ドタドタドタ。
「ヘンリー様、到着いたしました」
程なくして、冒険者ギルドに軍が到着しました。
兵がヘンリーさんに敬礼をすると、拘束された三人は顔が真っ青になっていました。
かと言って、三人が見過ごされることはありません。
直ぐに縄できつく拘束されていきます。
「三人を、重犯罪者用の牢屋に入れて厳しく尋問するように。また、冒険者ギルドとも密に連携するように」
「「「はっ」」」
どうやら、ヘンリーさんは三人が違法薬物事件に関わっている決定的な証拠を握っているみたいですね。
重犯罪者用の牢屋に入るということは、それだけの罪を表しています。
「おい、軍に行く奴は準備しろ。こっちも、厳しく取り調べるぞ」
「「「おう」」」
ギルドマスターの声に応えるように、受付の奥からサングラスをかけた筋肉ムキムキの職員が出てきました。
ギルドマスターも、既に三人の罪の証拠を抑えているんですね。
そして、三人は兵に無理矢理立たされました。
「「「くそ、くそ!」」」
「おい、暴れるな」
「大人しくしろ」
三人は何とか逃げようともがくけど、縄で縛られている上に両脇を屈強な兵に掴まれています。
当然逃げ出すこともできず、冒険者ギルドの外に用意してあった護送用の馬車に乗せられました。
しかし、これで終わりではありません。
「あの三人の行動を知っているものは、兵に話してくれ。因みに、既に二人の身の潔白は確認している」
「おっ、それじゃあこの前見た件を話すぞ」
「俺も、三人を怪しいところで見たぞ」
ヘンリーさんが周囲にいた冒険者に話しかけると、冒険者は直ぐに兵に話しかけていました。
そして、僕は状況についていけない男女二人に声をかけました。
「色々と説明することがあるから、一旦個室に向かいましょう。二人が軍の施設に行くことはないけど、話は聞かせてもらいます」
「「はい……」」
二人は、混乱しているのもあって僕の話にもどこか心ここに在らずって感じでした。
すると、この二人が直ぐに動いたのです。
ギュ。
「「じゃあ、移動するよ!」」
「「あっ……」」
カエラとキースは、にこりとしながら二人の手を握りました。
そのまま、僕たちと一緒に個室に向かいました。
「「あの、その……」」
「二人とも、先ずはお茶を飲みましょう。ナオ、鎮静化の魔法をかけてあげて」
個室に入ると、お母さんが優しく微笑みながら二人に話しかけていました。
二人がお茶を飲んでいる間に、鎮静化の魔法をかけて落ち着いてもらいます。
その間に、僕も通信用魔導具で現在の状況を各所に送ります。
十分時間をとって二人が落ち着いたところで、早速話を聞くことになりました。
「最初に自己紹介をしよう。私はヘンリー、元王族で現在は侯爵家当主だ。前勇者とも言われていた」
「「も、元王子様で勇者様……」」
最初にヘンリーさんが自己紹介し、二人はその凄い肩書に言葉を失いました。
確かに、ヘンリーさんはこの国でもトップクラスの肩書だよね。
すると、ヘンリーさんは次だと僕に言ってきました。
「え、えっと、ナオです。元平民で、今は伯爵家の当主をしています。『白銀の竜使い』とか、次代の勇者とか言われています」
「「あっ、冒険者から貴族になった超有名人だ……」」
おや?
