もしかしたら、全員?

この中の誰かと、付き合ったりするのかな…。


「…嫌だ」

「え?莉奈、どうし…」

「わ、危ない!」


男子コートに夢中になっている女子たちに気を取られていたせいで、パスミスをしたボールがこちらに向かって飛んできていることに気づかなかった。


「きゃ…っ!」

「莉奈!?大丈夫!?莉奈!」

「きゃー!桂木さんが…!」


寸前で顔を守ったが、勢いよく飛んできたボールが思いっきり当たり、思わずその場に倒れ込む。

ほぼ当たったのは腕だったけど、どうやら頭にも当たったようで衝撃でぐわんぐわんする。

立とうとするのに、体がうまく動かない…。


「桂木さん!」


ああ、頭を打ったせいで、幻聴まで聞こえてくる。

小野寺くんが私の元まで駆け寄ってきてくれるはずがないのに…。