いよいよ、結婚式の始まる時間となります。
 みんなで揃って大教会の中に進みます。
 ランディさんは新婦のナンシーさんと一緒に入場するのと、ちびっ子達と僕のお友達もフラワーボーイとフラワーガールをやるので纏めて新婦の控室に向かいました。
 賑やかなメンバーがいなくなると、一気に静かになりましたね。

「うーん、改めて見たけどやはり眩しいくらいに光り輝いているわ。ナオ君の魔法って、本当に凄いのね」

 シャーロットさんが大教会の中を見回しながらかなり驚いていたけど、良い感じに陽の光も差し込んできて神々しいみたいになっていますね。
 神様や女神様の像もピカピカに輝いていて、まるで生きているかの様です。

「流石はナオ君の魔法だ。以前よりも威力が上がっていると聞いたが、これは凄いな」
「ここまで綺麗にできる生活魔法使いは、過去にも例が無いだろう。ナオ君は、それだけ凄い魔法使いになった」

 先に大教会内に入っていたシンシアさんとギルドマスターのお父さんも、ピカピカになった大教会をビックリしながら見回していました。
 他の貴族も、ピカピカになった大教会に呆気にとられていますね。
 すると、陛下が僕にある事を言ってきました。

「では、ナオにルーカスとシンシアに下賜予定の屋敷の清掃を頼もう。少ししたら、ブレアとナンシーに下賜予定の屋敷も綺麗にしてもらおうかのう」

 お世話になったルーカスさんとシンシアさんのお屋敷なら、僕は一生懸命ピカピカにしちゃうよ。
 ブレアさんとナンシーさんの結婚式後に作業予定らしいので、もしかしたら僕の家族もまだ王都に残っているかもしれないね。
 そんな中、僕はちょっと気になる事に気が付きました。

「陛下、僅かながらなんですけど悪意のある気配が感じられます。スラちゃんやクロちゃんとかがいたら、もう少し細かく分かるんですけど……」
「その情報があれば、十分に色々と対応できる。警備を強化するようにしよう。何せ、数多くの貴族が集まるのだ。腹に一物を持つ者がいても、何もおかしくは無い」

 悪い人特有のピリピリとした感じがするんだけど、誰か分からないんだよね。
 でも、下級貴族ではなく中級貴族辺りから感じるのは間違いありません。
 陛下も、直ぐに近衛騎士に指示を出しました。
 大教会は、爵位の高い順から前に座ることになっています。
 王家とオラクル公爵家は新郎新婦の実家だから一番前だけど、高位貴族でもなさそうなんだよなあ。
 結婚式が始まってみんなが入場したら、どの貴族が怪しいか確認してもらおう。
 そして、どんどんと貴族が大教会内に入っていきます。
 僕も、オラクル公爵家の席に移動して大人しく座ります。

「あなた、ちょっと緊張し過ぎよ」
「この状況で緊張しない方が凄いぞ。とんでもない所にいるのだからな」
「まったくもう……」

 お父さんは相変わらずガチガチに緊張していて、お母さんにツッコまれても全く変わりません。
 サマンサお姉ちゃんも少し緊張しているけど、イザベルさんと話をして少しリラックスできていました。
 そう考えると、やっぱりお母さんは度胸の塊ですね。