「がっ、くそが! 離しやがれ!」
「おい、暴れるな! 仕方ない、三人を分けて留置するぞ」
「「「はっ」」」

 朝一で冒険者ギルドで暴れた三人は、王都を警備する守備隊に連行された。
 そして、三人の持っているものを全て押収された。
 本来なら複数人入る牢屋の予定が、三人が大暴れした為に独居房に入ることになったのだ。
 しかも、連絡のやり取りができないように距離を置く念入りさだった。
 全てを終えて、守備隊は深い溜息を漏らしていた。

「何なんだ奴らは、まるで獣を相手にしているみたいだぞ」
「理性ではなく、本能で動いているみたいだ。そりゃ、人の話を聞く訳がねえ」
「イジメられていたって聞いていたが、あの銀髪の坊っちゃんが猛獣の調教師だったって訳だな。そして、調教師を振り払ったから制御不能になったと」

 コップに入っていた水を一気に飲み干すと、守備隊員は一斉に愚痴を言い合い出した。
 言い得て妙だが、決して間違ってはいなかった。
 というのも、なんだかんだいってナオが三人の最後のストッパーになっていた。
 いつもナオが最後に帳尻合わせをしていたので、依頼主などの不満が爆発しないで済んだ。
 なので、ギリギリの状態だったが三人は暴発しないで済んでいた。
 ところが、三人がナオを追放したことによって、いよいよコントロール不能に陥った。
 そして、様々な自分勝手なトラブルを起こしていたのだった。

「初犯だから一晩の勾留の処分だが、間違いなく奴らは直ぐに何かをやらかすだろう」
「自分より強い相手には手を出さないらしいから、女性や子どもに手を出しそうだな」
「結局、自分は強いと思っているだけだな」
「ちげーねーな」

 守備隊員はあーだこーだ話しているが、残念ながらその予想は当たってしまうことになる。
 とはいえ、この時点ではただの笑い事だった。

 ガシャガシャ。

「おい、ここから出せ! 俺を誰だと思っている!」
「うるさい、黙っていろ!」

 一方、独居房に入れられた三人は、醜く叫んでは守備隊員に怒鳴られていた。
 鉄格子をガチャガチャと揺すっても、自分たちが期待する答えは返ってこなかった。
 更にいつも三人一緒だったのにコンタクトも取れないほど引き離されたので、三人はそれぞれパニックになっていた。
 おまけに、三人は自分が牢屋に入れられる程の罪を犯したと理解していなかった。
 ナオに対する恐喝容疑なども冒険者ギルド主導で調べられているが、被害金額の査定に時間がかかっていたのが幸いだった。
 なので、現時点では一晩我慢すれば釈放される予定だ。

 カツン、カツン、カツン。

「おーい! ここから出せー!」

 そして、巡回担当の守備隊員も三人をまともに相手にする気になれなかった。
 他にも監視しないとならない者は沢山いた。
 何せここは、王国最大の人口を誇る王都にある守備隊の駐屯地だ。
 日々多くの犯罪者が送られて、留置所に入れられていった。
 三人だけを構ってる暇はなかった。