「ルイス・ハワードのWalking in the Night じゃねぇか」
突然、よく通り響く、心地よい低音の声が聴こえた。
「ッ!?」
私は突然の声に肩を上下させる。
鍵盤に置いていた手を離す。
「だ、誰?」
掠れた声で訊いた。
私の目の前には、長めの前髪の下にある切れ長の目が綺麗な印象のネクタイを緩く締めた男子生徒が立っていた。
耳にはイヤホンをつけている。
「ってか、、、なんでピアノに怒りぶつけてんの?」
私の言葉を遮り鋭い眼差しを向けた。
「怒り、、、ってどういうこと、ですか?意味、わかんない、、、」
「クラスメートなんだから敬語じゃなくていいぜ。あと同じ音楽家じゃねぇか」
「え?!あ、いや、音楽家?」
こんなクラスメートいたっけ?と心の中で呟きながら違うことを訊き返す。
「まぁ、確かに、怒りを何処かにぶつけなきゃ、、、やってらんねぇって思うけど」
だが私の質問には答えず違うことを口にした。しかも、私の気持ちの的を当てている。
「そ、そんなんじゃないから」
私は心の中の気持ちを当てられたのが恥ずかしくて思わず否定した。
が、気持ちは隠せていない。丸わかりだ。
「わ、私、、、行かなきゃ」
少し気まずくなってピアノの席を立つ。
「待てよ、、、」
私はその声に足をとめた。
願わくばすぐに外に出たかった。
でも凍てつくような声に自然と足が止まった。
「な、何?」
恐る恐る後ろを向く。
「、、、お前のピアノ、綺麗だな」
少し下を向いて恥ずかしそうにそう言った。
「は?」
一瞬拍子抜けし、首を傾ける。
「いや、、、なんていうか、今まで聴いた中で一番綺麗な音だった、、、から」
頭をかきながら続ける。
「、、、イヤホンしてる耳でよく聞こえたね」
思わず言い方が尖ってしまう。
だって、触れられたくないところに触れられたから。
一番、、、綺麗な音?
「、、、あ?、、、イヤホンしてても別にいいじゃねぇか!俺はただお前の音が綺麗だったからそう言っただけだ」
私に反論されたのが気に障ったのか声を荒げた。
でも、言葉はまっすぐ私に届いた。
「はぁ?、、、別に綺麗でも何でもないよ」
綺麗なわけない。私の音が、、、綺麗なわけない。
「綺麗だって事実言っただけなのに何でそんな怒ってんだよ?」
「、、、私、教室戻る。さよなら!」
私は今度こそ音楽室飛び出して廊下に駆け出した。
突然、よく通り響く、心地よい低音の声が聴こえた。
「ッ!?」
私は突然の声に肩を上下させる。
鍵盤に置いていた手を離す。
「だ、誰?」
掠れた声で訊いた。
私の目の前には、長めの前髪の下にある切れ長の目が綺麗な印象のネクタイを緩く締めた男子生徒が立っていた。
耳にはイヤホンをつけている。
「ってか、、、なんでピアノに怒りぶつけてんの?」
私の言葉を遮り鋭い眼差しを向けた。
「怒り、、、ってどういうこと、ですか?意味、わかんない、、、」
「クラスメートなんだから敬語じゃなくていいぜ。あと同じ音楽家じゃねぇか」
「え?!あ、いや、音楽家?」
こんなクラスメートいたっけ?と心の中で呟きながら違うことを訊き返す。
「まぁ、確かに、怒りを何処かにぶつけなきゃ、、、やってらんねぇって思うけど」
だが私の質問には答えず違うことを口にした。しかも、私の気持ちの的を当てている。
「そ、そんなんじゃないから」
私は心の中の気持ちを当てられたのが恥ずかしくて思わず否定した。
が、気持ちは隠せていない。丸わかりだ。
「わ、私、、、行かなきゃ」
少し気まずくなってピアノの席を立つ。
「待てよ、、、」
私はその声に足をとめた。
願わくばすぐに外に出たかった。
でも凍てつくような声に自然と足が止まった。
「な、何?」
恐る恐る後ろを向く。
「、、、お前のピアノ、綺麗だな」
少し下を向いて恥ずかしそうにそう言った。
「は?」
一瞬拍子抜けし、首を傾ける。
「いや、、、なんていうか、今まで聴いた中で一番綺麗な音だった、、、から」
頭をかきながら続ける。
「、、、イヤホンしてる耳でよく聞こえたね」
思わず言い方が尖ってしまう。
だって、触れられたくないところに触れられたから。
一番、、、綺麗な音?
「、、、あ?、、、イヤホンしてても別にいいじゃねぇか!俺はただお前の音が綺麗だったからそう言っただけだ」
私に反論されたのが気に障ったのか声を荒げた。
でも、言葉はまっすぐ私に届いた。
「はぁ?、、、別に綺麗でも何でもないよ」
綺麗なわけない。私の音が、、、綺麗なわけない。
「綺麗だって事実言っただけなのに何でそんな怒ってんだよ?」
「、、、私、教室戻る。さよなら!」
私は今度こそ音楽室飛び出して廊下に駆け出した。



