処分を怪我をした両親代わって取らされたと公式記録には残されて居る事に成った。



 リナは祖国の機密と無縁の立場を強制的に取らされて、1人で龍人族が治める国へと追放されたのであった。



 最後にアーヤは、修行の合格を受けるまでは、ドラグリア白龍大帝国での貴女の幽閉を解く事を許さないとリナに言っていた。





 修行が終われば自由になるが、祖国の国籍を持つだけの流浪の旅人に身を落とす事に成った。





「うぐっ、ぐすっ、ぐすっ、姉さん、あたし、強く、強く、誰よりも絶対に強くなってやる。」



「だからあたしは、引っ込み思案な弱い性格を封じるっ!この自己催眠暗示魔法で・・・・・・」



「今日を限りに、弱い性格と感情だったあたしは消える・・・・・」



「少女時代に別れを告げて、帝国に・・・復讐と、姉さんをあたしが必ず助けるっ!」



「その為だったら、何だってやってやるわっ!!」



 此処に1人の少女が身の安全の為に故郷を追われた。この数年前に彼女は、帝国の戦争の影響で、親友達との繋がりを絶たれてしまう。





 両親が襲われ、姉が攫われた。



 この日を境に、リナはやや引っ込み思案な性格の有る自我を封じる。





 そして、最も激しい感情的な性格を無理やりに常時、出す性格へと変貌する。





 これが後に雷帝と呼ばれた史上最強の魔導師リナが生まれた瞬間であった。



 そして、故郷と将来を奪われた彼女は、数年後に帝国打倒に関わるのである。





 奇しくも親友である紅葉と共に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 そして・・・・・・・・リナは、生涯を通じて二度と故郷で暮らす事をしなかったと言う。



結婚も墓も全ては異界の国、一生涯の暮らすべき終の棲家の土地と成った日本の地で幸せを掴んだと言われて居る。



 祖国を追われたリナは、ダバード・ロード王国政府の厚意で、移動する為の馬車を与えられて居た。



 その馬車にリナ個人の私物と家財道具等を乗せてドラグリア白龍大帝国へと向っていた。



既に泣き止んでいた彼女だが、その目は泣き過ぎた影響で真赤に染まっている。その目は丸で復讐に燃えるかの様な真赤な目をしていた。



 国を追われたリナは、恥ずかしがり屋な性格の部分を自己催眠暗示魔法と言う物を掛けて打ち消していた。



 これは鏡を見ながら掛ける魔法で、本来の用途は自分の弱い部分の感情に打ち勝ち心を強くしたり、恐怖する心を和らげたりするのが目的だった。



 リナは己の弱い心の部分を封じ込め、代わりに普段から感情的に前へとへと出て行く心を大きくする催眠暗示を掛けて居た。



 これにより、口悪い部分が強くなり、多少事でも恥ずかしからずに無くなり、より強気でガサツな性格と成ったリナ。





 どんな困難でも前へ前へと突き進む為に、故国で育った自分を封じて、死んだ事にして、故郷には二度と戻らないと決意する。



 そして、その催眠暗示魔法をかけた事は誰にも言わない自分だけの秘密にしたのであった



それから10日後には、国境の都市であるノエリア市に入った。





 此処ノエリア市は、ドラグリア山脈の南の麓に位置し、ダバード・ロード王国、アルガス公国、アセリナ王国、ラクロアナ王国の4国家の者達は、必ずこの都市からの入国する事に成って居る。



これ以外の方法では、何方のルートも遠回りになるが、山脈を避けながら空艇と言う空飛ぶ船での移動と大陸北部にある外洋から船を使う移動方法しかないのだ。



 ドラグリアは、冬の間はとても厳しい極寒の土地になる為に、普通の人種族を始めとする多くの種族らの大使や外交官と武官らは、冬の間だけは大使館をノエリア市に構えて居るのだ。



大使館に関わる職員達は、一年の内、春から秋に掛けての間、首都のラグーリアにある大使館で業務をしている。





 リナは雪解けの始まったばかりの竜人族の国へと足を踏み入れた。





 竜人族は、少し変わっている。その殆んどが半竜半人の姿か、尻尾や角、羽が生えた姿が一般的だ。







 竜人は男性が、恐竜のような姿をしたトカゲに似ていた姿である。



まれに人間の男に近しい姿で生まれる事も有るらしい。女性は殆んどが人間の姿と変わりない美しい女性の姿である。



 だが、女性には特別な力が備わっていた。巨大な竜の姿に変身が出きるのだ。





 この国で、屈強な戦士とは、主に女性の事を指している。



しかも空を飛べるのは女性だけであり、軍人の殆んどが女性である。







 この国の軍隊の強みは飛行竜騎士隊と言う兵科が有り、此処ドラグリア白龍大帝国では白龍騎士団と名乗って居る国軍が有るのだ。



白龍騎士団の構成されている種族は白龍人族と呼ばれる色竜人族の一種で、巨大な身体で空を飛び、肉弾戦やドラグバスターと言う破壊光線を口から撃ち放つ事が竜人族の主な戦い方だった







 そして、陸戦隊とその他の後方部隊の構成員は、その殆んどが男性で構成されているのも特徴的だとも言って置こう。





この世で最も力強い強靭な肉体を持ち、鉄より堅い皮膚、空を縦横無尽に飛びまわり、少々な怪我でも平気で有り、体の一部が切り落とされたり、潰されたりとしても一部が残っていて、細胞が完全に壊死さえしていなければ、時間を掛けて治療すれば再生が出きると言う巨愛の生命力が有る種族なのだ。





