アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前2時45分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦・カントルナ砦内北門にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「おい、あれ・・・・」



「んん?・・・・・・・」



 北門の見張りの兵士等が、西側からを北側に回り、北門通路口側から現れた馬車の集団を発見する。





「私はアルガス公国軍、ヘスティア遊撃騎士団の団長っ!クリスティーナ・マケッンジー少佐だっ!!」



「カントルナ砦の救援としてやって来た。開門してくれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「援軍だっ!!!援軍が来たぞおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!!」



「開門だっ!開門せよおおおぉぉぉぉーーーーーーっ!!!」



 クリスを先頭にした馬車集団が、開かれた門から砦内へと入って行く。



「直ぐに西門を開けよ。負傷者を西門側から撤退させるぞっ!!」



「各員は決して無理はするなっ!!!」



「クリス団長。」



「トシヤン、チノン。二人とも良く無事でいた。」



「はい。」



 トシヤンとチノンの二人は、クリスの援軍がやって来た事で、安心感からホッとして居た。



 その上では、陸自ヘリ部隊が、普通科隊員らを降下体勢入らせて居た。



「降下あああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」



「急げっ!!!急げっ!!!」



「降りたら、砦内の城壁へ展開。別名が有るまで待機。」



 ヘリに繋がれたロープを伝って次々と降り立つ陸自隊員達。



 アルガス公国軍の騎士や兵士らも、自衛隊との事前のうち合せ通りに、後方支援と援護部隊に分かれて、速やかな砦からの撤退作戦を遂行していた。



「本当に誰も死なずに撤退するのですか?」



「砦の防備での戦いに措いて出てしまった負傷者らが、どうなるかは分からん。」



「だが、援軍として協力体制を取る事と成ったニホン軍と共に居る限り、戦死者は少なくなる様に勤める。」



「だから安心しろ!!」





 トシヤンの不安な問い掛けに自信たっぷりに答えるクリス。



 そんなやり取りをして居ると、慌てて駆け寄って来たリナの姿が現れる。





「クリスっ!!大変だ!!」



「ああ、分かってる。」



「毎度、毎度と言いたいが、何時も騒動を起こすのは、あいつか・・・・・・」



 急なリナの呼び掛けに、クリスは何時もの事かと嫌だなぁーと言う顔付きになり、呆れていた。



「ハンナの奴が・・・・・・」



「ハンナの事だから、どうせ何も考えずに飛び出したんだろう?」



「ああ、その通りよっ!」



「分かった。」



「リナ、久し振りにやるか?」



「アンタにしては珍しいわね。」



「何時も冷静なクリスが、前に出たがるなんて・・・・」



「何時も防御だけが取り柄じゃないからな。」



 クリスはその得意の体質から、戦闘防御関係の補助魔法と防具主体の戦闘を得意とした。



 味方を守り切る鉄壁の壁役として、昔から良い様に使われて・・・・・いや、頼られて居た。



 この世界では、石を投げ合う石合戦や模擬の武器を使用した戦の模擬戦が、子供から大人に至るまで、程度や意味は違うが遊びや訓練で行っている地域が多い。



 紅葉達は、悪がき相手やこわーい姉達、国家の中枢に関わる家の事情から戦の模擬戦などで同じ軍を組んで戦った経緯が数多有るのだった。



 しかも、紅葉達が組んだチームメンバーや軍団は、向う所、敵無しであったのだ。



 その精強振りと連携力の高さから、各国から悪ガキの集団として、有名であり、良く知られて居た存在だったのだ。



 クリスは、訓練での紅葉達の軍の中衛で、壁役として踏ん張る役目を担って居たので、前へと出る事をさせて貰えない事が多かった。



 だが、前線でも十分に強い実力を有して居る。





 その数分前・・・・・・・頭の可笑しな中二病の天使は、また妙なやる気を・・・・・・・





「さぁて、此処で先の失態を挽回しなければ為らないのであーる。」





 いやー、だからね。



 その変なやる気を出さなければ、ホンと上手く行くと思うんだけどなーっ・・・・・・・・・・



「ハンナっ!お願いだからっ!絶対にっ!先走らないでよねっ!!」





「くっくっくっ、分かっている。」





「要は帝国の者共を足を止めれば良いのだろう?」





「まぁ、そうなんだけど・・・・・・」



「成らば、我が門前で暴れまわれば、味方の負担が減るのではないか?」



