スラちゃんとシアちゃんの血抜きが半分くらい終わったタイミングで、僕たちに向かってくる軍勢が現れました。
ヘンリーさんは、旗印みたいなものを見て直ぐに何かに気がついたみたいです。
少し険しい表情をしながら、目の前に止まった軍勢を見ていました。
そして、馬車からヘンリーさんと同じくらいの年の若者が降りてきました。
オレンジに近いショートヘアで、感じとしては優しそうな人です。
かなり慌てた様子で走ってきて、ヘンリーさんの前にひざまずきました。
「はあはあはあ、へ、ヘンリー殿下。お迎えもできずに申し訳ありません。このザイス子爵領の二男、マンデラと申します」
「王国第二王子、ヘンリーだ。先程まで、この森で戦闘を続けていた」
「戦闘……えっ、こ、こんな数の魔物が!」
どうやら領都から急いでやってきたみたいだけど、スラちゃんとシアちゃんが血抜きをしている魔物の数に度肝を抜かれていた。
それもそのはず、討伐した魔物の数は軽く二百頭を超えているのだから。
一緒に来た兵も、山積みになった魔物の数に度肝を抜かれていた。
ここで激しい戦闘が行われていたのは、想像に難くないだろう。
すると、マンデラさんはいきなり土下座をしてきたのだ。
「へ、ヘンリー殿下、この度は我が家の不祥事を押し付ける形となり申し訳ありません」
兵も一斉に頭を下げていたけど、どうも様子がおかしい。
スラちゃんとシアちゃんの血抜きが終わるのにもう少し時間がかかるので、僕がアイテムボックスから椅子と机を取り出して話を聞くことになった。
「私には二つ上の兄がおります。兄は側室の子でして、私は正妻の子となります。しかし、私の母は幼い頃に亡くなりました。そして、実は一ヶ月前から父が意識不明になり、兄が強引に領内の実権を握ろうと動き始めました。というのも、実は父が次期当主を決めていなかったのです」
ザイス子爵家は、いわゆる家督争いの渦中にあるみたいだ。
長男が側室の子ってのもあり、かなり揉めているそうです。
そして、この争いがこの森のよどみの対応に発展してしまったという。
「以前からこの森周辺で魔物の被害が発生しており、父も定期的に害獣駆除を行っていました。ところが、父が体調を崩した辺りから被害が増えてきました。しかしながら、兄はこの領内で対応するとの一点張りで全く話を聞いて貰えませんでした」
「各地のよどみの件は、発見次第直ぐに王城に連絡するようにと国から通告されている。その件を知らなかったのか?」
「いえ、父がまだ意識があるうちに話を聞いておりますので、私も兄も知っております。しかし、兄は自分が対応するとの一点張りでして。そこで、悪いことと知りながらも父の通信用魔導具を使用して王城に連絡いたしました」
これは、かなり面倒くさいことになりそうな気が……
というか、既に巻き込まれてしまったみたいです。
シンシアさんのみならず、ナンシーさんとエミリーさんも深いため息をついていました。
とにかくその長男と話をしないと、何も進みそうにない。
ちょうどスラちゃんとシアちゃんの血抜きも終わったので、僕たちも馬車に乗って屋敷に向かいました。
その間、ヘンリーさんは通信用魔導具を使って色々と情報のやり取りをしていました。
何か情報を掴んだみたいですね。
そして、森から三十分かけて領都にあるザイス子爵家の屋敷に到着したのだけど、ここで大きな問題が。
なんと、屋敷の門が固く閉ざされていたのです。
予想外のことに、マンデラさんもかなり慌てていました。
「なぜ門を閉じている。今直ぐ開門せよ!」
「お館様より、マンデラ様を始めとした方々を屋敷の中に入れないように命じられております」
「お館様って、父が目を覚ましたのか!」
「いえ、ヤザン様がお館様です」
何だか兵とマンデラさんの話が全然噛み合っていないけど、どうもマンデラさんのお兄さんがマンデラさんが屋敷を出たタイミングで兵に命令したみたいだ。
自分勝手なことをしているって言っていたけど、ここまでのことをするなんて思ってもみなかったよ。
すると、ヘンリーさんが無言で馬車から降りてきました。
何だか、背中から怒気を感じるよ。
「王国第二王子、ヘンリーだ。今直ぐ開門せよ。王国に当主交代に関する連絡は一切来ていない。勝手に当主を名乗るのなら、ザイス子爵家は処罰の対象となるだろう」
「えっ、で、殿下!?」
ヘンリーさんの毅然とした態度に、門兵は顔を青ざめました。
直ぐに門は開かれ、僕たちを乗せた馬車も敷地内に入って行きました。
すると、今度は勢いよく玄関ドアが開いて、茶髪の短髪の若い男性が肩をイキらせながら馬車に近づいてきました。
「マンデラ! テメーは、誰の許可を得て屋敷の中に入っているんだ!」
馬車をゲシゲシと蹴り飛ばしながら、ものすごい大声で文句を言ってきました。