竜人族の軍隊は、強力だが欠点が多い事でも知られていた。





 それは口から光線等含む攻撃技を吐き過ぎれば、息切れを起して何も出せないとか、羽が傷つき過ぎれば空を飛べない。致命傷に近い傷を負えば竜には変身が出来ないとか。



体力の消耗や空腹に成れば弱くなる等の様々な欠点等を多く抱えていた。この弱点を突かれて近年の帝国との戦争で負けが込んでいた。



 そして、竜種が生息する地であり、元同盟国であるドラグナー皇国に対して近年は戦争を避ける傾向に成りつつあった。







 そんな亜人種族中でも、ドラグリア白龍大帝国と言う国家は、同盟国や敵対的で無い国々には、門を開かれている珍しい国家なのである。





そんな竜人族の国にやって来たリナは、故国の大使館に通され、其処でドラグリアからの迎えを待たされていた。





 1時間ほど待っていたリナ。突然、待っている部屋のドアが開き、迎えの者が現れた。









 其処に現れたのは、ダボダボな感じの服を着た幼い姿をしたツインテールの竜人族の女の子だった。





「いやーっ、お待たせしたっすね。わたしは帝立学院博士にしてドラグリアの天才と謳われる学士、ミナワ・ミゴットっす。」



「リナさんの事は、アーヤ・シュチュ―ド女王陛下とダバード・ロードの外交ルートから送られて来た資料で、知っているっす。」



「此処からは、わたしが案内するっすよ。」





「宜しく。」





 自称天才と称するミナワのフレンドリーな自己紹介に、呆気に取られながらもリナは、簡単な挨拶を済ませた。ちなみに彼女みたいな感じの竜人族は稀に居る。



見た目も容姿もそうだが、戦闘に向かない固体も稀だが生まれる事が有って、変身時の姿も幼竜に成ってしまうのだ。



 そう言った者達は、学問などで身を立てようするのである。ミナワもそんな一人であった。





「そうそう、わたしがリナさんの勉強の面倒と試験官も勤めるっす。我が国は長い時間を掛けて知識と技術を発展して来た経緯が有るっす。」



「周辺国の進んだ物を取り入れて更に発展を遂げているっす。だから、リナさんの母国と変わらない環境での勉学を提供できるっすから安心してくださいっすね。」





 二人は大使館を出るとドラグリア側が用意した乗り物に乗り込む。





「これは、竜車ですか?」





 リナは珍しそうに竜車とそれに繋がれている竜を見ていた。







 リナも本等ので、竜車に付いての知識が有ったが、実物を見かける事の出来る地域は、故郷のダバード・ロード王国のドラグリア近い地域から少し南部へと下った先の南部辺りで、軍や金持ちの商人でも無い限り余り見かけなく、所有者が居ないのだ。





「南の国々にも竜車を使う事は有るっすけれど、まだまだ一般の庶民の人達からすれば珍しいっすよね。」



「竜人族以外の龍族には、幾つか種類が有るっすよ。肌色の有る高位種族である色龍族と様々な理由から多種多様な進化を遂げて、大抵は野生か家畜と成って居る下位種の亜龍族に分かれて居るっす。」



「竜車は余程の国力と経済的に余裕があるか、竜の生息数と竜の畜産に成功している国でないと珍しいっす。リナさんは初めてっすか?」





「いいえ、何回かは見かけた事は有るけど、まだ、乗った事は無いだけよ。」





竜車は重騎竜と言う4足歩行の竜を使う。





 重騎竜は2種類いて、その内一つの種類は、正面の額に角の無いのをプロトンと言い、地球で言えばプロトケラトプスに似た姿している。



 とても大人しく、比較的安く取引されていて、主に荷物の運搬や農耕の家畜として重宝されていた。





 もう一種類は、3本の角が特注的で戦場での活躍が主なトリプトドンと言うのがいる。



 これはこの異世界の戦車みたいな物で、これが正面切って戦う姿は迫力満点だろう。



 この世界では、様々な家畜が運搬や戦で活躍して居るのである。





 二人はこの竜の馬車を使って山越えするのである。





「此処から先は、馬ではキツイ山越えっす。それに竜人族と付き合いのない野生種の亜竜が多く生息する地域の近くも通る道も有るっすから、馬は竜の気配に脅えて中々思う様に進んでくれないっすよ。」



「其処で我が国では幾つかの種類の亜竜種をも生活の足としても使って居るって訳っす。」





「へえ~。」





「それじゃ、早速っすけど、竜車に乗り込むっすよ。今日中に山向こうの町まで行かないと野宿する羽目に成るっす。ドラグリア山脈の野宿は、場所を選ばないと大変に危険っすから。」





「それって亜竜種が居るから?」





「それも有るっすけど、わたしみたいな竜人族が居ても相手は山で暮らしている野生の竜達っす。」





「わたし達は、竜の縄張りを間借りしているみたいものっすから、上位下位共に、うっかり機嫌を損ねたら豪い目に遭うっす。」





 街道は綺麗に整備されて居たとしても、油断は成らないのだ。







 野生の竜は稀に遊び半分で、人に危害を向けてくる事も有るのだ。彼ら竜人族は、他の竜種と対話が出きるらしい。



ドラグリア山脈を始めとする竜が生息する地域を通る場合は、其処を避けるか、竜人を案内役として同行させるのが旅人達のマナーであり、昔からの慣習的な倣いでも有ったのである。





「何だか物凄く面倒なのね。それならサッサと行きましょう。あたしは物騒な場所での野宿は、ホンとゴメンよ。」





二人は竜車に乗り込み一路を北へと向う。竜車が向かうのは、ドラグリア白龍大帝国の首都ハイリッピンへと向った。



 ドラグリア山脈を越えて先の町で一泊、平原や川を超え湖から流れる川に沿って街道を北へと進む事2週間の旅路である。



ドラグリア白龍大帝国の本土は、 ドラグリア山脈高原地方の事を指して居る。



 ドラグリア山脈を越えた先に在る大平原の事を指す、ドラグリア白龍大帝国の国土の6割五分近くがこの平原で成り立っており、竜人族の都市の殆んどが平原や丘陵地帯に造られて居る。





