アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前9時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城北門内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 グリクス地方軍団北方面軍は、セイジョン・ローグリア城北門の正門を通ったり、空堀を越え、壁を攀じ登ったりと、一気呵成に北門城郭へと攻め入る。





「何だ、やっぱり報告通り、誰も居ないではないか?」



「心配のし過ぎであったか?」



「少佐殿っ!報告しますっ!」



「おおっ、それで首尾は?」



「はっ!現在、我が軍は、セイジョン・ローグリア城北門へと攻め入り、北城郭の全体の半分を制圧して居ります。」



「おおっ!?その様子だと、恐らく敵軍は南や東の門に出払って居て、此処は蛻の殻であったのだな。」



「如何やら、その様です。」



「宜しい。では、この城郭を手に居れ次第、我が軍は南へと軍勢を送り込むのだ。」



「ダニーガン中佐殿にも伝えられよ。更なる軍を送り込んで欲しいとな。」



「はっ、直ぐに。」



「ふふっ、敵の間抜けな行動が、我々グリクス地方軍団北方方面軍に一番手柄を転がり込ませるとはな。





「全く馬鹿な奴らめ。ふははははははーーーーっ!!」





 伝令官は、次なる伝令を伝えるべく、馬でその場を走り去って行く。



 前線を指揮する先方隊司令官は、敵の間抜けさを高笑いで罵るのであった。



 それはある意味、不幸な舞ぶれフラグを立てて居るとも知らずに・・・・・・・・・





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前9時25分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城北門郊外・グリクス地方軍団北方面軍・司令部陣地・グリクス地方軍団北方面軍・第三艦隊旗艦アレキ・サンジェルス級魔導空挺戦艦・ドアーレ艦橋内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 ざっざっざっざっと規律の良い足音を立てて、グリクス地方軍団北方面軍は後続軍が進軍を開始する。



 最初は5千人の兵が先遣隊として、空と成って居るセイジョン・ローグリア城北門城郭を占拠する。



 続けて、更に5千が入城を始め、続けて城郭内部へと進軍する軍勢が1万人が出発を開始する。





「止まれ!!」





 冷静なダニーガン中佐は、第三艦隊旗艦アレキ・サンジェルス級魔導空挺戦艦・ドアーレ艦橋内から敵城郭へと進軍を続け、次から次へと進軍をして行く軍勢を突如として、止めさせた。



「ダニーガン中佐殿。まだ、全軍の2割程度しか入城して居ませんよ。」



「うーむ・・・・・・・・・」



 ダニーガン中佐は、此処に来て、まだ何かを感じ取っていた様である。



「やはり、どうも胡散臭い。」



「それは心配性と言う物では?気にし過ぎですよ?」



「あれでも、あの城は広さは、周囲5キロの広さなのだぞっ!」



「それが幾ら何でも何も無い、只の無人なのは、如何もな・・・・・・・・・」



 

 やはり彼の慎重且つ冷静で、明晰な頭脳は、彼自身に訴えていた。



 此処はとても危険なのだと・・・・・・・・・・・・・







アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前9時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城北門内・日シベ合同作戦軍・セイジョン・ローグリア城北門守備隊指揮所にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 グリクス地方軍団北方面軍が、セイジョン・ローグリア城北門内へといとも簡単に攻め入って来て居る中で、その一方である守備隊側である北門防衛をして居る日シベ合同作戦軍側ではと言うと・・・・・・・・・・・・・・・・・





「あーあー、止まっちゃったか?」



「止まりましたね。感が良い。どんなに良い司令官であっても、他の司令官との競争で在れば、功を焦って単純で古典的な罠には簡単に引っ掛かりそうな物を・・・・・」



「うーむ。もう少し入れたかったが・・・・・・・・」



「レイダー第四騎士団長殿、これ以上は無理と具申します。」





「そうだな。貴官の言う通りだ。」





「彼のダニーガン中佐が率いるグリクス地方軍団北方面軍の約2万人を罠に掛けたとなら、まずまずと言える戦果だろう。」



「では当初の策通りに・・・・・」



「ふむ。アルガス魔導師団っ!杖を構えよっ!」



 三国志マニアの自衛官の具申を受け入れた、アルガス魔導師団を率いるレイダー第四騎士団長は、アルガス騎士団の魔法精鋭師団たるアルガス魔導師団員5千人に号令を掛ける。





「石壁よ、大地より現れ、我が前の敵を囲み包囲せよ。」





「ストーンウオールっ!!」





 レイダー第四騎士団長は、北門城郭の周囲に、全長30メートルの高さを誇る石壁を発現させる。



 そして、それに続けとアルガス魔導師団員5千人らも杖を構え副団長の号令に従い叫ぶっ!



