アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前2時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦近郊にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 ダバ派遣艦隊に派遣されて居る陸自派遣隊は、アルガス公国軍との合同軍たる日シベ合同作戦軍共に、カントルナ砦で周囲に展開して居た。



 北へと回ったAAV7水陸両用車10両は、250名の陸自隊員と共に、カントルナ島の北側から上陸し、カントルナ砦港から迫り来るグリクス地方軍団を迎え撃とうと配置に付いて居た。



 続けて西から、北回りに回って来た87式偵察警戒車8両と軽装甲機動車12両と合流すると車両と共に、各隊員等が射撃体勢に入る。





次に西から南周りに敵軍の本隊真横に位地して居る周辺に展開するのは、96式装輪装甲車5両。16式機動戦闘車4両。89式装甲戦闘車5両。10戦車12両が展開する。



 その少し後方に11式装軌車回収車2両が待機して居る。



万が一の事態に備え、牽引車は少し離れた所での待機であった。



 高機動車10両と120mm迫撃砲10門。82式指揮通信車1両。1/2トラック2両を駐車と31/2tトラック11両が、カントルナ砦の西側5キロ離れた地点に陣取って前線指揮所兼砲撃陣地として居た。





 そして、その陣地には、更なる援軍が到着しようとして居た。



 汽笛を鳴らしながら援軍として来訪したと告げるダバ派遣支援艦隊。



 護衛艦しらぬい。おおよど。試験改修艦あすか。



 航空護衛艦しょうかく。ずいかく。補給艦まみや。いらこ。あかし。



 掃海母艦ぶんご。くなしり。しゃこたん。



 修理ドッグ艦いとじま わかまつ。



 三葉自動車運搬船3隻。豊川自動車運搬船3隻。追浜自動車産業運搬船3隻。



 友住商事貨物船2隻。四井物産貨物船。



 同行している民間運搬船団が、カントルナ島から6キロ離れた隣のゲースター島付近に停泊している。





 その場所に揚陸艦隊がビーチングするべく、ダバ派遣艦隊の揚陸艦隊から少し離れた西側の岸辺へと揚陸を始めた。



 この民間商船や自動車運搬船が揚陸方式も取れる様に成って居るのは、災害時に港が必ずしも使えるとは限らないと言う理由と、地球の発展途上国の一部では、未だに港とが脆弱な所も有るからだ。



 そんな地域に日本製品の中古品や中古車等を運んだりして居る。勿論、中には新品も有る。



 そう言った国々への販路の確保や国内外の災害協力も視野に入れた造船作りが、2030年代の日本では求められて居たのである。



 何せ某国等が、港や輸送路を整備すると言う手口を使い。



 それ等を行った相手国を借金漬けにして、土地や設備の整った施設を言いなりの条件や年月を飲ませ、自分達の好きに使用が出きると言う委任統治状態にしようとするのを嫌がる発展途上国も多い。



 だからと言って多額の借金と税金を投じて設備投資する余裕も無いと言う国は、日本国からの配慮として、港が在る場所と港の無い場所でも、そして更には災害時に柔軟に対応できる船舶を使ったも販路拡大を狙った新たな貿易方法なのだ。