 ドラグリア白龍大帝国へと入るには、陸路でノエリア市を含めた都市を経由する形での三方向の街道から入国をするか、空路を使う又は遠回りに海路を使うしかないが、冬の間は海路は使えず、空路は天候に左右され易い。







厳しい自然環境が垣間見える ドラグリア山脈高原地方の中の丘一つを超えた頂上からリナは、この国の首都であるハイリッピンを眺めた。







 都市の中央に岩山を刳り貫いて作られた城は、その全体が真っ白な色をした城である白龍大帝城が建っていた。





 この世界の北で、最も栄えた亜人族の国、それがドラグリア白龍大帝国である。



 この国は、鉱石の採掘を主要な産業としている資源大国であり、それを諸国に売って代わりに食料や日用品を諸国から仕入れていた。



 また、国交の有る諸外国から委託で家畜竜の飼育を引き受けて居る事でも知られている。





 この国が、惜しむべき点を上げれば、産業が育ち難い点である。



 この国の冬は、地球のシベリア地方や日本の北海道の様な極寒になる為に食料生産が少ない。



 先進的な農業が有れば、もう少し違ったかも知れないか、そんな都合の良い方法や技術力が無いのがこの世界の実状なのだ。



それに工業力も乏しいと言う欠点も抱えていた。







 基本的な武器や最低限の鉄工製品は作れるものの、大量生産が自国で出来ないと言うジレンマをも抱えていた。



 学業はそれなりに盛んだが、あくまで教育するのが目的となっていて卒業後の就職難が特に目立っている。



 国の殆んどが軍人と商人と学者と言うちょっと困った国体体制なのだ。





 これも帝国との戦争の影響が原因だった。



 それに国土大半の場所には、異臭を放つ黒い池や噴出する毒ガス等が多く見られていた。



 後に交援省がドラグリア白龍大帝国内を調査をすると、鉱石以外のエルネギー資源が豊富なヤバい土地だと言う事が発覚する。



 その報告書を読んだ日本政府の面々は、経産省を始め大喜びで、この地の開発支援に着手し、ガタガタだった国内の産業や経済は、次第に改善されて行くのである。

 首都であるハイリッピン市内の周りをグルリと真っ白な防壁が囲って、それと白龍大帝城を合わせて眺め見る景色は絶景だけ、此処を訪れる人々が絶賛して居た。





 リナとミナワの二人は、市内へと通じる城門を潜り抜け抜けて行くと、その先の中央通りを通って城の正門へと向った。



 ミナワの話では、白龍大帝城で、この国の主であるエリノア・ドラグリア白龍大帝が、リナとの面会の為に待っていると言うのだ。



 リナは城内に通されるとミナワと一緒に謁見の間に通される。







其処には、小学生位の背格好をしている少女が玉座に座っていた。





それも偉そうな態度で座って居る。





「エリン陛下、ミナワ、ご指示通りにリナ・ミーサガ・リンバースを連れて参りました。」





「良く来たのう、遠路遥々とこの様な不毛で自然豊かな地に来たものじゃ、リンバース家の小娘。」





「はい、エリン大帝陛下。これからお世話になります。」





この皮肉った物の言い方をしてる少女、白龍大帝と呼ばれる白龍族一族の皇帝位に就いて居るこの国の元首にして、このドラグリア白龍大帝国の地を治めるエリノア・ホワイト・ドラグリア大帝である。





