翌日、昨日と同じくスラム街の教会に向かいました。
今日は、僕たちを警備する兵に加えて大教会からの聖騎士も複数配置されました。
ちなみに、昨日怪我をしたシスターさんの体調は一晩経って良くなったみたいだけど、当分入院することになりました。
「それで、なんでこんなことになっているのでしょうか……」
「「でしょうか!」」
そして、僕たちがスラム街の教会前に着いたら、既にでっぷりと太った貴族と兵による押し問答が始まっていました。
教会前で文句を言っているのは、間違いなく謁見で不満な表情をしていたゴーマン伯爵ですね。
流石に女性陣とカエラとキースが外に出るとまずいということになり、ヘンリーさんと僕とスラちゃんで馬車の外に出ました。
「ゴーマン伯爵、何をしている!」
「なっ!?」
ヘンリーさんの鋭い声が、教会前に響き渡りました。
何事かとゴーマン伯爵が僕たちの方を振り返ったけど、ヘンリーさんの姿を見てかなり驚いた表情をしていました。
そして、ヘンリーさんの隣にいる僕のことをみるやいなや、激昂しながら近づいてきました。
「貴様、子爵の分際で殿下に近寄るとは! 不敬にも程があるぞ!」
なんというか、僕のことを敵視するのは息子と変わらないんだ。
しかも、胸元からナイフを取り出して僕に近づいてきました。
でも、太っていて走れないのか、歩いて近づいてきました。
僕は、思わず苦笑しながらある魔法を放ちました。
シュイン、パキーン。
ズルッ。
「はっ? ぐはぁ!」
ずってーん!
ゴーマン伯爵が足をついた地面を、ピンポイントで凍らせました。
ゴーマン伯爵は、思いっきり転んで地面に転がっています。
手にしていたナイフが僕たちの足元に転がってきたのだけど、スラちゃんがかなり警戒しながらそのナイフに近づきました。
すると、スラちゃんはある行動に出ました。
シュイン、パキーン!
なんと、スラちゃんは目の前にあったナイフを凍らせてからアイテムボックスにしまったのです。
なんでそんなことをしたのかを聞くと、とんでもないことを教えてくれました。
「えっ、えっ! ヘンリーさん、スラちゃんがこのナイフに猛毒が塗られているって教えてくれました」
「ななっ!」
僕がスラちゃんの言葉を翻訳すると、うつ伏せに転んでいるゴーマン伯爵は驚愕の表情に変わりました。
僕がナイフを鑑定しなくても、ゴーマン伯爵の表情を見ればナイフに毒が塗られているのは一目瞭然ですね。
「ゴーマン伯爵を、カタルシス子爵への毒殺未遂の現行犯で捕縛せよ!」
「「「はっ!」」」
ヘンリーさんも、直ぐに軍に指示を出しました。
ゴーマン伯爵は転んだ際に膝を打ったのかうつ伏せのまま動けなかったけど、流石に僕を殺害しようとした人を治療する気にはなりません。
ゴーマン伯爵は大声をあげて服が泥だらけになるほどもがいていたけど、結局兵によって拘束されました。
「そうそう、ナオ君の隣には私もいたのだよ。ゴーマン伯爵、自身が取った行動がどうなるのか分からないはずはないだろう」
「ちっ、ちっくしょー!」
僕を刺そうとするとなると、僕の隣にいるヘンリーさんも襲うことになっちゃうもんね。
だから、必然的にヘンリーさんへの傷害未遂も加わります。
そして、ヘンリーさんは更なる命令を兵に下しました。
「軍の施設に連絡し、王命違反でゴーマン伯爵家への捜索を行うように。毒物違反でもだ!」
「「「はっ」」」
軍が素早く移動を始める中、ヘンリーさんは通信用魔導具で各所に連絡を行いました。
でも、まだゴーマン伯爵家のものが潜んでいるかもしれません。
ということで、クロちゃん、ギンちゃん、キキちゃんが兵とともに周囲の探索をしてくれることになりました。
その間に、僕たちは教会の中に入って奉仕活動の準備を始めます。
「はあ、やっぱりやってきたわね。行動が読みやすいといえばそれまでなんだけど、やっていることが単純ね」
「本当に馬鹿なことをしたわ。ナオ君を毒殺しようとするなんて、無理な芸当なのにね」
サマンサお姉ちゃんとナンシーさんがゴーマン伯爵に文句を言っていたけど、僕もゴーマン伯爵は何かをしてくるのではと思っていたんだよね。
僕たちに接触してきたし、僕に襲いかかったのも何となく読めました。
すると、今度はシンシアさんの通信用魔導具に連絡が入りました。
何だか、タイミングが良すぎて嫌な予感です。
すると、シンシアさんは通信用魔導具に表示された文面を見て溜息をついていました。
「はあ、ナオ君の実家にもゴーマン伯爵の手のものが現れたそうよ。警備していた兵によって全員捕まったみたいだけど、本当にやるとはね。本人としては、貴族の中の貴族として当然のことをしたのだと思っているのでしょう」
「私も、その馬鹿をぶん殴りたくなりましたわ。息子のゴマスリーといい、なんで自分勝手な貴族な貴族がいるのでしょうか。馬鹿な常識しか持ち得てないのですから、こちらの常識を言ったところで意味はないのでしょうけど」
シンシアさんの報告内容を聞いたエミリーさんが、ゴーマン伯爵家に対して滅茶苦茶怒っていました。
バルガス伯爵領内で悪さをしたのだから、バルガス伯爵も滅茶苦茶怒るよね。
用事がなければ教会に接触しては駄目だと通達も出ていたはずなのに、それも豪快に破りました。
僕も、思わず溜息しか出てきません。
今日は、僕たちを警備する兵に加えて大教会からの聖騎士も複数配置されました。
ちなみに、昨日怪我をしたシスターさんの体調は一晩経って良くなったみたいだけど、当分入院することになりました。
「それで、なんでこんなことになっているのでしょうか……」
「「でしょうか!」」
そして、僕たちがスラム街の教会前に着いたら、既にでっぷりと太った貴族と兵による押し問答が始まっていました。
教会前で文句を言っているのは、間違いなく謁見で不満な表情をしていたゴーマン伯爵ですね。
流石に女性陣とカエラとキースが外に出るとまずいということになり、ヘンリーさんと僕とスラちゃんで馬車の外に出ました。
「ゴーマン伯爵、何をしている!」
「なっ!?」
ヘンリーさんの鋭い声が、教会前に響き渡りました。
何事かとゴーマン伯爵が僕たちの方を振り返ったけど、ヘンリーさんの姿を見てかなり驚いた表情をしていました。
そして、ヘンリーさんの隣にいる僕のことをみるやいなや、激昂しながら近づいてきました。
「貴様、子爵の分際で殿下に近寄るとは! 不敬にも程があるぞ!」
なんというか、僕のことを敵視するのは息子と変わらないんだ。
しかも、胸元からナイフを取り出して僕に近づいてきました。
でも、太っていて走れないのか、歩いて近づいてきました。
僕は、思わず苦笑しながらある魔法を放ちました。
シュイン、パキーン。
ズルッ。
「はっ? ぐはぁ!」
ずってーん!
