カエラとキースと手分けをして一時間ほど教会内を確認しても、特に問題のあるものはありませんでした。
 スラちゃんとドラちゃんもクロちゃんたちのところに合流して村中の捜索を行い、不審なものはありませんでした。
 念には念を入れて代官邸も捜索したけど、食材も含めて問題はありません。
 これなら大丈夫だろうということで、村の人も含めて教会に戻っていました。

「あの三家のものは、未だに俺らに迷惑をかけるな。本当にいい加減にしてほしいぞ」
「ったく、ふざけているよな。他人の幸せをぶち壊しにするとは」
「この分なら、強制労働所でもふざけているんだろうな。それで、監視のものに怒られているんだろう」

 村の人たちは、教会内で休みながらそれぞれ愚痴を言っていました。
 僕たち家族も、こうなるとは思っていませんでした。
 連行された際に大暴れしたと聞くと、三人は反省すらしていないんだろうなと思ってしまいます。
 でも、そろそろ結婚式が始まるので僕たちは指定された席に座ります。
 僕と一緒に教会内を探索していたカエラとキースも、疲れたって表情を見せながら席につきました。
 本当は合同結婚式を挙げる四家の家族と関係者が教会内に入るんだけど、せっかくだからと村の人たちも教会の中に入りました。

「はあ、やっとウェディングドレスの修復が終わったわ」
「晴れの舞台を台無しにしようだなんて、本当に信じられないわ」

 エミリーさんとナンシーさんも僕たちの席のところにやってきたけど、未だにぷりぷりとしていました。
 特に、ナンシーさんは自身が結婚式を挙げたのもあるので人一倍許せない気持ちがあるそうです。
 そして、お母さん、リルムさんも席にやってきました。
 予想外のことが続いちゃったので、流石のお母さんも少し疲れていますね。

「でも、リルムさんがいてくれて本当に助かったわ。ありがとうね」
「いえ。私も貴重な経験が出来て良かったです」

 リルムさんの家事技術があったからこそ、ウェディングドレスの修復ができたとお母さんは絶賛していました。
 リルムさんは、オラクル公爵家に来てからもずっと使用人の勉強をしていました。
 今回、勉強の成果がいかんなく発揮されたのです。
 後で、レガリアさんとかにもリルムさんが凄かったと報告しないといけないですね。
 因みに、お父さんは新婦の父としての大役が控えています。
 ガチガチに緊張した様子で、サマンサお姉ちゃんのところに向かいました。

「「たのしみだねー」」
「キュー」

 スラちゃんたちも席についていて、合同結婚式を挙げる他の家族とも仲良くお喋りしていました。
 いよいよ、結婚式も始まりますね。