「ごめん、触るよ」

「え…」


ふわっと体を持ち上げられ、小野寺くんの体温を直に感じる。

…え?これは夢…じゃない?


「大丈夫?顔に当たった?」

「え、えっと…腕と頭に少し当たった、かな…」


まだ現実が受け止められなくて、ぼーとする頭でなんとか小野寺くんに答える。


小野寺くんは私を抱き抱えたまま保健室まで運んでくれた。

保健室は先生がちょうど留守にしているみたいで誰もいなく、ベッドの上にそっと下ろしてもらう。


「頭は…たんこぶとかはできてないみたいだな」


小野寺くんの手が優しく頭に当てられて、そんなことでもどきっと反応してしまう。


「氷のう借りとこうか」

「あ、ありがとう…。あの、なんで私のためにここまで…?」


小野寺くんから氷のうを受け取りながら、恐る恐る気になったことを聞いてみる。

二人きりのこの空間が、少しだけ私に勇気をくれているみたいだった。