アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前15時06分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城各周辺及び第二防衛ライン・ナガシノ野戦陣地・移動要塞戦艦デストロイヤー1号艦から800メートル地点前にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 リナは無線機を使ってハンナをやる気にさせるべく、取って置きの奥の手を考えていた。





 それはと言うと・・・・・・・・



「あー、こちらリナ。お願いしていた件大丈夫ですか?」



「はい。はい、はいはい。有難う御座います。では本人と代わりますんで・・・・・」





「おーいっ!ハンナっ!」



「ん?」



 悩みに悩んで混迷して居るハンナは、リナの呼び掛けに気が付いて反応した。



「はい、これっ!」



「これは・・・・・無線機?」



 渡されたのは陸自で使用されている野外無線機2号だった。





 リナは、この無線機を自衛隊から貸し出されて居た。





 それをハンナに手渡すと、何やら声が聞えて来た。



「ハンナちゃん?」



「この声は・・・・・かがの赤坂殿ではないか?」



 無線機の相手は、ハンナの食べっぷりを気に入って餌付け・・・では無く。



 可愛がって居るヘリ搭載型護衛艦かがの食堂責任者である赤坂給養員長(1等海曹)であった。



「今日は大変だったらしいね。」



「これから大きな一仕事するって聞いて居るけど、それが終わったら何が食べたい?」



「俺が何でも作るよっ!!」



「えっ!?本当っ?」



「本当だとも。」



「それじゃっ!ハンバーグっ!ビーフシチューっ!オムライスっ!」



 すっかり恐怖で打ち震え、暗く気落ちしていたハンナは、食事に好きなメニューが頼めると分かると、子共の様に目の輝きを取戻し、何故かやる気と活力を復活させていた。





「よーしっ任せとけえええぇぇぇーーーーっ!!」



 

 ハンナのオーダーに対して、赤坂給養員長は元気良く叫んで応えた。



 だが、その影に置鮎一佐の一言が有ったのは言うまでも無いだろうし、何より手を回したのもリナなのだから・・・・・・・・・





「ぐふふふっ、ふっふっふっふっふっ・・・・・なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!」





 突然、ハンナは笑いながら徐々に立ち上がると、何時もの様に、エクスプロン・ランサーをブンブンと振り回して決めポーズを取りながら高笑いをし始めた。





「さぁ、我が友リナよ。今度こそ、あの悪大要塞に止めを刺してやろうではないかっ!」



「なーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!」



「なーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!」





「なーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!」





「ふっ、計算通りね。」



「お前なぁ・・・・・・・・・・」





 リナは悪どい顔付きで、コイツ堕ちたなと言う感じの含み笑いをしながら言う。その横でクリスは、親友の所業に呆れていた。



 リナはこうなると踏んで居たから、ハンナの好物と成りつつある海自食堂の美味い食事で、見事にハンナのやる気を釣り上げたのである。





「なーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!」





「なーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!」





「なーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!」



「なーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーーーっはっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!」





 復活した頭の可笑しな天使の笑い声が、魔動力炉が暴走する移動要塞戦艦デストロイヤー1号艦の眼前に響き渡って居た。





アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前15時10分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城各周辺及び第二防衛ライン・ナガシノ野戦陣地・移動要塞戦艦デストロイヤー1号艦から800メートル地点前にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 間も無く移動要塞戦艦デストロイヤー1号艦の魔動力炉のメルトダウンが始まろうとしていた。



 日シベ合同作戦軍の殆んどは、セイジョン・ローグリア島西側に有る軍港であるロー・デッニッシュ港まで退避して居る。



 頼みの綱はドラグリアのエリンと御付の面々と白龍族、リナとハンナの凸凹コンビであった。





 移動要塞戦艦デストロイヤー1号艦のメルトダウン予定時間が近付き、デストロイヤーが真っ赤に染まりながら周囲に高温の熱を発生させて居た。



「この位置でも丸で火災現場同然の熱さが伝わって来る。」



「うう、やっぱり・・・・・止めときゃ良かったかも・・・・」



 ハンナは、美味しそうなご飯に釣られて、調子の良い事を言った事をちょっとだけ後悔していた。



「何言ってのよっ!!今更っ!!」



「でも・・・・・」



「逃げるって、何所によ?」



「はっはいっ!頑張りますっ!」



「うんうん、ハンナはとっても良い子ね。」



「おいおい・・・・・」



 幼馴染み達恒例のお約束トリオコントをしながら何だかんだで、リラックスを促し合う3人。



 遠目には、白龍人達と白龍達がドラグシールドを展開しており、万が一に備えていた。

 

「時間よ、ハンナとエリン様達も構えて・・・・・・・・」



「おうっ!」



「好きに粉微塵に吹き飛ばして良い的なんぞ、そうそう有りはせんからの。」



「手加減無しでブッ飛ばしてやろるのじゃっ!」





 エリンは面白そうに、目の前に有る好きに壊して良いと言われて居る玩具に対して、本気の本気の威力を有するドラグバスターを撃ち放つ積りの様である。



 リナはメルトダウンの直前を狙ってデストロイヤーを破壊するべく詠唱を開始する。



「我は風と天と請い願わん、我と汝ら世界の理を操りて、我の前に立ち塞がる全ての愚かなる者共にっ」



「等しく雷帝の裁きを与えん事をーーーっ!」





「サンダースレイィィィブーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!!」



 ハンナもエクスプロトンバスターを撃つべく呪文を唱え、魔力チャージを開始する。



「我れらが聖なる力の源泉たるマナよ、今こそ我が前に立ち塞がりし怨敵を滅さんが為に、その力を覚醒させ、その力を世界に示さんっ!!」



「これぞっ!!我がアセリアの天使たる者が森羅万象を操り、この世全ての歪みと悪を正し討ち果たすものなりっ!!」



「我の望む白き荒野なり、虚無の白き地平線なり、天の全てを白き白夜なりて、踊れ、踊れ、踊れ、踊れ、踊れ、踊れと力の本流なりっ!!」





「これこそが並ぶ事無きっ!!この世っ!!この世界に措いて最大の攻撃魔導砲っ!!!」



「魔の大要塞戦艦たる移動要塞戦艦デストロイヤーよっ!!」



「今度こそっ!完膚なきまでにっ!灰燼に滅せよっ!喰らえええぇぇぇーーーーーーーーーーっ!!!エクスプロトンバスタアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」





