サルの群れの話によると、まだはぐれゴブリンとかがいるそうです。
 あと、平常時よりもまだ害獣の数が多いそうです。

「そこまで分かれば、十分にこちらも対応できる。それに、まだ情報にないものもいるかもしれない。十分に気をつけるように」

 守備隊長がこの場をしめて、僕たちはさっそく活動開始となります。
 僕たちは、次々と森の中に入ります。
 昼食時に、一旦町に戻ることになりました。

 ガサガサ、ガサガサ。

「「「ガルル!」」」
「はっ、せい!」

 バシン、バシン!

 うん、茂みからオオカミが出てきてもサマンサお姉ちゃんが全部蹴り飛ばしちゃう。
 シアちゃんが血抜きをしてくれるけど、今日の僕はやることが殆どないね。

「ナオ君は昨日頑張ったから、代わりに今日は私たちが頑張るわよ」
「そうそう。今日のナオは、騎士に守られるか弱いお姫様ね」

 ナンシーさんはともかくとして、エミリーさんが何だか酷いことを言っているよ。
 というか、エミリーさんこそ本物のお姫様じゃないですか。
 みんなが僕を取り囲むように陣形を取っていて、探索魔法を使おうとしてもギンちゃんが頑張ると意気込んでいました。

「「「ギャギャ!」」」

 ここで、茂みの中から数体のゴブリンが姿を現した。
 あれが、はぐれゴブリンなんだね。
 よーし、僕も頑張って……

 バキッ、ドカッ!
 ザシュ、ザシュ!

「ギャー!」

 僕たちを襲ってきたゴブリンは、あっという間にみんなの手によって倒されました。
 うーん、戦闘だと本当にやることがないですよ。
 倒した獲物をアイテムボックスに入れるだけですね。
 こうして、昼食の時間になっちゃったのだけど、僕は何もやることなく終わっちゃいました。

 ドサドサドサ。

「これだけの害獣駆除を行えば、今のところは大丈夫だろう。あとは、定期的に我々や冒険者か定期的に害獣駆除をやればいいだろう」

 みんなでどのくらいの害獣駆除をしたのかを出し合っていたけど、守備隊長はとても満足そうにしていました。
 ちなみに、シアちゃんがみんなが倒した獲物の血抜きもしてくれているので、冒険者にとっては査定が上がって大助かりだった。
 そして、ちゃちゃっと怪我人の治療もしちゃいます。
 ということで、害獣駆除は午前中で終わっちゃったので、僕たちは冒険者ギルドに倒した獲物を卸して代官邸に向かいました。

「あら、お帰りなさい。早かったわね」
「キュー」

 代官邸に入ると、シンシアさんとドラちゃんが僕たちを出迎えてくれました。
 ドラちゃんがいるってことは、ヘンリーさんとスラちゃんも王城から戻っているってことですね。
 応接室に行って、話をすることになりました。

「ナオ君が執事を助けてくれたのがとても大きい。というのも、この町の実務は代官ではなく執事が行っていたからだ。あの代官は如何に金儲けをするかしか考えていなかったが、それでも執事が色々と対応していたからこの町はどうにかなっていた」

 きっと執事は、罪の意識を感じて胸を刺したんだ。
 町の人も代官は悪く言っていたけど、逆を言うと悪く言っていたのは代官だけだもんね。

「あと、どうやら温泉地よりも収入が少ないのも気に障っていたみたいだ。だから、私利私欲も含んで防衛費を削減していた。特に守備隊長はエリートコースに乗っているから、そういう存在が気に食わなかったみたいだ」

 自分の私利私欲のために、多くの人を巻き込むのは良くないよね。
 それに、あの代官は逆立ちしてもどうやっても守備隊長には敵わないと思うなあ。
 そして、王都の方は電光石火の対応をしたという。

「昨日のうちに関係者を割り出したから、捕縛するのはとても簡単だった。そこまで規模が大きくないグループらしいが、それでも違法なことに手を染めているのは間違いない。今回の件を受けて、人事関係者は全員聴取を受けることになった」

 ヘンリーさん曰く、スラちゃんを敵に回したくないと苦笑していました。
 まあ、スラちゃん一匹いればどんな情報でも引き出せるもんね。
 あとは、この麓の町が落ち着くように頑張ればいいですね。
 ではでは、昼食を食べて午後のお仕事も頑張りましょう。