昼食を食べたら、いよいよ収穫祭の準備を始めます。
 最初に向かったのは、村にある教会です。
 お父さんは別の作業があるそうなので、僕たちで色々なお手伝いをします。

「じゃあ、最初に祭壇にお供えするものを選びましょうね」
「「「はーい」」」

 サマンサお姉ちゃんはシスターさんとともに儀式の練習をしているので、お母さん、カエラ、キースとともに色々なお手伝いをします。
 先ずやってきたのは、教会の前に並べられた収穫されたたくさんのものです。
 野菜に小麦にお芋もあって、どれがいいか迷っちゃいますね。
 でも、こういう時に力を発揮するのがいました。

「「アンアン!」」
「キキッ!」
「それじゃ、これとこれと……」

 お供えものにピッタリなものを、クロちゃん、ギンちゃん、キキちゃんが選んでいました。
 美味しそうな匂いがするから、一発で分かるんだって。
 余ったものは、明日炊き出しに使うそうです。

「じゃあ、今度は教会内を綺麗にしましょうね。ナオ、最初に生活魔法を使って頂戴」

 お母さんに頼まれたので、僕は魔力を一気に溜めました。
 スラちゃんとドラちゃんも手伝ってくれるらしく、一気に溜めた魔力を放出しました。

 シュイン、ぴかー!

「だいぶ綺麗になったわね。じゃあ、今度は細かい埃を拭いちゃいましょう」

 教会内が一気にピカピカになったので、お母さんもとても満足そうですね。
 みんなで手分けして、教会の長椅子や窓ガラスとかを拭いていきます。
 カエラとキースも、雑巾を手にして長椅子を拭いていきますね。

 パタパタ。

「キュッ」

 ドラちゃんは、空を飛びながら天井を雑巾がけしていました。
 空を飛べるドラちゃんだからこそできる芸当ですね。
 すると、暫くするとシスターさんとシスター服を着たサマンサお姉ちゃんたちが教会内に入ってきました。

「わあ、サマンサお姉ちゃんとっても綺麗だね」
「「綺麗だよ!」」
「みんなありがとうね。カエラが収穫祭のお手伝いをするのは、もう少し先になりそうね」

 シスター服を着るので、収穫祭のお手伝いをするのは女性じゃなければ駄目だそうです。 
 十歳以上の女性が選ばれることが多いので、カエラが収穫祭のお手伝いをするのはもう少し先になりそうです。
 今年はサマンサお姉ちゃんのお友達もシスター服を着てお手伝いするそうで、みんなでワイワイと話をしていました。
 すると、今度はお父さんを含む大人の男性が教会の中に何かを運んできました。

「シスター様、特別祭壇を持ってきました」
「毎年本当にありがとうございます」

 シスターさんがお父さんたちにお礼を言っていたけど、この祭壇は収穫祭の時だけ使う特別製だそうです。
 普段は分解して教会の倉庫に入っているんだけど、こうして収穫祭前に組み立てるんだって。
 ついでなので、この特別祭壇も生活魔法で綺麗にして、みんなで雑巾で拭いていきます。
 後は、所定の位置に野菜とか果物とかを置いて準備完了です。

「では、明日は朝早くから収穫祭を執り行います。皆さま、連日になり申し訳ありませんが宜しくお願いいたします」
「「「お願いします!」」」

 こうして、シスターさんが僕たちに声をかけて準備は終わりました。
 ちなみに、サマンサお姉ちゃんたち収穫祭を手伝う人たちは、今日はシスターさんと一緒に教会で過ごすそうです。
 収穫祭に向けて、身を清める意味もあるそうです。
 明日になればサマンサお姉ちゃんも実家に戻ってくるので、その時にどんなことをしているのか話を聞いてみよう。
 後片付けをして、僕たちも実家に戻りました。

「今年は、例年になく収穫量も良い。俺も農家の収穫の手伝いをしたが、この分なら農家税金も予定通り納められるはずだな」

 夕食時にお父さんが色々と話をしたけど、王都周辺の領地はどこも豊作なんだって。
 冒険者は報酬受取時に税金を払うけど、農家は収穫量をみて税金を納めるんだって。
 飢饉とかがあったら納める税金も少なくなるけど、それはしょうがないよね。
 でも、こういう身近なところからでも色々なお仕事を勉強できるんだね。

「さあ、明日は早朝から収穫祭をするわ。みんなも、今夜は早く寝なさいね」
「「「はーい」」」

 ということで、夕食を食べたらお母さんに言われてお風呂に入って部屋に戻りました。
 カエラとキースも僕と一緒に寝たいと言ってきたので、スラちゃんたちと一緒にぎゅうぎゅうになりながらベッドで寝ました。
 なんだか、明日になるのがとっても楽しみですね。