セレナ、ノワール、そしてリリスは、闇の使者たちを撃退しながら、ペンダントの輝きに導かれてさらに進んでいった。空は深い闇に覆われ、周囲の景色が歪んで見える。まるでこの場所自体が、闇の星の影響を受けているかのようだった。

 「ここ……いったいどこだ?」

 ノワールが不安げに言った。彼の目の前に広がるのは、終わりのない闇の大地。どこまでも続く荒れ果てた平原に、星のような光がわずかに漂っている。

 「闇の星の近くに来ているのは間違いない。でも、こんな場所がどこにあるなんて、私も初めてよ」

 リリスが眉をひそめながら言った。

 セレナはペンダントを手に持ち、再びその力を感じ取ろうとした。だが、ペンダントが発する光は、次第に強く、そして不安定に感じられた。

 「この感じ……私の力も、星の力も、何かが歪んでる。もしかして、この闇の星自体が私たちを試しているのかもしれない」

 「試す?」

 ノワールが疑問を抱きながら聞き返した。

 「うん。私たちが闇の星に近づくことで、その力を引き出す何かが起こる。もしそれに打ち勝てなければ、闇の星の力を封じることはできないかもしれない」

 その時、急に空が暗くなり、激しい嵐が巻き起こり始めた。風が吹き荒れ、雷が轟き、空全体が揺れ動く。

 「う、うそ……!」

 リリスが叫ぶ。

 「これ、ただの嵐じゃない。闇の星が自らを守ろうとしている!」

 その言葉が終わるか終わらないかのうちに、闇の中から巨大な影が現れた。それは、漆黒の翼を持つ、まるで星そのもののような姿をした存在だった。闇の王、いや、それを超える何か——。

 「闇の星よ、覚悟しろ!」

 ノワールが前に出て、剣を構えた。セレナとリリスも一歩後ろで構え、必死にその存在に立ち向かおうとした。

 「私たちは、あなたを倒すために来たわ!」

 セレナの言葉に反応するように、闇の星は空を裂くようにひときわ大きな声で叫んだ。

 「貴様らのような者が、星の力を奪うことができると思うか!」

 その声は、まるで全てを支配するような、圧倒的な力を感じさせた。

 「この力、やはり…闇の王の意志を引き継いでいるのか?」

 リリスが冷静に分析した。

 その闇の存在は、星の力そのものを持ち、全てを飲み込むような強大な力を放っていた。セレナたちは、この強大な力に立ち向かうために、全力を尽くさなければならなかった。

 「みんな、覚悟して!」

 セレナはペンダントを高く掲げ、その中の星の力を集めた。

 「スターライト・エクスプロージョン!」

 彼女の放った光が闇を切り裂こうとするが、闇の星はその光を簡単に吸い込み、反撃の暗黒波動を返してきた。

 「だめだ、これは私の力だけじゃ足りない!」

 セレナが叫ぶと、ノワールが声を上げた。

 「俺たちの力を合わせれば、きっと倒せる!」

 ノワールが再び剣を振るい、闇の星に向かって暗黒の力を放つ。リリスも魔法を使い、光と闇の力をぶつけ合う。だが、その攻撃もまた、闇の星に吸い込まれ、反撃を受けるばかりだった。

 「どうして……!」

 リリスが必死に叫ぶ。

 その時、セレナのペンダントがさらに強く光り出し、セレナの体から星の力が溢れ出した。彼女はその光に包まれ、再びペンダントを握りしめた。

 「これが、私の力……星の涙の力だ!」

 セレナの中から湧き上がる星の力が、闇の星と対峙し、その力を正面から受け止めた。闇の星の力が次第に弱まり、セレナの光がその中に入り込んでいく。

 「この力、絶対に渡さない!」

 セレナの叫びが響くと、闇の星の力が次第に崩れ始め、最終的にその存在が消滅した。闇の星が崩壊し、空が明るくなり始める。

 「やった……」

 ノワールが安堵のため息をついた。

 「これで、闇の星は消えたんだ」

 リリスも微笑んだ。

 「でも、これが終わりではないわ。まだ新たな挑戦が待っている。闇の力を完全に封じるために、私たちはこれからも戦い続けなければならない」

 セレナは深呼吸をし、前を向いた。

 「そうね。私たちが光を守る限り、どんな闇も打ち破れる。みんな、一緒に戦いましょう」

 彼女の言葉に、ノワールとリリスが頷き、三人は新たな決意を胸に歩き出した。闇の星の崩壊で終わったわけではない。彼らの冒険は、これからも続いていく——。