ラスボス司教の執務室の部屋にあった備品の仕分けは無事に終わり、僕達は執務室から教会の応接室に移動しました。
 シスターさんがお茶を淹れてくれて、一口飲んで思わずホッとしました。
 あっ、そうだ。
 ちょっと疑問に思ったことを聞いてみよう。

「シスターさん、教会の偉い人達が捕まっちゃいましたけど、教会の運営は大丈夫ですか?」
「その、司教様の部屋には特定の方しか入る事ができず、司教様や偉い方は特別なミサなどにしか参加しませんでした。ですので、殆ど影響はないかと思われます」

 シスターさんは申し訳なさそうに僕に言ってきたけど、まさかそんな事実があったなんて……
 これには、一緒にいるシンシアさん達もかなりビックリしていました。
 でも、ラスボス司教が何も仕事をしていなかったから、逆にいなくなっても何も問題はなさそうです。
 執務室から出てきたもので教会に関係あるものは殆どなかったし、ある意味僕もシンシアさん達もホッとしました。
 すると、応接室にこの人が姿を現しました。

「ここにいたのか。何やら大収穫だったらしいな」
「キュー」

 王都に行っていたヘンリーさん、スラちゃん、ドラちゃんが、教会の応接室に姿を現しました。
 ヘンリーさんの言う大収穫とは、きっと僕達が色々な押収物のことを言っているんですね。

「さて、今日はここまでにしておこう。安全の為に、一旦王都に戻る。たた、暫定当主の書類もあるから一度屋敷に行くぞ」

 教会内の捜索も一通り終わったので、僕たちはヘンリーさんと共にオオボス侯爵家の屋敷に戻りました。
 そして、皆で末息子がいる客室に行ってヘンリーさんが暫定当主に関する書類を末息子に渡しました。

「先ずは、しっかり体を治すことが先決だ。執事もいるし、協力して民のための統治を行うように」
「畏まりました。誠心誠意、政治に励みます」

 ヘンリーさんも、末息子なら正しい統治をしてくれると思っているみたいですね。
 オオボス侯爵とラスボス司教への処罰もあるけど、領民は処罰とか関係ありません。
 軍も今日はオオボス侯爵領内に厳戒態勢を敷くらしいので、治安維持活動はお任せです。
 僕たちは、大きくなったドラちゃんの背中に乗ってオオボス侯爵領から王都に戻りました。
 すると、陛下も軍の施設にやってきていて、僕のアイテムボックスに入っている押収物を見たいと言ってきたので一緒に見学して貰うことになりました。

 シュイン、ドサドサドサ。

「これはまた凄いのう。ナオに、そこまでの負担をかけられない。押収物の仕分けはこちらでやろう」

 陛下は、目の前に積まれた押収物の山を見てかなり呆れた表情をしていました。
 大量の暗黒杯や書類だけでなく、金品も物凄い量があります。
 軍の鑑定持ちの魔法使いが色々対応してくれる事になったけど、個人的には押収物の殆どがオオボス侯爵とラスボス司教の私物だと思うなあ。

「とにかく、今日はゆっくり休む事だ。暫くオオボス侯爵領だけでなく王都も忙しくなるが、これを乗り切れば一段落する。もう少し頑張るように」
「「「はっ」」」

 僕たちは、労いの言葉をかけてくれた陛下に臣下の礼をしました。
 今日は早朝から活動していたし、もう魔力も限界でした。
 スラちゃんは何故か元気いっぱいだったけど、ドラちゃんたちもかなりお疲れモードでした。
 今日はこれで解散となり、僕とナンシーさんたちは馬車に乗ってオラクル公爵家に帰りました。

「「ただいま……」」
「おかえりー!」
「りー!」
「お帰りなさい、だいぶ疲れているわね」

 オラクル公爵家に着くと、元気いっぱいのセードルフちゃん、ルルちゃん、そして僕たちが疲れているのを即座に見抜いたレガリアさんが出迎えてくれました。
 お風呂に入って夕食を食べると、僕たちはもう眠気が限界でした。
 ベッドに入ると、皆で固まってあっという間に寝ちゃいました。