「レイダー第四騎士団長殿に続けっ!!!ストーンウオールっ!!!」



「ストーンウオールっ!!」



「ストーンウオールっ!!」



「ストーンウオールっ!!」



「ストーンウオールっ!!」



「ストーンウオールっ!!」



「ストーンウオールっ!!」





 アルガス魔導師団員5千人も、団長に続けと叫び、次々と石壁を発現させて行く。



 その見事な技は、土系統魔法の得意なドワーフと同等とも言える。



 見事な石壁を城郭の周囲をグルッと囲む様にして、30重にビッシリとミリ単位で張られて居た。



 これには如何やら自衛隊側の協力で、護衛艦に備え付けられて居るパソコンの計算ソフトを用いて、測量計算などを行った結果と、石壁を張り巡られる予定場所を書いた作戦指示書を配って置いたのだから、実に抜け目が無いと言えた。



「しっ、しまったっ!」



「これは罠だ・・・・・・」



「くそっ!!やはり、罠だったか・・・・・」



「こなくそがっ!!この石壁・・・物凄く堅く分厚いぞっ!」



「ちょっとや、そっとじゃ打ち破れん。」





「ダメです。」



「この城郭を中心に展開して居た、我が軍を囲むようにして、次々と石壁が出現して居ます。」



「恐らくこの魔術は、ストーンウオールだと思われます。」



 

 これには下士官を始めとする兵士達も上から下への大混乱。



 だが、今更騒いだ所で、この状況は如何にも成らないのだ。



 外からも内側からも、この罠に対する抵抗は最早、無意味と言えた。



 更にはアルガス魔導師団に由る止めの一撃が、放たれ様として居た。





「炎の嵐よ、我が前の敵を焼き尽くせっ!!!」



「「「「「「「ファイヤーストームっ!!!」」」」」」」





 レイダー第四騎士団長は、アルガス魔導師団員5千人と共に、囲んだ敵に対して、火柱の如く大きな炎の竜巻、火炎竜巻魔法の最高峰であるファイヤーストームを唱え放った。



 敵は一瞬にして、炎の竜巻に飲まれ、逃げる暇も無い侭に、焼き尽くされて行くのだった。



 その無残な光景と共に、炎の竜巻に飲まれたグリクス地方軍団北方面軍の先陣部隊の将兵達らは、生きながらにして焼かれ行く阿鼻叫喚の断末魔の叫び声が戦場に虚しく響き渡るのであった。





「真に素晴らしいお手並みです。」



「彼の孔明先生も、戦場の気候や気象を読む事をして居られましたが、流石にこの魔法と言う物は使えないませんからね。」



「はっはっはっ、いやいや、この戦術は古の異界の軍師の戦略眼の頭脳が有ってこその勝利です。」



「我らは、その勝ち方をなぞっただけに過ぎぬのですよ。」



「さぁて、残存の敵が居ないかの確認をせねば成りません。」





「運良く生き残りが居れば、後送するか、助からぬ程の重症者の場合は息の根を止めてやりませんと、数時間から数日の間は、息苦しい生き地獄成りますからな。」





「日本国と自衛隊としては、余り気乗りがしませんが、仕方が無いようです。」



 日本国と自衛隊も捕虜の扱いに付いては色々意見が分かれる形である。



 先のファイヤーストームで生き残った重傷者が居たとしたら、それは治療不可能の火傷を負った者達が居るかも知れない。



 火傷の治療は、色々と複雑で場合に由っては、地獄の苦しみを味わう位なら、死んだ方がマシと言える場合も有るくらいだからだ。





 その治療を可能とする場所は、恐らくはこの世界では日本国と地球系転移国家だけだ。





 それは此処から余りにも遠すぎるし、国内に異界人を入れるのも色々準備が要る。



 それに今は重傷の負傷者を輸送が出きるだけの設備も乗り物も無いのだ。



 これは本当に仕方が無いと言えた事から来る自衛官達らの苦渋交じり言葉なのであった。





 今回は止め役を担うのはアルガス公国軍が担ってくれて居るので、捕虜関係の保護は、自衛官は警戒監視を行うだけの見て居るだけで、運搬以外の作業は、自衛隊ノータッチと協定では成っている。





 勿論、助けられる将兵は適切な治療を施した上で、アルガス公国本土の収容所へと送られるので安心して貰いたい。





 設備と国際法が整えば、この世界でもジュネーブ条約に近い形での捕虜人権が認められるかも知れない。



 今はまだ、それらを行う為の余裕も設備や機材が、全然足りて居ないのが現状だった。





 日シベ合同作戦軍は北門戦線に措いての戦いで、グリクス地方軍団の遠征軍の第三艦隊と第三軍を相手に、敵軍約2万人を自軍が無傷の状態での勝利を得たのであった。



 一部の自衛官は、間じかで見た無残な光景に心を痛める姿も有ったらしい。



 幸いな事に、この戦いに措いて戦後処理では、自衛官らは汚れ仕事をする事も関わる無く勝利を得る事と成るのだった。