「いやー、ちょっとそれは違・・・・・」



「成らば、早速、出張るまでだっ!」





 いやっ、だからねっ!まだ、リナもクリスも日シベ合同作戦軍を指揮して居る各現場の指揮官の皆様も行って良しっ!!とは言ってないよね。



 頭の可笑しな聖天使の娘は、槍を持ってまたもや、可笑しな行動を取ろうと張り切っていた。





 当然ながら、そのなハンナを止められる者なんて誰もいない。



 出きるとしたら、紅葉や威圧した際に、精々脅しを掛けた時くらいだろう。





「えっ!?ちょっと、ハンナっ!まだ、やって良いって言ってないってっばっ!!」



「ハンナっ!!ハンナっ!!ハンナってばああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!!!」





 リナの止める声も空しく、ハンナはひたすら我が道を進んで行くのであった。





 ハンナは張り切って、東門へと駆け出して行く。







「開門おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーんっ!!」





 自信満々に、大きな声を上げて、砦の東門番に開門を促す。







門番や守備兵の者達は、戦での緊張感と高揚感から、自信に満ちた顔付きをして居るたった1人のアセリア族の聖天使騎士からの開門要求を何の疑いも無く門を開け放つ。



 そう、屁の掛かったツッパリは、要らんととか言うレスラーキャラの様なアレの様な感じの雰囲気と態度で、何処にそんな自信が有るのか分からないが、兎に角、物凄いやる気に満ちた顔付きをして居た。





 その外では、グリクス地方軍団が東門へと群がって来て居た。





「門が開くぞおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」



「降伏か?」



「いや、あれを見てみろっ!」



 グリクス地方軍団の先鋒部隊の兵士らは、突如として、門が開き中から現れた人物を見て、様々な憶測や物を言う。





 中から現れた物は、古の武人の将の如く。魔導槍エクスプロン・ランサーを右手に持ち構えながら小走りに進みと立ち止まる。





「やあやあ、我が名はヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナっ!!!」



「我はこの世界をローラーナ帝国の世界征服と言う野望から救う最強のアセリアの聖天使騎士なりっ!!」



「此処から先は、我を倒さすに、踏み進めると思うなよっ!!」



(やったーっ!!バッチリ決まったねっ!!)



(うんうん。さぁさぁ、ビビッてとっとと逃げやがれええぇぇぇぇーーーーっだっ!!)



 決まったと言う満面の笑みでドヤ顔するハンナだった。



 周囲は砲撃音と銃声、魔法による爆発音以外は何も無いが、敢えて言えば、呆気に取られてシーンと成っている様子であった。 



「何言ってんだコイツ?」



「そうだっ!そうだっ!」



「思わず阿呆な事を言いやがるから・・・・・・・」



「思わず呆れ返ってしまつたぜっ!」



「「「「「ガハハハッ!!」」」」」



「何かと思えば、アセリアの頭の可笑しな羽付き族じゃねぇか?。」



「ああ、シベリナ連合各国処か反帝国同盟に措いて世界のお荷物で有名な。」



「たった1人で何が出きる。」



「其処のイカレ小娘っ!とっとと国へと帰えりやがれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「うん、うん。」



 グリクス地方軍団の先鋒部隊の兵士者達は、思い思いの見解を言い放つ。



 まぁ、リアルな戦場で世界を救う戦士とか言う奴は、普通は居ないよな。



「ぐはっ・・・・・・」



「我を侮辱すると、殺ろすっ!!ぶっ殺ろおおおおぉぉぉぉぉすうううううぅぅぅぅぅーーーーーっ!!」



「いっ何時の間に・・・・・ぐふはっ!!」・



「殺ろすっとか言ってもう殺して居るじゃないか・・・・・・・がはっ!・・・・・」



 最前列に居たグリクス地方軍団の先鋒部隊の兵士達を、魔導槍エクスプロン・ランサーを以ってして、瞬く間に瞬殺してしまうハンナ。





 その目は、普段のお間抜けな目付きでは無く、鋭い眼光を放って居た。





 何だかんだで、ハンナは紅葉達の中でも、敵に一番槍を突き付けるのを最も得意として居る。



 まぁ、毎度、毎度、あのエクスプロトンバスターと言う爆裂砲を撃つせいで、お荷物扱いされて居るの事も否めないが・・・・・・・・・・・



 だが、普通に戦う分には、何の問題も無いのだ。



 それにガタガタブルブルと震えながらあの3人の姉達と、リナが受けていたエリンの猛特訓を序だと言われて、無理やりに付き合わされたハンナは、何だかんだで、一騎当千の強さを身に着けて居たのである。