 そう言った利用方法を考えられた国産の各社で建造された揚陸輸送船は、異世界転移と言う災害に置ける事態には、大当たりと成って居たのである。



「オーラーイ、オーラーイ、オーラーイ・・・・・・・ストーップっ!!」



 揚陸が始まると、積み込められて居た特科大隊から派遣されてきた陸自車両群は、ノロノロとした足取りで次々と上陸して行く。



 揚陸船団から155ミリ砲FH70が30門。



 中砲牽引車30両を伴って、先陣を切って戦場へと向って行く。



「第一特科中隊、全車上陸しました。」



「直ぐに前進しろっ!」



「井上一佐からは、準備が整って居る特科隊から出発しろとの司令部からの命令が出ている。」



「了解です。」



 上陸の整理を指揮して居るとある陸自一佐は、上陸を終えたばかりの第1特科中隊の中隊長に対して、出発して構わないと告げた。



 次に99式自走155ミリ榴弾砲20両が上陸を開始する。



 それに併せる形で、99式弾薬給弾車20両も上陸して行く。





「第二・第三特科中隊前進よーい。」





「全体っ前へっ!」





 第二・第三特科中隊の中隊長らが、前進命令を下して長い列を作って先発した第一特科中隊の後に続いて行った。



 次に上陸をして来たのは、多連装ロケットシステム自走発射機M270(MLRS)20両と88式地対艦誘導弾20両であった。



 この部隊名は、第四・第五特科中隊と成っている。



 陸自としても、実戦での本格的な特科大隊の運用と長距離誘導弾の使用は、全世界である地球と異世界アースティア世界を通じて、初の試みである。



 しかも長距離誘導弾をしようする事は、使用期限が来て居る実弾を訓練等で使用する以外では初めてであった。



 防衛省では、どれ位の実戦での戦果のデータが得られるかと、事の顛末を重要視していた。





 何せ、作った物は良いのに、実際に敵に向って使った事が無いのだ。



 それだけ平和だと言う事は、大変良い事なのだが、本格的な戦闘でないと分からない事も有り得るとの考えも有るので、有る意味、ドキドキな心境なのだろう。



 海自と空自は実戦データは、これまでの戦闘で得られて居るので、開発し関わる幹部や製造元はホッとしている心境であった。



 しかし、陸自幹部や隊員関係は、本省から現場に至るまで緊張をしていた。



 先の奇襲戦を含めて本格的な初の実戦で、結果の一つ、一つの報告の報せが遠くの地から日本へとやって来るまでの間、気の休まる事は無いだろう。





 前線指揮所の82式指揮通信車の直ぐ近くに置かれた天幕で、井上一佐が全体の指揮を執っていた。



「井上一佐、特科大隊の展開は、凡そ20分程度、掛かるとの事です。」



「間に合ったが、やはり、部隊展開に時間が掛かるか。」



 やって来たのなら、早く早くと思うかも知れないが、これは仕方が無い。



 特科大隊は、今到着したばかりで、砲撃体勢に入るのには、其れなりの準備が掛かる。



「どう戦われますか?」



 補佐をして居るとある陸自二佐が真剣な顔立ちで指示を聞いて来ていた。



「特科が展開するまでの間、海自と空自、それと普通科と既に展開を終えている車両部隊で、何とかするしか有るまい。」





 其処に新たな敵襲来の報せが入る。



「カントルナ砦南方に新たな動き有り、南門に展開して居る帝国軍2万人の援護する為と思われ、その敵部隊は、魔導機兵隊が進軍を開始。」



「機種タイプは、資料とカメラ撮影での確認で、イースト・エンペラルである模様。」



「後続の部隊には重騎竜隊のトリプトドン。火炎竜隊のフレイムランドドラゴンも進軍しつつあり。」



 

「直ちに椎名三佐に通達っ!迎え撃てとな。」



「はっ!」



「東側にも帝国軍が更に展開、その数3万人。」



「東門を攻める先鋒隊と思われ、既に攻めている5千人と併せて3万5千人がアリの群れの如く群がって攻めて来ましたっ!」



 陸自偵察ヘリと海自哨戒ヘリ、更にはP-1哨戒機改からの情報も併せて、戦況が続々と報告されて居る。



 何せ、この深夜なかの暗闇でも、グリクス地方軍団は、堂々と篝火や松明、照明魔法で自軍の周辺や戦場で明かりを点けての戦争である。





 夜目を使うと言う事をしないのも、考え思い付かないのも、この戦いに必ず勝てると言う自信から、グリクス地方軍団の将兵全員にそうさせて居るのかは分からない。 



「砦内へ普通科中隊及びアルガス公国軍を突入させろっ!」



「ヘリ部隊からも援護と普通科中隊を降下展開し、迎撃を開始する。」



「本作戦に措いての迎撃と全部隊の撤退完了時間は、60分とする。」



「了解です。」



「余り時間は掛けられん。」



「一定のダメージを与えたら、カントルナ砦のアルガス公国軍から順次撤退させろっ!」



「殿は椎名三佐指揮下の車両部隊とリナ君とハンナ君、それにクリス君達に頼みたい。」



「りょうかーい。」



「よーしっ!」



「了解です。」



 クリスは万が一の為に備えての道案内として、リナとハンナの二人は切り札として、お得意のアレを使わせての撤退だ。



 まぁ、魔力消費が激しいので、本当に万が一の切り札としての殿の人選だった。



「本作戦に参加する全ての国々の各隊各員の奮闘に期待する。」



「以上だ。」



「これより、イツクシマ作戦の第一段階を開始する。状況開始っ!」





 井上一佐の攻撃命令が下されると、各部隊は各々に下された命令と事前のうち合わせ通りに行動を開始して行く。



 各部隊がヘリ搭載護衛艦かがから流される彼の有名な怪獣映画で、自衛隊の出動時に流れる行進曲の音楽と共に進軍して行く。





 その曲を聴いたハンナは、目を子供の様に輝かせながら興奮して、やる気を出していた。





 一方遠くでは、海自艦隊が艦隊決戦の砲撃音が鳴り響いて居た。



 その空上では、ミサイル噴射口と機関砲の砲弾の光が輝いて居る。



 また、攻撃を受けたグリクス地方艦隊とグリクス地方軍団の将兵らの悲鳴も聞こえて居る。