セレナの放った光の波動は、カナリアの暗黒の力を打ち破るかに思えた。しかし、その一瞬の隙間をついて、カナリアは自身の闇の力をさらに強化させ、セレナの攻撃をはね返してきた。暗黒のエネルギーが空気を切り裂き、セレナの周囲を包み込む。

 「ふふ、まだ私の力が足りないと思っているの?」

 カナリアは冷徹な笑みを浮かべ、手を広げて空間を歪ませる。その闇の力がセレナを圧倒していく。

 「これが本当の力よ、セレナ。私こそが新たな闇の王となるのだから!」

 セレナは立ち上がろうと必死で身体を動かすが、闇の力に押し潰されそうになる。その時、リリスが叫びながらセレナに駆け寄った。

 「セレナ!諦めないで!」

 リリスが魔法の杖を振りかざし、セレナを守ろうとする。しかし、カナリアはその力を無視し、さらに強く圧力をかけてきた。

 「リリス、無駄よ。私の闇の力の前では、あなたたちの光も虚しいだけ」

 その言葉が放たれると同時に、闇の力が激しく広がり、セレナたちは一度その場から吹き飛ばされてしまう。

 「くっ……!このままでは、すべてが闇に飲み込まれてしまう!」

 セレナはその恐怖を感じながらも、再びペンダントを握りしめ、星の力を呼び起こそうとした。だが、ペンダントからの反応は鈍く、力がみなぎってこない。

 「どうして……どうしてこんなに力が足りないの…?」

 セレナの顔には焦りが浮かび、涙が頬を伝う。その瞬間、セレナの心の中にあの星々の輝きが蘇ってきた。

 「私は一人じゃない」

 セレナはゆっくりと目を閉じ、心を集中させた。何度も何度も、心の中で星々の輝きを思い浮かべ、信じ続けた。その瞬間、ペンダントが再び激しく光り出す。

 「これが…私の力!」

 セレナの目が強く輝き、その力は全身に流れ込んでいった。闇の波動を受けながらも、セレナは自らの内なる光を解放し始めた。

 「スターライト・フレア!」

 セレナの声が響き渡り、爆発的な光が全身から放たれた。その光は、闇の力を貫くように広がり、カナリアの暗黒のエネルギーを一気に打ち破っていく。

 「なっ……!?」

 カナリアは驚き、後ろに大きく飛び退いた。しかし、セレナの光は止まらず、闇の使者たちをも消し去り、ついにはカナリアそのものを包み込んだ。

 「これで終わりだ、カナリア!」

 セレナは一気にその光を放ち、カナリアを光の中に閉じ込めると、闇の王の後継者はついにその力を失い、無力化された。

 「う……うう……こんなことが…」

 カナリアはその場に膝をつき、闇の力が崩れ去っていくのを感じながら、震える声で言った。

 「あなたの力…私には…勝てない…」

 その言葉と共に、闇の王の使徒、カナリアは力尽き、闇の世界から消え去った。

 セレナは肩で息をしながら、しばらくその場に立ち尽くしていた。その後、リリスとノワールが駆け寄り、セレナを支える。

 「セレナ、大丈夫?」

 ノワールが心配そうに声をかける。セレナは少しだけ笑顔を見せ、答えた。

 「うん、ありがとう。みんな、私、やっとわかったよ。私の力は、星の力だけじゃない。みんなの想いが私を支えているんだ」

 リリスも微笑んで頷く。

 「その通りよ。私たちの絆こそが、何より強い力になるの」

 セレナは深呼吸をして、改めて前を向いた。

 「これで終わったわけじゃない。私たちの冒険は続く。これからも、みんなで守り続けるんだ」

 ノワールとリリスも頷き、セレナの決意を受け入れた。闇の力は確かに一度は消えたが、まだ世界には多くの謎が残っている。セレナたちはその先に待つ新たな試練に立ち向かう準備を整えていた。

 「私たちは、必ず未来を明るく照らすから」

 セレナの声には確かな自信と希望が込められていた。