ノワールの意識は深い闇の中へと沈んでいった。

 彼はどこかの城にいた。漆黒の玉座に座る男が彼を見下ろしている。

 「お前は"光"と"闇"の狭間に生まれた存在」

 男は言った。

 「星の涙が消えたのは、お前のせいだ」

 ——何を言っている?

 ノワールの心に疑念が生まれる。

 「お前の存在こそが、光と闇の均衡を壊したのだ」

 そして、映像は変わる。

 幼いノワールが、どこかの塔の中で泣いていた。
 彼の目の前には、光の魔法を持つ少女がいた。

 「ノワール、大丈夫だよ」

 その少女の優しい声が、彼の胸を締めつける。

 ——知っている。誰だ?この子は?

 「私たちは、ずっと一緒だから」

 その言葉とともに、映像は途切れた。

 ノワールの心臓が大きく鼓動する。

 ——思い出した。

 「……セレナ……?」

 目を開けると、目の前にはセレナがいた。心配そうにこちらを見つめている。

 「ノワール、大丈夫!?」

 「……俺は……昔、お前と……」

 しかし、その瞬間、闇の王が腕を振るい、ノワールは再び黒い魔力に飲み込まれた。

 「思い出すな。お前は我が継承者なのだから」

 ノワールの体が黒い炎に包まれる。

 「ノワール!!」

 セレナの叫びも届かない。ノワールの瞳は、徐々に闇に染まっていった——。