千絃と再会した次の週末、私は千絃を駅ピアノへと誘った。
「千絃、私、Night Melody 弾けるようになったんだ」
唐突に隣を歩く千絃に話しかける。
「、、、え?Night Melody?!、、、いつの間に、、、」
あからさまに驚いている。
Night Melodyは、千絃と律のバンド、stRINGs melodyのデビュー曲。
千絃の想いがたくさん詰まっている曲。
「頑張って練習してたんだ。、、、だからさ、一緒に歌ってくれない?」
「ッ?!」
私の提案に千絃は頬を赤らめ、そっぽを向いた。
「やっぱり、ダメだよね、、、?」
「は?ダメとは言ってねぇよ。バーカ」
「じゃあ!」
私が思わず大きな声で喜んでしまうと千絃は軽く微笑んだ。
私は駅ピアノの前に腰掛ける。
「、、、、、、」
深呼吸を繰り返す。
ふと手を見ると微かに震えている。
「風奏」
千絃が私の背中に手を置いた。
「俺がいる。、、、もう、離れねぇから」
「うん」
私は頷き、もう一度深く息を吸う。
そして私は、ピアノを奏で始めた。
広場全体にピアノの音が響き渡る。
と、千絃の歌声が聴こえてきた。
ネットに上がっていたNight melodyを聴いた時、鳥肌がたった。
ものすごく、綺麗だった。
その一言だった。
脳裏に綺麗な夜空の情景が浮かび上がってきた。
いつか、私のピアノで、そんな情景を描けたら。
いつか、私のピアノが弾けるようになったら。
その時は千絃と一緒にこの曲を演奏したいと思っていた。
そして、今、千絃と一緒なら、ピアノが弾けると思った。
あの時みたいに弾けると、思った。
そして、千絃へ、希望の音を奏でてあげたい。
私のピアノで、千絃に希望の光を与えたい。
だから、今、私はピアノを奏でている。
これからも、ずっと、ずっと、私はピアノを弾き続けたい。
奏で続けたい。
千絃と一緒に、奏で続けたいから。
この手は止めたくない。弾き続ける。
私のピアノの音は千絃の歌声と同じように、ずっと響き渡っていた。
最後まで。
嬉しい思いを胸に抱きながら私は最後の音を、奏でた。
「、、、最後まで、弾けた」
やっと、自分の力だけで、、、弾けた。
手も重くならない。
息も切れない。
手も止まらなかった。
つい目頭が熱くなる。
「よく、頑張ったな」
横を向くと、にっこりと微笑む千絃がいた。
「うん!」
私は大きく頷く。
パチパチパチ、、、と誰かが拍手をする音が聞こえた。
私はその音がした方へ振り向く。
「、、、ヒナ、、、?」
私は驚きでそれしか言えない。
私の目の前には私の親友、ヒナ、、、こと葛木妃詩が立っていた。
「風奏、、、」
小さな声で、妃詩は私を呼んだ。
「ヒナ、、、」
私も、呟き返す。
「風奏、、、ごめん。ごめんなさい」
妃詩は勢いよく頭を下げた。
「ヒナ!頭、上げて!」
私は思わず大きな声で叫んだ。
「え、、、?」
戸惑いながら、妃詩は頭を上げた。
疑問でいっぱい、とでも言いたいような顔だ。
瞬間、私は、妃詩を抱きしめた。
「ふ、風奏?」
戸惑う妃詩に構わず私はその存在を確かめるように強く抱きしめた。
妃詩の温もりを感じられた。
目に涙がたまる。
「ごめんね、、、。ヒナ。私、ヒナのこと全然分かってなかった。傷つけちゃって、ごめんね」
私は静かにそう言った。
「え、、、!?なに言ってるの?私が、全部、悪いんだよ?風奏は、なにも悪くないよ。私が、全部悪いの。一方的に、むしゃくしゃした心を風奏に吐いちゃったんだよ?思ってもいないことをぶつけちゃったんだよ?」
慌てて妃詩が反論する。
