「牧瀬さーん、書留です。印鑑下さい」
そこへ、また来客があった。郵便配達員だ。目が覚めてからというもの来客が多いな……。紡木は言われるがままに印鑑を渡して書類を受け取る。
一体何の書類だろう。八の字にくくられた紐を、はやる気持ちを押さえながら解く。中から出てきたのは、二枚の紙だった。
一枚目には霊界住民登録のご案内と書かれている。差し出しは霊界庁。霊界庁? なんだそれ。紡木の頭にはてなマークが浮かんだ。
疑問に思ったまま、二枚目の用紙をめくった。二枚目は細々としたものを記入する用紙になっていた。氏名住所、事故または事件に◯。遭遇したおおよその日時。霊界で目が覚めた場所の説明。
氏名住所までは書ける。事故に巻き込まれたおおよその時間も分かる。友成と待ち合わせの場所へ行く十五分ほど前の出来事だった。
問題は次だ。霊界で目が覚めた場所。霊界。なんだ、霊界って。
一枚目に戻ってみる。小さな文字で補足が書いてあった。
「現在貴方は霊魂の世界(霊界)に所属しています。一定の条件を満たすまでは霊界で居住することになりますが、居住するには霊界での住民登録が必要になります。詳しくは霊界庁にご来庁の上、説明を受けて下さい」
霊魂の世界、それが霊界。この真っ白な世界に、俺は魂となってやって来たわけか。つまり、やっぱり俺は死んでいるのか。紡木はその事実をあらためて突きつけられ、息の止まる思いがした。いや、死んでいるのだから息が止まるも何もないだろう。
喉に手を当ててみた。普通に呼吸をしている。死んでいるのに呼吸をしているとはどういうことだ。霊界の仕組みがよく分からない。説明を聞くためにも、この霊界庁というところに足を運んでみるしかないだろう。
紡木はいったん自分の死について考えることは止めて、霊界での身の振り方に集中することにした。
一定の条件を満たすまでは、この霊界に居住することになる、と説明書きには書いてある。一定の条件が何なのか分からないが、この世界で暮らすことが出来るらしい。
とりあえず他にも人間がいることは分かった。もしかしたら、生きていた時と同じような環境でここで暮らせるのではないだろうか。
今から霊界庁へ行ってみよう。紡木は書類を封筒にしまい、店を出た。
そこへ、また来客があった。郵便配達員だ。目が覚めてからというもの来客が多いな……。紡木は言われるがままに印鑑を渡して書類を受け取る。
一体何の書類だろう。八の字にくくられた紐を、はやる気持ちを押さえながら解く。中から出てきたのは、二枚の紙だった。
一枚目には霊界住民登録のご案内と書かれている。差し出しは霊界庁。霊界庁? なんだそれ。紡木の頭にはてなマークが浮かんだ。
疑問に思ったまま、二枚目の用紙をめくった。二枚目は細々としたものを記入する用紙になっていた。氏名住所、事故または事件に◯。遭遇したおおよその日時。霊界で目が覚めた場所の説明。
氏名住所までは書ける。事故に巻き込まれたおおよその時間も分かる。友成と待ち合わせの場所へ行く十五分ほど前の出来事だった。
問題は次だ。霊界で目が覚めた場所。霊界。なんだ、霊界って。
一枚目に戻ってみる。小さな文字で補足が書いてあった。
「現在貴方は霊魂の世界(霊界)に所属しています。一定の条件を満たすまでは霊界で居住することになりますが、居住するには霊界での住民登録が必要になります。詳しくは霊界庁にご来庁の上、説明を受けて下さい」
霊魂の世界、それが霊界。この真っ白な世界に、俺は魂となってやって来たわけか。つまり、やっぱり俺は死んでいるのか。紡木はその事実をあらためて突きつけられ、息の止まる思いがした。いや、死んでいるのだから息が止まるも何もないだろう。
喉に手を当ててみた。普通に呼吸をしている。死んでいるのに呼吸をしているとはどういうことだ。霊界の仕組みがよく分からない。説明を聞くためにも、この霊界庁というところに足を運んでみるしかないだろう。
紡木はいったん自分の死について考えることは止めて、霊界での身の振り方に集中することにした。
一定の条件を満たすまでは、この霊界に居住することになる、と説明書きには書いてある。一定の条件が何なのか分からないが、この世界で暮らすことが出来るらしい。
とりあえず他にも人間がいることは分かった。もしかしたら、生きていた時と同じような環境でここで暮らせるのではないだろうか。
今から霊界庁へ行ってみよう。紡木は書類を封筒にしまい、店を出た。



