アースティア暦 1000年・西暦2030年・7月15日・午後12時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・本州島・関東地方・北関東地域・群馬県・群馬県南西部地方・甘楽郡・下仁田町・洋食堂・日勝軒にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





下仁田町・洋食堂・日勝軒でのヴァロニカとの対談は尚も続く。





「あの・・・うっかりマーヤが、心配なのは分かる。」



 本人が一階で働いて、この場には居ない事を良い事に、好き放題言われてしまうマーヤ。



 もしも本人が聞いたら抗議くらいはするだろうが、直ぐにヴァロニカに睨まれて縮こまってしまうだろう。



「だがな。そっちにはリリィが居る。」



「リリィとエクスカリバーの実力は、この私に匹敵するのだから、後はお前達の頑張り次第と言う分けだ。」とリリィの実力を見た目だけで、その判断してのけるヴァロニカ。



 一目みただけで、風の噂は真実である事が判ったが、まさか自分に匹敵する強さを手にして居た事に、喜びを覚えた事は、実に良い収穫であったと見たヴァロニカであった。



「だから敢えて言わせて貰う。」



「このアースティア世界の明日の為に、このアースティア世界に措いて、アイアン・ブラッド・プリンセスと呼ばれし姫将軍っ!!」



「このヴァロニカ・サークラ・レアモンが、貴様らの敵であり続け、その壁を見事に乗り越えて見せろっ!!」



「伊達に10数年は無駄に過ごしては居ないよなぁ、我が義妹共よっ!」と不敵に笑い、紅葉達を睨み付けて見せたヴァロニカ。





 その不敵な笑みに、その場に居たリリィ以外の義妹達は、ビク付いてしまう。





 未だに恐怖の大魔王である義姉たるヴァロニカの恐ろしさは、10数年間もの月日を過ぎ経て、会って居なくても、その身体に恐怖が沁みついて居るのであった。



「そ、それはっ!もももっ勿論ですっ!!ヴァロニカお姉さま。」と義妹達を代表して、対決する事を表明するのは、紅葉であった。



 紅葉も、それが逃れられない運命であり、乗り越えなければ成らない壁ならば、例えそれがアースティア世界に措いて、アイアン・ブラッド・プリンセスと呼ばれし、最強に匹敵する姫将軍っ!!



