きっともっと高峰さんを困らせて嫌な気持ちにさせちゃうだけだ。


–––「まあ簡単にいくとは思わないし、失敗するかもしれないけど、その時は一回深呼吸して頭を空っぽにしてみて。その上で桂木さんが本当に伝えたいことを一つだけ相手に伝えるといいよ」


「…ふぅー」


ゆっくり息を吸って、吐き出す。

余計なことを全部吐き出して、頭をすっきりさせるように。


「…高峰さん!」

「…え?」


私が高峰さんに一番伝えたいこと、それは…。


「ありがとう、連れ出してくれて。本当はかなり限界に近かったから、すごく助かった。理由が何にしても、高峰さんと話せて嬉しかったよ」


言えた。ちゃんと私の言葉で、伝えたかったことを伝えられた。


「…そっか。私、お節介しちゃったかなって少し不安だったから、桂木さんの役に立てたみたいでよかった。それに私も初めて桂木さんと話したけど、もっと早くから話しておけばよかったなって今思ったよ。ゆっくりでいいからさ、これからもっと話していかない?」

「うん…っ、もちろん!」


自分の気持ちを伝えられるだけで、こんなにも日常は変われるんだと私は知らなかった。

それも全部小野寺くんのおかげ。

まだ出会ったばかりでまともに話せたのも少しだけだけど、それでも私の頭の中はもう小野寺くんでいっぱいだった。