その後は比較的落ち着いた日々が続いた中、いよいよ年末年始が近づいてきました。
 新年の謁見に参加するのは予定通りなんだけど、その前に年末の教会の奉仕活動をすることになりました。
 僕たちに加えて、セードルフちゃんとルルちゃんも一緒に大教会に向かいました。

「どらー、どらー!」
「キュー」

 ルルちゃんはちょこちょこと歩き始め、仲良しのドラちゃんのことをよく呼ぶようにしています。
 でも、お兄ちゃんのセードルフちゃんも大好きなんだよね。
 そんなルルちゃんのことを、お兄ちゃんスライムのリーフちゃんとソラちゃんがキキちゃんの背中に乗って見守っていました。
 因みにソラちゃんはまだ魔法が使えないけど、リーフちゃんと一緒に魔力循環を始めています。

「「きたよー!」」
「みんな、お待たせね」

 すると、王城からアーサーちゃんとエドガーちゃん、それにマリアさん、エミリーさん、シャーロットさんが馬車から降りてきました。
 プリンちゃんとブドウちゃんもアーサーちゃんとエドガーちゃんと一緒にいて、さっそくリーフちゃんとソラちゃんのところに向かいました。
 ではでは、みんなで分担してさっそく奉仕活動を始めましょう。
 スラちゃんとドラちゃんはちびっこたちと一緒に治療班に回り、クロちゃんとギンちゃんもみんなの護衛につきます。
 でも、ルルちゃんはドラちゃんを抱きしめたまま離さないですね。
 エミリーさんも治療の手伝いをするのだけど、実は僕は別の手伝いをすることになりました。

 トントントン。

「そうそう、いい感じですよ」

 実は、シスターさんに包丁の使い方を教えて貰いながら炊き出しの仕込みを手伝っています。
 奉仕活動ではずっと治療ばっかりやっていたから、ある意味新鮮な感じがします。
 お母さんやサマンサお姉ちゃんに簡単な料理方法を教えて貰っていたのが、ここで役に立ちました。

「煮込んで行くと、アクが出てくるので丁寧に取ります。味付けは最初は薄めにして、煮込んでいきながら調節します」

 ふむふむと、メモを取りながらシスターさんに教えて貰っています。
 そうこうしているうちに、炊き出しの第一弾が完成しました。
 出来上がったスープを、うつわによそいます。

「あれ、なんでナオが炊き出しにいるんだ? 治療じゃねーのか」

 すると、顔見知りの冒険者が僕からスープの入ったうつわを受け取りました。
 思いっきりなんでって表情をしているけど、今日は僕も頑張ったもんね。

「今日は、僕も仕込みのお手伝いをしました!」
「そうか、まあ野菜を切るだけなら覚えておいて損はないな」

 冒険者はちょっと笑いながら離れて行ったけど、僕は味付けもお手伝いしたもんね。
 きっと、スープが美味しくてびっくりするはずですよ。
 その後も顔見知りの人が何人もやってきたけど、僕が炊き出しのところにいるのを見てみんなびっくりしていました。
 そして、「今日の炊き出しは美味いな」と言っているのを聞いて思わずニンマリしちゃいました。

 シュイン、ぴかー!

「どーお?」
「キュー?」
「ちびっこいのに、すげーな」

 ルルちゃんはイザベルさんに抱っこされていて、尚且つドラちゃんを抱っこしていました。
 みんなが無料治療でお手伝いしているのを見ていたので、ルルちゃんも何となく治療は大丈夫みたいですね。
 厳つい顔の冒険者にも普通に接しているし、ルルちゃんは肝が座っています。
 もちろん、スラちゃんとシアちゃんと一緒に治療をしているアーサーちゃん、エドガーちゃん、セードルフちゃんも張り切って治療していますね。
 エミリーさんが隣で様子を見ているし、スラちゃんがいるので大丈夫です。

 トントントン、トントントン。

「ふふ、ナオ君も包丁の使い方が上手になったわね」

 そして、僕はシャーロットさんからも褒められるくらい包丁の使い方に慣れてきました。
 シスターさんと比べると全然まだまだだけど、褒められるのってとても嬉しいですね。
 こうして、初体験の炊き出しの仕込みも無事に終わりました。
 みんなで後片付けをして、解散になります。

「じゃあ、ナオまた明日ね」
「「あしたねー!」」

 僕たちは、馬車に乗って王城に戻る王族の人たちを見送りました。
 明日も新年の謁見があるから、みんなと会うんだよね。
 僕たちも、馬車に乗ってオラクル公爵家に帰りました。

「あら、今日はルルちゃんも治療を手伝ってくれたのね」
「そーだよ!」

 ルルちゃんは、屋敷に着くとレガリアさんに一生懸命お話していました。
 途中お昼寝をした時もあったけど、それでもドラちゃんと一緒に頑張っていたもんね。
 ということで、今日はルルちゃんにご褒美の美味しいお肉が出されました。
 ドラちゃんも一緒に頑張っていたので、同じく美味しいお肉を貰っていました。
 今度は、ソラちゃんも一緒に頑張ると気合を入れていました。