 普段はアホでバカみたいだか、本気を出せば強いのだ・・・・・多分・・・・・・・・・・・



「この頭の可笑しなバカは、何げに強いぞっ!」



「距離を取れえええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



「そして、囲めええええぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!」



「数で攻めろおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」



「矢を放てええええぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!」



「「「「「ファイヤーボールっ!!」」」」」



グリクス地方軍団の先鋒隊は、ハンナへの大攻勢を掛けていた。



「ハッと、よっとっと。ほっと、おっとっとっ!」



 たった一人で攻めかかったハンナは、5千もの兵士の攻撃を一人で防いで居る。



 それも見事な槍捌きだった。



「はっとっ!ほいっとっ!」



 飛んだり跳ねたりと、その光景を見ている自衛官等は、丸で古代中国の時代劇ドラマを見て居るかの様である。



「凄い・・・・・」



「たった一人で・・・・」



「丸で戦国か古の古代中国の武将みたいだ・・・・」



「ハンナちゃんが、あんなに強いなんて・・・・」



 東門の守備に回り付いていた自衛官等は、ハンナの強さを目の当たりにして、思わず息を飲み込む。



 会って間もないが、普段から明るく元気な姿で、小動物な感じで、残念な中二病キャラの彼女からは、想像もしなかった戦い振りであった。



「もっとだ。」



「もっと矢を、魔法を、砲弾でも何でも構わんっ!!」



「放てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」



 グリクス地方軍団の先鋒隊は、ハンナに向って有るだけの遠距離武器を用いての攻撃を始めた。





「ああっ!!不味いぞっ!」



「第三中隊各員っ!!援護だっ!!援護しろ!!」



「撃ち方よーいっ!」



「目標っ!!グリクス地方軍団の先鋒隊。距離400。」



「良いか、ハンナ君には、絶対に中てるなよ・・・・・・・」



「てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーいっ!!」



 第三中隊を率いていた中隊長は、ハンナが敵の攻撃に囲まれない様に援護射撃を開始する。



「くそっ!」



「ダメだ。敵の火力攻勢が強すぎるっ!」



 しかし、敵の猛攻が増すばかりの中、自衛官達はハンナの窮地を迎えてさせしまう。





 しかし、そんな中を二人だけで門から飛び出す者達が現る・・・・・・・・



「ブーストっ!!」



「リフレクターシールドっ!!」



 盾を構え叫んだのは、白銀の鎧兜共に銀髪を靡かせながら、敵の真正面へと突撃して行くクリスだった。



「うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!」



「防げえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!」



 クリスの盾を基点にして、巨大な魔法シールドを展開する。



 しかも強化魔法のブースト、防御反射魔法のリフレクターシールドの重ね掛けだ。





 ドドドドドドドドドドドドッ!!カキンカキンと、敵の激しい攻撃を鋼の盾と魔法シールドの弾き防ぐ音が響き渡る。



「くくっ・・・・・・・・」



「クリス、余り無茶は・・・・・」



 リナは心配そうにクリスの背後で彼女を支え踏ん張っていた。



 ハンナもタイミング良く、軽くジャンプをして、二人の後ろへと下がる。



「これくらいは、何時もの事だ。」



「其れよりも、ハンナっ!前に突っ込み過ぎだっ!」



「ううっ、敵よりもクリスの方が怖い・・・・・・」



 

 クリスは、横目でハンナを睨み付けた。



 ハンナは若干、クリスの気迫に満ちた眼つきに睨まれて、ビビッていた。





 やがて敵の攻撃が止むと、プシュウウゥゥっと言う熱と煙の蒸発音が微かに響く。



「あれだけの攻撃を受けて・・・・無傷だと・・・・・・・ばっ、バカな・・・・」



「全部命中し、その全てを受け切るだとっ!?」



「・・・・有り得ん。どれだけ頑丈な魔法シールドと盾なんだ・・・・・」



「ふっ、私はある事情で国から頑丈な防具と防御魔法に特化した訓練を受けて来たんだ。」



「そう簡単に私の鉄壁防御を貫けると追うなよっ!!」



 クリスは、攻撃を防ぎきった経緯を敵に向って言い放ちながら、不適な笑みで敵を睨み付けていた。



 クリスがこの地へと派遣された理由がこれである。敵を引き付けて防ぎつつ、味方を撤退させる。





 その防御力は、正に鉄壁の盾と呼べて居たからだった。