アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午後14時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・九州島地方・福岡市にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 





 昨晩、21時ごろに第二次龍雲海沖海戦を終えた南雲忠二一佐率いる連合派遣艦隊たる日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊こと通称・南雲護衛隊群。





 巷では南雲護衛隊群と呼ばれ始めた事から、防衛省とマスコミでは、仮呼称されて居た。



 それに日本政府の方も、特にこれと言った名称が無いので、書類等の正式名称を龍雲海警戒する派遣艦隊として編成された日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊としながらも、国を護り切った護衛艦隊と言う事を喧伝する意味でも込めて、通称的な意味合いの名前を南雲護衛隊群としていた。



 その南雲護衛隊群が、本来戻る筈の寄港地である佐世保基地には向わず、福岡市の博多港に入港したのも、思わぬお客様が乗り合わせて居るからだった。



 第二次龍雲海沖海戦に置いて、南雲護衛隊群を一時的にも、追い詰めたドラグナー皇国の皇女にして、姫将軍でもあるヴァロニカ・サークラ・レアモン姫将軍が率いるレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団が、停戦交渉を含めた外交交渉の為に日本を訪問して居るからであった。





 この停戦で少なくとも当面の間は、ローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊とドラグナー皇国軍の二つの国家組織だけでは有るが、一軍の部隊とだけの停戦と成る事に成った。



 第一外征艦隊とドラグナー皇国軍が停戦に応じたのも、日本に手痛い痛手を被り、戦った将兵らは捕虜と言うより、先の戦いで様々な顛末を迎え、生き残った敵国の兵士らは、洋上で立ち往生や怪我や金銭面や交通手段などの不足の観点から、自力での帰国が出きない状態下に遭ったからだ。







 日本政府は訪れた敵国の将兵の凡そ3500人を武装を解除させた上で、福岡市内の大型ホテルを借り受け、一先ずは其処へと一時的な滞在場所へと移動させた。



 其処では、怪我をして居ない者は、休息の為に数日滞在したの後に、コヨミ皇国へと移動させられる。



 最後に残るのは傷病の酷い者らとヴァロニカに近しい側近らが停戦合意の条約の会議をする為に残る事と成る。



「うーん・・・・・ふあああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」



「久し振りに気兼ねなく寝れたな。」



 ヴァロニカが宿泊地として居るのは、福岡国際ホテルの最上階の部屋を割り当てられて滞在して居る。



 異世界転移のせいで、ホテル等の宿泊施設は閑古鳥が鳴いている状態で有るので、多少の値引きを政府からされても、日本政府から敵国将兵の受け入れの為のホテルを借り受ける話は、渡りに船と言えたのであった。



