「あそこにいたら、疲れちゃうでしょ?突然たくさんの人から話しかけられても桂木さんだって困るっていうのにね。みんな優しいからそこまで気が回せないんだよ」

「え…?」


ドリンクバーで飲み物をゲットしたためこのまま戻るのかと思いきや、高峰さんは近くのベンチに腰掛けてそこでメロンソーダを一気飲みしていた。


「違った?困ってるのかと思って連れてきちゃったんだけど」

「あ、う、あ、あの…」


ユリだと思いながら高峰さんと話しているはずなのに、一つ一つのパーツが綺麗に整っている顔立ちに我に返り、とてもじゃないけど小野寺くんに教えてもらった作戦は通用しなかった。

花だと思えないため、もちろんうまく言葉が出てくるわけもない。


「あー私の今のこの状況もかなり困らせちゃってるよね?ごめん、私は先に戻るから、桂木さんは少し休んでから戻ってきなよ。無理そうだったら途中で帰ってもみんな文句言わないと思うし」


ふっと悲しそうに笑って立ち上がった高峰さんは、私を置いて先に戻ろうとしていた。


「あ、ま…っ」


…引き止めてどうするんだ?

きっと今の私じゃ何も言えない。伝えられない。