ゴーマン伯爵が足をついた地面を、ピンポイントで凍らせました。
ゴーマン伯爵は、思いっきり転んで地面に転がっています。
手にしていたナイフが僕たちの足元に転がってきたのだけど、スラちゃんがかなり警戒しながらそのナイフに近づきました。
すると、スラちゃんはある行動に出ました。
シュイン、パキーン!
なんと、スラちゃんは目の前にあったナイフを凍らせてからアイテムボックスにしまったのです。
なんでそんなことをしたのかを聞くと、とんでもないことを教えてくれました。
「えっ、えっ! ヘンリーさん、スラちゃんがこのナイフに猛毒が塗られているって教えてくれました」
「ななっ!」
僕がスラちゃんの言葉を翻訳すると、うつ伏せに転んでいるゴーマン伯爵は驚愕の表情に変わりました。
僕がナイフを鑑定しなくても、ゴーマン伯爵の表情を見ればナイフに毒が塗られているのは一目瞭然ですね。
「ゴーマン伯爵を、カタルシス子爵への毒殺未遂の現行犯で捕縛せよ!」
「「「はっ!」」」
ヘンリーさんも、直ぐに軍に指示を出しました。
ゴーマン伯爵は転んだ際に膝を打ったのかうつ伏せのまま動けなかったけど、流石に僕を殺害しようとした人を治療する気にはなりません。
ゴーマン伯爵は大声をあげて服が泥だらけになるほどもがいていたけど、結局兵によって拘束されました。
「そうそう、ナオ君の隣には私もいたのだよ。ゴーマン伯爵、自身が取った行動がどうなるのか分からないはずはないだろう」
「ちっ、ちっくしょー!」
僕を刺そうとするとなると、僕の隣にいるヘンリーさんも襲うことになっちゃうもんね。
だから、必然的にヘンリーさんへの傷害未遂も加わります。
そして、ヘンリーさんは更なる命令を兵に下しました。
「軍の施設に連絡し、王命違反でゴーマン伯爵家への捜索を行うように。毒物違反でもだ!」
「「「はっ」」」
軍が素早く移動を始める中、ヘンリーさんは通信用魔導具で各所に連絡を行いました。
でも、まだゴーマン伯爵家のものが潜んでいるかもしれません。
ということで、クロちゃん、ギンちゃん、キキちゃんが兵とともに周囲の探索をしてくれることになりました。
その間に、僕たちは教会の中に入って奉仕活動の準備を始めます。
「はあ、やっぱりやってきたわね。行動が読みやすいといえばそれまでなんだけど、やっていることが単純ね」
「本当に馬鹿なことをしたわ。ナオ君を毒殺しようとするなんて、無理な芸当なのにね」
サマンサお姉ちゃんとナンシーさんがゴーマン伯爵に文句を言っていたけど、僕もゴーマン伯爵は何かをしてくるのではと思っていたんだよね。
僕たちに接触してきたし、僕に襲いかかったのも何となく読めました。
すると、今度はシンシアさんの通信用魔導具に連絡が入りました。
何だか、タイミングが良すぎて嫌な予感です。
すると、シンシアさんは通信用魔導具に表示された文面を見て溜息をついていました。
「はあ、ナオ君の実家にもゴーマン伯爵の手のものが現れたそうよ。警備していた兵によって全員捕まったみたいだけど、本当にやるとはね。本人としては、貴族の中の貴族として当然のことをしたのだと思っているのでしょう」
「私も、その馬鹿をぶん殴りたくなりましたわ。息子のゴマスリーといい、なんで自分勝手な貴族な貴族がいるのでしょうか。馬鹿な常識しか持ち得てないのですから、こちらの常識を言ったところで意味はないのでしょうけど」
シンシアさんの報告内容を聞いたエミリーさんが、ゴーマン伯爵家に対して滅茶苦茶怒っていました。
バルガス伯爵領内で悪さをしたのだから、バルガス伯爵も滅茶苦茶怒るよね。
用事がなければ教会に接触しては駄目だと通達も出ていたはずなのに、それも豪快に破りました。
僕も、思わず溜息しか出てきません。