 ヴァロニカで在ろうとも、全力でぶつかる呑み・・・・・・・だったら良いなぁ・・・と内心は、ビクビクしながら対峙しても居たのであった。



「ふっ、此処に居る皆がビビッて居るのが丸わかりだが、まぁ良いだろう。」



「今回は逃げずに、来れたようだしな。」



 ヴァロニカは、紅葉のビビッて居ながらも、啖呵を切った事に満足したようである。



「良いかお前らっ!!絶対に誰一人掛けずに、この私に斬り掛かって来いよな?」



「脱落者は、容赦しないからな。」





(((((((ひいいいいいいっ!!)))))))とビビる義妹達であった。





「これの一件に付いては、此処までだ。後は何を言おうが、聞かれ様が、頼まれようが聞く耳は持たんっ!!」



「ヴァロニカ姉ぇっ!!」



「何だっ!!もう話す事は・・・・・」



「レナ姉さんの行方は?」と聞くのは、リナであった。



 リナは、一番に知りたがって居る人物の行方、4年前にダバード・ロード王国内南部地方に在る古代遺跡。





 鉄の都と王家の渓谷と言う伝説の地にて、ダバード・ロード王国王立総合技術研究所は調査団を編成し、現地を捜索して居た所、その地で古代遺跡を発見した。



 その調査員の1人に抜擢されたリナの姉であるレナ・ミーサガ・リンバースは、運悪くローラーナ帝国軍の独立艦隊の強襲攻撃に遭ってしまう。



 命令を出したのは、ローラーナ帝国・第四方面軍・東南方面制圧軍・第四方面軍総司令官・アーノルド・ドズール大将だ。 



 だが、実行部隊を率いて居たのは、第九鉄鋼魔導高速強襲戦艦隊デラーズ隊を率いて居るガナベル・セガール・バドー少佐である。





 だからこそ、リナはジャンブロー要塞の嵐戦役にて、バドー少佐と直接戦い、レナの行方を知ろうとしたが、流石は歴戦の魔導機兵のパイロットである。



 魔法戦闘に措いて、手数とパワー自慢のリナを相手にしても、両者は一歩も譲らず、勝負は引き分けに終わってしまう。





次にリナは、敵方に付いて居るヴァロニカに答えを求めた。



 この再会は、リナに取っても又と無い機会なので、日本国に居る内ならグレーな立場の中立を謳って居ても、ローラーナ帝国からのお咎めを受ける心配が無いからだ。



「知らんっ!!」と言い切るヴァロニカ。



「こっちが知りたいくらいだっ!!」



「生きて居るのか?死んで居るのか?」



「ハッキリとして貰いたい物だな。」とヴァロニカは、知って居る筈のレナの行方の事を業と知らないと言い放つ。



 これはレナから、頼まれ言われて居た事である。



 今のリナに、自分の居場所を知らせても、結果は良く成らない。



 それはローラーナ帝国打倒をしないと、リナとリンバース家一族の命に関わるからだと言って居たからだ。



 それは何故かと言うだ。



 鉄の都と王家の渓谷と言う伝説の地に関する全ての資料を欲して居るからであり、現在の彼の地にてローラーナ帝国は、今も発掘調査を続けて居るが、思ったような成果は上がって居ないらしい。





 その全貌が書かれて居る資料を探して居るらしいのだが、肝心のダバード・ロード王国王立総合技術研究所と発掘調査団らは、形式的な報告書を書いただけで、遺跡の全貌に付いての資料は造られては居なかった。



 レナ自身も発掘調査の時に、見聞きした関連の形式的な報告書を書いただけで、遺跡自体に付いては、何も知らないのであった。



 ローラーナ帝国は遺跡には、超強力な古代兵器が多数が埋まって居ると聞き付け、急ぎ遺跡を手に入れようとして襲っただけで、本当かどうかなんて話は、二の次であった事を付け加えて置く。



 ローラーナ帝国は文字通りの骨折り損のくたびれ儲けをしただけなのである。



 これを担当していた部署の方々は、ダバード・ロード王国から国土を奪い取れた事を強調し、処罰を言い逃れた挙句に、その処遇をドラグナー皇国に丸投げ、レナの事は放置する事にして居た。



 要するに失敗がバレなければ良いのである。



 その被害に遭ったリナとリンバース家一族等に取っては、堪った物でなかった。



「そうか・・・・」と落ち込むリナ。



 紅葉もヴァロニカの真意とその言葉の本音を探ろうと星読み巫女の力を・・・・・使おうするが、その事を読まれて居るヴァロニカは、予め精神を強く持ち、気迫で紅葉の力を強引に防いで見せた。



(流石はヴァロニカお姉さま。この私の力を前にしても、絶対に本音を読ませない気ですね。)



