「おい、釈放だ。出ろ」
「……はい」
「うん?」

 翌朝、三人は予定通りに守備隊の駐屯地にある留置所から釈放された。
 昨日大暴れしていた人物とは思えないくらい、三人は素直に従って独居房から出ていった。
 というのも、三人は独居房に入ったストレスで、一睡もできなかった。
 夜間狭い空間に一人でいて、巡回をする守備隊員の足音をずっと聞いていたという。
 元来三人は自分よりも力があるものには逆らわない性格で、興奮が収まると「守備隊員が自分に何かをするのでは」とびくびくしながら警戒していたという。
 更に自分たちは何で拘束されたのか理解していないので、無実の罪で何かされるのではと思っていた。
 実際には、三人が暴走することがないようにと、守備隊員の方がかなりの警戒をしていた。
 そして、外に出た三人に対し守備隊員が宣言した。

「法令により、武器は没収となる。ナイフ等もだ。それ以外のものは返却する」
「……はい、えっ?」
「聞いていなかったのか? 武器は没収となる。これは、国の決定事項だ」

 三人はぽかーんとしながら守備隊員からの決定事項を聞いていたけど、いまいち状況を理解していなかった。
 残念ながら人の話を聞かない三人なので、結局最後まで手元に武器がないことを把握しなかった。
 そして三人は、守備隊の駐屯地から早朝の町に出た。

 ぐー。

「はあ、腹減ったなあ」
「そうだな。パンしか食べていないもんなあ」
「どこかでメシを食わねーと」

 普通はこの後の対応を考えるのだが、三人は考えることよりも食欲に意識が向いていた。
 留置された際に三人が大暴れしたので、スプーンやフォークを使う料理が提供できなかったのだ。
 スプーンやフォークを使って何かをするのではとの、守備隊の判断だった。
 完全に自業自得なのだが、三人は理解することはなかった。
 そんな中、とあることをたまたま近くを通った通行人が話していた。

「おい、今日は大教会で炊き出しと無料治療があるってよ」
「シャーロット殿下が熱心にやっていたやつだろう? だったら、今日は期待できるメニューなのかもな」

 大教会と炊き出しというキーワードを聞いて、三人の足は自然と大教会に向かっていた。
 大教会には行ったことがないが王都に到着した際に見たことがあり、何となく場所は分かっていた。
 三人が暫く歩くと大教会に到着したが、朝早いのかまだ炊き出しは行われてなかった。
 それでもシスターが忙しく動いているのを見て、三人は炊き出しにありつけるという期待感に包まれていた。

 パカパカパカ。

 その時、大教会に大きな馬車が沢山の護衛を引き連れながらやってきた。
 どうせどこかの貴族がやってきたのだろうと、三人は軽く考えていた。

 ダッ。

 しかし、馬車から降りてきた人物を見た瞬間、茶髪の短髪の男が走り出した。

「おい、どうし……」

 ダッ、ダッ。

 茶髪の短髪の男が走り出した先を見て、茶髪のツンツン頭と緑髪のセミロングの男も走り出した。
 三人とも、鬼の形相だった。