「私は…入退院ばっかりの繰り返してで今まで友達もまともに作れなくて、寂しい病室で一人“もしも私が元気な体だったら”って想像してたの。…高峰さんと友達になる想像もしてた」


あの夢は、きっと私の願望だったんだ。

もしも元気な体で高校に入学できていたら、こんな私でも大切な友達ができて、好きな人ができて自分を変えることができるんじゃないかって…そう思った。


「手術は成功して、こうして無事起きることもできたんでしょ?それならこれから一緒に高校生活を楽しもうよ。桂木さんが見た夢、現実にすればいいんだよ」

「…え?」


夢の中と同じ笑顔で凛々ちゃんは笑った。


「時間はたっぷりあるからさ、これからゆっくり友達として思い出を増やしていこう」

「うん…うん…っ!高峰さんと友達になりたい」


するりと素直な気持ちを言葉にして伝えることができ、自分でも驚く。

夢の中での経験が今の私も変えてくれたんだ。


「あのさ、同じクラスに小野寺啓哉くんって男の子、いたりしない…?」

「小野寺啓哉…?そんな名前の男子はうちのクラスにいないし、他クラスでも聞いたことないと思うけど」

「そっか…」