二人は、僕のことを見てポカーンとしちゃいました。
確かに冒険者から貴族になったけど、有名人ってどんなことなんだろうか。
先に挨拶を済ますことになったので、一旦エミリーさんにバトンタッチします。
「王国王女エミリーよ。ナオの婚約者でもあるわ」
「「お、王女様!?」」
うんうん、目の前に本物の王族がいると驚くよね。
僕もヘンリーさんに保護された時、とても驚いたもん。
「ルーブル伯爵家次男のノリスです」
「ヘイリー伯爵家三女のノーヴェです」
「「ま、また貴族の人だ……」」
既に、二人はお腹いっぱいって感じですね。
僕も、ナンシーさんたちの自己紹介を聞いた時に同じ思いだったもん。
「カエラだよ! ナオお兄ちゃんの妹だよ」
「キースです。ナオお兄ちゃんの弟です!」
「ふふ、ナオの母親ですわ」
僕の家族が自己紹介すると、二人はようやく緊張した感じから抜け出しました。
三人とも勲章をもらっているのは、今は内緒にしておきましょう。
いよいよ、二人の自己紹介です。
「ゴードンです。今年十四歳になります」
「ユーリです。同じく十四歳になります」
おお、二人ともエミリーさん、ノリスさん、ノーヴェさんよりも一つ年上なんですね。
ゴードンさんは緑色の短髪で、ユーリさんはピンク色のセミロングヘアです。
二人は隣の家同士の幼馴染で、小さい頃からよく遊んでいたそうです。
「じゃあ、簡単に冒険者になるくらいからの話をしてもらおうか」
「「はい」」
ギルドマスターがゴードンさんとユーリさんに声をかけ、さっそく話をすることになりました。
主に、ユーリさんが話をするそうです。
「あの三人は、私たちよりも三つ年上になります。確かに家が近くて、昔から知っている仲ではありました。しかし、少し乱暴なところがあったので、敬遠していました」
うーん、何だか僕とあの元パーティメンバーの三人のことを思い出します。
あの元パーティメンバーと決定的に違うのは、ユーリさんたちといた三人の両親は厳しい人だったそうです。
何度も息子に注意して、その度に本人たちは反発していたそうです。
ずっと、大きくなるんだと周囲に言っていたそうです。
「実は、私とゴードンは地元で冒険者活動をしてそこそこの成果を上げていました。あの三人は、そんな私たちに目をつけたのです。今年の初めになって、元々王都での依頼を受ける予定の私たちに無理矢理ついてきて一方的に仲間になったのです」
僕が冒険者になった時と、状況が少し似ていますね。
そういえば、元パーティメンバーの三人は僕の魔力をあてにして無理矢理パーティに入れたんだもんね。
もしかしたら、あの三人はゴードンさんとユーリさんに寄生していたのかもしれません。
何にせよ、絶対に無理矢理は良くないと思います。
「私たちの受ける依頼のレベルに三人はついてこれず、こんなはずではとずっと言っていました。それでも、一攫千金を狙って高額な依頼を受けることもありました。更に、私たちが二人で活動しているとニヤニヤしながら別の行動をしていました。いま思えば、その時に非合法なことに手を出していたのかもしれません」
もしかしたら、三人は手っ取り早く使えそうだと犯罪組織の構成員がピックアップしていたのかもしれません。
その辺りは、三人の供述と裏付けをしないといけませんね。
「段々と気が大きくなって、大金を手にしていたのでおかしいなと思っていました。そして、日頃から注意して生意気だと先程私とゴードンをパーティメンバーから追放したのです。もしかしたら、私たちがいなくてもお金を手にする方法を見つけたのかもしれません」
「勝手に他人に寄生して勝手なことを言い、尚且つ非合法なことで金を手にして二人を突き放したと。正直な話、訳が分からないとしかいえない。三人は、常人の考え方を持っていなかったとしか言えないな。どっちにしろ、三人の冒険者ライセンスは永久剥奪になるだろう」
ギルドマスターも、腕を組みながら考え込む程でした。
僕も、三人は普通の人には分からない考えをしていたとしか思えませんでした。
一つ言えるのは、悪いことでも平気でやる性格なのだと思います。
そして、話はこの後のことになりました。
「捕縛した三人は、違法薬物に絡んでかなりの重犯罪を犯している。しかも、話を聞く限り王都に来て僅か一ヶ月ほどだ。二人には、もう少し詳しく話を聞く必要がある。しかし、犯罪組織絡みなので確実に安全が確保されたところにいる必要がある」
