町の建物や森などを浄化していく中、今日はシャーロットさんのお茶会に呼ばれています。
 お茶会といっても、アーサーちゃんとエドガーちゃんも一緒です。

「「きゃー」」
「キュー」

 うん、いつの間にか仲良し二人と一匹で追いかけっこが始まりましたね。
 そんな中、僕はシャーロットさんとマリアさんと一緒にお茶を飲んでいます。

「もう、ナオ君も立派なヘンリーたちの一員ね。冒険者としても評価が高いし、治癒師としても評判は上々ね」
「僕は、色々な人に支えられてようやく一人前です。魔法の腕はスラちゃんの方が上ですし、出来ることを頑張っています」
「それで良いのよ。人には得意分野があるから、みんなが力を合わせて良い結果を生み出せば良いのよ。だから、気負うことはないわよ」

 シャーロットさんは、優しく、だけどはっきりと僕に言ってくれました。
 僕も、勇者パーティの皆さんと会えて大きくなれた気がします。
 色々なことを学べたし、ドラちゃんとも仲良くなりました。
 まだまだやる事がいっぱいあるから、これからも頑張らないとね。

「ナオ君の場合は、スラちゃんというお兄ちゃんがいたのが大きいのでしょうね。一人じゃないっていうのは、とても大きいことなのよ」
「僕も、スラちゃんがいてとっても助かりました。あの三人からも僕を守ってくれたし、今も色々良くしてくれます」
「ヘンリーも、スラちゃんは凄いスライムだと絶賛していたわ。間違いなく、勇者パーティに欠かせない存在ね」

 マリアさんは、お菓子をもりもりと食べているスラちゃんを優しく撫でていました。
 今やスラちゃんはヘンリーさんの右腕みたいな存在だし、僕も知らない特殊な技能も持っているんだよね。
 鍵開けの技術なんか、本当に凄いよね。

「ナオにーに、スラちゃん、一緒にやろー」
「やろー」
「キュー」

 そして、追いかけっこをしていた二人と一匹が、満面の笑みで僕たちを誘ってきました。
 じゃあ、僕も参加しようかなと思った、その時でした。

 グラグラグラ。

「あっ、地震です。でも、小さいですね」
「ゆれてるー」
「るー」

 ちょっと部屋が揺れたけど、そんなに強い揺れではありません。
 ドラちゃんは宙に浮いているので、なんだろうなって感じでした。
 直ぐに揺れが収まったので、みんなで遊んでいた時でした。

 コンコン。

「はい、どうぞ」

 ガチャ。

「おばあ様、ナオとスラちゃんを借りたいの。少し離れたところで、大きな地震の被害が確認されたわ」
「「「ええっ!」」」

 慌てた様子のエミリーさんが、とってもビックリする事を伝えました。
 これは大変だと、僕はスラちゃんを抱いてエミリーさんの後に続きます。
 ドラちゃんも、僕の後をついてきました。
 会議室につくと、多くの貴族に加えてヘンリーさん達も集まっていました。
 僕も、エミリーさんの隣の席に座りました。

「被害が確認されたのは、ヴィッツ男爵領です。多くの建物が壊れ、怪我人が多数出ていると軍の先発隊より報告があがりました」

 軍の関係者が報告すると、会議室の空気が一段と引き締まりました。
 怪我人が多数出ているということは、治療の手が必要ってことですね。

「恐らく、食糧事情も良くないと思われます。そのため、当面は物資の支援も必要になります」
「被害が大きいことを踏まえても、ヘンリーたちを現地に向かわせた方が良いだろう」

 陛下も、すぐさま僕たちの派遣を決めました。
 ヘンリーさんも、こくりと頷きました。
 そして、僕たちに声をかけます。

「ドラちゃんは、地図を見て目的地を確認してくれ。ナオ君とスラちゃんは、救援物資が集まったらアイテムボックスにしまってくれ」
「はい!」
「キュー」

 ここからの動きは、とても早かった。
 食料や毛布などを用意するためにランディさんとかが指示を出し、ヴィッツ男爵領に近い駐屯地に救援派遣命令も出されました。
 僕たちも、着替えたりして出発の準備を整えます。