 親しい者や顔見知りに自国民、彼女を良く知る諸外国の民等は、愛称であるエリンと呼ばれていた。





 見た目が子供と侮ってはならない。これでも齢600歳を越える立派な大人であるも有るのだ。



 そして、この世界の竜人族は、エルフ等を含めた長寿な亜人族の一種族の一角でも有るのだ。



 だが、寿命はバラバラで、いつ頃歳を重ねて老けて行くかは、個人差に由って差異が有る。



 それは数千歳単位から数百歳までと言われているエルフに匹敵する長寿でも同じ事でも有るのだ。



 この見た目からエリノアは、諸国ではロリババアと揶揄されている。そして、この姿は仮の姿でも有った。



 本来の姿は絶世の美女であり、少女の姿を取るのは強力な、竜人族としての力の制御と魔力の燃費の節約も兼ねて居るのである。



 ちなみに真の姿は、滅多な事ではお目に掛かれないらしく、ドラグリア白龍大帝国の国民や一般人で見た者は稀であるとの噂だ。





その白いドレスと腰から伸びた白い尻尾に白い羽。頭部には二本の角が後ろに向って伸びている黄色い目がエリン達白龍人族の特徴的な容姿であった。



 補足説明をすると角や羽に尻尾は、変身能力を使えば出し入れが自由と言うオマケ付きだった。





 エリンは、初めて会う来リナを威圧するかの様にして、キリッと目をやりながら彼女を品定めしていた。





「まぁ、良い。お主は他の弟子共の姉達とは違い、糞面白くもないのう。」





「はぁ?」





「何じゃ、あ奴らに聞いて居らぬのか?わしが主の姉とその友等を時折じゃが、稽古を付けて鍛えてやっておったのよ。」





 エリンが言うその姉達に付いて説明しよう。1人目はリナの姉であるレナ・ミーサガ・リンバース。



 彼女はダバード・ロード王国では、古代魔法文明技術考古学研究や電撃魔法研究と電撃魔導師の秀才として知られている。



 その戦闘スタイルもやはり雷撃戦闘魔法を駆使するので雷光の魔術師と呼ばれていた。



 2人目はヴァロニカ・サークラ・レアモン。ドラグナー王国第一王女。



 アイアン・ブラッド・プリンセス、血染めの鋼鉄姫将軍と呼ばれ、容赦のない強さと用兵術を兼ね備えていた。



 3人目はマーヤ・リリロッカ・ヨシカーナ。アセリアの閃光の聖騎士と世間では言われて居るが、妹のハンナと似た様な感じてドジでうっかりさん。



 トラブル起こしたり酷い目に遭ったりと騒がしい頭の可笑しな人物として知られていた。





 アセリア王国は、天使族と自称している亜人族達が住んで居る。





だが、本当の天使ではない。





本当は只の普通の翼人族である。



 その昔、戦場で戦うアセリア王国の騎士達の姿を、言い伝えにある神に仕える天使みたいだと言われたと諸国の人々から言われた彼らは、そのまま調子に乗って以来、自分達の事を天使と言いふらす様に成る。



 まぁ、なんだ、アセリアの一部の人達と言うのは、何て言ったら良いのか、あっそうそう、頭の中身の思考がと言うかアレなんだ。



 所謂、思春期の心の病気みたいなものを抱えている。と言っても本当の病で無い。



 アレな感じの病気、思春期やオタクがとても罹患率がとても高い中二病なる病を患った人々が多いお国柄な所である。



 アセリアはエクスプロン・ランサーと言う魔槍が主力武器とする。アセリアの翼人の人々は先天的に魔力が高い。



 そんな彼らはエクスプロン・ランサーを使って鬼神に勝るとも劣らない姿で戦うのだ。



 この武器は二又の槍であり、遠距離に成ると二又に分れた槍の中央から放たれるエクスプローションを応用した魔動砲ぶっ放し敵を焼き尽くす。



 この通称エクスプロトンバスターを放たれた地は一円は荒野と化す。



 この武器を使ってマーヤは、攻めかかって来た帝国軍の一軍を壊滅させたとか。以上の3人がリナと紅葉らが最も恐れている姉達の事である。





 これ等3人は、それぞれの母国の軍で、既に戦場に従軍を経験して居た。



 だが、この時点でドラグナー王国のヴァロニカは、帝国に敗戦した関係で、互いの交流を絶たれており、レナとマーヤとは敵対関係に成って居た。





「陛下と姉さん達が、そんな関係だったなんてね。」





「まぁ、そんな訳で、この国に居る間はわしがお主を鍛えてやろう。わしだけでは無いぞ。この国の騎士や諸国を回って居た白龍人族の戦士等を、わしのコネを通じて講師として呼んでやろうぞ。」





「あの~ミナワさん、何でエリン陛下は、こんなにもやる気を出していらっしゃるんですか?」





 ミナワは微笑と呆れ顔で言う。





「それはすっね、このドラグリアは、冬の間は外に碌に出られず暇を持て余して居るっすから、陛下も多分・・・・・・・・」





「決まって居るであろう、こんな楽しそうなオモチャ、いや、困っている若者を助けたいだけじゃ。本当じゃぞっ!」





(いま、あたしの事をオモチャ扱いしたわよね・・・・・・)





 ニヤニヤと楽しそうにしているエリンは、暇つぶしの為に若者をおちょくって鍛える悪癖があった。



 その悪癖振りは、しっかりと弟子らに受け継がれており、幼少時代に豪い目に遭った原因をリナは、それを仕込んだ張本人から直接思い知らされる事と成る。



 そして、今「姉たちの悪癖の元凶は、この人のせいか」と怨みの声を心の中で呟いく。



 かくして、リナの修行時代の幕開けであった。



 リナがドラグリアにやって来てから2年の間。様々な事が有った。



 リナが故国を出てから4か月後、久しぶりにリナの実家を訪ねたハンナが、「えっ、リナ居ないの?」と地元の学校に通い続ける為に、リンバース家の持ち家だった旧実家を譲り受けた従姉妹達に、リナの諸事情を聴かされると、そのままリナを追いかけて、下宿先に着くと「あーそーぼーっ」と言う始末。



 リナは呆れ顔でドアを開けて応対するが、ハンナは「リナは何所に居るのであるかっ?」と本人を目の前にして大ボケをかます。



 この時のリナは、エリンの異常過ぎる魔導師としての修行生活のせいか、バストが88を超えて、165センチの背丈に加え、容姿や身体つきが激変していた。



「アンタね。あたしは故郷を追放されて色々とイライラ、むしゃくしゃをして居るのっ!」



「気軽にに遊びに来ないでよっ!」



「???」



「一体何のことだ?我はリナと遊ぶ為に居るのだ。お前ではない。」



「だーかーらーっ!!このあたしがリナだって言っているでしょうがあああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」



「えええええぇぇぇぇぇーーーーーっ!?」





 ハンナは、リナの容姿の余りの変貌振りに、衝撃を受けて大声で叫んでしまう。



「其処まで驚く事は無いでしょう。」



「えっえっでも・・・・・・」



「まぁ、背丈と胸が以上に大きく成り過ぎたのは、ちょっと嫌なんたげどさ、最近はお尻辺りの筋肉と張り具合が良くなりすぎて、お尻事態も何だか大きくなっちゃったのよ。お陰で下着を買い揃えるのも一苦労よ。」