「「安全が確保された場所?」」
ゴードンさんとユーリさんは、ヘンリーさんの話を聞いて首を傾げてしまいました。
あっ、この話の流れってもしかして……
ヘンリーさんは、ニコリとしながら僕に視線を向けました。
僕も、直ぐにコクリと頷きました。
「宿も軍の捜索を行わければならない。なので、二人は当面ナオ君の屋敷にいてもらう。ナオ君も、君たちと似たような状況になり、オラクル公爵家に保護された。そんなナオ君なら、君たちの気持ちもよく分かるだろ」
「「あっ……」」
僕が元パーティメンバーの三人に追放されてヘンリーさんたちに保護された話は、実は冒険者の間ではかなり有名な話だそうです。
なので、ゴードンさんとユーリさんも僕が保護された時に近い状況だと直ぐに理解してくれました。
「じゃあ、私とスラちゃんで二人と一緒に泊まっている宿に向かうわ。ナオは、先に屋敷に帰って使用人に話をしておいてね」
お母さんとスラちゃんが任せろと言ってくれたのは、正直とってもありがたいです。
こういう時は、年長者の対応力がありがたいですね。
ヘンリーさんもゴードンさんとユーリさんについていくそうなので、僕たちは先に馬車で屋敷に戻ることにしました。
「ヘンリー様、到着いたしました」
程なくして、冒険者ギルドに軍が到着しました。
兵がヘンリーさんに敬礼をすると、拘束された三人は顔が真っ青になっていました。
かと言って、三人が見過ごされることはありません。
直ぐに縄できつく拘束されていきます。
「三人を、重犯罪者用の牢屋に入れて厳しく尋問するように。また、冒険者ギルドとも密に連携するように」
「「「はっ」」」
どうやら、ヘンリーさんは三人が違法薬物事件に関わっている決定的な証拠を握っているみたいですね。
重犯罪者用の牢屋に入るということは、それだけの罪を表しています。
「おい、軍に行く奴は準備しろ。こっちも、厳しく取り調べるぞ」
「「「おう」」」
ギルドマスターの声に応えるように、受付の奥からサングラスをかけた筋肉ムキムキの職員が出てきました。
ギルドマスターも、既に三人の罪の証拠を抑えているんですね。
そして、三人は兵に無理矢理立たされました。
「「「くそ、くそ!」」」
「おい、暴れるな」
「大人しくしろ」
三人は何とか逃げようともがくけど、縄で縛られている上に両脇を屈強な兵に掴まれています。
当然逃げ出すこともできず、冒険者ギルドの外に用意してあった護送用の馬車に乗せられました。
しかし、これで終わりではありません。
「あの三人の行動を知っているものは、兵に話してくれ。因みに、既に二人の身の潔白は確認している」
「おっ、それじゃあこの前見た件を話すぞ」
「俺も、三人を怪しいところで見たぞ」
ヘンリーさんが周囲にいた冒険者に話しかけると、冒険者は直ぐに兵に話しかけていました。
そして、僕は状況についていけない男女二人に声をかけました。
「色々と説明することがあるから、一旦個室に向かいましょう。二人が軍の施設に行くことはないけど、話は聞かせてもらいます」
「「はい……」」
二人は、混乱しているのもあって僕の話にもどこか心ここに在らずって感じでした。
すると、この二人が直ぐに動いたのです。
ギュ。
「「じゃあ、移動するよ!」」
「「あっ……」」
カエラとキースは、にこりとしながら二人の手を握りました。
そのまま、僕たちと一緒に個室に向かいました。
「「あの、その……」」
「二人とも、先ずはお茶を飲みましょう。ナオ、鎮静化の魔法をかけてあげて」
個室に入ると、お母さんが優しく微笑みながら二人に話しかけていました。
二人がお茶を飲んでいる間に、鎮静化の魔法をかけて落ち着いてもらいます。
その間に、僕も通信用魔導具で現在の状況を各所に送ります。
十分時間をとって二人が落ち着いたところで、早速話を聞くことになりました。
「最初に自己紹介をしよう。私はヘンリー、元王族で現在は侯爵家当主だ。前勇者とも言われていた」
「「も、元王子様で勇者様……」」
最初にヘンリーさんが自己紹介し、二人はその凄い肩書に言葉を失いました。
確かに、ヘンリーさんはこの国でもトップクラスの肩書だよね。
すると、ヘンリーさんは次だと僕に言ってきました。
「え、えっと、ナオです。元平民で、今は伯爵家の当主をしています。『白銀の竜使い』とか、次代の勇者とか言われています」
「「あっ、冒険者から貴族になった超有名人だ……」」
おや?