 ヴァロニカは、十年の長きの間、ローラーナ帝国からの監視の中で、気の張った生活をして居たせいか、安心して気持ち良く、ぐっすりと眠れる事が無かったのである。





 それが例え自室で有ったとしても、寝首を掻かれないとも限らないからだ。



 古来より、勇将、軍神と言われた偉人達。軍の大将や武将や知将は、時として、武器を持って居ない時を狙われる事が多い。



 有名な話で例えるならば、三国志で言えば、酒によって寝ている時に暗殺された張飛。



 源平の時で言えば風呂場で討たれたと言う頼朝・義経の父である源義朝。



 更に後の世では、信長や竜馬なんかも油断のし過ぎで、自らの命を落としたとも言われて居る。



 昨晩のヴァロニカは、久々に本当に気持ち良く眠れたらしい。



 此処なら日本の警察に公安、自衛官の監視は有っても、ローラーナ帝国の直接的な監視は無い。



 彼女が気持ち良く羽を伸ばすには、絶好に良い環境でも有るのだ。



「さて・・・・・」



 着の身着のままで日本へとやって来たので、着替えの一部は日本政府からの支給品が贈呈されていた。





 他に必要な物が有った場合等に備えて、ドラグナーの本国から滞在費の仕送りとして、金貨や銀貨、又は金塊に銀塊、宝石類を日本円に換金して生活していた。



 彼女の同行者として居残るのは30名の予定である。



 先の戦闘に措いて日本に来て居る女性騎士団員の総数は330名。傷病関係で海上自衛隊の関係の深い病院に送られ、約半月から一月の入院して居るのが、300名である。



 何れも中軽症程度の怪我で、主な原因は防護魔法で軽減された砲弾やミサイルの破片による怪我と爆発による火傷である。



 この結果は魔法や聖龍との合身によるダメージ軽減が成された結果とも言えた。



 海自の医官は、騎士団の女性達を診察した時に、海自艦を生身で相手をして負傷した怪我の具合を見て目を丸くしながら驚いて居たと言う。



 私服に着替えを終えたヴァロニカは朝食の為に、食堂へと向う。



 朝はバイキング形式の食事方法を取って居て、好みの料理を皿に盛って行く騎士団の面々。



 昼や夜の食事に関しては、外かホテルの食事のとぢらかを選べてる様に成っている。



 更にはドラグナー皇国の騎士団だけの限定だが、行き先も指定を受け、監視付の外出も許されていた。



 兎に角、日本政府は後々の事を考えて、印象を良くして置こうと取り計らって居たのである。



「お早う御座いますヴァロニカ殿下。」



「おおっ!?藤原殿ではないか。朝から如何なされた?」



 ヴァロニカは、ホテルの食堂で待ち受けていた人物を見かけて驚く。



 その人物は外務省の官僚で、今は交援省へと外務課長待遇での出向扱いとして厄介払い・・・ではなく派遣されている藤原敬二が待ち受けて居たのである。 



「今朝は朝食を取りながらお話が有りまして、ご都合は如何でしょうか?」



「構わない。」



 二人は空いてる席を決めると和食を選んで席に着いた。



 二人は数ある料理から選んだ料理はと言うと、ヴァロニカは、鯖の味噌煮定食を選び。藤原は、焼き鮭定食を選んで居た。



 ヴァロニカは、日本を訪れて最初に食べた朝食が鯖の味噌煮だった。



 以来、彼女は甘辛い味噌ダレの味が大変に気に入って居て、好んで食べる様に成って居たのであった。



「日本での滞在は、如何でしょうか?」



「快適・・・・と言うより贅沢過ぎるな。」



「居心地が良過ぎて、帰国後が困るくらいだ。」



「それは良かった。」



 藤原は日本の滞在での不備が無いかと、先ずは社交辞令から会話を始めた。



「さて、これからの事ですが、取り敢えずは、我が国の首都の東京へと来て頂こうと思って居ます。」



「ただ、今は時期が悪いですね。」



「ああ、聞いて居る。」



「シベリナ連合諸国との国交樹立の話だろう。」



「そう言う事なら構わない。どの道、無理やりに此方から押しかけたのだ。」



「ローラーナ帝国の連中にも、シベリナ連合諸国との会合に付いての会議で日本政府の都合が悪いく、戦後処理が難航して居ると言い訳が出きる様に計らう事が出きる。」



「少なくとも半年以上は。引き伸ばせる筈だろう。」



「そんなにですか?」



 藤原は余りにも暢気で、ヴァロニカの立場か悪くなりそうな長い交渉期間の長さに驚いてしまう。



「日本では通信速度が一瞬だから、我々の連絡のやり取りの落差の長さに関して気に掛かるだろうが、この世界の国々にの通信方法は、極めて脆弱な面が多い。」



「定期的な、やり取りさえキチンとして居るのならば、彼のローラーナ帝国も目くじらを立てんのさ。」



「それに戦後処理は、捕虜や傷病人なんかの引渡しや交換の話もあるし、賠償やこれから如何するのか何かの話し合いも有るからな。」



「早々簡単に終わる事などは、中々無いのだよ。」



「分かりました。」



「殿下のご立場を踏まえて、成るべく1回目の会合を開く様に取り計らいましましょう。」



「そうすれば、長期滞在の名目を帝国に提示が出きるかと・・・・・」



「ほう、それは良い考えだな。」



「日本の官僚で無ければ、私の手元に欲しいくらいだ。」



「お褒めに預かり、光栄です。」



「こう見えて外務省では厄介者扱いでしてな。」



「仕事が出きる人間は大抵そうだろうとも。」



 

 ヴァロニカは藤原の仕事振りを賞賛し、褒め称える。





「そうそう、如何でしょうか、昔なじみを集められての旧交でも温められては?」



「それはお互いに色々と不味くないか?」



 ヴァロニカは旧交と聞いて、直ぐに思い浮かんだのは、かつての友人関係に在った紅葉やマーヤの事を思い付いていた。



 龍雲海沖海戦の戦後処理が始まったと報道が有る事をテレビと言う機械から見て聞かされた居たからである。





 勿論、何所の誰が来て居るとは報道されては居ないのだが・・・・・・・・



 それに日本国民には、一方面軍との停戦であると伝えており、ローラーナ帝国全体との停戦には、至って居ないと伝えていた。



「東京へ行く前に、事前の内合せを名目にして有りますので、如何でしょうか?」



「非公式か?」



「はい。それに、この国ではローラーナ帝国の監視の心配は有りませんよ。」



「後は殿下のお気持ち次第です。」



「成らば良かろう。」



「分かりました。ではお二方には伝えて・・・・・・」



 プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル。



 不意に藤原のスマホの呼び足し音が鳴り響く。



「はい、はい。はい。ってええっ?」



「分かりました。」



「如何された?」



「あのー、マーヤさんが・・・・・・・・」



「ああ、そう言う事か。それならば何時もの事だ。気にするだけ無駄だ。」



「大方トラブルでも起こしたか、何かに巻き込まれたんだろう?」



「その通りでして、何でも食事時にテレビで見た新幹線を見学したいと博多駅のホームで見て居たら、興奮して走って行った勢いで、躓いて転んで、そのまま新幹線の先頭車両の入り口へとゴロゴロと転がり、そのまま・・・・・・・・・」



「ぷはははははははっ!!くくくっ、ああはははっ!!」



「ひぃひぃひぃ、はぁはぁはぁ、何て可笑しいんだっ!」



「全くあのアホらしい。」



 ヴァロニカは、心の底から久し振りに大笑いをしていた。藤原の言った通りの光景が目に浮かぶ様だったからだ。





 一方、マーヤは・・・・・・・・・・・・・



「あのー、お客様ご乗車券は・・・・・・・」



「ぐすっぐすっ、此処は何処なのだあああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」



 車掌が声を掛けて切符を見せる様にと促したして居るのだが、マーヤは涙目で泣いていた。





 彼女の目の窓から見える景色は、広島の町が広がって居た。



 その後もマーヤは、東へ東へと高速で走り続けて行くのであった。



 見つかったのはヴァロニカとの会食が予定された居た場所であったと言う。