翌日の夜は、予定通りみんなで新年の夜会に行きます。
 若い人もたくさん来るらしいので、どんな人が来るのか楽しみです。

「着替えたよ!」
「あら、セードルフも良い感じにできたわね」

 今夜は、セードルフちゃんも夜会に参加します。
 綺麗な貴族服に着替えて、レガリアさんに褒められてとてもご満悦です。
 残念ながらルルちゃんとイザベルさんはお留守番だけど、こればかりは仕方ないですね。
 僕たちも、夜会用の服に着替えて準備万端です。
 サマンサお姉ちゃんは、またまたナンシーさんからドレスを借りていました。
 二人ともスタイルがいいから、ドレスがとっても似合っています。
 髪も綺麗に整えて、アクセサリーも身に着けていました。

「ナンシーさん、一式借りて申し訳ないわ」
「いえいえ、全然良いですよ。それに、サマンサさんもとっても似合っていますわ」

 サマンサお姉ちゃんとナンシーさんも、お互いの姿を褒めあっていました。
 みんな仲良しで、良い感じですね。
 一足先に王城に行くそうなので、僕たちは馬車に乗り込みました。
 そして、夜会が行われる会場に到着しました。

「わあ、とっても広いね!」
「今日は、多くの人がやってくるのよ。だから、会場も広めにしてあるんだよ」
「そーなんだ!」

 レガリアさんから色々と教えてもらったけど、セードルフちゃんはちゃんと理解できたかな?
 微笑ましい光景を見ていたら、更に僕たちのところにちびっ子がやってきました。

「こんばんはー!」
「ばんはー!」

 こちらも綺麗な貴族服を着たアーサーちゃんとエドガーちゃんが、とととって走ってきました。
 そして、セードルフちゃんと手を繋いでキャッキャと楽しそうにしていますね。
 すると、二人が走ってきたところから、ちょっと苦笑しながらマリアさんがやってきました。
 王太子妃に相応しい、とても品のあるドレスに豪華なティアラとネックレスを身に着けていました。

「ほらほら、二人とも走らないのよ。転んじゃうわよ」
「「はーい」」

 全くもうって表情をしているけど、王太子妃様でも子どもがいるとお母さん優先だもんね。
 今日はリーフちゃんがついてきていてドラちゃんとスラちゃんもいるので、三人の面倒をみてもらいましょう。
 そして、他の王族の方も姿を現しました。
 全員王族に相応しい貴族服やドレスを身に着けていました。

「わあ、エミリーさんまるで絵本に出てくるお姫様みたいです!」
「ふふ、ナオありがとうね。一応王女として合格貰ったみたいね」

 エミリーさんも、とても綺麗な薄桃色のドレスにティアラとネックレスを身に着けていました。
 いつも一緒にいる事が多いけど、そういえば王女様だったよね。
 そして、シャーロットさんも僕とサマンサお姉ちゃんに話しかけました。
 シャーロットさんは落ち着いたベージュ色のドレスで、品のある大人の女性って感じです。

「ふふ、ナオ君もサマンサさんもとても似合っているわ。今日は夜会を楽しんで行ってね」
「「ありがとうございます」」

 シャーロットさんは僕たちに挨拶をすると、他の貴族に挨拶をするために別の場所に向かった。
 そして、ナンシーさんもブレアさんと一緒に挨拶に行きました。
 レガリアさんも他の貴族に挨拶にいったので、僕たちのところにちびっ子三人とエミリーさん、そしてサマンサお姉ちゃんが残りました。
 うーん、何だか凄いメンツが残っちゃったよ。
 すると、僕たちのところにも夜会の会場にやってきた貴族が挨拶にきました。

「これはエミリー殿下、それにナオ準男爵様ではありませんか。おや? こちらの素敵な女性はどなたでしょうか」
「この方は、ナオの姉のサマンサよ。先日武勲を上げて、勲章を授与されたの」
「そうでございましたか。いやはや、きょうだい揃って優秀とは素晴らしいですな」

 品の良いご老人がニコリとしながら挨拶してくれたけど、エミリーさんも普通に対応しているし問題なさそうです。
 そして、サマンサお姉ちゃんも無難に挨拶をしていたのだけど、この挨拶を皮切りに一気に挨拶に来る人が増えました。
 面白いのが、腹に一物を持っている貴族はちびっ子三人がだんまりを決め込んでいて、問題ない貴族にはニコニコしながら対応していた。
 そして、ちびっ子三人がだんまりを決め込んだ貴族は、全部スラちゃんが全部記録しているそうです。
 僕とサマンサお姉ちゃんは、何とかエミリーさんについてマネするだけで精一杯でした。

「やっぱりエミリーさんは凄いです。こんなに多くの貴族の挨拶をするなんて」
「王族として色々な公務に出ているから、このくらいは全然問題ないわ。ナオも、早くこういう行事に慣れるようにね」

 うーん、僕はまだまだこういう行事は上手くできないよ。
 エミリーさんは、本当に凄いと思いました。
 サマンサお姉ちゃんは、夜会に参加するのは今日だけで良かったとホッと胸を撫でおろしていました。