「どどっどうやったらそう成るのだ?」



「分からないわよ。」



「まぁ、そんな事はどうでも良いわ。さっと実家に帰んなさい。此処に居ると厄介な師匠に玩具に・・・・・」



「おお、その後ろ姿はマーヤ・・では無いか、マーヤの妹のハンナだったか。リナに会いに来たか。それは丁度良かったな。」



「折角だからお前も扱いてやろう。」



 ハンナの背後に不意に現れるたのは、エリンであった。



「さぁて、我は数日後に母との大切な用事か有ったのだった。では我が友リナよ。達者でな。」



 ハンナは適当な理由を付けて立ち去ろうとする。



「まぁまぁ遠慮するな。お前の実家の母やマーヤには、話を付けて置く。暫くとは言わず、ずっと居ても良いのだぞ。その方がリナも寂しくは無いだろうしな。」



「嫌だああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!我を助けるのであるリナああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」



「はぁ~、だから、アンタとは連絡を取りたく無かったのに・・・・・・・」



「もう、手遅れよ。実家には当面は帰れないと覚悟しなさい。相変わらずのうっかり者のバカね、この子は・・・・・・」



「ひいいいいいぃぃぃぃぃーーーーーっ!!!助けてえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」





 こうして、ハンナはリナの魔導師の修行下宿暮らしに、うっかりで半ば強引に加入させられる。



 当然のことながら、ハンナの実家からは「暫くの間、娘をお願いします」と母から厄介払いさせられ。



 姉のマーヤからは「我が妹よ、我はお前と離れ離れに成るのは寂しいが、我が師匠との修行を頑張るのだああああぁぁぁぁぁーーーーっ!」と手紙に一言添える様にして書くだけで師匠エリンとは、余り関わりたくないらしい。





 こうしてリナとハンナの二人は、世界各所に居構えている龍族・龍人族らとの厳しい修行の日々を送る事と成る。





 赤龍帝・黒龍帝・黄龍雷帝、紫龍帝・緑風龍帝等々、ハンナと共に、その修業で死かける事100数回。



 各地の龍人族から一撃の一本取れば勝ちと言うルールの下、何とか合格を勝ち取り、高卒資格に合格した後、この国を後にした。







 彼女が竜人族の国を飛び出して後、先ず、最初にやった事とはと言うと・・・・・・・・・・・









パイプ・ライン大河を越えた南に在るとある帝国領内の帝国砦にて・・・・・・・・・・・





 此処はパイプ・ライン大河を越えた南に在るとある帝国領内の帝国砦。

 

 その砦近くに在る小高い岩石の塊の丘に隠れる二人が居た。



「・・・・本当にやるのか?」



「無理して付き合わなくても良いのよ。これから先はあたしの私怨なんだから、あんたは実家にでも帰ったら?」



「水臭い事を言う出ないのだ。我らは友であろうが?」



(ううっ、それに実家には姉ちゃんが居るから帰りたく無いのである。)



「ホンとに・・・・・?」



「本当である・・・・ぞ・・・・・・・」



(本音はマー姉ぇが怖いだけ何だろうけど・・・・・・・)





「本当だぞっ!」



「まぁ良いわ。ハンナは此処に居てっ!帝国との初戦だし、アンタが暴れると最悪動けなくなるでしょ。それが面倒だから此処に居て。」



「ううっ、それを言われると困るのだ。」





「じゃっ、行って来る。」



 親友漫才コント見たいなやり取りを終えた謎の二人は岩陰で分かれて、背の高い女が一人、帝国の砦へとあっと言う間に入り込んで行く。









「ヒック、最近は楽な戦ばかりで歯応えが無いな。ヒックっ・・・・・」





「おいおい、不謹慎な事を言うなよ。上官に聞かれたら、どやされだけじゃ済まないぞ。」





「大丈夫だって、ヒック、酒を飲んだくれて居たって、我が帝国は無敵、無敵の連戦戦勝よ。がはははっ!」





「大分、酔ってるな。」



 とある兵士は、不謹慎にも酒を煽り飲みながら、見張りをしていた。そして、モブキャラとして一番に言っては成らない台詞でフラグを立ててしまって居たりする。



「さぁて・・・・それはどうかしらね。」





「えっ?」





 酔いつぶれた同僚を尻目にして、謎の声が聞えて来て居た。







「そんな事を言ってると、何時か痛い目に遭う事に成るわよ。」





「だっ、誰だ?」





「ホンっと、この手輩は、殺られる前はどいつもこいつもお決まり口上が全く同じよね。」





何所だ何所だと丸でズバット参上し、ズバッ解決と登場するヒーロー探しているヤクザ組織の雑魚な構成員の人達か、鷲と蠍のマークの組織に所属している戦闘員の様に、兵士らはキョロキョロと辺りを見渡す。