 紅葉も予想はして居たが、格上の力を持ったヴァロニカの能力を前に、星読み巫女の力を無力化させられて居る様な状態と成ってしまう。



「リナ。聞きたい事はそれだけか?」



「・・・・・・」



「分かった。何か聞いたら報せるくらいの事はしてやるが、奴の居場所が分かったとして、例えそれがローラーナ帝国本領奥地だったら、潔く諦めろっ!!」



「たった一人では、ローラーナ帝国を相手にする事は、如何にも成らん事だっ!!」



「雷帝と呼ばれ始めた貴様の力を以てしても、力尽きて死ぬだけだ。」



「分かって居るっ!でも・・・・・・・」



「私は言わなかったか?」



「・・・・・・・・・・・・・」



「この私は、親友二人がいても、バラバラに動いて居たから負けて失敗した。」



「少しは頭を冷やして、無い知恵を絞れっ!!お前なら如何する?」とリナに諭すヴァロニカ。



「分かったよヴァロニカ姉ぇ。」





「此処に居る連中と一緒に成って、レナ姉さん迎えに行く序でに、ローラーナ帝国をぶっ潰しに行けば良いんだろう?」



「好きしろ。私から何も言う事は無い。」と冷たくあしらうが、可愛い義妹達には甘いヴァロニカは、クスリと笑い、その答えを聞けた事に満足する。





 少しの間だけ、静けさが流れる。



 その間の空気を見たヴァロニカは、話は終わったと思い。



 対談のお開きを言おうとする時であった。





「最後に一つだけ・・・・いえ、二つ在りました。」と竜史が手を上げて言う。



「何だ小僧?」





「ドラグナー皇国は、近年ではローラーナ帝国に色々食料徴税を科せられたり、現地徴発が、繰り返されたりする事が多いと聞きました。」





「その通りだ。それが如何したと言うんだ?」と竜史から振られた突然の話題に、訳が分からないヴァロニカ。



「聞けば、ドラグナー皇国は大麦・小麦を平地での主力生産とし、根菜類と葉野菜地方の農村で賄って居ると聞きます。」



「其処で如何でしょうか?このコンニャクイモを育ててはみませんか?」



 竜史は下仁田町の名産品にして、群馬県が日本国全国で生産率ナンバーワンであるコンニャクイモを取り出す。



「これは・・・・イモ類の根菜か?」



「そうですね。加工の仕方を間違えると、酷くなると喉の腫れによる呼吸困難や、摂取量が多いと腎臓や肝臓へも悪影響を及ぼし死に至ることも在りますね。」



「イモでは在りますが、茹でたり蒸かしたりしても強いえぐみが残り、とても食べられたものではありません。」



「更には、そのえぐみと言うのは、このこんにゃく芋に含まれる毒によるものであり、少量でも食べる事によって粘膜が刺激されて、強い痛みを感じてしまいます。



「それと素手触ると酷い痒みに襲われます。」



「そんな物騒な食料品はとてもじゃないが、流石に食べる気には・・・・・・・・・」とヴァロニカは、トンデモナイ物たと見てしまう。



「だからこそ、お勧めします。」



「手間は掛かります。食べられるまでの大きさ3年は掛かりますが、慣れてしまえば問題ありません。」



「それに・・・これをお勧めする理由は、毒物類のイモならば、流石のローラーナ帝国も現地徴発の対象外にせざるを得ませんよね?」



「確かに。流石のローラーナ帝国も、生産と加工に手間が掛かり、尚且つ毒性が強すぎる劇物のイモを進んで食べようとはしないだろうな。」



「それに栄養分が少ないですが、空腹は満たせます。」



「お料理の付け合わせや、麦めん類の代用品にも成ります。」



「ローラーナ帝国には、日本国では貧乏人が食うのに困り果て作って居る、毒物イモとでも言って置けば、無理やりには持ち去る様な真似はしないでしょう。」



「それに何も知らない素人が加工すると、とても危険です。」



「栽培方法と加工の仕方は、お帰りに成るまでには書類資料を作って教えます。種芋も第三国経由で輸出させますので、このこんにゃく芋の生産をやってみませんか?」



「・・・・・・面白いが、加工に必要な物は?まさか・・・・それも輸出しなければならないのか?」



「いいえ、加工に必要な物は、消石灰です。」



「それに含まれる水酸化カルシウムを使用することで毒抜きができます。」



「それに粉と成ったコンニャクイモを凝固させる作用もあります。」



「その他の手段として、貝殻焼成カルシウムでも抜くことができます。」



「貝殻焼成カルシウムはホタテ等の貝殻を高温で焼く事でが出来る天然の酸化カルシウムです。」



「水酸化カルシウムを同じ働きをする事で、コンニャクイモのアクを抜き、毒を取る事が出来ます。」



「それならば、我が国でも採取が可能な素材だな。100パーセント輸入だったら色々と怪しまれるかも知れんが、食い詰めて栄誉化の低い毒イモを輸入してまで食料増強計画を推し進めて居る。」



「そう言えば、ローラーナ帝国の連中も、我が国で生産するコンニャクイモとやらには、おいそれとは、手は出さんだろう。」



「しかしだな、小僧。」



「こんな事をして何に成る?」



「家の国には、敵に塩を送ると言う言葉が在ります。」





「その昔、我が国でも著名な人物と知られる甲斐国の国主たる武田信玄は、同盟国で、南を治めていた今川家とは手切れと成った際に、関係の悪く成った南の領主国の全てから塩止めを喰らいました。」



「其れでは余りにも甲斐国の民が可哀そうだと思った北国を治める上杉謙信は、何の落ち度のない甲斐国の民の為に、ライバルである武田信玄に塩を送った事に由来します。」



「ほう、面白い話だな。」



「はい。ですので、この一件は僕個人からの提案です。」



「日本国政府と各省庁には、この事に付いての話を付けて置きますので、敵に塩を送ると言う言葉通りに、コンニャクイモをドラグナー皇国に第三国経由で密輸させます。」



「他にも牛蒡やネギと言った本当に食べ物なの?という感じの食料作物を輸出も提案させて頂きます。」



「その段取りは、僕の所管して居る交援省が音頭を取る形でやりますから、やってみませんか?」



「分かった。祖国への手土産がわりに、その作物の苗や種を私個人が見つけて来たと言う事に、するのならば、その話を受けてやろう。」





 ヴァロニカは、この時に竜史から提案されたコンニャクイモの他に牛蒡やネギと言った本当に食べ物なの?と聞かれてしまいそうな農作物を第三国経由で苗や種を持ち帰る事にした。