「違う、、、。私が、ヒナの、気持ちを、知らなかっただけで。私の言葉で、ヒナを傷つけちゃったんだよ。ヒナは、なにも悪くない」
「うんん、私が、風奏を、傷つけたんだよ?親友じゃないって、言ったり、目の前で、、、階段から飛び降りたり。いろんなことして、傷つけた」
「全然、私は気にしてない!全部、わたしのせいだもん。私が、ヒナを、追い詰めちゃったんだよ」
「違う!私が、私自身が、弱かったから、ああしないと、生きていけなかったの。弱かった、私自身が、悪いの。風奏はなにも、悪くない。だって、、、今でも風奏は、私の憧れなんだもん」
お互いは、知らず知らずのうちに、心の声を吐き出していた。
「風奏は、今でも、大好きな親友だよ」
「ヒナは、今でも、大好きな親友だよ」
私たちの声が重なった。
ハッとしたように2人して見つめ合ったあと、お互いに、吹き出した。
抱擁から解放され、思いっきり笑った。
「ふ、、、ふふ、ふふふ!」
「く、、、はは、あはは!」
「私たち、お互いに、罪悪感抱いてたんだね」
「うん、、、ありがとう。風奏」
「え?なんで?」
「風奏のピアノのおかげで、私、こうやって、会いに来れたの。仲直り?するのが、できた。、、、こうやって、笑って、解決できるって、思ってなかった。本当に、、、ありがとう、、、」
最後の方になるにつれ、涙声になりながら妃詩は私に礼を言った。
「うんん、会えてよかった。会いにきてくれて、ありがとう。本当は私がいくべきだったんだけど、会いにいけなくて、ごめんね」
「なに言ってるの。私が全部悪いんだから」
「まだ、言ってる」
2人は見つめ合って、また吹き出した。
大粒の涙を流しながら、でも、表情は明るく、笑顔で満ちていた。
「「ありがとう」」
2人は、いつの間にかそう言っていた。
どちらからともなく、もう一度抱き合っていた。
「千絃、私、Night Melody 弾けるようになったんだ」
唐突に隣を歩く千絃に話しかける。
「、、、え?Night Melody?!、、、いつの間に、、、」
あからさまに驚いている。
Night Melodyは、千絃と律のバンド、stRINGs melodyのデビュー曲。
千絃の想いがたくさん詰まっている曲。
「頑張って練習してたんだ。、、、だからさ、一緒に歌ってくれない?」
「ッ?!」
私の提案に千絃は頬を赤らめ、そっぽを向いた。
「やっぱり、ダメだよね、、、?」
「は?ダメとは言ってねぇよ。バーカ」
「じゃあ!」
私が思わず大きな声で喜んでしまうと千絃は軽く微笑んだ。
私は駅ピアノの前に腰掛ける。
「、、、、、、」
深呼吸を繰り返す。
ふと手を見ると微かに震えている。
「風奏」
千絃が私の背中に手を置いた。
「俺がいる。、、、もう、離れねぇから」
「うん」
私は頷き、もう一度深く息を吸う。
そして私は、ピアノを奏で始めた。
広場全体にピアノの音が響き渡る。
と、千絃の歌声が聴こえてきた。
ネットに上がっていたNight melodyを聴いた時、鳥肌がたった。
ものすごく、綺麗だった。
その一言だった。
脳裏に綺麗な夜空の情景が浮かび上がってきた。
いつか、私のピアノで、そんな情景を描けたら。
いつか、私のピアノが弾けるようになったら。
その時は千絃と一緒にこの曲を演奏したいと思っていた。
そして、今、千絃と一緒なら、ピアノが弾けると思った。
あの時みたいに弾けると、思った。
そして、千絃へ、希望の音を奏でてあげたい。
私のピアノで、千絃に希望の光を与えたい。
だから、今、私はピアノを奏でている。
これからも、ずっと、ずっと、私はピアノを弾き続けたい。
