翌朝、実家に帰る家族のみんなは少ない荷物をまとめていました。
 実は全員魔法袋を持っているので、たくさんの荷物があってもへっちゃらです。
 カエラとキースの魔法袋の中には、お菓子がいっぱい入っているみたいだけどね。
 みんなで朝食を食べて、庭に集まりました。

「一晩泊めて頂き、本当にありがとうございました。ナオのことを、どうぞよろしくお願いします」
「ええ、分かりましたわ。いつでも遊びに来て下さいね」

 ランディさんはオオワル伯爵の件があるので早めの王城に向かったので、代わりにレガリアさんがお母さんとにこやかに話をしていました。
 お父さんはというと、既に大きくなって準備万端なドラちゃんを見て少し顔を青ざめていました。
 昨日、足ががくがくになっちゃったもんね。
 念の為に、スラちゃんがみんなと同行するそうです。
 そして、家族みんながドラちゃんの背中に乗り込みました。

「また、時間が出来たら実家に帰るね!」
「いつでも帰ってきていいのよ。体に気を付けてね」
「ナオ、これからも頑張ってね」
「「じゃーねー!」」

 既に顔が青いお父さん以外と挨拶をして、ドラちゃんは空高く飛び上がりました。

「じゃーねー!」

 セードルフちゃんも大きく手を振る中、ドラちゃんは一気に地元に向かって飛び始めました。
 そして、十分もかからずにオラクル公爵家に帰ってきました。
 馬車でも一日で帰れるから、やっぱり地元は王都からとても近いですね。
 ではでは、この後僕たちは軍の施設に行って昨日できなかった兵の治療を行います。
 今日は、軍の施設でヘンリーさんたちと合流する予定です。
 僕たちは、馬車に乗って軍の施設に向かいました。

「皆さま、お待ちしておりました。会議室にご案内いたします」

 軍の施設に着くと、直ぐに会議室に案内されました。
 昨日の捜査の報告が行われるみたいです。
 会議室には軍の幹部とともに、ヘンリーさんたちも席についていました。

「ナオ君、ご両親は帰られたみたいだね。王城から大きくなったドラちゃんが見えたよ」
「はい、先程帰りました。今度休みの日に、実家に帰ろうかと思います」
「そうしてやった方が良いだろう。何だかんだいって、ご両親もナオ君がいないのは寂しいはずだからね」

 報告の前にヘンリーさんが僕に話しかけてくれたけど、今度は何かお土産を持って実家に帰ろうかな。
 そんなことを少し考えて、直ぐに気持ちを切り替えました。

「では、報告いたします。オオワル伯爵家の嫡男並びに長女より提供された資料により、人事不正介入事件の大枠を判明することができました。不正を行った職員は既に拘束しており、現在聴取が行われております」
「ふむ。なら、オオワル伯爵夫妻の供述の有無関係なく証拠で罪に問えるな」
「現在、捜査本部も殿下と同様の考えでおります。なお、オオワル伯爵夫妻からは具体的な供述を得られておりません」

 関係者の供述や証拠がたくさんあるので、もうオオワル伯爵夫妻は言い逃れできないでしょうね。
 代々不正を行って蓄財しているのは、とっても良くないことですし。

「また、オオワル伯爵夫妻と結託して不正を行った貴族家への強制捜査を昨日から続けております。その数は五家に及び、更に不正に関与した貴族家が増える恐れがあります」
「実力があれば何も問題ないことだが、何とかしようと思った貴族家もいるだろう。この辺りは、父上とも連携して対応を進めないとならない」
「陛下にも、一連のことを報告しております。また、昨日拘束した兵ですが、オオワル伯爵へ軍の内部情報を渡していたことが発覚しました。他に協力者がいないか確認を行っております」

 この後の対応は、軍と陛下にお任せですね。
 とはいっても、リストがあるので対応はしやすいと思います。
 それに、あの怪しい兵はやっぱり不正を行っていたんだね。
 これで報告は終了で、ヘンリーさんは引き続き会議室で軍の幹部と会議を続けるそうです。
 僕たちは、入院している兵の治療を行います。

「これで、少し落ち着きそうですね。僕も一安心です」
「ナオ君にとっては、実家の件も絡んでいたからね。きっと、ご両親も喜んでいるはずよ」
「今度、おばあ様がナオのご両親にお礼の品を渡したいそうよ。その際には、皆で行きましょうね」

 今後のことも含めて、ナンシーさんとエミリーさんと色々話をしました。
 シャーロットさんがプレゼントを用意しているとなれば、近々実家にいかないと駄目ですね。
 こうして、みんな少し気持ちが楽になりながら兵の治療を行っていました。