結婚式が終わったら、王城に移動して披露宴となります。
 ブレアさんとナンシーさんは別の馬車に乗って移動するそうなので、僕達は朝乗ってきた馬車に再び乗り込みます。

「「「ふんふんふーん!」」」

 大教会の中から馬車乗り場に移動する間、ちびっ子達と僕のお友達はかなり機嫌よく歩いておりました。
 結婚式のフラワーボーイとフラワーガールがとっても上手くいって、本人達もとても満足なのでしょうね。
 王妃様やマリアさん、それにレガリアさんやイザベルさんもちびっ子達に釣られてニコニコしています。
 結婚式もとても素敵だったし、何だか気持ちがいいですね。

「これから披露宴だから、皆も挨拶を頑張りましょうね」
「「「はーい」」」

 マリアさんがちびっ子達に声をかけているけど、披露宴になると新郎新婦の実家にもおめでとうやありがとうの挨拶が続きます。
 僕も挨拶のお手伝いをする予定だし、勿論ちびっ子達やお友達達も張り切っています。
 そして、僕達を乗せた馬車は無事に大教会から王城に到着しました。
 そのまま、披露宴会場となる夜会とかが行われるパーティーホールに向かいました。
 既に貴族ごとに席に決まっているので、それぞれの席に移動します。
 他の貴族も続々と集まってきて、指定された席に座っていきました。
 そんな中、やっぱり気になった事がありました。

「「アンアン」」

 やっぱり悪意を持った人がいるみたいで、クロちゃんとギンちゃんも悪意のある臭いに気がついていました。
 でも、ホールの中に充満する化粧や香水の匂いで、クロちゃんとギンちゃんでも細かい位置が分からないそうです。
 それに、披露宴がもうすぐ始まるので、僕達も席から動けません。

「ナオ君、大丈夫だ。少なくとも、この中にいる貴族に悪意を持ったものがいる。それが分かれば対応はできる。新郎新婦と王家の守りは固めているし、警備も増やせばよい」

 ランディさんは、僕の話を聞いて既に手を打っているそうです。
 僕だけでなく、クロちゃんとギンちゃんもおかしいと感じたのが決定打でした。
 披露宴会場の警備も一段と強化されたし、他の人も警戒をしているからきっと披露宴を滅茶苦茶にする事はないはずです。

「お待たせしました。新郎新婦のお色直しが終わりました。これより入場いたします。大きな拍手でお出迎え下さい」
「「「わー!」」」

 パーティーホールのドアが開くと、王家の豪華な服装に着替えたブレアさんと深紅のドレスに身を包んだナンシーさんが手を取り合いながら入場してきました。
 二人とも、とてもスタイルがいいので似合っていますね。
 そして、二人とも席に座って披露宴が始まりました。

「ごほん。我が息子ブレアとオラクル公爵家令嬢のナンシーがめでたく結婚する運びとなり、関係者には深く感謝を言う。お互い幼馴染で既にナンシーがブレアの事を尻に敷いているが、それもお互いを信頼し合ってのことだ」

 陛下が代表して挨拶をしているけど、少し笑いを誘っていますね。
 確かに、ブレアさんと初めて会った時に、ブレアさんが僕の事をナンシーさんの事を誑かしていると勘違いしてナンシーさんが怒っちゃったよね。
 でも、二人が仲が仲悪い所は見たことはありません。
 そして、陛下の挨拶の最中に各テーブルに飲み物が配られました。

「それでは、これより二人の輝かしい未来を祝して乾杯とする。乾杯!」
「「「乾杯」」」
「「「かんぱーい!」」」

 陛下の乾杯の挨拶を期に、音楽隊による演奏も始まりました。
 そして、少ししたら来賓の挨拶になるのだけど、最初に王家とオラクル公爵家と僕達がブレアさんとランディさんの所に向かいました。

「それじゃあ、おめでとうって言おうね」
「「「おめでとー!」」」
「キュー!」
「「アンアン!」」

 シンシアさんの音頭でちびっ子達とお友達が元気よく祝福の言葉を言うと、ブレアさんとナンシーさんも思わずニンマリとしていました。
 僕達も、二人にお祝いの言葉を言います。

「ブレアさん、ナンシーさん、おめでとうございます」
「ナオ君、ありがとう。ナオ君には色々な所で助けて貰ったね」
「そうね。本当にナオ君にはお世話になったわ。ありがとうね」

 ブレアさんとナンシーさんも、ニコニコしながら返事をしてくれました。
 他の人も、少し言葉を交わして次の貴族に場所を譲ります。
 今日のブレアさんとナンシーさんは、たくさんの人と挨拶をしないといけないもんね。
 こうして挨拶対応が始まったのだけど、今のところは特に問題ありませんでした。