 すると見張り用の櫓からドサリと黒漕げの死体が落ちてくると兵士らは一気に謎の侵入者の居場所に注目が集まる。





「何者だ。此処が帝国領内の砦と知っての狼藉か?」





 これまたお約束な台詞だった。部隊長の1人が見えない敵に対して叫ぶ。月明かり顔が映り、風で背中の黒いマントが翻って靡いて居た。





「そんなの知ってて、やってる決まってるわ。バっカじゃないのっ!」





肩まで掛かる癖っ毛風の金髪ロングヘアースタイルと気の強そうなツリ目をした顔立ち。



 170センチを越えると思われる高く伸びた背丈と、態度がデカイと言わんばかりに踏ん反り返った立ち姿に、それと同じくらいデカイ豊満な巨乳のバスト95センチ。



 明らかにスタイル抜群の美人と言いたいが、何処がイタイかも知れない女性が暗がり中に立って居たのだった。







「おい、そこの態度もデカイ上に胸も馬鹿でかい女っ!我々帝国に逆らって只で居られると思うなよっ!」





「そうだ、貴様ぁぁっ、本当に只で済むと思うな、貴様が手にかけた奴はな、コイツはな。此処での任期を終えたら故郷にいる片思いの相手に告白するって言ってたんだぞっ!」





「何て酷いっ。」





「こんな仕打ちは、あんまりだ。酷すぎるぅぅっ!!」





「知るかボケっ!!大体、戦地や戦場でそんな台詞吐くから、こうなるのよ。全くもって自業自得よ。」







 襲撃者の言う通りで、そんな台詞を言うと死亡イベントが発生するのは世の習いであり、物語に取ってはどうでも良い事だった。



  数名の兵士らは、怒りの声と嘆きの声を上げて泣きながら黒焦げの屍と化した兵士の事を語った。まぁ、しつこい様だが、本当にどうでも良い事をだと思う。





「まぁ、良い。言いたい事はそれだけか。」





「ふん、慌てなくとも、こちとら逃げも隠れもしないわ。でも名乗り口上は大事よね。言われて名乗るのも言われなくとも名乗るのが、あたしらしいって決めたからっ!!」





「あたしは、リナ、リナ・ミーサガ・リンバース!あんた等の帝国に怨みを持つ者。そして帝国を横暴をあたしは、決して許さないっ!帝国の全てを焦土とし、地獄に変える者の名、今此処で帝国に宣戦布告してやるわっ!!」





ハッキリと襲撃者は姿を露にする。其処にいたのは立派に成長したリナの姿だった。



 それも育ったのは背丈だけではない。彼方此方が立派と成ったスタイル抜群の美女が居た。





「なーにが、許さないだ。たった1人で何が出きる?」





「ちょっとだけ美人だからって生意気な。野郎ども、全員でやっちまえ。」





「ひっ捕らえた奴には、あの女は好きにして良いぞっ!」





「よっしゃーっ!!」





「ヒヤッハー!!」





「横取りするなって、俺が先にやってやるーっ!」





「「「「おおーっ!!!」」」」







明らかにこの時点で、どの兵士も死亡フラグの一言を言っていた。



特にヒヤッハーと叫ぶ辺り・・・・・・・・・・・・



 そして、帝国兵等は一斉に櫓の上にいるリナを目指して襲い掛かった。



リナは魔法の詠唱を始める。それも一撃必殺の魔法を。





「我は風と天と請い願わん、我と汝ら世界の理を操りて我の前に立ち塞がる全ての愚かなる者共に等しく雷帝の裁きを与えん事をおおおぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!!



「喰らええええぇぇぇぇぇーーーっ!サンダースレイィィィブうううぅぅぅぅーーーーーーーーーっっ!!!」





リナの手先から雷撃の閃光が一挙に放たれる。





 それは帝国兵ら全てを飲み込みつつ、砦の全てすらを飲み込み包んで行った。



 やがて閃光が消えると、砦の周囲は焼け焦げた死体と建物であふれていた。



 因みに、この世界の魔法は教本に出てくる基本魔法以外は決まった名前は無いし、詠唱する呪文の文章も自由に自作しても構わないのであった。



 魔法は想像力と魔力で決まると言われいる。



 ぶっちゃけて言えば詠唱呪文の台詞が適当でも魔法がぶっ放せば良いと言われて居る。



 後に雷帝のリナと呼ばれる魔導師が、此処に誕生した瞬間だった。





「はぁ、はぁ、はぁ、ふうーっ、何ともあっけない物ね。」





「でも恨むなら、このあたしを戦場にまで引っ張り出した帝国に所属していた事と、その上層部を恨みなさい。」





「あんたら帝国が姉さんとリンバース一族に手を出さなければ、あたしは此処に居ないのだから・・・・・・・・・・・・・・」





「うっわーっも本当に一人でやってしまったのであるな。」





「最初くらいはね。でも良いのよハンナ、アンタはあたし付き合わなくても・・・・・」





「別に良いのである。友の願いだ。我が助けるのは当然なのだ。」



 とか言って、他の友達達が構ってくれないから、リナと離れたくないとは言えないハンナなのであった。



 ここ数年の間、ハンナはリナの豊満なバストを抱く枕にして眠らないと寝心地が良くないと思っていた。

 

 そんな様々な自己都合の理由から、実家に帰らずの放蕩三昧の日々、暇を見て帰宅はしているが、姉がアセリア王国総統の地位に就いてしまって居るので、妹のハンナも軍役に付かないと体裁が悪いと、軍に入るのが嫌なら嘱託軍人をする様に言われて居たが、適当に理由を付けてずっと逃げていた。



「はぁ~腐れ縁か・・・・・・」



「リナよ、この次はどうするのであるか?」



「ふん、風の向くままよ。付いて来られる?」



「まままっ、待って置いて行かないでええええぇぇぇぇーーーーっ!!」



 突然、走り出したリナを大慌てで追いかけるハンナ。リナとハンナの凸凹コンビの旅は、この時から始まった。





「待ってて姉さん必ずあたしが助けるわっ!!絶対にねっ!!」





夜空を見上げ、リナは囚われの姉への思いを馳せるのだった。



 この彼女の悲願は、数年後に達成される事に成る。日本の協力を得て・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
リナ・ミーサガ・リンバース。 



言わずと知れた雷帝の魔導師と言う異名を持つダバード・ロード王国の出身の放浪魔術師としてアースティア大戦での英雄の一人で、大戦時ではユーラシナ大陸各地の悪党と帝国やその同盟国から恐れられて居る事は、後々の時代小説・時代劇映画・ドラマ等の創作物でも知られた人物としても知られて居ます。







