無邪気に笑う顔、なんでも真っ直ぐに気持ちをぶつけてくれるところ、私を引っ張って連れ出してくれる強くて逞しい性格、私を見つめる優しい眼差し。

こんなにも愛おしい気持ちを知ってしまって、私はこれからどう生きていけばいいの…?

小野寺くんという存在を失った私にとってこの世界は残酷だ。


「…あ、目が覚めたっていうの本当だったんだ」


懐かしい大好きな声に、ハッと顔を上げる。


「…泣いてるの?」


涙で歪む視界の中、確かに君が…小野寺くんが私の目の前に立っていた。


「…小野寺くん?」

「え?俺の名前知ってるの?…もしかして、話しかけてたの聞こえてた?」


どうして。どうして小野寺くんがこの世界にいるの?


「最近この病院に病気の母さんが移ってきて、よくお見舞いに来ていたから俺と同い年くらいの女の子が入院してるって聞いたんだ。誰でも面会はしていいことになっていたから、母さんの見舞いついでに君に会いに来てた。一方的にずっと話しかけていたんだけど、届いてたのかもな。ずっと直接話したいと思ってたんだ」


そっと涙を拭ってくれた小野寺くんが、優しく笑った。