 牛蒡は茶葉の代わりに、ネギは喉薬と言ってローラーナ帝国からの摘発に対して誤魔化しをする事にした。



 コンニャクイモを栽培して居る理由として、日本国では貧乏人が、食い詰めている時に毒物のイモを加工し食べて居ると言った。



 牛蒡は高級品である茶葉の代わりに、木の根っこを茶葉の代わりにして居ると言った。



 ネギの栽培理由には、医者にかかれない者が喉薬に使う薬草と言ったりして、ローラーナ帝国の目を誤魔化したと言う。





 そんな日系輸入食料品の事をローラーナ帝国人達は、ドラグナー皇国内で栽培して居る食物の事を貧乏食と言って、必死に育てて居る姿を見てはバカにして、誰も見向きもしなかったと言う。



 それを尻目に、ドラグナー皇国人達は必死に日本からの贈り物を育て上げた農産物は、ローラーナ帝国のせいで食料事情が良くない人々を飢えから救う事に成った。



「では他にも、幾つか在りますから、適当な理由を考え置いて下さい。」



「更に密輸入がやり易い様に、我が国で捕虜と成って居る者達をローラーナ帝国との取り引き材料としては、如何でしょうか?」



「今現在の我が国の国内に、転移直後に起こった第一次龍雲海沖海戦で降伏した、ローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊第120艦隊の生き残りの処遇に付いてです。」



「捕虜と成ったのは、3000人近い将兵達です。これらを瀬戸内諸島捕虜収容所にて、法務省の管理の下で一括管理をして居ます。」



「これをローラーナ帝国との取り引き材料としては、如何でしょうか?」



「これの提案に付いて、如何でしょうか?」と竜史は、第一次龍雲海沖海戦で捕虜と成った者達。



 ローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊第120艦隊の生き残りの処遇を如何するのかを日本国政府からの依頼で、如何するのか?又は何か知らないのかとヴァロニカに聞く様に言われて居た。



「此方としてもローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊の総司令官であるシドウ・ギワザンからは、停戦合意締結する交渉の序でに、日本の国内事情を報告せよとも言われて居る。」



「それに日本国政府からも、捕虜と成った者達を出来れば、引き取って欲しいと聞く。」



「加えて先にも在ったが、我がドラグナー皇国は、食料事情問題も在る。」



「成るほどな。上手い手を思い付く。」



「これならば、色々と此方も動き易い。第三国経由で輸入される日本国産の農産物の種と苗の輸入も、ローラーナ帝国で問題沙汰に成っても良い訳と裏取り引きをすれば良いか。」



「それも了承する。だが、この一件には、根回しの時間が欲しい。」



「捕虜と成った者達を返還する功績を立てたとの引き換えに、日本国産の農作物を裏取り引きさせて欲しい。」



「又は栽培用の種・苗の輸入を正規ルートでの輸入が可能と取り計らう為の材料とするには最適だろう。」



「早速、動く事にする。」



「此方も根回しと準備を進めて置きます。」



「ご帰国前までには、ご返事を下さい。」



この日の対談は、竜史からの秘密貿易と言う提案を以ってして終わる。



 残り時間は、親しい友人同士のそれぞれの近況報告等の話に花を咲かせる事に成った。



 竜史から送った貴重な塩は、後のドラグナー皇国解放作戦が日本を中心とした国際連合で採決される帝国への一大反攻作戦を議決し、国連軍を結成する事で、蒔いた種が開花し、全ての事の成就が果たされる事に成るのである。







 その国連軍による大上陸作戦では、ヴァロニカと死闘を繰り広げる事に成り、多くの犠牲を払った後に解放される。







その戦いが起こるのは、大分先の事に成るのだが・・・・・・・・・・・・・・・



あっ!そうそう、マーヤがこの会談に参加したと言って在ったね。



 それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「お待ちどおさま様なのだあああぁぁぁーーーーーっ!!!!」



「うわああああぁぁぁぁーーーーーっ!!」と声を揃える親友達一同。



 洋食堂・日勝軒自慢のビーフシチューを中心としたコース料理である。



 勿論、パンとライスは選べる様に成って居り、事前に聞き取りをしていたので、配膳の時に振り分けられて居た。



 今回はバイキング形式でテーブルに並べられ、好きな料理が取れる形式にして在るが、ある意味に措いて、食通である竜史がお勧めして居るビーフシチューだけは、メインディッシュとして全員に配られて居る。



 マーヤが給仕として料理運びをしただけである話が、後世の歴史書を書いた学者達によって、それって可笑しいだろうとか、あらゆる映画・テレビドラマの作家さん達が、台本をオリジナルに改ざんした話が元に成って作られたと言う事に成って居るらしい。