数日は、こんな感じで過ぎていきました。
 僕は、浄化して仮設住宅を作って治療していきました。
 僕たちを襲ってくる犯罪者もいたけど、全員倒し切りました。
 あんまり強くないのもあったのかもしれません。
 そして、今日は二つ目の仮設孤児院の建設を行います。
 無事に教会隣接の廃墟の撤去も終わり、スペースも確保できました。
 この後仮設住宅を土魔法で作る予定もないし、魔力は存分に使えます。

「じゃあ、こんな感じでお願いね」

 シンシアさんに渡された図面を確認して、どんな仮設孤児院を作るのかを覚えます。
 そして、僕は魔力を溜めて地面に手をつきました。

 シュイン、もこもこ、ズゴゴゴゴ!

「「「わあー!」」」

 一気に土魔法でできた仮設孤児院が立ち上がり、僕の側にいた保護された子どもたちは目の前の光景に大はしゃぎです。
 炊き出しに並んでいる人も、思わず僕たちの方を見ていました。
 でも、土魔法で仮設住宅を作るのを見ているので、そこまでびっくりはしていません。

「僕、いちばーん!」
「「「まってよー」」」

 さっそく、子どもたちは出来上がったばっかりの仮設孤児院に入っていきました。
 気に入ってもらえたみたいで、僕も一安心です。
 安全のために周囲を囲む塀も作ってあるし、教会も安全に気を配るそうです。

「じゃあ、さっそく荷物を運ぶわ。ナオ君、ありがとうね」
「「「てつだうよー」」」

 すっかり孤児院担当になっているシンシアさんが、お手伝いの聖職者と子どもたちとともに荷物を運び始めました。
 シンシアさんは子どもたちへの接し方もとても上手だし、保護された子どもたちもシンシアさんにすっかり懐いていました。
 ドラちゃんも子どもたちに懐かれていたけど、元々ドラちゃんは小さい子の扱い方が上手だもんね。
 改めて木造の孤児院を建てるのだけど、それはもう少し先になります。
 それに、新たに作った仮設孤児院はまだまだ余裕があるので、新たに子どもを保護しても全然大丈夫です。
 子ども好きな聖職者が交代で対応してくれることになっているので、お世話も大丈夫です。
 これで、孤児院関係は一段落しました。
 僕は、治療をするためにシャーロットさんのところに戻りました。

「シャーロットさん、戻りました。これで孤児院は大丈夫です」
「キュー」
「ナオ君、ドラちゃん、お疲れ様ね。子どもたちも、とても喜んでいたわ。これで安心して過ごせるでしょうね」

 シャーロットさんも思わずニコニコしてくれたけど、やっぱり子どもが危険に晒されているのは見過ごせないみたいです。
 仮設住宅も幾つかの廃墟を撤去しないと駄目だから、僕も浄化と治療に専念できます。
 スラム街の人たちにとっても、よどみのせいで撤去しようとしてもできなかった廃墟がなくなるので、とてもいいことだそうです。
 あと、できるだけスラム街を綺麗にしていこうと清掃活動もしています。
 やっぱりスラム街は汚れているから、その分悪いものが集まりやすいそうです。
 それでも、このスラム街での対応もあと二週間もあれば終わります。
 もちろんスラム街の住人にも説明はしてあるけど、あとは自分たちの手でどうにかするってやる気になっていました。
 でも、王都には別のスラム街があるからまだまだやることはたくさんあります。
 順々に対応する必要がありますね。
 そんな中、ヘンリーさんがスラちゃんとともに僕のところにやってきました。

「ナオ君、邪神教の拠点を発見した。少し規模が大きいから、魔力を温存するために治療は教会の聖職者に変わって貰おう」

 遂に、このスラム街での邪神教の拠点を発見したみたいです。
 地道な犯罪者への聴取と、スラちゃんの探索活動のお陰ですね。
 この地域に潜んでいた犯罪組織はほぼ壊滅したので、残りは邪神教の拠点のみです。
 できるだけ戦力を温存することになったので、準備が整うまで作ったばかりの孤児院の準備のお手伝いをすることになりました。
 ということで、孤児院に戻ってシンシアさんに話をします。

「その話は私も聞いているわ。住民が巻き込まれないように、ある程度炊き出しなどを済ませてから作戦を実行するわ。もちろん、おばあさまが王城に帰ってからよ」

 シンシアさんは、既にヘンリーさんからある程度作戦を聞いていたみたいです。
 相手も僕たちがスラム街で色々活動しているのは知っているはずだし、息をひそめていたみたいです。
 場所は既に把握しているので、スラム街の巡回を兼ねて兵が場所を監視しているそうです。

「さあ、その前に私たちはやることをやっちゃいましょう。布団とかを運ばないと、今夜床で寝る事になるわ」
「キュー!」

 ということで、僕は身体能力強化を使ってどんどんと荷物を運びます。
 もちろん、この後のことを考えて省エネモードです。
 ドラちゃんは、ちょっと大きくなって荷物を運びます。
 ちょっと大きくなったドラちゃんに、子どもたちは大喜びでした。
 やっぱり子どもって、ドラゴンが大好きなんですね。