 エリンとその護衛である白竜騎士と付き従う白竜達もリナとハンナの動きに合わせて、ドラグバスターの発射体勢を取った。



 エリンが大きく口を開けると、他の白竜人族と白龍族らは後に続いて大きく口を開け、必殺のドラグバスターの発射態勢に入る。





 白い光が閃光と成ってエリン達の口元に集まって来て居た。



「手加減無しのっ!最大威力のドラグバスターなのじゃ・・・・・・・」





「喰らうが良いっ!ドラグバスタアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」





 キュイイイイイン・・・・・・バシューーーーーーーーーーゴオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!



 複数のドラグバスターの閃光が、サンダースレイブとエクスプロトンバスターと合わさり、メルトダウンで真っ赤に染まった移動要塞戦艦デストロイヤー1号艦目掛けて突っ込んで行く。



 やがて移動要塞戦艦デストロイヤー1号艦の爆発すると同時に、リナ達が放った魔法攻撃も着弾すると、光輝く激しい爆発と閃光が起こった。





 ズドーンッ!!・・・・・・ドカドカドカドカドカドカドカドカドッカーンッ!!





 爆発の火柱は天高く光と炎の柱と成って聳え立つ。



 クリスはリナとハンナの護衛として居残って居た。



 まぁ、残らなくても良いとリナには言われたが、友達たがらと言って防護魔法での護衛を申し出たのである。



「さぁて、今度は私の番だな」



「行くぞおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ!!」



「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」



「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」



「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」



「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」



「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」「ブーストっ!!」





「ハイ・リフレクターシールドっ!!最大出力で展開っ!うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーっ!!」





「者共っ!ドラグシールド展開っ!」



 エリンもユキカゼ達と共に防御魔法を展開する。



 爆発の衝撃波は、凡そ10分間続いていた。





 そして・・・・・・・・・総司令部が置かれて居るヘリコプター搭載型護衛艦がが艦内で、爆風が収まったのを望遠カメラから送られて来る映像をモニターで見て、安全の有無を確認するダバ派遣隊の面々。



「爆風が収まりました。」



「リナさんっ!聞えていたら返事して下さいっ!」



 笹沼彰二佐が無線機を使ってリナに交信を求めた。



「ザザッ・・・・・・・・・」



「通信状況が悪いのか?」



「あれだけの爆発です。機器の調子や電波が悪く成って居るかも知れません。」



「何度か呼び掛けても、ダメならWAPC(96式装輪装甲車 )やRCV(87式偵察警戒車)を向わせて安否確認をっ!」



「了解ですっ!」



「何事も無ければ、良いんだが・・・・・・・・・・・」



 置鮎一佐は心配に成って、もう一度、確認する様に言う。



「リナさん、こちらは日シベ合同作戦軍総司令部っ!応答願いますっ!リナさん、こちらは日シベ合同作戦軍総司令部っ!応答願いますっ!」







「リナさん、こちらは日シベ合同作戦軍総司令部っ!応答願いますっ!リナさん、こちらは日シベ合同作戦軍総司令部っ!応答願いますっ!」





「リナさん、こちらは日シベ合同作戦軍総司令部っ!応答願いますっ!リナさん、こちらは日シベ合同作戦軍総司令部っ!応答願いますっ!」





 笹沼二佐が、何度か呼び掛けたが、応答の気配が無い。



 10分間ほど呼び掛けたが、そろそろ現場に車両を向わせ様と置鮎一佐が決断しようとした時だった。



「ザザッ・・・・・・・・・・・こち・・ら・・・リナ・・・・」



「笹沼二佐っ!!」



「!?」



 

 笹沼二佐が通信士の隊員が声を張り上げて呼ぶ。



 笹沼二佐はヘッドホンを耳にあて、微かに反応が合った無線機の周波数を合わせて行く。



「ザザッ・・・・・・・・・・・こち・・ら・・・リナ・・・・」





「こちら・・・リナ・・・・移動要塞・・・・・戦艦デストロ・・・・イヤー・・・・・の破壊に・・・・成功・・・・全員無事で・・す。・・・・・」





「やったあああぁぁぁーーーーっ!!!」



「やつたぞっ!!!」





「あの子達は、やり遂げて全員無事だっ!!!」



「よっしゃあああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!!」





 司令部に居る海自隊員らは歓喜の声を上げて飛び上がる。





「置鮎一佐・・・・・・」



「ああ、あの子らはやった。やってくれた・・・・・・」



「迎えをやってくれっ!」



「了解ですっ!」



 置鮎一佐はリナ達に迎えのトラックと衛生科部隊を派遣させた。



 メルトダウンした移動要塞戦艦デストロイヤー1号艦の破壊を持ってブラキュリオス湖紛争の戦いは一つの区切りを迎える。



 

 日シベ合同作戦軍は、追撃戦への準備を整え、ガミトフを追い掛ける事に成るのだが、彼らは果たして追い付けるのだろうか?