二人は、僕のことを見てポカーンとしちゃいました。
確かに冒険者から貴族になったけど、有名人ってどんなことなんだろうか。
先に挨拶を済ますことになったので、一旦エミリーさんにバトンタッチします。
「王国王女エミリーよ。ナオの婚約者でもあるわ」
「「お、王女様!?」」
うんうん、目の前に本物の王族がいると驚くよね。
僕もヘンリーさんに保護された時、とても驚いたもん。
「ルーブル伯爵家次男のノリスです」
「ヘイリー伯爵家三女のノーヴェです」
「「ま、また貴族の人だ……」」
既に、二人はお腹いっぱいって感じですね。
僕も、ナンシーさんたちの自己紹介を聞いた時に同じ思いだったもん。
「カエラだよ! ナオお兄ちゃんの妹だよ」
「キースです。ナオお兄ちゃんの弟です!」
「ふふ、ナオの母親ですわ」
僕の家族が自己紹介すると、二人はようやく緊張した感じから抜け出しました。
三人とも勲章をもらっているのは、今は内緒にしておきましょう。
いよいよ、二人の自己紹介です。
「ゴードンです。今年十四歳になります」
「ユーリです。同じく十四歳になります」
おお、二人ともエミリーさん、ノリスさん、ノーヴェさんよりも一つ年上なんですね。
ゴードンさんは緑色の短髪で、ユーリさんはピンク色のセミロングヘアです。
二人は隣の家同士の幼馴染で、小さい頃からよく遊んでいたそうです。
「じゃあ、簡単に冒険者になるくらいからの話をしてもらおうか」
「「はい」」
ギルドマスターがゴードンさんとユーリさんに声をかけ、さっそく話をすることになりました。
主に、ユーリさんが話をするそうです。
「あの三人は、私たちよりも三つ年上になります。確かに家が近くて、昔から知っている仲ではありました。しかし、少し乱暴なところがあったので、敬遠していました」
うーん、何だか僕とあの元パーティメンバーの三人のことを思い出します。
あの元パーティメンバーと決定的に違うのは、ユーリさんたちといた三人の両親は厳しい人だったそうです。
何度も息子に注意して、その度に本人たちは反発していたそうです。
ずっと、大きくなるんだと周囲に言っていたそうです。
「実は、私とゴードンは地元で冒険者活動をしてそこそこの成果を上げていました。あの三人は、そんな私たちに目をつけたのです。今年の初めになって、元々王都での依頼を受ける予定の私たちに無理矢理ついてきて一方的に仲間になったのです」
僕が冒険者になった時と、状況が少し似ていますね。
そういえば、元パーティメンバーの三人は僕の魔力をあてにして無理矢理パーティに入れたんだもんね。
もしかしたら、あの三人はゴードンさんとユーリさんに寄生していたのかもしれません。
何にせよ、絶対に無理矢理は良くないと思います。
「私たちの受ける依頼のレベルに三人はついてこれず、こんなはずではとずっと言っていました。それでも、一攫千金を狙って高額な依頼を受けることもありました。更に、私たちが二人で活動しているとニヤニヤしながら別の行動をしていました。いま思えば、その時に非合法なことに手を出していたのかもしれません」
もしかしたら、三人は手っ取り早く使えそうだと犯罪組織の構成員がピックアップしていたのかもしれません。
その辺りは、三人の供述と裏付けをしないといけませんね。
「段々と気が大きくなって、大金を手にしていたのでおかしいなと思っていました。そして、日頃から注意して生意気だと先程私とゴードンをパーティメンバーから追放したのです。もしかしたら、私たちがいなくてもお金を手にする方法を見つけたのかもしれません」
「勝手に他人に寄生して勝手なことを言い、尚且つ非合法なことで金を手にして二人を突き放したと。正直な話、訳が分からないとしかいえない。三人は、常人の考え方を持っていなかったとしか言えないな。どっちにしろ、三人の冒険者ライセンスは永久剥奪になるだろう」
ギルドマスターも、腕を組みながら考え込む程でした。
僕も、三人は普通の人には分からない考えをしていたとしか思えませんでした。
一つ言えるのは、悪いことでも平気でやる性格なのだと思います。
そして、話はこの後のことになりました。
「捕縛した三人は、違法薬物に絡んでかなりの重犯罪を犯している。しかも、話を聞く限り王都に来て僅か一ヶ月ほどだ。二人には、もう少し詳しく話を聞く必要がある。しかし、犯罪組織絡みなので確実に安全が確保されたところにいる必要がある」
「「安全が確保された場所?」」
ゴードンさんとユーリさんは、ヘンリーさんの話を聞いて首を傾げてしまいました。
あっ、この話の流れってもしかして……
ヘンリーさんは、ニコリとしながら僕に視線を向けました。
僕も、直ぐにコクリと頷きました。
「宿も軍の捜索を行わければならない。なので、二人は当面ナオ君の屋敷にいてもらう。ナオ君も、君たちと似たような状況になり、オラクル公爵家に保護された。そんなナオ君なら、君たちの気持ちもよく分かるだろ」
「「あっ……」」
僕が元パーティメンバーの三人に追放されてヘンリーさんたちに保護された話は、実は冒険者の間ではかなり有名な話だそうです。
なので、ゴードンさんとユーリさんも僕が保護された時に近い状況だと直ぐに理解してくれました。
「じゃあ、私とスラちゃんで二人と一緒に泊まっている宿に向かうわ。ナオは、先に屋敷に帰って使用人に話をしておいてね」
お母さんとスラちゃんが任せろと言ってくれたのは、正直とってもありがたいです。
こういう時は、年長者の対応力がありがたいですね。
ヘンリーさんもゴードンさんとユーリさんについていくそうなので、僕たちは先に馬車で屋敷に戻ることにしました。