 リナの生家であるリンバースの家のミドルネームは、アースティア大戦当時では、先祖がどう言う読み方だったのかは分からないとされて居る。



 先祖から伝えた聞くには、コヨミ皇国系の名前だったと言う話を聞くだけで、詳しくは分からないとされて居ました。



 ですが、その後の調査ではコヨミ皇国の断絶した皇族家である御坂家の流れをくんで居る事が分かり、紅葉とは遠縁の親戚関係に在る事が分かりました。









 そんなリンバースの家は中流貴族の家系であり、昔から一族は領地を持っておらず、発明や研究、技術官僚を職業として居た代々研究者の家系貴族である。







 その家族構成は、父親でダバード・ロード王国魔導研究官僚であるあるネギスプリング・ミーサガ・リンバース。



 母親で魔導戦技研究武官僚であるソシエ・ミーサガ・リンバース。



 5歳年上の姉でダバード・ロード王国の王立総合技術研究所の研究員にして稀代の魔導師でもあり、魔導関連技術の技師でもある。かなりの戦闘系統魔法の使い手でもあり、閃光魔法と言う所謂、光線式の槍、魔導弾、魔導光線などの光の粒子の魔法応用した業と雷撃魔法を得意として居る。



この両方を融合せた魔法である雷光魔法の使い手てでもあり、雷光のレナの通り名でアースティア大戦中期から本格的に参戦したレナ・ミーサガ・リンバース。



 また、親戚関係にはソシエの実家に当たるミナミエ家を継いだ妹のハルルーカ・ミナミエ。



 その娘達で従姉妹のカナ・ミナミエとチアルキ・ミナミエ、トウマ・・ミナミエと成って居り、アースティア大戦当時、レナ・ミーサガ・リンバースがローラーナ帝国のローラーナ帝国軍・第四軍団・ゾルモン要塞軍旗下の第九鉄鋼魔導高速強襲戦艦隊デラーズ隊を率いて居るガナベル・セガール・バドー少佐に誘拐されると言う事態が起こります。 



 その時期のダバード・ロード王国内では、王国南部の鉄の都と王家の渓谷と言う伝説の地にて、古代遺跡を発見したと言うニュースが王国内齎されて居たのです。



 レナは、その調査員の1人に抜擢され、運悪く誘拐されてしまったのである。



 リンバース家は、その事件の二次被害に遭い、ネギスプリングとソシエ夫妻は自宅にて中傷の手傷を負わされ、無傷だったのはリナは、中等科の学生寮から高等科の寮に移る手続きを住め為、学園中等部に行って居た為に難を逃れていた為に無事でありました。



 その後、リナはこの事件更なる襲撃者から逃れる為に、国外追放処分が下され、両親達は王室が何処かに匿う処置が取られる事に成ります。



 そのミナミエ家が、トキアード市内に在るリンバース家の屋敷に住んでおり、邸宅の保存に努めて居るが、帰って来れたのはアースティア大戦の戦後に成ってからでした。



 リナの追放先は、姉の師匠に当たる竜人族にして、白竜人族の長であるエリノア・ドラグリア白龍大帝が治めるドラグリア白龍大帝国で在りました。





リナ・ミーサガ・リンバース関連指定史跡・施設案内。



リンバース家邸宅 



 ダバード・ロード王国・ケンブリッジ州・州都・トキアード市内北区16番地・レールガン町・4丁目・トキワダイ4番・4号。 



 個人邸宅なので敷地内の見学は不可だが、案内版の在る場所から庭先を見る事は許可されて居るが土日祝のみで、公開日は指定日に限る。





リナ・ミーサガ・リンバース記念館



 ダバード・ロード王国・ケンブリッジ州・州都・トキアード市中央区1番街・アクセラレータ町2丁目・ラストオーダー1番地・99号。



 リナ・ミーサガ・リンバースの足跡を辿る展示物を中心に、アースティア大戦や戦後の彼女の活躍に付いての展示物が展示されて居る。





トキアード市立総合学園



 小学校から大学までエスカレーター式に通える魔導学を中心に教えて居る国立学校で、リナは此処で初等科から中等科までを過ごすが、古代遺跡襲撃事件をきっかけに退学させられて居るが、後に通信教育と言う形で高等科を試験式に卒業して居る。







群馬大学・魔導技巧習得研究学部



 群馬県霧野市内に置かれて居る群馬大学霧野市キャンパス内にアースティア大戦前後に新設された特殊学部。



 創始者はリナ・ミーサガ・リンバースで、アースティア大戦当時の群馬県知事である山本太一知事に招かれて、魔導関連の技術指導研究を是非とも群馬大学でやって欲しいと頼まれたのが切っ掛けであった。



 リナは交換条件として日本国籍と大学に通いたいと言う希望を条件にするなら引き受けても良いと答えて居る。





 山本太一知事は、当時与党であった自由国民党員でも在り、安元総理とも懇意だったので、特別待遇と言う形でリナは日本国籍を取得。



 同時に文部科学省のお抱え魔導技術指導員にも抜擢され、更には交援省の魔導戦技要員と言う護衛官にも任命された上で、群馬大学に学生も成って居る。



しかも、学生講師と言う異例待遇で迎えられて居る。



 そんなリナは、アースティア大戦後は群馬大学の魔導技巧習得研究学部の教授に成り、その生涯を霧野市で過ごす事に成った。



 現在でも彼女の功績は高く評価されており、群馬大学霧野市キャンパス内には、その功績を称えて、リナの銅像と数多くの研究物が展示されて居る。





リナと紅葉の出会いは、紅花園の誓い (こうかえんのちかい)のメンバーが集まる切っ掛けと成った運命の出会いでした。



 二人が5歳の時の事でした。





 リナとその両親は諸国会議の出席する為に、コヨミ皇国を訪れていたリナの両親は、魔法関連の技術者であり、同時に古代文明や転移文明の遺跡の研究者で、戦争に必要な技術関連の会議に出る為でした。