奏で続けたい。
千絃と一緒に、奏で続けたいから。
この手は止めたくない。弾き続ける。
私のピアノの音は千絃の歌声と同じように、ずっと響き渡っていた。
最後まで。
嬉しい思いを胸に抱きながら私は最後の音を、奏でた。
「、、、最後まで、弾けた」
やっと、自分の力だけで、、、弾けた。
手も重くならない。
息も切れない。
手も止まらなかった。
つい目頭が熱くなる。
「よく、頑張ったな」
横を向くと、にっこりと微笑む千絃がいた。
「うん!」
私は大きく頷く。
パチパチパチ、、、と誰かが拍手をする音が聞こえた。
私はその音がした方へ振り向く。
「、、、ヒナ、、、?」
私は驚きでそれしか言えない。
私の目の前には私の親友、ヒナ、、、こと葛木妃詩が立っていた。
「風奏、、、」
小さな声で、妃詩は私を呼んだ。
「ヒナ、、、」
私も、呟き返す。
「風奏、、、ごめん。ごめんなさい」
妃詩は勢いよく頭を下げた。
「ヒナ!頭、上げて!」
私は思わず大きな声で叫んだ。
「え、、、?」
戸惑いながら、妃詩は頭を上げた。
疑問でいっぱい、とでも言いたいような顔だ。
瞬間、私は、妃詩を抱きしめた。
「ふ、風奏?」
戸惑う妃詩に構わず私はその存在を確かめるように強く抱きしめた。
妃詩の温もりを感じられた。
目に涙がたまる。
「ごめんね、、、。ヒナ。私、ヒナのこと全然分かってなかった。傷つけちゃって、ごめんね」
私は静かにそう言った。
「え、、、!?なに言ってるの?私が、全部、悪いんだよ?風奏は、なにも悪くないよ。私が、全部悪いの。一方的に、むしゃくしゃした心を風奏に吐いちゃったんだよ?思ってもいないことをぶつけちゃったんだよ?」
慌てて妃詩が反論する。
「違う、、、。私が、ヒナの、気持ちを、知らなかっただけで。私の言葉で、ヒナを傷つけちゃったんだよ。ヒナは、なにも悪くない」
「うんん、私が、風奏を、傷つけたんだよ?親友じゃないって、言ったり、目の前で、、、階段から飛び降りたり。いろんなことして、傷つけた」
「全然、私は気にしてない!全部、わたしのせいだもん。私が、ヒナを、追い詰めちゃったんだよ」
「違う!私が、私自身が、弱かったから、ああしないと、生きていけなかったの。弱かった、私自身が、悪いの。風奏はなにも、悪くない。だって、、、今でも風奏は、私の憧れなんだもん」
お互いは、知らず知らずのうちに、心の声を吐き出していた。
「風奏は、今でも、大好きな親友だよ」
「ヒナは、今でも、大好きな親友だよ」
私たちの声が重なった。
ハッとしたように2人して見つめ合ったあと、お互いに、吹き出した。
抱擁から解放され、思いっきり笑った。
「ふ、、、ふふ、ふふふ!」
「く、、、はは、あはは!」
「私たち、お互いに、罪悪感抱いてたんだね」
「うん、、、ありがとう。風奏」
「え?なんで?」
「風奏のピアノのおかげで、私、こうやって、会いに来れたの。仲直り?するのが、できた。、、、こうやって、笑って、解決できるって、思ってなかった。本当に、、、ありがとう、、、」
最後の方になるにつれ、涙声になりながら妃詩は私に礼を言った。
「うんん、会えてよかった。会いにきてくれて、ありがとう。本当は私がいくべきだったんだけど、会いにいけなくて、ごめんね」
「なに言ってるの。私が全部悪いんだから」
「まだ、言ってる」
2人は見つめ合って、また吹き出した。
大粒の涙を流しながら、でも、表情は明るく、笑顔で満ちていた。
「「ありがとう」」
2人は、いつの間にかそう言っていた。
どちらからともなく、もう一度抱き合っていた。



