ドキドキとうるさい心臓を必死に落ち着かせながら、クラスメイトたちをゆっくりと見渡す。

…大丈夫。中庭で大切に水をあげている花たちだと思えば、怖くない。


「わ、私…人と話すことが苦手で、一緒にいてつまらないと思われるんじゃないかと考えたり間違えたりすることが怖くて、避けてきただけなんです…。ほ、本当は、私もみんなと遊びたいって、ずっと思ってて、だからこれからは少しずつ歩み寄っていけたらなって…思ってます」


不思議だ。昨日までの私が嘘みたいに、小野寺くんが隣にいて手を握っていてくれるただそれだけで、こんなにもうまく話せることができた。

まだたどたどしい部分はあるけど、それでも大人数の前でこれだけ話せるなんて今までの私では考えられない。


「なんだ、そうだったんだ」

「もー早く言ってよね！」

「これから少しずつ慣れていこう！」


温かいクラスメイトたちに、思っていた反応とは違いすぎて思わず目を丸くする。


「桂木さんが頑張った結果だよ」


眩しく笑う小野寺くんに、目頭が熱くなるけどここで泣くもんかと必死に堪えながらなんとか頷く。


一歩勇気を踏み出してみるだけで、こんなにも世界は違って見えるんだ。

その勇気をくれたのは、紛れもなく小野寺くん。