 その会議の合間は、貴族の子供等に取っては、とても退屈な時間でもありました。



 リナに限らず会議に政府関係者の子供等が連れて来れるのは見合いか、知り合いを増やすのが目的だったとの事です。





 幼い時から互いを見知って置けば、何かと便利と考えての事です。



 リナと紅葉の出会いは、リナの両親がコヨミ皇国での会議に、出席する為に訪れた時の事でした。





 コヨミ皇国を訪れていたリナは、東洋の果てに在るコヨミ皇国のとても珍しい古い町並みに目を奪われ、大使館の近所を探検して居た様です。



そんな時にリナは紅葉と出会います。



 お転婆で有名なお姫様として、従者達を困らせる事で有名な皇女だった紅葉は、諸国会議で城内の警備体制が薄くなる事を見計らって、星都城を抜け出しており、城外の遊び友達と相撲をして遊んで居たのです。









 リナは、金持ちな感じのする子が、こんな所で取っ組み合いしているのが珍しかったので、子供達が相撲する様を遠巻きに見て居ました。



 紅葉が1人の女の子を投げ飛ばすと、何かを感じ採ったのか振り向いてリナの元へと駆け寄って来た。





「随分と大変な目に遭っているのね。」





「えっ?!」





「貴女、西から来た子でしょ。でも其処に何時までも立って居ると、怖ーい人達に掴まるわ。私と一緒に遊びましょ。」



 紅葉は、星読みの力でリナの素性を察知すると、リナを無理やりに悪童仲間達の中へと行き吊り込みました。



 このコヨミ皇国で、西の子とは自国以外の西側全ての友好国の子供達の事を指して言って居ます。



 偶にやって来ては、見ず知らずの地元の子供と適当な付き合いをし、遊んで帰って行くからです。



 これがリナと紅葉の最初の出会いでした。





 その後リナと紅葉は、相撲を取りますが、卑怯な事に紅葉は、星読みの力を使って連戦連勝を誇って居ました。



 その事に付いては、後に紅葉の回顧録を取材した雑誌者の記事や歴史書に書かれて居ます。



 ですが、リナは無心で適当に紅葉を投げ飛ばすと言う荒業に打って出た事により、紅葉に打ち勝ちます。





 丁度、その時でした。



 紅葉とリナを探す者達が現れます。





 紅葉には、従者達である加藤絵美里と福島香織。



 リナには、姉のレナとその親友達でした。



 二人は息がピッタリと合うかのように、直ぐに逃げる方向を決めた駆けて行くのです。





その後二人は、何か在れば行動を共にする仲と成り、紅花園の誓いへと至るのです。

ドラグリア白龍大帝国・・・・・・故郷たるダバード・ロード王国を政治的、身の安全を守る理由から追放処分と成ったリナは、此処で3年間の月日を過ごす事に成ります。



 首都ハイリッピンに在るヒト族特別居住区画。



 此処は特別な理由から首都ハイリッピンに留まる竜人族以外のヒト族が暮らして居る特別区画です。



その一角に今でもリナが過ごして居た下宿所が残って居ます。



 現在はリナの子孫一族が所有する別荘と成って居り、その管理はドラグリア白龍大帝国 を統治する白龍大帝一族であるホワイト・ドラグリア家がして居ます。



 当時の当主であり、白龍大帝であったのはエリノア・ホワイト・ドラグリア白龍大帝。



 通称名やあだ名として知られた名前はエリン。



 アースティア大戦当時とその始まりを知る数少ない生き字引的な人物でしたが、アースティア暦1×××年及び西暦2×××年の10月某日に老衰の為に、隠居先である日本国・群馬県・霧野市内の高見山・高見家敷地北東部に在る白龍庵荘にて亡くってしまいました。 



 これはアースティア大戦を知り、尚且つそのアースティア大戦の開始で年度で在る600年前から生きて居た人物で、大戦に関わる人物の最後の一人と言われて居る人物の死でありました。



(これ以外の理由でアースティア大戦終結前後から生きて居る長寿族は別扱いと成って居る)



 その墓所は高見家菩提寺近くで、国の重要指定史跡にも指定されて居る紅花竜庭園墓所内に造られた墓所に葬られました。



 さて、そのエリンですが、リナの在るであるレナ・ミーサガ・リンバースの師匠でもある事から、その妹であるリナの窮状をダバード・ロード王国の女王であるアーヤ・シュチュ―ド女王から保護を頼まれ、引き取る事を受諾するのでした。





 リナはその地で母国の高校卒業資格証の取得の為の勉学に励む傍らで、魔導戦技学と魔導技術学。



 それに魔導基礎学と言った魔法学を ドラグリア白龍大帝立魔導学院。



 略して帝立学院。



 その帝立学院でドラグリアの天才と謳われる学士たるミナワ・ミゴットに徹底的に勉学を叩きこまれつつ、基礎的な魔法学を習いつつ、エリンからは魔導戦技学・・・・所謂、戦う為の戦闘魔法を徹底的に身体に叩き込まれたのでした。



こうした経緯が有ったが故に誕生したのが、皆様もご存知のアースティア大戦の英雄である魔術師である雷帝の魔術師のリナ・ミーサガ・リンバースなのです。 





リナ・ミーサガ・リンバース関連指定史跡・施設案内。





 リナ・ミーサガ・リンバース旧下宿邸宅

 

 首都ハイリッピン東部地区・5番地街・3丁目・25番・7号。 



 首都ハイリッピン東部地区・5番地街・3丁目バス停から徒歩5分。



 個人所有地なので、一般公開日以外は見学不可。



 見学会を希望する場合はホームページでのご確認。又はお電話にてお問い合わせをお願い致します。