間違いなく、この人がマンデラさんのお兄さんですね。
ヘンリーさんは、旗印みたいなものを見て直ぐに何かに気がついたみたいです。
少し険しい表情をしながら、目の前に止まった軍勢を見ていました。
そして、馬車からヘンリーさんと同じくらいの年の若者が降りてきました。
オレンジに近いショートヘアで、感じとしては優しそうな人です。
かなり慌てた様子で走ってきて、ヘンリーさんの前にひざまずきました。
「はあはあはあ、へ、ヘンリー殿下。お迎えもできずに申し訳ありません。このザイス子爵領の二男、マンデラと申します」
「王国第二王子、ヘンリーだ。先程まで、この森で戦闘を続けていた」
「戦闘……えっ、こ、こんな数の魔物が!」
どうやら領都から急いでやってきたみたいだけど、スラちゃんとシアちゃんが血抜きをしている魔物の数に度肝を抜かれていた。
それもそのはず、討伐した魔物の数は軽く二百頭を超えているのだから。
一緒に来た兵も、山積みになった魔物の数に度肝を抜かれていた。
ここで激しい戦闘が行われていたのは、想像に難くないだろう。
すると、マンデラさんはいきなり土下座をしてきたのだ。
「へ、ヘンリー殿下、この度は我が家の不祥事を押し付ける形となり申し訳ありません」
兵も一斉に頭を下げていたけど、どうも様子がおかしい。
スラちゃんとシアちゃんの血抜きが終わるのにもう少し時間がかかるので、僕がアイテムボックスから椅子と机を取り出して話を聞くことになった。
「私には二つ上の兄がおります。兄は側室の子でして、私は正妻の子となります。しかし、私の母は幼い頃に亡くなりました。そして、実は一ヶ月前から父が意識不明になり、兄が強引に領内の実権を握ろうと動き始めました。というのも、実は父が次期当主を決めていなかったのです」
ザイス子爵家は、いわゆる家督争いの渦中にあるみたいだ。
長男が側室の子ってのもあり、かなり揉めているそうです。
そして、この争いがこの森のよどみの対応に発展してしまったという。
「以前からこの森周辺で魔物の被害が発生しており、父も定期的に害獣駆除を行っていました。ところが、父が体調を崩した辺りから被害が増えてきました。しかしながら、兄はこの領内で対応するとの一点張りで全く話を聞いて貰えませんでした」
「各地のよどみの件は、発見次第直ぐに王城に連絡するようにと国から通告されている。その件を知らなかったのか?」
「いえ、父がまだ意識があるうちに話を聞いておりますので、私も兄も知っております。しかし、兄は自分が対応するとの一点張りでして。そこで、悪いことと知りながらも父の通信用魔導具を使用して王城に連絡いたしました」
これは、かなり面倒くさいことになりそうな気が……
というか、既に巻き込まれてしまったみたいです。
シンシアさんのみならず、ナンシーさんとエミリーさんも深いため息をついていました。
とにかくその長男と話をしないと、何も進みそうにない。
ちょうどスラちゃんとシアちゃんの血抜きも終わったので、僕たちも馬車に乗って屋敷に向かいました。
その間、ヘンリーさんは通信用魔導具を使って色々と情報のやり取りをしていました。
何か情報を掴んだみたいですね。
そして、森から三十分かけて領都にあるザイス子爵家の屋敷に到着したのだけど、ここで大きな問題が。
なんと、屋敷の門が固く閉ざされていたのです。
予想外のことに、マンデラさんもかなり慌てていました。
「なぜ門を閉じている。今直ぐ開門せよ!」
「お館様より、マンデラ様を始めとした方々を屋敷の中に入れないように命じられております」
「お館様って、父が目を覚ましたのか!」
「いえ、ヤザン様がお館様です」
何だか兵とマンデラさんの話が全然噛み合っていないけど、どうもマンデラさんのお兄さんがマンデラさんが屋敷を出たタイミングで兵に命令したみたいだ。
自分勝手なことをしているって言っていたけど、ここまでのことをするなんて思ってもみなかったよ。
すると、ヘンリーさんが無言で馬車から降りてきました。
何だか、背中から怒気を感じるよ。
「王国第二王子、ヘンリーだ。今直ぐ開門せよ。王国に当主交代に関する連絡は一切来ていない。勝手に当主を名乗るのなら、ザイス子爵家は処罰の対象となるだろう」
「えっ、で、殿下!?」
ヘンリーさんの毅然とした態度に、門兵は顔を青ざめました。
直ぐに門は開かれ、僕たちを乗せた馬車も敷地内に入って行きました。
すると、今度は勢いよく玄関ドアが開いて、茶髪の短髪の若い男性が肩をイキらせながら馬車に近づいてきました。
「マンデラ! テメーは、誰の許可を得て屋敷の中に入っているんだ!」
馬車をゲシゲシと蹴り飛ばしながら、ものすごい大声で文句を言ってきました。
間違いなく、この人がマンデラさんのお兄さんですね。

